1 / 11
第一話 出だしにつまづいた
しおりを挟む
▲
二十一世紀からだいぶ先の、未来ないつだか。
中国とインドの間には高い山の続く山脈があって、その山脈の中に一つの都市がある。
標高1330メートルの盆地の中にある、オープンシティだ。
西塔小角(さいとう・おずぬ)の暮らしていたシティ・オタルのように、ドームに囲まれた都市ではない。
ふつうにまっすぐ上には空があって、雨が降ったら濡れるという自然の中の街だ。
小角はつい最近オタルに移住して来て、運よくパイロットの職につけた。
でもなかなか本職では仕事がなくて、パトロール局でアルバイトをして食いつないでいる。
「おい、休日にこんな標高の高い峠まで来て、男友達とまったり茶飲んでるって…。
ちょっと淋しい人生じゃない?」
それでも訪ねて行くと茶をふるまってくれる友人は、妖魔退治専門公務員、ソマ族。
すっきり禿げ頭のハヌマンである。
禿げているわけでも、坊さんなわけでもないが
、彼の家は男は全員髪を剃って、額に呪文の文字を書き込んでいる。
どうやら、そうすれば妖魔の力に対抗できると信じているようだ。
「うーん、部屋に帰りたくないんだ」
「同室の奴と顔合わせたくないんだな、でも昼間はあっちも仕事に出てるんだろう」
「いや、休み合わせて来やがんだよ。一緒にバザール行こうって誘われたの逃げ出したんだ」
「しょうがねえなあ…、そんなに人の好き嫌いしてっと暮らして行けないぞ。
カトマンズは難民移民で一杯で、人があふれてんだから」
カトマンズはこの近辺では唯一安心して人間が暮らせる街なので、大和以外の難民も押し寄せている。
妖魔たちに襲われ、村や街や都市から逃げ出した人達が難民になるのだ。
「いや、あいつ以外は特に問題はないと思うけど…」
「へえ、そうかい?」
「あー、だからさあ、別に嫌いなわけじゃないんだって。
単に顔見たくないんだ、それだけだ」
市長とパトロール局長のできる、人当たりのいい専門家の小角にしては珍しい事だ。
〝恋敵〟
この二文字が、小角のこだわりの原因のほぼ90パーセントを占めている。
「顔見たくないって…、同室で職場同じで、だめだろう、それ」
小角は前の人災のすべてを失ってこの街に来た。
最初の生きる希望が彼女だったのだ。
それが横恋慕だと気づいた時は、引き返せない所に居た。
「そう言っても、その恋敵の、尾鷹星野…おだかせいや?
のほうは全然こだわってないみたいじゃん。普通に付き合えば?」
「こだわってないわけあるか、無茶苦茶こだわってるさ。
猫の被り方がすごくうまいんだ。根が暗いんだよ」
「あー…」
ハヌマンが青々と剃り上げた頭を撫でながら、ため息を漏らした。
大和移民マンションの中の事なんか、自分にどうする事も出来ない。
小角がこの街に移住して来て、最初に受け入れてくれたのが、星野だった。
星野は真っすぐな好意を小角に向けた。
だからと言って恋人を譲る気は毛頭ない。
ただ小角の親友になりたがっただけだ。
「そんな気まずい付き合いなんか御免被るぜ。
あいつ面白がってやがるんだ」
そして周りの人達は、二人の友情を既成事実として受け入れている。
大和宿舎のほぼ全員が…。
「ずいぶんじゃないか」
この件に関しては、小角の趣味も事情も考慮してもらえない。
わがまま、贅沢、もしくは聞く価値のない愚痴。
「俺は力一杯働いている。
二つも仕事掛け持ちだぞ。
パイロットとパトロール、一所懸命やってるぞ」
誠心誠意自分を受け入れてくれた街に尽くしてる。
カトマンズには感謝してるんだ。
「なのに、親友を選ぶ権利すら与えられていないんだぞ」
どん、
チャイが半分ほど残っている重い金属製のゴブレットが鈍い音を立てた。
「プライバシーがほしい。一人の部屋がほしい」
「そんなら俺みたいに山の中の洞窟でくらせばいいじゃん。
妖魔ハンターやったら?」
いつの間にか、なんとなく友達になったハヌマンという青年が小角は気に入っている。
遠慮も気づまりもない、言いたい放題。
親友かどうかなんて考えてもいない。
少女漫画のように友情に区別つけるなんて、面倒な事一切なし。
さっぱりすっきり、肩の凝らない付き合いだ。
「俺が洞窟でくらしたりしたら、
まあ一週間で立派なミイラだな」
最終戦争の後、地球に増え続けた妖魔は、女性の死体に入って人間の振りをする。
男性の生命エネルギーを吸い取って、生きる糧としている。
彼女達は地球に増え続け、人類の領分を狭め、滅亡に追い込んで行く。
そうはさせじとがんばる人間たち。
泥沼が日常化した、長い闘いの中にある現在だった。
「いやー、それはさあ、大和人の中で解決しろって問題だろ。
今どき二人部屋なんて贅沢きわまりない、住人二十人のタコ部屋がほとんどなんだろう」
ハヌマンはしょっちゅう大和宿舎に来るので、よく知っている。
「俺二十人部屋でいい。あいつから離れたい」
「部屋替え申請したら?」
「そんな事したら針のむしろだ」
「うん、パトロール星野が大和の連中の中で、悲劇の王子様扱いされているのは知ってる。
だが俺に訴えてもどうにかなる事じゃないぜ」
「愚痴くらい聞いてくれ」
「聞いてんじゃんか。意見も言わせろ。
パトロール星野って女の子に人気ありそうだもんな。
お前も女の子の味方作ればいいんだ、顔はいいんだし」
「いや、もう最初から全員星野さんの味方なんですよー」
「哀れな奴だな」
「よー、ハヌマン、いっしょに暮らそう」
「俺男なんかと同居したくない」
ひとけのない山の中を通る隊商は妖魔に狙われやすい。
だから対象の通り道近くに居れば、妖魔との遭遇率も高い。
…というわけで、ハヌマンのすみかはここなのだ。
小角はずっと標高の低いシティ・カトマンズの中だ。
彼は休みのたびに空気の薄い、呼吸困難な峠までやって来る。
いかに大和宿舎にいづらいのか、知れようというものだ。
「あいつが笑さんの恋人でさえなけりゃなー」
「お前があの妖魔なんか好きにならんばけりゃ問題ないじゃん」
坊主頭の友人はにべもない。
「笑さんて星野のために死んだんだろう、そんな最初から負けフラグの勝負するなよ」
小角はそれに返す言葉はない。
◇
遠くで人の叫び声が聞こえたような気がした。
もしかしたら取りの声と聞きまちがえたのかも知れない。
小角はぼんやりと茶を啜りながら思った。
「秋は多いからな」
ハヌマンの声が緊張していたらすぐわかったかも知れない。
しかし彼の態度はごく日常的だった。
「ん、何が?」
目を上げるとハヌマンはもう武器を片手に立ち上がっている。
「隊商とそれを狙う妖魔!」
どなるように言って自分のフライングマシーンに飛び乗る。
「待て俺も行く」
「お前茶飲んで待ってろよ。
ちょっと走っただけでぜいぜいいうような奴、役に立たねえ」
「走るわけじゃない、一緒にマシーンに乗って行く。
おまえが戦う時そうじゅうを代われる」
「勝手にしろ!」
そう言いつつハヌマンは小角のためにマシーンを寄せた。
空気の薄い高所では、少し激しい運動をしただけですぐ呼吸困難になる。
ハヌマンは普段から高地に住んでいるが、小角はもともと海抜ゼロメートルの地下都市にいた。
シティ・カトマンズの高度に順応するのですらかなりの時間を要した。
海抜四千メートルを超えるこのあたりでは、走ることすらままならない。
高みに飛び上がったフライングマシーンから谷間を見下ろす。
緑のない荒涼とした斜面に細く白いリボンのような街道が穿たれているのが見えた。
二十一世紀からだいぶ先の、未来ないつだか。
中国とインドの間には高い山の続く山脈があって、その山脈の中に一つの都市がある。
標高1330メートルの盆地の中にある、オープンシティだ。
西塔小角(さいとう・おずぬ)の暮らしていたシティ・オタルのように、ドームに囲まれた都市ではない。
ふつうにまっすぐ上には空があって、雨が降ったら濡れるという自然の中の街だ。
小角はつい最近オタルに移住して来て、運よくパイロットの職につけた。
でもなかなか本職では仕事がなくて、パトロール局でアルバイトをして食いつないでいる。
「おい、休日にこんな標高の高い峠まで来て、男友達とまったり茶飲んでるって…。
ちょっと淋しい人生じゃない?」
それでも訪ねて行くと茶をふるまってくれる友人は、妖魔退治専門公務員、ソマ族。
すっきり禿げ頭のハヌマンである。
禿げているわけでも、坊さんなわけでもないが
、彼の家は男は全員髪を剃って、額に呪文の文字を書き込んでいる。
どうやら、そうすれば妖魔の力に対抗できると信じているようだ。
「うーん、部屋に帰りたくないんだ」
「同室の奴と顔合わせたくないんだな、でも昼間はあっちも仕事に出てるんだろう」
「いや、休み合わせて来やがんだよ。一緒にバザール行こうって誘われたの逃げ出したんだ」
「しょうがねえなあ…、そんなに人の好き嫌いしてっと暮らして行けないぞ。
カトマンズは難民移民で一杯で、人があふれてんだから」
カトマンズはこの近辺では唯一安心して人間が暮らせる街なので、大和以外の難民も押し寄せている。
妖魔たちに襲われ、村や街や都市から逃げ出した人達が難民になるのだ。
「いや、あいつ以外は特に問題はないと思うけど…」
「へえ、そうかい?」
「あー、だからさあ、別に嫌いなわけじゃないんだって。
単に顔見たくないんだ、それだけだ」
市長とパトロール局長のできる、人当たりのいい専門家の小角にしては珍しい事だ。
〝恋敵〟
この二文字が、小角のこだわりの原因のほぼ90パーセントを占めている。
「顔見たくないって…、同室で職場同じで、だめだろう、それ」
小角は前の人災のすべてを失ってこの街に来た。
最初の生きる希望が彼女だったのだ。
それが横恋慕だと気づいた時は、引き返せない所に居た。
「そう言っても、その恋敵の、尾鷹星野…おだかせいや?
のほうは全然こだわってないみたいじゃん。普通に付き合えば?」
「こだわってないわけあるか、無茶苦茶こだわってるさ。
猫の被り方がすごくうまいんだ。根が暗いんだよ」
「あー…」
ハヌマンが青々と剃り上げた頭を撫でながら、ため息を漏らした。
大和移民マンションの中の事なんか、自分にどうする事も出来ない。
小角がこの街に移住して来て、最初に受け入れてくれたのが、星野だった。
星野は真っすぐな好意を小角に向けた。
だからと言って恋人を譲る気は毛頭ない。
ただ小角の親友になりたがっただけだ。
「そんな気まずい付き合いなんか御免被るぜ。
あいつ面白がってやがるんだ」
そして周りの人達は、二人の友情を既成事実として受け入れている。
大和宿舎のほぼ全員が…。
「ずいぶんじゃないか」
この件に関しては、小角の趣味も事情も考慮してもらえない。
わがまま、贅沢、もしくは聞く価値のない愚痴。
「俺は力一杯働いている。
二つも仕事掛け持ちだぞ。
パイロットとパトロール、一所懸命やってるぞ」
誠心誠意自分を受け入れてくれた街に尽くしてる。
カトマンズには感謝してるんだ。
「なのに、親友を選ぶ権利すら与えられていないんだぞ」
どん、
チャイが半分ほど残っている重い金属製のゴブレットが鈍い音を立てた。
「プライバシーがほしい。一人の部屋がほしい」
「そんなら俺みたいに山の中の洞窟でくらせばいいじゃん。
妖魔ハンターやったら?」
いつの間にか、なんとなく友達になったハヌマンという青年が小角は気に入っている。
遠慮も気づまりもない、言いたい放題。
親友かどうかなんて考えてもいない。
少女漫画のように友情に区別つけるなんて、面倒な事一切なし。
さっぱりすっきり、肩の凝らない付き合いだ。
「俺が洞窟でくらしたりしたら、
まあ一週間で立派なミイラだな」
最終戦争の後、地球に増え続けた妖魔は、女性の死体に入って人間の振りをする。
男性の生命エネルギーを吸い取って、生きる糧としている。
彼女達は地球に増え続け、人類の領分を狭め、滅亡に追い込んで行く。
そうはさせじとがんばる人間たち。
泥沼が日常化した、長い闘いの中にある現在だった。
「いやー、それはさあ、大和人の中で解決しろって問題だろ。
今どき二人部屋なんて贅沢きわまりない、住人二十人のタコ部屋がほとんどなんだろう」
ハヌマンはしょっちゅう大和宿舎に来るので、よく知っている。
「俺二十人部屋でいい。あいつから離れたい」
「部屋替え申請したら?」
「そんな事したら針のむしろだ」
「うん、パトロール星野が大和の連中の中で、悲劇の王子様扱いされているのは知ってる。
だが俺に訴えてもどうにかなる事じゃないぜ」
「愚痴くらい聞いてくれ」
「聞いてんじゃんか。意見も言わせろ。
パトロール星野って女の子に人気ありそうだもんな。
お前も女の子の味方作ればいいんだ、顔はいいんだし」
「いや、もう最初から全員星野さんの味方なんですよー」
「哀れな奴だな」
「よー、ハヌマン、いっしょに暮らそう」
「俺男なんかと同居したくない」
ひとけのない山の中を通る隊商は妖魔に狙われやすい。
だから対象の通り道近くに居れば、妖魔との遭遇率も高い。
…というわけで、ハヌマンのすみかはここなのだ。
小角はずっと標高の低いシティ・カトマンズの中だ。
彼は休みのたびに空気の薄い、呼吸困難な峠までやって来る。
いかに大和宿舎にいづらいのか、知れようというものだ。
「あいつが笑さんの恋人でさえなけりゃなー」
「お前があの妖魔なんか好きにならんばけりゃ問題ないじゃん」
坊主頭の友人はにべもない。
「笑さんて星野のために死んだんだろう、そんな最初から負けフラグの勝負するなよ」
小角はそれに返す言葉はない。
◇
遠くで人の叫び声が聞こえたような気がした。
もしかしたら取りの声と聞きまちがえたのかも知れない。
小角はぼんやりと茶を啜りながら思った。
「秋は多いからな」
ハヌマンの声が緊張していたらすぐわかったかも知れない。
しかし彼の態度はごく日常的だった。
「ん、何が?」
目を上げるとハヌマンはもう武器を片手に立ち上がっている。
「隊商とそれを狙う妖魔!」
どなるように言って自分のフライングマシーンに飛び乗る。
「待て俺も行く」
「お前茶飲んで待ってろよ。
ちょっと走っただけでぜいぜいいうような奴、役に立たねえ」
「走るわけじゃない、一緒にマシーンに乗って行く。
おまえが戦う時そうじゅうを代われる」
「勝手にしろ!」
そう言いつつハヌマンは小角のためにマシーンを寄せた。
空気の薄い高所では、少し激しい運動をしただけですぐ呼吸困難になる。
ハヌマンは普段から高地に住んでいるが、小角はもともと海抜ゼロメートルの地下都市にいた。
シティ・カトマンズの高度に順応するのですらかなりの時間を要した。
海抜四千メートルを超えるこのあたりでは、走ることすらままならない。
高みに飛び上がったフライングマシーンから谷間を見下ろす。
緑のない荒涼とした斜面に細く白いリボンのような街道が穿たれているのが見えた。
3
あなたにおすすめの小説
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】逃がすわけがないよね?
春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。
それは二人の結婚式の夜のことだった。
何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。
理由を聞いたルーカスは決断する。
「もうあの家、いらないよね?」
※完結まで作成済み。短いです。
※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。
※カクヨムにも掲載。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる