【続編あり】恋の魔法にかかったら~不器用女神と一途な従士~

花乃 なたね

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三話 二度目ましては事件と共に

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「はぁ……」

 壁にもたれかかりながら、わたしは誰にも聞こえないようにため息をひとつついた。
 ぐるりと見渡せば、色とりどりのドレスで着飾った女性たち、ぱりっとした礼服に身を包んだ男性たちがあちこちで会話に花を咲かせている。楽士たちがその邪魔をしない程度に、優雅な旋律を奏でている。
 時々は貴族が主催する夜会に出席するのも、大魔術師の仕事のうちだ。とはいうもののわたしはいつも必要な挨拶はささっとすませ、あとは隅の方でじっとしていることが多い。
 こういう場所はどうにも苦手なのだ。今日はいつも着ている魔術師のローブではなく、丈が長い濃い青色のドレスに身を包み、同じ色の肘まである手袋をはめているけれど、肩はむき出しになっていて少しばかり落ち着かない。銀色の宝石が雨のしずくのようにいくつも垂れ下がった首飾りが、申し訳程度に首元を飾っている。
 今回は比較的内輪で開かれている夜会なので、わたしに話しかけてくる人は誰もいない。「氷晶の女神」については、貴族たちにもある程度知れ渡っているのだ。他の令嬢たちのようににこやかに笑うこともせず、踊りの誘いにも乗らず、静かにたたずむ孤高の存在――実際は人見知りで踊りが上手くないからそうしているのだけど。かかとの高い靴で歩くだけでも一苦労なのにそれで踊れなんて言われて、こんな大勢の目の前で派手に転びでもしたら一生の笑いものだ。
 流れる音楽に耳を傾けながらぼんやりと周りの光景を眺めていると、ぬっと目の前に影が現れた。

「よう、女神サマ。相変わらず今回も壁の花か?」

 大魔術師ランドルフ・バルザード。わたしより一歳上だが、大魔術師になったのはわたしより一年後だ。大魔術師でありながら、名門貴族バルザード侯爵家の息子として貴族の務めも果たす、なかなかとんでもない人である。
 魔術師の世界では貴族のコネなどは一切通用しないため、彼が大魔術師になったのは自分自身の実力のおかげだ。それは事実だけれど、普段の彼の態度については……本当に貴族なの? と問いたくなるときもしばしばある。

「……ランドルフ、到着が少し遅いのではないの? 始まってからそれなりに経っているわ」
「ハ、俺様が時間どおりにここに来たら、他の野郎どもの見せ場がなくなっちまうぜ」

 彼はいつもこんな調子だ。だが言っていることもあながち間違いではなく、実際に女性から恐ろしくもてる。長身ですらりとした体型、肩まである黒髪をひとまとめにして垂らし、瞳は綺麗な琥珀こはく色。右目元の泣き黒子ぼくろが色っぽい……と評判らしい。暗い赤色のコートは着る人を選びそうだが、完璧に着こなしている。
 ランドルフはわたしの飾り気のないドレス姿を見て、ふーん、と呟いた。

「お前、やっぱり従士をつけろよ。服の趣味がいい奴をさ」

 わたしは彼の後ろに控えている、執事のような出で立ちの青年をちらりと見やった。名前は確かエラルドだ。
 「従士」、それは一定の地位以上にある魔術師が、一人選んでつけることができる補佐役のことをいう。従士の役割は色々だが、基本的には魔術師が自分の仕事や研究に専念できるよう、身の回りのお世話や予定の管理などを行うことが多い。
 ただ、従士をつけるかは魔術師の自由で強制されることではなく、現にわたしには従士がいない。理由は簡単、魔術以外のことにはてんで不器用な本当の姿を誰にも知られたくないからである。

「わたしには必要ないわ」

 そう言い放ったわたしに、ランドルフはやれやれ、と肩をすくめて見せた。

「すかしてんなぁ。そんなんじゃほんとに行き遅れちまうぜ」

 ……物言いにはやや腹が立つが、図星なのがなんとも辛い。
 言い返してこないわたしに飽きたのか、ランドルフはじゃあな、とわたしに背を向けて広間の中央へと進んでいった。彼に気づいた――あるいは最初から気づいていた令嬢たちが、わっと彼を取り囲む。
 わたしには大魔術師としての役目がある。恋も結婚も知らなくたって生きていける。そもそも、魔術師ではないわたしの姿を気に入ってくれる人なんていない。
 ランドルフは悪い人ではないけれど、彼と接すると少し疲れてしまう。夜風にでもあたろうと、わたしは広間を抜け出した。

***

 庭園まで出ると、音楽はほぼ聞こえない静かな空間になる。綺麗に手入れされた花を見ていると気持ちが落ち着いた。
 こんな素敵なお庭はうちにも欲しいけれど、小まめなお世話はわたしにはできそうにない。それでは花が可哀想だ。
 一人での散策を楽しんでいると、かすかに話し声のようなものが聞こえ、わたしはその方に顔を向けた。
 その先にあるのは迷路のように仕組まれた生垣だった。貴族の庭にはよくあるものだ。その隙間を、二つの影がちらついている。わたし以外にも誰かが散歩に出てきているのだろうか。それは特におかしいことではないけれど……
 薄ピンク色のドレスを着た少女の姿が見えた。生垣の迷路から出ていこうとするが、誰かの腕が彼女をつかまえる。少女はその場に踏みとどまって抵抗したが、やがてその華奢きゃしゃな体が生垣の後ろに引っ張られて見えなくなった。

――まずい!

 わたしは自分の悪い予感を信じ、ドレスの裾を持って生垣に目がけて全速力で走った。靴の履き心地の悪さを恨みながら、なんとか転ぶことなく目的地にたどり着く。
 生垣の裏を覗いたわたしの目に飛び込んできたのは、地面に仰向けにされた少女と、彼女に馬乗りになって、その細い腕を押さえつける男の姿だった。
 突如現れたわたしを見て、男が驚いて少女から手を放した。わたしはほぼ反射的に魔力を右手に集め、男の方に突き出した。

「な、なんだ!?」

 男の両手が、みるみるうちに薄い氷で覆われていく。狼狽うろたえる隙をついて、今度は魔力の塊を思いきり彼にぶつけた。
 見えない力を食らい、男が後ろに吹っ飛ぶ。そのまま地面に力なく倒れた。

「大丈夫!?」

 わたしは少女を助け起こしその顔を覗き込んだ。髪が少々乱れているが、服は破れておらず怪我もなさそうだ。間一髪のところで助けられた。
 しかし、彼女は完全に取り乱しており、荒く息をしながら大粒の涙を零している。わたしも横にしゃがんでとりあえず背中をさすり続けたが、彼女はひたすら泣くばかりだった。
 どうしよう。わたしまで焦ってきてしまう。彼女を手籠てごめにしようとした男は失神しているが、いつ目覚めるとも限らない。少女は立ち上がることすら難しそうだ。この男を逃がす訳にはいかないが、この場に彼女を置いてもいけない。
 内心あたふたしながら少女に付き添っていると、頭上から声が降ってきた。

「どうしたんだ、これは一体……」

 聞き覚えのある声に、わたしははっと顔を上げた。茶色がかった金髪と、従者が着るような黒い簡素な服に身を包んだその姿に見覚えがあった。先日、魔物退治に行った森で出会った男性だ。
 良かった、人が来てくれた。

「あ、あの、えっと……」

 何から説明すればいいか迷っているうちに、男性は倒れ伏す男と震える少女を見て状況を察したらしい。わたしに向かって頷いてみせた。

「人を呼んでくる。あなたはその方を頼む」
「え、ええ。お願い」

 それだけ言うのが精いっぱいだった。男性がきびすを返し走っていく。
 わたしは倒れた男が再び目を覚まさないか様子を伺いつつ、少女の肩を抱いて助けを待った。

***

 そう長くないうちに、少女の従者と思われる人たちと、警備の騎士たちが集まってきてくれた。
 何とか落ち着きを取り戻した少女は、従者に付き添われてその場を後にした。このことが彼女の中で後を引かないことを祈るばかりだ。
 失神していた男は無理やりたたき起こされ、捕縛されて引きずられていった。彼もどこかの貴族のはずだが、これですべてを失うことになるだろう。……気の毒だとは思わない。

「本当にありがとうございました。さすがは氷晶の女神さまだ」

 夜会の主催者であるトルヴァール子爵が、丁寧にお礼を述べてくれた。

「いえ、魔術師として当然のことをしたまでですから」

 ……本当は、魔物がらみの事件に対処することはあっても人間同士のそれに関わることはほとんどないので慌てまくっていたけれど。
 あの男性が助けてくれなかったら、ひたすらその場でおろおろしていただけだっただろう。
 事の後処理をするために子爵や彼の従者たちがその場を後にし、わたしだけが残った。なんとか隠し通したが、久しぶりの全力疾走のおかげで少々息が上がっているし、足が痛い。
 そういえば、助けてくれた彼はどこに行ったのだろう? せめてお礼の一言だけでも伝えたい。
 きょろきょろしていると、後ろから声をかけられた。

「失礼」
「あっ……」

 探していた彼がそこにいた。わたしと目が合うと、柔らかく微笑んだ。

「さっきは助けて頂いてありがとう」
「とんでもない。すべてあなたの勇敢さが成し遂げたことだ」

 男性はそう言うと、胸に手を当てて軽く頭を下げた。思わず見とれてしまうほど洗練された仕草だった。

「俺はディオン・アンベルシアという。良ければ、あなたの名前をお聞かせ願えないか」
「セシーリャ・エインゼール。大魔術師です」

 その男性――ディオンは、改めて見ると綺麗な緑色の瞳をしていた。体格のわりに顔が小さく、舞台役者のような端正な顔立ちの人だ。
 ディオンが不意に、わたしの手をとった。

「え」
「勇気あるあなたに称賛を送りたい」

 ディオンの唇がわたしの指先に降りる。手袋越しのキスだったが、わたしの心臓は大きく跳ねあがった。耳がかっと熱をもつ。身分ある人の挨拶として手の甲にキスを受けることなら何度かあったけれど、その時はこんな気持ちにならなかったのに。

「あ、あのっ……!」
「……すまない。もう行かなければ。セシーリャ、また会う日まで」

 わたしが何か言う前に、ディオンはまた微笑んで優雅に礼をし、颯爽といなくなってしまった。
 彼の背を見送りながら、わたしは頬を両手で包み込んだ。熱い。多分、今のわたしは真っ赤な顔をしている。
 夜だから彼にはそこまで見られてはいない……はず。
 夜風が顔を撫でる。おかげで少し火照りがおさまった。ふと上を見上げると、星空が広がっていた。
 人助けができて気分が良いからだろうか。いつもよりその輝きが綺麗に見えた。
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