【続編あり】恋の魔法にかかったら~不器用女神と一途な従士~

花乃 なたね

文字の大きさ
6 / 22

六話 二人で夜更かし、知った秘密

しおりを挟む
 それから更にひと月が過ぎて、ディオンがいる生活がわたしにとって当たり前になりつつあった。相変わらず、彼の前では冷静な魔術師を気取るのは変わらないけれど、この前の蜘蛛事件以来、特にボロは出していない……はず。
 明日は貴重な休みなので、わたしは居間のソファに座って、ディオンが淹れてくれたお茶を飲むゆったりとした夜を過ごしていた。
 ディオンはまだ台所に立っている。わたしの休日はひと月に大体二、三日で、今までにも数日あったけれど、彼はその日も家事を一手に引き受けてくれているので、実質無休状態だ。わたしがたまには休んでと言っても大丈夫だの一点張り。常にありがとうと伝えるようにはしているけれど、こき使っているようで申し訳なくなってくる。
 なかなか聞けずじまいだったけれど、ディオンのもともと住んでいた家や、家族のことは大丈夫なのだろうか? 彼は既婚であることを示す指輪はしていないが、これだけ気が利いておまけに美丈夫なのだから恋人がいて当たり前だ。男女のお付き合いの作法についてはまったく知識がないわたしでも、さすがにふた月も会いに行かないというのはよくないことだと分かる。
 一日くらい彼がいなくたって全然平気だ。もともとは一人で生活していたし、いくらなんでもたった一日で部屋を荒れ放題にしたりはしない。
 意を決して、わたしはディオンに声をかけた。

「ディオン?」

 彼が振り向いた。

「ん、お代わりか?」
「いえ、そうではなくて……明日はお休みでしょう? わたしはゆっくり過ごす予定だから、たまにはあなたも羽を伸ばしたらどうかと思って」
「俺のことは気にしないでくれ。留守は俺が預かるから、あなたの方こそ好きなところに出かけてくるといい」

 彼はいつもの調子で笑って言った。だが、今回ばかりは簡単には引き下がれない。魔術師と従士の関係は貴族と召使のそれのような厳しい決まりごとはないため、できる限りは彼と対等でいたい。

「ディオン、あなたが働いてくれるおかげでわたしはすごく助かっているけれど、あなたの生活を奪いたくはないわ。ご家族とか、お友達とか恋人とか……たまには会いに行かないと」
「心配してくれるのはありがたいが、俺に恋人はいない。友人も」

 いやいや、恋人はさておき、こんなわたしにもプリシラがいるのだから、さすがに友達が一人もいないってことは……。
 ディオンの顔が、少し曇った。

「……家族のところには、帰る必要がない」

 家族と上手くいってない? もちろん、世の中の家族が全員仲良しというわけではないと思うけれど……。
 恋人も友達もおらず家族とも不仲……一体、今まで彼はどんな風に生きてきたのだろう。

「ディオン、すごく今更なのは分かっているのだけれど、わたし、あなたのことをほとんど知らないままなの。それは良くないと思って……あなたを疑っているとかではなくて、一応わたしは魔術師としてあなたの身を預かっているから、把握しておくべきではないかと思うのよ」

 気を悪くされるのは承知だが、ある程度は筋の通った主張だと思う。
 それを聞いたディオンは一瞬、考え込むような素振りを見せたが、わたしに向かって頷いた。

「……あなたの言う通りだな。今まで不安にさせてすまなかった」
「気にしないで。せっかくだし、ここにどうぞ」

 わたしはそう言って、ソファの右の方に少し寄った。三人がけなので十分余裕はある。
 ディオンが自分のティーカップを持って、わたしの隣に座った。ソファの前に置いてある背の低いテーブルにカップを置き、ふっと息をつく。
 話すことに気乗りしないような様子だった。

「どうしても話したくなかったら、無理はしなくていいけれど……」
「いや、そうではない。どう話せばいいものかと思ってな」

 少しの沈黙の後、ディオンは話し始めた。

「クロウディード伯爵という名に聞き覚えはあるか」

 お会いしたことがあるかもしれないけれど、人の顔と名前を覚えるのが苦手なのですぐにはピンとこなかった。

「ごめんなさい、ちょっと分からないわ」
「そうか。いや、いいんだ。……俺の父親は、そのクロウディード伯爵だ」

 まさかとは思っていたけれど、本物の貴族だったとは。その割には、料理も上手だし家事も手際がいい。最近の貴族にとっては、そういうこともたしなみのひとつなのかしら。

「とはいっても……不義の子なんだ」
「えっ……」

 当主様が浮気をしたとか? 貴族の人間関係はそれなりにドロドロしているとプリシラから聞いたことがあるけれど……。

「使用人だった俺の母が、妻子のいる当主に横恋慕した。彼の飲み物に薬を混ぜて意識を混濁させ……俺を身ごもった」

――そんなことって、現実にあるの!?

 お芝居や小説の中でしか起こりえないような事実を聞かされて、わたしは思わずぽかんとなった。

「その事実が知れ渡ったのは俺が生まれてすぐのことだった。母はすぐさま追い出され、俺は伯爵家に残された。不義の子とはいえ当主の血を継いでいるから、手元に置いておくべきと判断されたんだろう」

 とはいうものの、と彼は続けた。

「俺は伯爵家にとっては腫れ物だった。特に当主夫人からの当たりはきつくて、忌み子、あばずれの子だと……散々な言われようだったな。当主がかばってくれることはなかった。物心つく頃からずっと従僕扱いだったが……俺なりに、少しでも役に立てば愛されるかと思って、できることは何でもやったし学べることはなんでも頭に入れた。だが、何をどうしても認められることはなかった」
「そんな……」
「……すまないな、暗い話をして」

 彼が謝る筋合いはない。話せと言ったのはわたしだ。
 ディオンが何でもできるのは、少しでも周りに喜ばれたくて、役に立ちたいと思って、一生懸命に努力をしてきた結果だったのだ。
 知らされた事実が衝撃的すぎて言葉を発せないわたしを見て、ディオンは軽く笑った。いつもの穏やかな笑顔ではなくて、自嘲じちょう的な笑みだった。

「……軽蔑けいべつするか」
「……いいえ」

 わたしは首を振ってみせた。

「ごめんなさい、予想もしなかったことだから驚いただけで……。軽蔑なんてしないわ。だって、どう考えてもあなたは何も悪くないでしょう」

 貴族の込み入った事情までわたしには分からないし、伯爵も夫人もある意味では被害者だけれど、だからといってディオンが受けた扱いはあまりにも気の毒だ。生まれる場所を、境遇を選べるなら誰も苦労なんてしない。
 わたしの言ったことに、ディオンは少なからず驚いたようだった。

「セシーリャ……」
「さっきも言ったけれど、わたしはあなたが来てくれてすごく助かっているわ。本当よ」
「……ありがとう。あなたにそう言ってもらえるなら光栄だ。無駄な努力だと思っていたが、報われた」

 ディオンの表情が柔らかくなった。ひどい仕打ちを受けて、どうして彼はまだこんなに優しい目をしていられるのだろう。わたしだったら周囲を恨むなり自暴自棄になったりして、同じような努力はできない。わたしは魔術の修練は好きだけれど、苦しいと思う時もあった。もし一度も誰にも褒めてもらえていなければ、きっと全部投げ出していたと思う。

「ディオンはすごいのね。辛い状況でも人の役に立ちたくて努力ができるって、尊敬するわ」
「いや、俺はそんなに立派な人間とはいえない。実際、あなたに会う直前まではかなり自棄やけになっていた」
「そうなの?」

 わたしとディオンが初めて会った日――魔物の討伐をしたわたしのところに、彼が急に現れた。

「近くで魔物が出ると聞いたときのことだ。剣術もそれなりに身につけていたから、その魔物を倒せば周りから認められるだろうと思って、安易に森に入っていった。あなたが来るのがあと少しでも遅かったら、俺はあの日に命を落としていただろう」

 あの時、剣を持って一人でいたディオンを見て不思議だった。彼は本当に魔物に単身で立ち向かっていくつもりだったのだ。

「だから、少しでもあなたに恩を返したかった。いきなり押しかけてきたのに受け入れてくれて、感謝している」

 恩返しとしてはもう十分なのだけれど……。でも、彼が少しでも従士の役目にやりがいを持ってくれるなら、わたしとしてもありがたい。

「そんなに堅苦しく考えないで。元いたところに帰りたくないのなら、ずっとここにいて頂戴」
「ずっと……」

 ディオンの瞳が揺らいでいるのに気づき、はっとした。ずっといてくれだなんてあまりにもおこがましい話だ。

「あ、ごめんなさい。あなたを縛るつもりはないから……」
「いや、働かせてくれ。あなたのために」
「そう? なら、これからもよろしくお願いするわね」

 ああ、と彼は頷き、じっとわたしを見た。

「セシーリャ、良ければあなたの話も聞かせてくれないか」
「わたしの?」

 わたしの生い立ちなんて全然面白くもなんともないのだけれど……。

「あなたは魔術師になって長いのか?」
「ええ……七歳の時に修行を始めたから、その時から数えたら十八年ね」

 とはいっても、魔術師の界隈から見ればわたしなんてまだまだ小娘だ。

「でもわたし、もともとはここから遠いところの、普通の家の生まれなのよ」

 この国には魔術師が何人もいるが、どういった場合に魔術の才能を持って生まれてくるのかは未だに解き明かされていない。魔術師同士が結婚しても、生まれた子供には誰ひとり才能がないということもあるし、わたしのように魔術師とは縁のない家庭から才能のある子が現れる場合もある。
 そのような子を探すため、王国内を巡回する役目を持った魔術師がいる。素質を持って生まれた子は、例外なく王都の管理下に置かれることが決まっているのだ。
 王都から遠く離れた小さな町の平凡な仕立て屋の娘だったわたしも、巡回にやってきた魔術師によって素質を見出され、親元を離れて王都で暮らすことになった。

「小さな時にご両親と別れることになって、寂しかっただろう」
「そうね……でも、わたしの両親は理解ある人だったわ。陛下のお役に立ちなさい、多くの人を助けられる魔術師になりなさいと言って送り出してくれた」

 両親はわたしの前で、悲しむ素振りをまったく見せなかった。わたしは最初のうちは親が恋しくて泣いていたけれど、魔術師として一人前になれれば里帰りして立派な姿を彼らに見せてやれると知ってからは、一生懸命に勉強した。

「ご両親は今も元気でいるのか?」
「それがね……十年前に二人とも亡くなったの。町全体に病気が流行って……。うつるといけないからと、帰らせてもらえなかったし、葬儀もできなかった」
「すまない、辛いことを思い出させた」
「いいの。両親がわたしに宛てた手紙だけは渡してもらえた。本当はわたしを送り出すのは辛かったけれど、成長したわたしに会えるのが楽しみだったと書いてあったわ」

 それは叶わなかったし、両親の死からはしばらく立ち直れなかった。

「魔法では解決できないことが、世の中にはまだたくさんあるわ。けれど、学ぶことをやめなければいつかは解決できるようになるかもしれない。両親が味わった苦しみを繰り返さなくてよくなるかもしれない。わたしはそう思っているの」

 その思いがわたしの原動力だ。結果として大魔術師の地位に就くことができた。まだまだ実力が伴わないけれど、これからも頑張っていきたい。他のことはからっきしでも、魔術については常に自信を持っていたい。

「……立派な心掛けだ。あなたを尊敬する」

 わたしが話している間、ディオンはずっとわたしの方に体を傾けて、じっとわたしの顔を見ていた。わたしの言葉を一言も聞き漏らすまいと思っているようだった。
 とても聞き上手な人だ。そのせいか、ついつい色々と――プリシラにも話したことがない内容まで聞かせてしまった。

「そんな、尊敬されるような器ではないわ」
「いや、あなたはとても芯の強い人だ。ここまで強い意志を持てる人間はそう多くない。あなたの従士でいられることを嬉しく思う」

――なぜだろう、とても嬉しい。

 褒められることは別に初めてではない。それなりの評価を得て、大魔術師になったわたしがここにいる。なのに、今まで受けた賛辞より、ディオンの褒め言葉が一番嬉しかった。思わず頬が熱くなるくらいに。
 心からの称賛だということが、彼の真っすぐな眼差しから感じられた。そういえば、この前の夜会――二度目の出会いの時も、ディオンはわたしを勇敢な人だと言ってくれたっけ。聞き上手なだけでなく、褒め上手でもあるのだ。

「……今まで、あなたに従士がいなかったというのが不思議だ」
「それは……まあ色々あったのよ」

 彼はそれ以上追及してくることはなく、ああ、と呟いた。

「もう遅い時間だ。明日は休みとはいえ、そろそろ寝た方がいいだろう」
「そうね。ごめんなさい、長々と」
「いや、とても楽しかった。片付けておくからあなたは先に休むといい。おやすみ、セシーリャ」

 驚くことの方が多かったけれど、彼のことが知れてよかった。不安の種がひとつ無くなった。

「ありがとう、ディオン。お休みなさい」

 彼の言葉に甘えることにし、わたしは先に二階の寝室へ向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!

エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」 華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。 縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。 そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。 よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!! 「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。 ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、 「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」 と何やら焦っていて。 ……まあ細かいことはいいでしょう。 なにせ、その腕、その太もも、その背中。 最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!! 女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。 誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート! ※他サイトに投稿したものを、改稿しています。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)

柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!) 辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。 結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。 正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。 さくっと読んでいただけるかと思います。

竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

四葉美名
恋愛
「危険です! 突然現れたそんな女など処刑して下さい!」 ある日突然、そんな怒号が飛び交う異世界に迷い込んでしまった橘莉子(たちばなりこ)。 竜王が統べるその世界では「迷い人」という、国に恩恵を与える異世界人がいたというが、莉子には全くそんな能力はなく平凡そのもの。 そのうえ莉子が現れたのは、竜王が初めて開いた「婚約者候補」を集めた夜会。しかも口に怪我をした治療として竜王にキスをされてしまい、一気に莉子は竜人女性の目の敵にされてしまう。 それでもひっそりと真面目に生きていこうと気を取り直すが、今度は竜王の子供を産む「運命の花嫁」に選ばれていた。 その「運命の花嫁」とはお腹に「竜王の子供の魂が宿る」というもので、なんと朝起きたらお腹から勝手に子供が話しかけてきた! 『ママ! 早く僕を産んでよ!』 「私に竜王様のお妃様は無理だよ!」 お腹に入ってしまった子供の魂は私をせっつくけど、「運命の花嫁」だとバレないように必死に隠さなきゃ命がない! それでも少しずつ「お腹にいる未来の息子」にほだされ、竜王とも心を通わせていくのだが、次々と嫌がらせや命の危険が襲ってきて――! これはちょっと不遇な育ちの平凡ヒロインが、知らなかった能力を開花させ竜王様に溺愛されるお話。 設定はゆるゆるです。他サイトでも重複投稿しています。

氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました

まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」 あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。 ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。 それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。 するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。 好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。 二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

処理中です...