26 / 42
二十六話 傍にいるために
しおりを挟む
そして数日後、エリーズの元に一通の招待状が届いた。差出人はグローリエだ。エーデルバルト公爵家にてエリーズをもてなしてくれるのだという。
指定された日、エリーズは入念に身だしなみを整えて馬車に乗り込んだ。王妃らしく落ち着いた雰囲気になるようにと女官のカイラが選んでくれたのは、深緑色を基調としたドレスだ。
エーデルバルト邸に到着するまでさほど時間はかからなかった。馬車を降りたエリーズが目にしたのは、生家のガルガンド邸より遥かに大きな規模の建物だった。真っ白な外壁と赤い屋根の組合せが上品さと豪華さを同時に演出している。屋敷の前庭で、花壇に少しも乱れることなく植えられた色とりどりの花がエリーズを出迎えた。
家令と思しき初老の男性がエリーズの元にやって来て、恭しく挨拶をすると屋敷の中へ案内してくれた。彼の後に続き、グローリエが待つ客間へと向かう。途中ですれ違ったエーデルバルト家の使用人たちは皆、エリーズに向かい丁重に頭を垂れた。王城の者たちにひけをとらない洗練された動きだった。
たどり着いた先、客間の扉を家令の男性がそっとノックする。入室を促す声を確かめ、彼が扉を開けた。
「ようこそお越しくださいました、王妃様」
ラベンダー色のドレスを着たグローリエが、エリーズに歩み寄り優雅に礼をする。エリーズもドレスの裾をつまんで挨拶を返した。
「お招きありがとうございます、グローリエ様」
「こちらへどうぞ、すぐにお茶を持ってこさせますわ」
客間のテーブルの上には既に、菓子や軽食がずらりと並べられている。ここまで案内を務めた男性がグローリエの向かいの椅子を引き、エリーズを座らせてくれた。部屋を出ていった彼と入れ代わりでやって来た使用人が、エリーズの席に置かれたカップに茶を注ぐ。その使用人も退出し、客間にはエリーズとグローリエの二人だけとなった。
「お会いできて嬉しいわ」
グローリエがにこやかな表情を見せる。常に気品に溢れた立ち居振る舞いをする彼女にやや気後れしていたエリーズだったが、その笑顔を見て肩の力が抜けるのを感じた。
「わたしも嬉しいです。あの、エーデルバルト公爵のお加減は……」
「変わりないですわ。本当ならご挨拶をするべきなのでしょうけれど、人前に出るのは少し難しくて。気になさらないで。王妃様がいらっしゃったことは伝えておきますから」
「はい、よろしくお願い致します」
それから話題はエリーズのことに移った。王妃としての生活のこと、そしてヴィオルのこと。グローリエは真摯に耳を傾けてくれ、いつの間にかエリーズの緊張もすっかり解れていた。
「王妃様が充実した毎日を送っておられるようで安心致しました。ですが……何か悩んでいることは?」
グローリエなら、最近のエリーズの悩みに良い助言をくれるかもしれない。エリーズは全て打ち明けることにした。
「あの……実はわたし、他のご令嬢の皆さんと仲良くなれていない気がするのです。わたしが何を言ってもそれに同調するだけで、皆さんそれぞれのお話をしてくださらないといいますか……何だか、距離をおかれているように思えるのです」
「そう……」
グローリエは目を伏せ、静かにカップへ口をつけた。エリーズが固唾を飲んでそれを見ていると、彼女はやがて口を開いた。
「貴女、ご自身が周りからどう思われているか考えたことはおありかしら?」
「えっ……?」
エリーズのことを全てが僕の理想だと言ってくれるヴィオル、近衛だけでなく一番の友人でいてくれるリノン、温かく見守ってくれるローヴァン、王妃として信頼してくれるジギス、そして甲斐甲斐しく働いてくれる使用人たち――彼らとは良好な関係を築けているとエリーズは思っている。
しかし、それはとても狭い世界での話だ。王国の貴族たちが集う場では、エリーズはまだまだヴィオルの陰に隠れてしまうことが多い。
(わたし、やっぱり王妃として上手くやれていないのかしら)
ローヴァンやリノンは心配いらないと励ましてくれたが、やはり現実はそう簡単なものではないのだ。
エリーズの答えを待つのに飽きたのか、グローリエが続ける。
「王妃様、残念だけれど貴女は厄介者だと思われているわ」
その言葉にエリーズはただただ面食らった。いつどこで誰の顔に泥を塗ってしまったのだろう。必死で最近の記憶を辿ったが思い当たることが何もない。
しかし言われてみればガルガンド家で下働きをしていた頃も、義父と義妹はエリーズに辛く当たっていた。自分は本当は誰の役にも立てない人間なのだろうか。
「あ、あの、わたし……」
何と答えていいのか分からずしどろもどろになるエリーズとは対照的に、グローリエは涼しい顔をしている。
「貴女はね、社交界に突如現れて紫水晶の君の心を我が物にした妖女だと言われているの。もし貴女のご機嫌を損ねてしまうことがあったら国王から罰が下るって、皆怯えているのよ」
国王の許しを得ずに王妃に触れた男は皆、処刑台行きになる――そういう噂があると以前リノンが言っていたが、あくまでも冗談だとエリーズは本気にしていなかった。しかし、社交界でずっと生きてきたグローリエが言うと一気に信憑性が増す。
「まあ、全員が全員そうだとは言いませんけれど、特に貴女と年の近い令嬢たちはご機嫌取りに必死ね。貴女からすれば言いがかりをつけやすい立場ですもの」
自分より綺麗なドレスを着ていた、自分の言うことを聞かなかった――共に茶会をした令嬢たちはエリーズにそう思われないよう、卑屈にしたりエリーズの言うこと全てに同調していたのだろう。
最初の穏やかな調子から一転、グローリエの言葉はどんどん棘を増していく。
「それだけではないわ。ヴィオルの心を射止めるために努力してきた女性は国内外にたくさんいる。けれどぽっと出の貴女がそれを全て水の泡にしたの。妬まれるのも無理はない話だと思いませんこと?」
「……っ」
咄嗟に言い返すことができなかった。彼女の言うことは的を射ている。ヴィオル自身は過去に恋人がいたことはないと言っていたが、今まで顔を合わせた貴族の女性たちの中にも、ずっとヴィオルに好意を寄せていた者が何人もいたのだろう。彼女たちの目には、エリーズは決して良いようには映らないはずだ。
もしかしたら、目の前にいるグローリエもその一人かもしれない。一度はヴィオルと縁談が持ち上がった仲だ。ヴィオルにその気がなかったとしても、彼女も同じだとは限らない。だとすればエリーズにこうして強く当たるのも納得がいく。
エリーズは動揺を悟られないよう、テーブルの下で拳を強く握った。ヴィオルが与えてくれる幸せばかりを受け止めていた心に、氷水のような負の感情を浴びせられ戸惑うばかりだ。言葉を探しているうちに、グローリエが更に畳みかける。
「腹が立った? なら私にこう言われたと、お帰りになったらすぐヴィオルにお伝えくださいな。きっと私に相応の報いがあるはずよ」
「……いいえ」
エリーズはグローリエの灰色の瞳を見据え、頭を振った。
「これはわたしの問題です。ヴィオルには国の皆さんのためやるべきことがたくさんありますから、巻き込むわけにはいきません」
夫の名を口にし、エリーズの胸にふつふつと勇気が湧いてくる。
「それに、もしもヴィオルが本当に、わたしを傷つけるようなことを言った人に罰を与えるとしても、グローリエ様はそれを覚悟で今わたしに本当のことを教えてくださったのでしょう? そのお気持ちからわたしは逃げたくありません」
グローリエの眉がぴくりと僅かに動いた。
「ヴィオルに頼ってばかりだと思われてしまっているのは仕方のないことです。今のわたしにできることはそう多くありませんから。わたしはヴィオルと出会ってたくさんの幸せを貰いました。ですから王妃として、できるだけ多くの方にお返しをしたいと思っています」
有名な詩を諳んじたり、王国の歴史を話して聞かせることなら今のエリーズにもできる。しかし、それだけではきっと王妃として十分ではない。
以前ヴィオルはエリーズに、「自分は力ではローヴァンに勝てないし、知恵ではジギスに勝てない」と語ったことがあったが、エリーズにとって彼は紛うことなき名君だ。望めば何でも手に入る立場にありながら、高みから人を見下ろすようなことは絶対にしない。王は国を支える大地のようでなければいけないと、自ら各地に足を運び己の目で民の生活を見て、何をすべきかを考える。夫のその姿勢をエリーズは他の誰よりも深く尊敬している。
エリーズが例え何もできなかったとしても、ヴィオルは傍に置いてくれるだろう。だがそれではいけない。彼を支えるに足りる力を得て、二人で幸せな国を築いていきたい。エリーズのせいでヴィオルの信用が失墜するようなことには絶対になって欲しくない。
朝から晩まで独りきりで働き続けていたエリーズにとって、ヴィオルと出会い結ばれることができたのは奇跡だ。しかしそれをただの奇跡で終わらせてはいけない。この国のどこかでかつてのエリーズと同じように孤独に生きている誰かへ向けて、手を差し伸べられる王妃でありたかった。
「グローリエ様からご覧になって、わたしに足りないものは何でしょうか? 頼り切りで申し訳ございません、ですが教えて頂きたいのです。どんなことであっても受け止めます」
紅茶や菓子に手をつけることも忘れ、身を乗り出して問いかけるエリーズをグローリエはしばらく無言で見つめ――ふっとため息を漏らした。
指定された日、エリーズは入念に身だしなみを整えて馬車に乗り込んだ。王妃らしく落ち着いた雰囲気になるようにと女官のカイラが選んでくれたのは、深緑色を基調としたドレスだ。
エーデルバルト邸に到着するまでさほど時間はかからなかった。馬車を降りたエリーズが目にしたのは、生家のガルガンド邸より遥かに大きな規模の建物だった。真っ白な外壁と赤い屋根の組合せが上品さと豪華さを同時に演出している。屋敷の前庭で、花壇に少しも乱れることなく植えられた色とりどりの花がエリーズを出迎えた。
家令と思しき初老の男性がエリーズの元にやって来て、恭しく挨拶をすると屋敷の中へ案内してくれた。彼の後に続き、グローリエが待つ客間へと向かう。途中ですれ違ったエーデルバルト家の使用人たちは皆、エリーズに向かい丁重に頭を垂れた。王城の者たちにひけをとらない洗練された動きだった。
たどり着いた先、客間の扉を家令の男性がそっとノックする。入室を促す声を確かめ、彼が扉を開けた。
「ようこそお越しくださいました、王妃様」
ラベンダー色のドレスを着たグローリエが、エリーズに歩み寄り優雅に礼をする。エリーズもドレスの裾をつまんで挨拶を返した。
「お招きありがとうございます、グローリエ様」
「こちらへどうぞ、すぐにお茶を持ってこさせますわ」
客間のテーブルの上には既に、菓子や軽食がずらりと並べられている。ここまで案内を務めた男性がグローリエの向かいの椅子を引き、エリーズを座らせてくれた。部屋を出ていった彼と入れ代わりでやって来た使用人が、エリーズの席に置かれたカップに茶を注ぐ。その使用人も退出し、客間にはエリーズとグローリエの二人だけとなった。
「お会いできて嬉しいわ」
グローリエがにこやかな表情を見せる。常に気品に溢れた立ち居振る舞いをする彼女にやや気後れしていたエリーズだったが、その笑顔を見て肩の力が抜けるのを感じた。
「わたしも嬉しいです。あの、エーデルバルト公爵のお加減は……」
「変わりないですわ。本当ならご挨拶をするべきなのでしょうけれど、人前に出るのは少し難しくて。気になさらないで。王妃様がいらっしゃったことは伝えておきますから」
「はい、よろしくお願い致します」
それから話題はエリーズのことに移った。王妃としての生活のこと、そしてヴィオルのこと。グローリエは真摯に耳を傾けてくれ、いつの間にかエリーズの緊張もすっかり解れていた。
「王妃様が充実した毎日を送っておられるようで安心致しました。ですが……何か悩んでいることは?」
グローリエなら、最近のエリーズの悩みに良い助言をくれるかもしれない。エリーズは全て打ち明けることにした。
「あの……実はわたし、他のご令嬢の皆さんと仲良くなれていない気がするのです。わたしが何を言ってもそれに同調するだけで、皆さんそれぞれのお話をしてくださらないといいますか……何だか、距離をおかれているように思えるのです」
「そう……」
グローリエは目を伏せ、静かにカップへ口をつけた。エリーズが固唾を飲んでそれを見ていると、彼女はやがて口を開いた。
「貴女、ご自身が周りからどう思われているか考えたことはおありかしら?」
「えっ……?」
エリーズのことを全てが僕の理想だと言ってくれるヴィオル、近衛だけでなく一番の友人でいてくれるリノン、温かく見守ってくれるローヴァン、王妃として信頼してくれるジギス、そして甲斐甲斐しく働いてくれる使用人たち――彼らとは良好な関係を築けているとエリーズは思っている。
しかし、それはとても狭い世界での話だ。王国の貴族たちが集う場では、エリーズはまだまだヴィオルの陰に隠れてしまうことが多い。
(わたし、やっぱり王妃として上手くやれていないのかしら)
ローヴァンやリノンは心配いらないと励ましてくれたが、やはり現実はそう簡単なものではないのだ。
エリーズの答えを待つのに飽きたのか、グローリエが続ける。
「王妃様、残念だけれど貴女は厄介者だと思われているわ」
その言葉にエリーズはただただ面食らった。いつどこで誰の顔に泥を塗ってしまったのだろう。必死で最近の記憶を辿ったが思い当たることが何もない。
しかし言われてみればガルガンド家で下働きをしていた頃も、義父と義妹はエリーズに辛く当たっていた。自分は本当は誰の役にも立てない人間なのだろうか。
「あ、あの、わたし……」
何と答えていいのか分からずしどろもどろになるエリーズとは対照的に、グローリエは涼しい顔をしている。
「貴女はね、社交界に突如現れて紫水晶の君の心を我が物にした妖女だと言われているの。もし貴女のご機嫌を損ねてしまうことがあったら国王から罰が下るって、皆怯えているのよ」
国王の許しを得ずに王妃に触れた男は皆、処刑台行きになる――そういう噂があると以前リノンが言っていたが、あくまでも冗談だとエリーズは本気にしていなかった。しかし、社交界でずっと生きてきたグローリエが言うと一気に信憑性が増す。
「まあ、全員が全員そうだとは言いませんけれど、特に貴女と年の近い令嬢たちはご機嫌取りに必死ね。貴女からすれば言いがかりをつけやすい立場ですもの」
自分より綺麗なドレスを着ていた、自分の言うことを聞かなかった――共に茶会をした令嬢たちはエリーズにそう思われないよう、卑屈にしたりエリーズの言うこと全てに同調していたのだろう。
最初の穏やかな調子から一転、グローリエの言葉はどんどん棘を増していく。
「それだけではないわ。ヴィオルの心を射止めるために努力してきた女性は国内外にたくさんいる。けれどぽっと出の貴女がそれを全て水の泡にしたの。妬まれるのも無理はない話だと思いませんこと?」
「……っ」
咄嗟に言い返すことができなかった。彼女の言うことは的を射ている。ヴィオル自身は過去に恋人がいたことはないと言っていたが、今まで顔を合わせた貴族の女性たちの中にも、ずっとヴィオルに好意を寄せていた者が何人もいたのだろう。彼女たちの目には、エリーズは決して良いようには映らないはずだ。
もしかしたら、目の前にいるグローリエもその一人かもしれない。一度はヴィオルと縁談が持ち上がった仲だ。ヴィオルにその気がなかったとしても、彼女も同じだとは限らない。だとすればエリーズにこうして強く当たるのも納得がいく。
エリーズは動揺を悟られないよう、テーブルの下で拳を強く握った。ヴィオルが与えてくれる幸せばかりを受け止めていた心に、氷水のような負の感情を浴びせられ戸惑うばかりだ。言葉を探しているうちに、グローリエが更に畳みかける。
「腹が立った? なら私にこう言われたと、お帰りになったらすぐヴィオルにお伝えくださいな。きっと私に相応の報いがあるはずよ」
「……いいえ」
エリーズはグローリエの灰色の瞳を見据え、頭を振った。
「これはわたしの問題です。ヴィオルには国の皆さんのためやるべきことがたくさんありますから、巻き込むわけにはいきません」
夫の名を口にし、エリーズの胸にふつふつと勇気が湧いてくる。
「それに、もしもヴィオルが本当に、わたしを傷つけるようなことを言った人に罰を与えるとしても、グローリエ様はそれを覚悟で今わたしに本当のことを教えてくださったのでしょう? そのお気持ちからわたしは逃げたくありません」
グローリエの眉がぴくりと僅かに動いた。
「ヴィオルに頼ってばかりだと思われてしまっているのは仕方のないことです。今のわたしにできることはそう多くありませんから。わたしはヴィオルと出会ってたくさんの幸せを貰いました。ですから王妃として、できるだけ多くの方にお返しをしたいと思っています」
有名な詩を諳んじたり、王国の歴史を話して聞かせることなら今のエリーズにもできる。しかし、それだけではきっと王妃として十分ではない。
以前ヴィオルはエリーズに、「自分は力ではローヴァンに勝てないし、知恵ではジギスに勝てない」と語ったことがあったが、エリーズにとって彼は紛うことなき名君だ。望めば何でも手に入る立場にありながら、高みから人を見下ろすようなことは絶対にしない。王は国を支える大地のようでなければいけないと、自ら各地に足を運び己の目で民の生活を見て、何をすべきかを考える。夫のその姿勢をエリーズは他の誰よりも深く尊敬している。
エリーズが例え何もできなかったとしても、ヴィオルは傍に置いてくれるだろう。だがそれではいけない。彼を支えるに足りる力を得て、二人で幸せな国を築いていきたい。エリーズのせいでヴィオルの信用が失墜するようなことには絶対になって欲しくない。
朝から晩まで独りきりで働き続けていたエリーズにとって、ヴィオルと出会い結ばれることができたのは奇跡だ。しかしそれをただの奇跡で終わらせてはいけない。この国のどこかでかつてのエリーズと同じように孤独に生きている誰かへ向けて、手を差し伸べられる王妃でありたかった。
「グローリエ様からご覧になって、わたしに足りないものは何でしょうか? 頼り切りで申し訳ございません、ですが教えて頂きたいのです。どんなことであっても受け止めます」
紅茶や菓子に手をつけることも忘れ、身を乗り出して問いかけるエリーズをグローリエはしばらく無言で見つめ――ふっとため息を漏らした。
10
あなたにおすすめの小説
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
冷徹と噂の辺境伯令嬢ですが、幼なじみ騎士の溺愛が重すぎます
藤原遊
恋愛
冷徹と噂される辺境伯令嬢リシェル。
彼女の隣には、幼い頃から護衛として仕えてきた幼なじみの騎士カイがいた。
直系の“身代わり”として鍛えられたはずの彼は、誰よりも彼女を想い、ただ一途に追い続けてきた。
だが政略婚約、旧婚約者の再来、そして魔物の大規模侵攻――。
責務と愛情、嫉妬と罪悪感が交錯する中で、二人の絆は試される。
「縛られるんじゃない。俺が望んでここにいることを選んでいるんだ」
これは、冷徹と呼ばれた令嬢と、影と呼ばれた騎士が、互いを選び抜く物語。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです
大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。
「俺は子どもみたいな女は好きではない」
ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。
ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。
ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。
何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!?
貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる