王様とお妃様は今日も蜜月中~一目惚れから始まる溺愛生活~

花乃 なたね

文字の大きさ
31 / 42

三十一話 色々な愛のかたち

しおりを挟む
 元の服装に着替えたリノンと共に、エリーズは彼女の住まい――コルテウス家の屋敷に向かった。屋敷の使用人にローヴァンが戻ったら王妃が来ていると伝えて欲しいと頼み、リノンと共に応接間でその時を待つ。
 日は既に暮れかかっている。浮かない顔のまま長椅子に座るリノンをエリーズは隣で支えるようにして寄り添った。
 しばらく経ったところで、部屋の外に足音が響いた。向かってくる靴音はどんどん速く大きくなり、やがて止まったかと思うと応接間の扉が叩かれる。エリーズが入室を許可すると、甲冑を着た人物が姿を現した。

「王妃殿下、どうなされたのですか。私にご用がおありだと伺っておりますが」

 急な王妃の訪問に驚いてはいるものの、相変わらずローヴァンの物腰は丁寧だ。エリーズは背筋を伸ばし、テーブルを挟んだ向かいの長椅子を示した。

「ローヴァンさん、そちらにおかけ下さい」

 エリーズの態度がいつもの柔和なものではないこと、妻のリノンが膝の上に手を乗せて肩を縮めていることに、ローヴァンもただごとではないとすぐに気づいたらしい。つけていた外套がいとうを脱ぐこともせずさっと長椅子まで移動し、一礼して浅く腰かけた。
 前置きは無しに、エリーズは切り出した。
 
「ローヴァンさん、リノンに黙って女性の方と会っていらっしゃいますね?」
「えっ……」

 ローヴァンが目を丸くする。畳みかけるようにエリーズは続けた。

「三日前に城下町のお店の中で、知らない女性と楽しそうにお話するあなたの姿をリノンが見たそうです。そして今日、わたしも一緒にその場所まで行って……この目で見ました。同じように、その女性にお会いするあなたを」

 ローヴァンはたじろいだ様子を見せた。強く動揺しているのか、手を額まで持っていき青色の髪を撫でつけるような仕草をする。

「……まさか見られていたとは」

 呟くように言い、彼は斜め向かいに座る妻の方に目を向けた。リノンが視線を逸らしうつむく。

「ローヴァンさん、あなたがヴィオルのことをずっと支えてくださっているのは分かっています。ですがご自身の家族を顧みることができない方を、わたしは信用することができません。リノンは、あなたの行いにとても傷ついているのです」

 ローヴァンの目を真っすぐ見つめ、エリーズは毅然きぜんとした態度で言葉を紡ぎ続ける。

「あなたが浮気をなさっているのでしたら、わたしは許せません」
「いいえ、王妃殿下」

 きっぱりとした口調でローヴァンは答えた。先ほどの戸惑ったような表情はすでに無く、いつもの冷静さを取り戻している。

「我が妻に相応しい女性はリノンを置いて他にはいません。この先もずっと、それは変わることがない真実です」

 だったらあの女性は誰なのですか、とエリーズが聞く前に、ローヴァンは外套の内側に手を入れ、取り出したものをテーブルの上に置いた。つやつやしたなめし革が張られた箱だった。

「王妃殿下の仰る通り、私はとある女性の元に通っておりました。それは、これを手に入れるためです……リノン、それを開けてくれ」

 ローヴァンに言われ、リノンがおずおずと箱に手を伸ばす。箱のふたを開けて出てきたのは――硬貨のように丸い形の銀に、翼を広げた鳥の姿を透かし彫りにした飾りを使ったペンダントだった。鳥の目には、小さな青い宝石が埋め込んである。
 エリーズは驚いてローヴァンの顔を見た。
 
「これは……」
「ヴィオルと王妃殿下のことを見ていて思ったのです。私は自分の妻……リノンに、面と向かって愛を伝えたことがどれほどあっただろうかと」

 ローヴァンは静かに話し続ける。

「リノンを愛していない訳では決してなかったのです。ただ私が、恥ずかしながらこういったことが不得手で……このままではいけないと思い立ち、何か贈り物をしようと訪ねたのが装飾品を扱う工房でした。世界に一つのものを作るべくそこの女性職人と何度も話し合うために通い詰めていたのです」

 エリーズとリノンが見た、ローヴァンと話す美しい女性は装飾品を扱う職人だった――ローヴァンの話しぶりは嘘をついている人間のそれではないが、エリーズにはに落ちない点がまだあった。

「ローヴァンさん、その方ととても楽しそうにお話されていましたよね? 普段、あまり見せて下さらないくらいの笑顔で……」
「ああ、その、それは……」

 ローヴァンは口ごもりながら頬をかいた。

「妻に渡す贈り物を作って欲しいとその職人に頼んだところ、最高の品を作るための参考にしたいからとリノンのことをあれこれ聞かれたのです。どういう性格だとか、どんな物が好きかとか、印象に残っている思い出なども……随分と聞き上手な職人だったもので、色々とそれらを話しているうちに……そういう顔になっていたのかと」
「最近、リノンとお話しているときのローヴァンさんはどこか上の空だったとも聞いていますけれど……」
「……贈り物を注文したのは良かったのですが、いざ完成品ができた時にどんな風にリノンへ渡せばいいか迷ってしまって……顔を合わせる度にどうすればいいものかと考えてしまっていたせいでしょう」

 話しながら、ローヴァンの顔がみるみるうちに赤くなっていく。

「ああ、そんな……」

 ローヴァンは最初から浮気とは対極のことを考えていた――すべてを理解したエリーズは、がばっと彼に頭を下げた。

「ローヴァンさん、申し訳ございません! わたし、とてもひどい勘違いを」

 ローヴァンが慌てて身を乗り出す。
 
「王妃殿下、どうぞお顔を上げてください。すべての責任は私にあります。リノンのためにここまでしてくださったこと、むしろ感謝をさせてください」

 彼はそう言うと、呆然とした様子のリノンの方を向いた。

「リノン、今話したことがすべてだ。お前には散々苦労をかけているが、それでも明るい様子に俺はいつも助けられている。こんな形で渡すことになるとは思わなかったのだが……お前にぴったり合うものを用意したつもりだ。それを、受け取ってくれるか」
「う……うぁ……」

 リノンの肩が少し震えたかと思うと、大粒の涙が両方の目から零れだす。夫が浮気をしているかもしれないとエリーズに相談してから今まで、彼女はずっと泣かなかった。緊張の糸がすべて切れたようだ。

「あたし、あたし……うええぇん」
 
 泣きじゃくる妻にローヴァンは一瞬ぎょっとした様子だったが、すぐになだめに入った。
 
「おい泣くなリノン、王妃殿下の前だ」
「……いえ、いいんです」

 エリーズは静かに言い、リノンの方に身を寄せて、肩を抱き寄せた。

「リノン、よく頑張ったわ……ね、せっかくローヴァンさんがあなたのために用意したものよ。つけて見せてあげましょう?」

 子供をあやすようにそっと肩を叩きながらエリーズが言うと、リノンはしゃくり上げながらも頷いて、テーブルの上に置かれたままのペンダントに手を伸ばした。彼女がそれを首にかけると、鳥の目にあしらわれた青い宝石が淡く光った。

「あなたによく似合っているわ」

 まだ涙は残っているが、リノンの口元に笑みが浮かぶ。それを見たローヴァンはほっとしたような表情を見せ、さっと立ち上がった。

「王妃殿下、もうお戻りにならなければ。私がお送り致します。馬車を表まで呼びますのでお待ちを」
「ローヴァン、あたしが」

 本来ならばエリーズに付き添うのはリノンの役目だが、ローヴァンはそれを制した。
 
「お前は待機だ。食事の時間までにきちんと泣き止め」

 そう言い残し、ローヴァンは部屋を出て行った。

***

「へぇ……そんなことがあったとはね」

 その夜、寝室で今日エリーズが見聞きしたことを話し終えると、ヴィオルはふっと笑みを浮かべ、昔を懐かしむような遠い目をした。

「僕も人のことは言えないけれど、ローヴァンもなかなか結婚しなかったんだ。立候補者ならたくさんいたんだよ? 家柄は決して悪くないし、ああいう雰囲気の男はいつでも一定の需要がある。でも、彼は子供の頃から騎士として強くなることばかり考えて生きてきた分、女性にあんまり免疫がなくてね。僕が知らず知らずの内に追い詰めていたのかもしれないな」

 だから、と彼は続けた。

「彼が結婚相手としてリノンを連れてきた時、すごく安心したんだ。彼女は我が国の貴族女性たちとは真反対だけれど、ローヴァンのことを何があっても絶対に支えてくれるだろう、って思えたから。結果として、君のことも任せられる優秀な女性騎士を迎えられた訳だしね」
「リノンもローヴァンさんも、とっても幸せね」
「そうだね……僕たちも負けてられないな」

 ヴィオルはエリーズを抱き寄せ、腕の中に収めた。

「いくら優秀な近衛騎士といえど、王国一の仲良し夫婦の座を簡単には渡せないよ。だから……もっと仲良しになろう?」

 エリーズの顔中に、夫の優しい口づけが降り注ぐ。うっとりとそれを受け入れながら、エリーズは一番の親友のことを思った。
 彼女も今、最愛の人と幸せなひと時を過ごせていますように――

***

 時を同じくする頃、コルテウス邸の夫婦の寝室にて。リノンは一人で寝台に腰かけて、首から下げた鳥の透かし彫りを眺めていた。鳥の目にはめられた青い宝石はリノンの愛する人の髪と目の色と同じで、見ていると自然に口元が緩む。

「なんだ、まだ寝ていなかったのか」

 夜着をまとったローヴァンが現われ、リノンの隣に腰を下ろす。寝台がきしむ小さな音がした。

「寝れないよ。嬉しくて胸がいっぱいで……どうにかなっちゃいそう」
「……気に入ってもらえたなら何よりだ」
「うん。本当にありがとう。もう一生外さない」

 そう言ってリノンは頭をローヴァンの肩にことりと乗せた。

「……寝る時は外せ。お前の寝相では首が締まるぞ」
「うー。じゃあ今日だけつけたまま寝る」

 ローヴァンはそれ以上何も言わなかった。少しの間、沈黙が流れる。

「……ローヴァン、ごめんね」

 夫の肩にもたれたまま、リノンはぽつりと言った。

「なぜ謝る?」
「ローヴァンが浮気なんてするはずないって、そもそもそんなことできる人じゃないって分かってたはずなのにさ……一度疑っちゃったら、どんどん悪い方向にばっかり考えて……旦那さんを信じないなんて、奥さんとしてあり得ないもん。ごめんなさい」
「いい。気にするな。悪いのはお前が疑いを持つようなやり方しかできなかった俺だ。俺のほうこそ辛い思いをさせてすまなかった」

 大きな手がリノンの肩を包む。

「お前が今よりもっと幸せだと思えるよう努める。だから……この先も俺のそばにいてくれ」
「……お喋りで落ち着きがなくて、大雑把おおざっぱなあたしでもいいの?」
「俺はそのリノンといる時が一番落ち着く。俺だって不器用で、女性の喜ばせ方なぞまともに知らない人間だ」
「それでいいんだよ、あたしの喜ばせ方はちゃんと知ってるもん。真面目で優しいあたしの大好きな旦那さん……嫌だって言われてもあたし離れない」

 リノンは腕を伸ばし、国王を、ひいては民を守るため厳しい鍛錬に耐え抜いてきた体にぎゅっと抱き着いた。

「……王妃殿下がいてくださって良かったな」

 妻を抱きしめ返し、ローヴァンが呟くように言う。初めて目にした、エリーズが怒りを見せる姿。それは自分のためではなく、リノンのためだった。

「そうだよね。本当にエリーズにはいくら感謝してもしきれないよ。真っすぐで優しくて純粋で、あんなに素敵な子はいない」
「話を振っておいて悪いが、王妃殿下の話はそこまでにしてくれ」

 リノンがきょとんとしてローヴァンの顔を見ると、彼はばつが悪そうな顔をしていた。

「……どうやら、俺はヴィオルの良くないところも吸収してしまったらしい」
「どういうこと?」
「今、お前の関心が俺以外の人間に向いていることがどうにも許容できん……たとえそれが王妃殿下であってもだ」
「え、それって」

 最後まで言い切らないうちに、リノンの唇は夫のそれで塞がれた。急で驚きながらも力を抜いて彼に身を委ねると、そのまま寝台の上に押し倒される。
 唇を離してリノンの顔を見降ろすローヴァンの瞳が、部屋に灯された蝋燭ろうそくの光を受けて燃えているように見えた。

「あは、ローヴァンなんだかギラギラしてる……かっこいい」
「……あまりあおるな。加減がきかなくなる」

 リノンは笑って手を伸ばし、彼の唇を指ですっとなぞった。

「望むところ」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ

汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。 ※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。

一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む

浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。 「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」 一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。 傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!

エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」 華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。 縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。 そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。 よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!! 「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。 ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、 「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」 と何やら焦っていて。 ……まあ細かいことはいいでしょう。 なにせ、その腕、その太もも、その背中。 最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!! 女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。 誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート! ※他サイトに投稿したものを、改稿しています。

婚約破棄ブームに乗ってみた結果、婚約者様が本性を現しました

ラム猫
恋愛
『最新のトレンドは、婚約破棄!  フィアンセに婚約破棄を提示して、相手の反応で本心を知ってみましょう。これにより、仲が深まったと答えたカップルは大勢います!  ※結果がどうなろうと、我々は責任を負いません』  ……という特設ページを親友から見せられたエレアノールは、なかなか距離の縮まらない婚約者が自分のことをどう思っているのかを知るためにも、この流行に乗ってみることにした。  彼が他の女性と仲良くしているところを目撃した今、彼と婚約破棄して身を引くのが正しいのかもしれないと、そう思いながら。  しかし実際に婚約破棄を提示してみると、彼は豹変して……!? ※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも投稿しています

処理中です...