33 / 42
三十三話 国王の隠し事
しおりを挟む
エリーズがヴィオルの妃となり、八か月余りが経つ。
ヴィオルとの仲は変わらず良好で、彼の側近たちともそれなりに上手くやれている。近衛騎士のリノンは唯一無二の親友だ。最近は貴族女性の友人も増えてきた。公務でも、夫の顔に泥を塗るような失態はしていない。
どこから見ても順風満帆な日々のはず――しかしエリーズは、今までで一番大きな問題にぶつかっていた。
(また駄目だったみたい)
私室で一人、長椅子に腰掛けたエリーズは己の腹部にそっと手を当てた。
ヴィオルと同じ寝室で休むようになってからは、愛を交わさなかった日の方が少ない。だがそれが実を結ぶ気配が一向にないのだ。
日中、常に行動を共にできるとは限らないヴィオルとエリーズにとって、夫婦の時間は互いの愛を確かめ合いより深めるための大切なものだ。しかしただその悦びを享受するだけではいけない。世継ぎとなる子をその身に宿すことができないなら、他の点においてどれほど優れていたとしても王妃としては致命的になる。
自分には子を宿す力がないのでは――以前疲労が溜まって倒れてしまって以降、定期的に医師との面談を行っているが、そのような指摘を受けたことはない。しかし、医師が気づいていないだけでその可能性も捨てきれない。
もしもこのままずっと妊娠できなければどうなってしまうのだろうか。ヴィオルの傍にいられなくなってしまったら……考えただけで泣きそうになるが、エリーズは王妃だ。何不自由ない生活と引き換えに責任を果たす義務を負う。
ヴィオルはどう思っているのだろうか。彼から子供について切り出されたことはまだないが、エリーズを気遣って何も言わないだけかもしれない。
世継ぎは王の血を引いていることが絶対だ。最悪の場合ヴィオルが別の女性と子を成し、表向きはエリーズとの間に生まれた子として扱う、ということもあり得る。
ヴィオルが他の女性と寝る――エリーズにとっては気が狂いそうなほど辛いことだが、あくまでも子供を作るだけでヴィオルの心はエリーズにあると思えば何とか耐えられる。
とにかく、夫であり当事者であるヴィオルと話し合わなければ何も解決しない。もし悪夢を見なければいけないなら、さっさと終わらせてしまった方が良い。
今夜にでも彼に相談しよう――と思った時、エリーズがいる部屋の扉がノックされた。
「やあ、エリーズ」
ヴィオルだ。ちょうど考え事をしていた矢先の登場に、エリーズは目を瞬かせた。
「ヴィオル、どうしたの?」
「少し時間ができたんだ。良かったら二人でお茶でもと思って」
今夜まで待つ必要はなさそうだ。エリーズは頷いた。
***
天気がいいから庭でお茶を楽しもうということになり、二人は手入れされた花がよく見える場所まで移動した。そこに備え付けられているテーブルの上に、使用人があっという間に束の間の休憩を楽しむための用意を並べる。
エリーズは悩んでいる風は装わずヴィオルと他愛もない話を続けて――会話が途切れたところで彼に切り出した。
「……ヴィオル、少し相談したいことがあるの」
「うん? どうしたの、何でも言って」
いつもと変わらない優しい声。エリーズは向かいに座る彼の目をじっと見た。
「わたしたち、結婚してそれなりに経つでしょう?」
「まあ、そうだね。僕はまだまだ新婚気分だけど」
「でも、その……赤ちゃんがまだ、できないの」
ヴィオルの顔からほんの一瞬だけ表情が消え、すぐに穏やかな笑みが戻った。
「それを悩んでいるんだね。そんなに気にすることじゃないよ。こればかりは誰かがどうにかできることでもないしね」
「それはそうなのだけれど……」
「仲が良すぎると逆に授かりにくい、なんて話もある。僕たちの場合はそれじゃないかな。だからといって仲良くしないっていう選択肢はないしなぁ」
「でも、早くお世継ぎが必要でしょう?」
「そんなに焦らなくたっていいよ。君はまだ若いし、何ならあと二、三年くらいは二人きりでもいいかな、なんて」
普通の夫婦ならばそれでもいいだろう。だが国を担う立場として、ヴィオルの考えは呑気過ぎると言わざるを得ない。名君と呼ばれる彼がこの国の将来について何も考えていないはずがない。
おそらく彼は本心からそう言っているわけではなく、エリーズが思い悩むことのないよう接しているだけ――そう踏んだエリーズは、更に続けた。
「……わたしがもし、子供が産めない体だったら」
ヴィオルの顔から再び笑みが消え、目が見開かれる。
「どうするか、早めに考えないといけないでしょう? でないと周りの方や……国民の皆さんも心配するわ。わたしのせいでヴィオルが悪く言われるのは絶対に嫌なの。王妃として……ただ楽しく暮らすわけにはいかないということはきちんと分かっているつもりよ」
「エリーズ……」
ヴィオルは小さく息をつき、片肘をテーブルの上について前髪をゆっくりとかき上げた。
「……ごめん。君を見くびっていたつもりは一切ない。けれど……そこまで真剣に色々と考えてくれているとは思わなかった」
目を伏せ、優美な顔が物思いに沈む。静かな庭の中、どこかでさえずる鳥の声だけがエリーズの耳に届く。
どうして急に黙ってしまったのだろう――エリーズが再び口を開こうとした時、ヴィオルの視線がエリーズの顔をとらえた。
「心配しなくていい。君は子を産める体だと、信頼できる医師がそう判断している」
「そうなの?本当に?」
「子供を授かれない原因は、僕の方にある」
きっぱりと言い切ったヴィオルの顔をエリーズは驚いて凝視した。何かの病気や体質だろうか。だが精霊の加護を受けている国王に限ってそのようなことがあるはずはない。
「……僕は君との結婚が決まってから、薬をずっと服用している。男性の子を成す力を失わせる薬だ」
「えっ……?」
彼の言うことが理解できない。ヴィオルは最初から、エリーズとの間に子をもうける気がなかったというのか、それは何故――疑問が頭の中で滝の水のように溢れて流れ落ち、エリーズは呆然とするばかりだった。
ゆっくりとヴィオルが席を立った。
「全部、説明するよ。実際に見てもらった方が早いから、一緒に来てくれる?」
一体、何を見せるというのだろう。困惑しながらもエリーズはよろよろと立ち上がり、彼に続いて庭を後にした。
***
必要なものを取りに行く、とまず二人は国王の私室に向かった。ヴィオルは暗所を照らすためのランプを用意し、次いで引き出しの鍵を開け、手のひらに乗るほどの小袋を取り出すとそれをポケットにしまいこむ。
そして彼がエリーズを連れて来たのは、王城の地下――使用人たちが出入りする倉庫につながる扉が並ぶ場所の、更に奥の突き当りにある扉の前だった。
ヴィオルがポケットに入れていた小袋を取り出した。袋の口が開き出てきたのは古びた鍵だ。彼はそれを使って扉を開け、中にエリーズを招き入れた。
その先は一見すると、以前エリーズがヴィオルに見せてもらった彼のアトリエのような部屋だった。壁には小さな絵がいくつか飾ってあり、床には絵が入っていない額縁が積み重ねてあったり、埃を被らないよう布がかけられた彫刻が無造作に置いてある。
エリーズの目を引いたのは、部屋の入口正面の壁に飾られた一際大きな絵だった。縦はエリーズの背丈ほど、横幅は大柄な騎士のローヴァンが両腕を思い切り広げて立った時くらいある。湖畔とその奥にそびえる山々を描いた風景画は、確信は持てないがヴィオルの作品ではないようにエリーズには感じられた。
ヴィオルはその絵に近付いた。額縁の左辺の中央と下辺の左寄りの位置を手で押さえ、そっと押す。すると絵画ごと壁がぐるりと半回転し、その奥に伸びる通路が見えた。ただの絵ではなく隠し扉だ。
驚くエリーズの隣で、ヴィオルがランプに明かりを灯す。エリーズと一緒にいる時はいつも退屈させないよう振舞う彼が今は別人のように寡黙だ。
「この先に行くよ」
鍵のかかった、一見するとただの倉庫に思える場所に据え付けられた隠し扉――その先に待つものは何なのだろうか。エリーズに引き返すという選択肢はなかった。何も知らなかった時にはもう戻れない。
「足元に気を付けて」
ヴィオルが差し伸べた腕にエリーズは自分のそれを絡ませ、暗い抜け道へと一歩を踏み出した。
ヴィオルとの仲は変わらず良好で、彼の側近たちともそれなりに上手くやれている。近衛騎士のリノンは唯一無二の親友だ。最近は貴族女性の友人も増えてきた。公務でも、夫の顔に泥を塗るような失態はしていない。
どこから見ても順風満帆な日々のはず――しかしエリーズは、今までで一番大きな問題にぶつかっていた。
(また駄目だったみたい)
私室で一人、長椅子に腰掛けたエリーズは己の腹部にそっと手を当てた。
ヴィオルと同じ寝室で休むようになってからは、愛を交わさなかった日の方が少ない。だがそれが実を結ぶ気配が一向にないのだ。
日中、常に行動を共にできるとは限らないヴィオルとエリーズにとって、夫婦の時間は互いの愛を確かめ合いより深めるための大切なものだ。しかしただその悦びを享受するだけではいけない。世継ぎとなる子をその身に宿すことができないなら、他の点においてどれほど優れていたとしても王妃としては致命的になる。
自分には子を宿す力がないのでは――以前疲労が溜まって倒れてしまって以降、定期的に医師との面談を行っているが、そのような指摘を受けたことはない。しかし、医師が気づいていないだけでその可能性も捨てきれない。
もしもこのままずっと妊娠できなければどうなってしまうのだろうか。ヴィオルの傍にいられなくなってしまったら……考えただけで泣きそうになるが、エリーズは王妃だ。何不自由ない生活と引き換えに責任を果たす義務を負う。
ヴィオルはどう思っているのだろうか。彼から子供について切り出されたことはまだないが、エリーズを気遣って何も言わないだけかもしれない。
世継ぎは王の血を引いていることが絶対だ。最悪の場合ヴィオルが別の女性と子を成し、表向きはエリーズとの間に生まれた子として扱う、ということもあり得る。
ヴィオルが他の女性と寝る――エリーズにとっては気が狂いそうなほど辛いことだが、あくまでも子供を作るだけでヴィオルの心はエリーズにあると思えば何とか耐えられる。
とにかく、夫であり当事者であるヴィオルと話し合わなければ何も解決しない。もし悪夢を見なければいけないなら、さっさと終わらせてしまった方が良い。
今夜にでも彼に相談しよう――と思った時、エリーズがいる部屋の扉がノックされた。
「やあ、エリーズ」
ヴィオルだ。ちょうど考え事をしていた矢先の登場に、エリーズは目を瞬かせた。
「ヴィオル、どうしたの?」
「少し時間ができたんだ。良かったら二人でお茶でもと思って」
今夜まで待つ必要はなさそうだ。エリーズは頷いた。
***
天気がいいから庭でお茶を楽しもうということになり、二人は手入れされた花がよく見える場所まで移動した。そこに備え付けられているテーブルの上に、使用人があっという間に束の間の休憩を楽しむための用意を並べる。
エリーズは悩んでいる風は装わずヴィオルと他愛もない話を続けて――会話が途切れたところで彼に切り出した。
「……ヴィオル、少し相談したいことがあるの」
「うん? どうしたの、何でも言って」
いつもと変わらない優しい声。エリーズは向かいに座る彼の目をじっと見た。
「わたしたち、結婚してそれなりに経つでしょう?」
「まあ、そうだね。僕はまだまだ新婚気分だけど」
「でも、その……赤ちゃんがまだ、できないの」
ヴィオルの顔からほんの一瞬だけ表情が消え、すぐに穏やかな笑みが戻った。
「それを悩んでいるんだね。そんなに気にすることじゃないよ。こればかりは誰かがどうにかできることでもないしね」
「それはそうなのだけれど……」
「仲が良すぎると逆に授かりにくい、なんて話もある。僕たちの場合はそれじゃないかな。だからといって仲良くしないっていう選択肢はないしなぁ」
「でも、早くお世継ぎが必要でしょう?」
「そんなに焦らなくたっていいよ。君はまだ若いし、何ならあと二、三年くらいは二人きりでもいいかな、なんて」
普通の夫婦ならばそれでもいいだろう。だが国を担う立場として、ヴィオルの考えは呑気過ぎると言わざるを得ない。名君と呼ばれる彼がこの国の将来について何も考えていないはずがない。
おそらく彼は本心からそう言っているわけではなく、エリーズが思い悩むことのないよう接しているだけ――そう踏んだエリーズは、更に続けた。
「……わたしがもし、子供が産めない体だったら」
ヴィオルの顔から再び笑みが消え、目が見開かれる。
「どうするか、早めに考えないといけないでしょう? でないと周りの方や……国民の皆さんも心配するわ。わたしのせいでヴィオルが悪く言われるのは絶対に嫌なの。王妃として……ただ楽しく暮らすわけにはいかないということはきちんと分かっているつもりよ」
「エリーズ……」
ヴィオルは小さく息をつき、片肘をテーブルの上について前髪をゆっくりとかき上げた。
「……ごめん。君を見くびっていたつもりは一切ない。けれど……そこまで真剣に色々と考えてくれているとは思わなかった」
目を伏せ、優美な顔が物思いに沈む。静かな庭の中、どこかでさえずる鳥の声だけがエリーズの耳に届く。
どうして急に黙ってしまったのだろう――エリーズが再び口を開こうとした時、ヴィオルの視線がエリーズの顔をとらえた。
「心配しなくていい。君は子を産める体だと、信頼できる医師がそう判断している」
「そうなの?本当に?」
「子供を授かれない原因は、僕の方にある」
きっぱりと言い切ったヴィオルの顔をエリーズは驚いて凝視した。何かの病気や体質だろうか。だが精霊の加護を受けている国王に限ってそのようなことがあるはずはない。
「……僕は君との結婚が決まってから、薬をずっと服用している。男性の子を成す力を失わせる薬だ」
「えっ……?」
彼の言うことが理解できない。ヴィオルは最初から、エリーズとの間に子をもうける気がなかったというのか、それは何故――疑問が頭の中で滝の水のように溢れて流れ落ち、エリーズは呆然とするばかりだった。
ゆっくりとヴィオルが席を立った。
「全部、説明するよ。実際に見てもらった方が早いから、一緒に来てくれる?」
一体、何を見せるというのだろう。困惑しながらもエリーズはよろよろと立ち上がり、彼に続いて庭を後にした。
***
必要なものを取りに行く、とまず二人は国王の私室に向かった。ヴィオルは暗所を照らすためのランプを用意し、次いで引き出しの鍵を開け、手のひらに乗るほどの小袋を取り出すとそれをポケットにしまいこむ。
そして彼がエリーズを連れて来たのは、王城の地下――使用人たちが出入りする倉庫につながる扉が並ぶ場所の、更に奥の突き当りにある扉の前だった。
ヴィオルがポケットに入れていた小袋を取り出した。袋の口が開き出てきたのは古びた鍵だ。彼はそれを使って扉を開け、中にエリーズを招き入れた。
その先は一見すると、以前エリーズがヴィオルに見せてもらった彼のアトリエのような部屋だった。壁には小さな絵がいくつか飾ってあり、床には絵が入っていない額縁が積み重ねてあったり、埃を被らないよう布がかけられた彫刻が無造作に置いてある。
エリーズの目を引いたのは、部屋の入口正面の壁に飾られた一際大きな絵だった。縦はエリーズの背丈ほど、横幅は大柄な騎士のローヴァンが両腕を思い切り広げて立った時くらいある。湖畔とその奥にそびえる山々を描いた風景画は、確信は持てないがヴィオルの作品ではないようにエリーズには感じられた。
ヴィオルはその絵に近付いた。額縁の左辺の中央と下辺の左寄りの位置を手で押さえ、そっと押す。すると絵画ごと壁がぐるりと半回転し、その奥に伸びる通路が見えた。ただの絵ではなく隠し扉だ。
驚くエリーズの隣で、ヴィオルがランプに明かりを灯す。エリーズと一緒にいる時はいつも退屈させないよう振舞う彼が今は別人のように寡黙だ。
「この先に行くよ」
鍵のかかった、一見するとただの倉庫に思える場所に据え付けられた隠し扉――その先に待つものは何なのだろうか。エリーズに引き返すという選択肢はなかった。何も知らなかった時にはもう戻れない。
「足元に気を付けて」
ヴィオルが差し伸べた腕にエリーズは自分のそれを絡ませ、暗い抜け道へと一歩を踏み出した。
10
あなたにおすすめの小説
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ
汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。
※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。
一途な皇帝は心を閉ざした令嬢を望む
浅海 景
恋愛
幼い頃からの婚約者であった王太子より婚約解消を告げられたシャーロット。傷心の最中に心無い言葉を聞き、信じていたものが全て偽りだったと思い込み、絶望のあまり心を閉ざしてしまう。そんな中、帝国から皇帝との縁談がもたらされ、侯爵令嬢としての責任を果たすべく承諾する。
「もう誰も信じない。私はただ責務を果たすだけ」
一方、皇帝はシャーロットを愛していると告げると、言葉通りに溺愛してきてシャーロットの心を揺らす。
傷つくことに怯えて心を閉ざす令嬢と一途に想い続ける青年皇帝の物語
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
婚約破棄ブームに乗ってみた結果、婚約者様が本性を現しました
ラム猫
恋愛
『最新のトレンドは、婚約破棄!
フィアンセに婚約破棄を提示して、相手の反応で本心を知ってみましょう。これにより、仲が深まったと答えたカップルは大勢います!
※結果がどうなろうと、我々は責任を負いません』
……という特設ページを親友から見せられたエレアノールは、なかなか距離の縮まらない婚約者が自分のことをどう思っているのかを知るためにも、この流行に乗ってみることにした。
彼が他の女性と仲良くしているところを目撃した今、彼と婚約破棄して身を引くのが正しいのかもしれないと、そう思いながら。
しかし実際に婚約破棄を提示してみると、彼は豹変して……!?
※『小説家になろう』様、『カクヨム』様にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる