恋なんて必要ないけれど

水ノ瀬 あおい

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男バス

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 机で頬杖をついたまま美音先輩から引き継いでヨッシーが同じように作ってくれた図を見つめる。
 先日、初心者のヒサ(皆川みながわ久志ひさし)とクロ(黒澤くろさわ敦哉あつや)も一応のポジションが決まって、今年の一年は元々Cセンターだったリキ(もり力也りきや)がPFパワーフォワードに変わるのみで何とかなりそうだ。
 ゴール下の層が厚いなんて安心でしかない。
 ただ、ヨッシーが書き込んでくれていた身長を見ると、キャプテンである自分だけ百七十もなくてヘコんだが。
 
「まーた真面目に考えてんのか?」

 トモの声がしたかと思うと、トモは俺の手からシャーペンを奪ってまた後ろ向きにイスに座った。

「ヨッシー!自分だけ書いてねぇじゃん!」

 そうやってヨッシーの名前などを書き込んでいくのを見て笑ってしまう。

「何だよ」
「あれだけ女がいいと言ってたのにな」

 口を尖らせるトモにニヤリとすると、トモはシャーペンを置いてその図を見つめた。

「ヨッシー、バスケできそうじゃん?めっちゃいいパスだし、ディフェンス入られるとプレッシャーめっちゃかけてくるし」

 何となく言いたいことはわかったが口を挟むのは止める。

「でも、事故で肩やってて右は腕上がんないじゃん。急にバスケはガチでできなくなって……でも、あいつめっちゃバスケ好きなんだもん。あいつのためにも勝ちたいって思うじゃん」

 そう思っているのはきっと俺たちだけじゃない。


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