恋なんて必要ないけれど

水ノ瀬 あおい

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面倒くさい

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「さっき試合最後まで出てなかったか?」
「ね、信じられない」

 しゃがんでしっかり見るまでもなく腫れていることがわかる右足首。
 呆れた顔を向けると、三木は肩をすくめて笑う。

高尾先生顧問には?」
「決勝の副審に行ってて今日はもう解散したし、ミキは言いたくないって……」
「言いたくないとかじゃないだろ!!」

 睨んでみても三木は気にしていないように寄りかかっていた柱から体を起こした。

「病院行って月曜日にちゃんと話すって!」
「……」

 ヘラヘラと笑う三木から菊川に視線を移すと、菊川は肩を竦める。

「この辺に病院ってあるのか?」
「うちの駅んとこの整形がいいなぁ」
「お前、一回黙れ」

 菊川に聞いているのに三木が口を挟んできてこのまま捨てていってやりたくなった。

「ここら辺はよくわかんないし、どうせ駅まで行かないといけないんだからさ?乗る駅でも降りる駅でもそこまで変わらないし、通院考えたらそれでもいいんじゃない?」
「こいつに甘くないか?」

 三木の意見を何でも通す菊川に呆れてため息を吐くが、菊川は三木の足元にしゃがんでその足を見ている。
 俺はもう一度ため息を吐くと、コタに電話だけ入れて自分と三木の荷物を肩にかけた。
 結局こいつらの言うことを聞いて、見たかった男子決勝も見ないで試合会場を去るとか……俺も十分甘い。
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