恋なんて必要ないけれど

水ノ瀬 あおい

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面倒くさい

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 結局、あのキャプテンが率いる啓西高女バスは準決勝は負けたが、三位決定戦で勝利して県大会出場を決めた。

「本当……面倒くさいな」

 トモが走っていってダイも姿を消してから呟くと、コタはフッと小さく笑う。

「まぁ、これでやっとまとまるだろ?」
「それもウザそうだけどな」

 手すりに寄りかかって下を見ると、男子も三決の試合が始まるところだった。
 三木たち女バスはこんなものも飛び越えてコートに居るのに、俺たちはそれも二階ギャラリーから見下ろすだけ。


◇◆◇


 女バスは決勝では負けたものの二位。
 もちろん、こっちも県大会に行くことになる。

「小嶋くん!」

 女子決勝が終わってベンチを空ける時に俺らの真下まで走ってきてこっちを見上げてきた菊川。

「ちょっと降りてきて!」

 手招きしてさっさと走り去られて首を傾げた。
 ダイとトモは戻って来ていないし、ハナとユウはちょっと離れた場所に居る。
 呼ばれていないコタは動く気配もなくて、俺は仕方なくため息を吐いてその場を離れた。
 男子決勝を控えたコート。
 注目度の高いその試合を見るために多くはどんどん二階に上ってくる。
 その中を逆流して下に降りると、すぐのところに菊川が居た。

「よかった!手、貸して!」
「は?」
「ミキが捻挫してるのよ」
「はぁっ!?」

 眉を寄せて菊川の指がさした方を見る。
 そこにはヘラヘラと笑って手を振る三木が居た。
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