わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

新たに

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　呆れたような顔の父さんがやってきたのはリューラがロットルと出て行ってしばらくしてからのこと。
　少しチクリと言われたが、

「まぁ……結果的によくやった……んだろうな。リューラ様の顔色も戻って、しっかりと陛下の顔になっておられた」

　父さんは俺が身支度を整えるのを手伝ってくれた。
　この黒のモーニングコートに袖を通したのはあのリューラが自由恋愛を宣言した日以来。

「大丈夫か？」

　体を気遣われるのは昨夜ここで何をしていたのか見透かされているようで気恥ずかしいが、今はそんな場合でもなかった。
　いつものピンも着けると父さんと共に宣言が行われるバルコニーに向かう。
　走るのは腰と関節が悲鳴を上げて早歩きでもかなりキツかったが俺もこの目で見守りたい。
　この戦果報告でこれまでと変わるところもあるはずだ。
　そもそもこのシルベルタ王国が戦争に加担したこと自体、百年以上なかったことでもある。
　俺がバルコニーに続く部屋に着くと、リューラは民衆に頷いて応えていた。
　終わってしまったのか!?と焦ると、

「追悼を行ってからまだ勝利宣言をされたところです」

　イスを持ってきてくれたジナンが俺の体を支えながら座らせてくれる。
　民衆は湧き上がっているが、リューラが軽く手を挙げるとスッと静かになった。

「今回は医師団という中立で無抵抗の場所に襲撃があって、その卑劣な行為に対して兵を出すことにはなった」

　キリッとした声。
　昨夜はまだ十八だと言ったが、十分責任感を持ち合わせている威厳のある声だった。