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嫌なのに
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「じゃあ……」
「医者にはパートナーを作ることを勧められています」
「ですよね。アテはあるんですか?」
首を横に振ると、先生はゆっくりカップを持ち上げて口に運んだ。
その優雅な動きについ見惚れてしまう。
「ここまで副作用が出ているのがよくないのはわかりますね?」
「はい」
「本当はプレイで欲を発散させた方がいいことも、ですか?」
「……はい」
何とか答えつつ身を縮めて、震えてくる身体を両腕で押さえた。
「……その震えも……ご自身で止められないんですね?」
その通りだが頷くことはできず、ゆっくり顔を上げて深谷先生の反応を窺う。
深谷先生は困ったようにしながらも微笑んで立ち上がると、そっと俺の背中を撫でた。
「大丈夫ですよ?ここには僕しか居ません。怖いことはありません」
心地よいその声と手の温かさに身体の強張りが溶けるのを感じる。
だが、同時に俺も気付き始めていた。
「深谷先生……は……Dom?」
目が合った深谷先生は眉を下げて、ズレてもいないメガネを押さえる。
「……怖い、ですか?」
窺うように見られてうまく言葉が見つけられなかった。
そりゃ、怖くないと答えたら嘘になる。
“Dom”と聞くだけで身構えてしまうから。
実際に今、声も出ないから。
「周防先生?僕は同意もないのにコマンドを使ったりはしません。それだけは安心して下さい」
言われたって俺の頭の中はパニックだ。
先生の言葉も手も優しいのに……“Dom”その言葉だけで思考が支配される。
「医者にはパートナーを作ることを勧められています」
「ですよね。アテはあるんですか?」
首を横に振ると、先生はゆっくりカップを持ち上げて口に運んだ。
その優雅な動きについ見惚れてしまう。
「ここまで副作用が出ているのがよくないのはわかりますね?」
「はい」
「本当はプレイで欲を発散させた方がいいことも、ですか?」
「……はい」
何とか答えつつ身を縮めて、震えてくる身体を両腕で押さえた。
「……その震えも……ご自身で止められないんですね?」
その通りだが頷くことはできず、ゆっくり顔を上げて深谷先生の反応を窺う。
深谷先生は困ったようにしながらも微笑んで立ち上がると、そっと俺の背中を撫でた。
「大丈夫ですよ?ここには僕しか居ません。怖いことはありません」
心地よいその声と手の温かさに身体の強張りが溶けるのを感じる。
だが、同時に俺も気付き始めていた。
「深谷先生……は……Dom?」
目が合った深谷先生は眉を下げて、ズレてもいないメガネを押さえる。
「……怖い、ですか?」
窺うように見られてうまく言葉が見つけられなかった。
そりゃ、怖くないと答えたら嘘になる。
“Dom”と聞くだけで身構えてしまうから。
実際に今、声も出ないから。
「周防先生?僕は同意もないのにコマンドを使ったりはしません。それだけは安心して下さい」
言われたって俺の頭の中はパニックだ。
先生の言葉も手も優しいのに……“Dom”その言葉だけで思考が支配される。
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