溺愛Domの優しいコマンド

ご褒美

5

「周防先生……来てもらえますか？」

　手を広げた先生はまだ少し不安そうにこっちを見る。

「コマンド使ってくれればいいのに」

　すり寄って近いその距離で見つめると、先生はゆっくり俺の頭を撫でてくれた。

「命令ではなく先生の素直な気持ちを知りたかったので」
「先生のコマンド、好きですよ」
「っ……本当、ですか？」
「はい！だから……久々にちゃんとプレイして欲しいです！」

　こんなにも俺からプレイを望むなんて。
　昔の俺では考えられない。
　でも、確かに俺は欲していた。
　ちゃんと心の奥深くまで染み渡るコマンドが欲しい。

「今、ですか？」

　また降りてきた手が優しく俺の頬を撫でる。

「朝飯より……ダメ、ですか？」

　撫でられながら先生を見ると、先生はふわりと笑った。

「あ、でも、風呂……」
「昨夜入りましたよ」
「え？」

　ふと思い出して呟いた俺に微笑んで言われて固まる。

「先生がどうしてもと仰るので一緒に入りました」
「えぇっ!?」

　もう一度、今度はしっかり伝えられて叫んでしまった。
　入った？風呂に？
　しかも……一緒に!?

「では、プレイ始めましょうか？」
「や、ちょっと待って……」

　何事もなかったかのように言われて慌てて止める。

「何ですか？」

　いつものように落ち着いたまま聞かれて不思議そうな先生を見ることができない。

「いや、ちょっと状況整理させて……」
「意識しちゃいました？」
「え？」
「真っ赤になっていてかわいいですよ？」

　顎の下に指を添えられて目が合うと、一気に体温が上昇した。