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救出
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「お二人も大丈夫そうですね?」
声がしてハッとするが、先生は俺を抱き締めて座ったまま離してくれない。
「ちょっ……冬……」
離れようとしても、先生は更に力を込めてこっちを見る。
縋りつくようなその顔はズルい。
「航生さんが煽るから……でしょう?」
言われて顔が熱くなるのを感じながらしばらくそうしていると、カチャンと音がしてフワッと甘い桃の香りがしてきた。
身体を起こすと先生も少し手を緩めてくれて、俺はやっと先生の上から退く。
でも、すぐ隣に座らされて、俺は目の前で微笑む荒木さんと目を合わせられなかった。
「お二人と宗吾くんも……大丈夫そうですか?」
出してくれた紅茶のカップに口をつける先生。
「えぇ。理久はちょっと足腰立たなくなっていますが、宗吾くんはただ眠っているだけなんで起こせばすぐに帰れると思いますよ?」
先生から出た宗吾の名前に反応して、俺は荒木さんとの会話に聞き耳を立てた。
だが、足腰立たないって……想像しかけたモノをフルフルと頭を振って追いやる。
宗吾が落ち着いて眠っているのなら……とりあえずは安心だろう。
「じゃあ、少し電話をしてきてもいいですか?武藤先生と飯田先生が今も熊野くんについていて下さっているようなので」
「え?洋介についててくれてるって!!それなら俺が……」
「いえ、ダイナミクス担当の僕が話した方が都合がいいと思いますよ?」
パッと時計を見てもう日付が変わるのを確認して慌てた俺に笑って先生は部屋を出て行った。
声がしてハッとするが、先生は俺を抱き締めて座ったまま離してくれない。
「ちょっ……冬……」
離れようとしても、先生は更に力を込めてこっちを見る。
縋りつくようなその顔はズルい。
「航生さんが煽るから……でしょう?」
言われて顔が熱くなるのを感じながらしばらくそうしていると、カチャンと音がしてフワッと甘い桃の香りがしてきた。
身体を起こすと先生も少し手を緩めてくれて、俺はやっと先生の上から退く。
でも、すぐ隣に座らされて、俺は目の前で微笑む荒木さんと目を合わせられなかった。
「お二人と宗吾くんも……大丈夫そうですか?」
出してくれた紅茶のカップに口をつける先生。
「えぇ。理久はちょっと足腰立たなくなっていますが、宗吾くんはただ眠っているだけなんで起こせばすぐに帰れると思いますよ?」
先生から出た宗吾の名前に反応して、俺は荒木さんとの会話に聞き耳を立てた。
だが、足腰立たないって……想像しかけたモノをフルフルと頭を振って追いやる。
宗吾が落ち着いて眠っているのなら……とりあえずは安心だろう。
「じゃあ、少し電話をしてきてもいいですか?武藤先生と飯田先生が今も熊野くんについていて下さっているようなので」
「え?洋介についててくれてるって!!それなら俺が……」
「いえ、ダイナミクス担当の僕が話した方が都合がいいと思いますよ?」
パッと時計を見てもう日付が変わるのを確認して慌てた俺に笑って先生は部屋を出て行った。
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