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第1章「警察官になりました」
10話「狙撃手確保」
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「テメェ!このガキ、連れてくんな!」
鷹山の先輩であろう男は怒声を上げる。
「そんなことはどうでもいいでしょう。それよりも遠距離射撃を得意とした
隊員で誰か、最近になって辞職した奴とかクビにされた奴とかいません?」
「あぁん?どうしてそんなこと―」
「兎に角急いでください!早く早く!」
「そうだよ、おじさん!ちょっぱやね!!」
男を二人して急かした。男は悪態付きながらも心当たりのある人物の
名前を上げた。
「二階堂葉介。当時は遠距離射撃においてトップだった男だ。が、先の
事件があって彼はクビにされてる。そいつも辞職願を出してたらしいぜ」
「先の事件?」
「送迎バスハイジャック事件だ。犯人はバス諸共自分を巻き込んでバスを爆破
させた。その時は上から射撃許可が下りなかったんだ。二階堂葉介を含め
何人もの隊員が許可を取ろうと懇願したんだけどな」
「その許可を出さなかった人って?」
「つい最近、警察を引退した人。元SAT隊長、与沢昭仁」
二階堂葉介を犯人と仮定する。彼が恨むとすれば自分が辞職せざるを得ない
状況を作り出した張本人を恨むだろう。そうなるとターゲットはただ一人。
「まさか、この人が狙われるってのか?」
「うん。多分。で、この人の家の位置が分かれば射撃範囲は絞れる?」
「出来ると思いますよ」
「オイ!こんなガキに事件解決ぅ?出来るわきゃあねえだろ!!」
「一人で解決するとは言ってないですよ。既に準備が出来てます!」
車の外には既にスタンバイしている職員がチラホラ見えた。
「チッ、しゃあねえ。与沢さんが今住んでいる家はここだ。で、射撃が確実に
出来る範囲はこれぐらいか」
「でもライフルなんて白昼堂々と見せびらかすなんてできませんよね。となると
人がいない場所の方が清々と射撃に集中できる…廃屋、もしくは取り壊し予定の
建物は…」
「お、ここしかねえじゃん。やったな、兎澤!」
偶然にも取り壊し予定の廃屋が一つだけ範囲内に存在していた。恐らく彼はそこから
射撃を試みるだろう。暗視スコープなどを使えば暗くても射撃が出来る。昼と夜、
確実にいるとすれば夜だ。
「ならば先手必勝。先に回ろう。あ、でもバレないようにしないとね」
「元警察官ですし、一筋縄ではいかないと思いますが」
「分かってる。だけど絶対ここで射撃を行うと思う。だからちょっと邪魔してやろうと
思ってるんだ」
舞雪は悪戯っぽい笑みを浮かべた。
車を降りてから全員が動き出した。夜までは少し時間が残っている。
近場に全員が潜む。
「犯人は確保優先、ですか」
「そう。もしかしたら何か知ってるかもしれないからね」
時彦は彼女に聞いた。
「そっくりそのままの犯行なら一応犯人はすぐに逮捕できるはず。
そんなに長くはない。すぐに真犯人も姿を現すはず…!」
気が付けば日も暮れている。
『あ、来たみたいですよ』
隠れている悟から連絡が入る。こちらでも確認できた。慣れた手つきで銃を
組み立てていく男の姿。立派な狙撃手の目をしている。反対方向では家に
帰ってくる男の姿も見えた。
「よし。夏彦さん、お願いします!」
鶴喰夏彦。彼の家で作られている特殊な和紙を操ることが出来る。基本は
折り鶴にして操っているが今回はその紙を利用した目くらましが主な
仕事だ。この程度の目くらましでは精彩を欠くことが出来ないだろう。
彼は迷いなく引き金を引いた。しかし弾丸はすぐに力を失った。
「水…!?」
「はいはい。狙撃はそこまで、大人しく投降して頂戴」
男は目を丸くする。
「舞雪さんの予想通り、貴方は元SAT隊員、二階堂葉介さんですね。すみませんが
逮捕させていただきます」
水を操る水無月梨乃と気を操る樋宮悟。彼女たちを前にして彼はある質問をした。
「君たちは霊障対策課の職員か」
「そうよ」
「なら投降しよう。私の銃も濡れて使い物にならなくなってしまった」
彼は大人しく捕まることを選んだ。
鷹山の先輩であろう男は怒声を上げる。
「そんなことはどうでもいいでしょう。それよりも遠距離射撃を得意とした
隊員で誰か、最近になって辞職した奴とかクビにされた奴とかいません?」
「あぁん?どうしてそんなこと―」
「兎に角急いでください!早く早く!」
「そうだよ、おじさん!ちょっぱやね!!」
男を二人して急かした。男は悪態付きながらも心当たりのある人物の
名前を上げた。
「二階堂葉介。当時は遠距離射撃においてトップだった男だ。が、先の
事件があって彼はクビにされてる。そいつも辞職願を出してたらしいぜ」
「先の事件?」
「送迎バスハイジャック事件だ。犯人はバス諸共自分を巻き込んでバスを爆破
させた。その時は上から射撃許可が下りなかったんだ。二階堂葉介を含め
何人もの隊員が許可を取ろうと懇願したんだけどな」
「その許可を出さなかった人って?」
「つい最近、警察を引退した人。元SAT隊長、与沢昭仁」
二階堂葉介を犯人と仮定する。彼が恨むとすれば自分が辞職せざるを得ない
状況を作り出した張本人を恨むだろう。そうなるとターゲットはただ一人。
「まさか、この人が狙われるってのか?」
「うん。多分。で、この人の家の位置が分かれば射撃範囲は絞れる?」
「出来ると思いますよ」
「オイ!こんなガキに事件解決ぅ?出来るわきゃあねえだろ!!」
「一人で解決するとは言ってないですよ。既に準備が出来てます!」
車の外には既にスタンバイしている職員がチラホラ見えた。
「チッ、しゃあねえ。与沢さんが今住んでいる家はここだ。で、射撃が確実に
出来る範囲はこれぐらいか」
「でもライフルなんて白昼堂々と見せびらかすなんてできませんよね。となると
人がいない場所の方が清々と射撃に集中できる…廃屋、もしくは取り壊し予定の
建物は…」
「お、ここしかねえじゃん。やったな、兎澤!」
偶然にも取り壊し予定の廃屋が一つだけ範囲内に存在していた。恐らく彼はそこから
射撃を試みるだろう。暗視スコープなどを使えば暗くても射撃が出来る。昼と夜、
確実にいるとすれば夜だ。
「ならば先手必勝。先に回ろう。あ、でもバレないようにしないとね」
「元警察官ですし、一筋縄ではいかないと思いますが」
「分かってる。だけど絶対ここで射撃を行うと思う。だからちょっと邪魔してやろうと
思ってるんだ」
舞雪は悪戯っぽい笑みを浮かべた。
車を降りてから全員が動き出した。夜までは少し時間が残っている。
近場に全員が潜む。
「犯人は確保優先、ですか」
「そう。もしかしたら何か知ってるかもしれないからね」
時彦は彼女に聞いた。
「そっくりそのままの犯行なら一応犯人はすぐに逮捕できるはず。
そんなに長くはない。すぐに真犯人も姿を現すはず…!」
気が付けば日も暮れている。
『あ、来たみたいですよ』
隠れている悟から連絡が入る。こちらでも確認できた。慣れた手つきで銃を
組み立てていく男の姿。立派な狙撃手の目をしている。反対方向では家に
帰ってくる男の姿も見えた。
「よし。夏彦さん、お願いします!」
鶴喰夏彦。彼の家で作られている特殊な和紙を操ることが出来る。基本は
折り鶴にして操っているが今回はその紙を利用した目くらましが主な
仕事だ。この程度の目くらましでは精彩を欠くことが出来ないだろう。
彼は迷いなく引き金を引いた。しかし弾丸はすぐに力を失った。
「水…!?」
「はいはい。狙撃はそこまで、大人しく投降して頂戴」
男は目を丸くする。
「舞雪さんの予想通り、貴方は元SAT隊員、二階堂葉介さんですね。すみませんが
逮捕させていただきます」
水を操る水無月梨乃と気を操る樋宮悟。彼女たちを前にして彼はある質問をした。
「君たちは霊障対策課の職員か」
「そうよ」
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彼は大人しく捕まることを選んだ。
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