かくりよにようこそ。

弓狩ヨゾラ

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2話「鬼がやってくる」

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真姫は銀月と言う九尾にかくりよを案内してもらいながら住居に向かっていた。
人間界とはしっかりと仕切られている。

「ここって…」

銀月により案内された住居は大きな神社だった。

「人の世と妖の世の境目に存在する天津神社です。元々は龍神様が治めて
おりましたが彼は強大な自身の神力を僅かながら貴方に授けました」
「…神様になった?」
「端的に言えばそう言う事です。正確には4分の1は神、という
ところでしょう」

クォーターと呼ばれる。その神力を受け取ったタイミングは恐らく
川で溺れたとき。その時から真姫は他の人には見えないものが
目に見えるようになっていた。この大きな神社がこの日から真姫の
家となるのだ。

「そうだ。何かあればお申し付けください。改めて、私は銀月と
申します」

この神社には様々な妖や神がやってくる。真姫はふと思った。
かくりよにてやりたいこと。目的があった。

「銀月」
「はい」
「ここに住んでれば龍神様に会えるかな?」

助けてもらった恩がある。その礼をきちんと言えていない。

「会えるかどうかは分かりませんが、ここを訪れる者の中には
知っている者もいるかもしれません。ゆっくり気長に待たれては?」


その翌日に妖怪がやって来た。

「ちょっと~!!大変よ銀月!!」

長い水色の髪を荒々しく揺らしながらやって来た冷気を纏う
女性は雪女だ。雪女の雪華という。銀月も真姫も驚いた。
彼女は普段はこんなに慌てることは無いらしい。穏やかな雪女は
真姫を見て指を指す。

「そう、この子よ!この子!銀月!鬼が、オオ鬼がぁぁぁ~!!!」
「落ち着いてください雪華さん。鬼がどうしたんですか?」
「もう分かるでしょう!?鬼たちはこの子の事を知って今、行動を
起こしたんですって!近々、ここにも乗り込んでくるわよ!!」

雪華は銀月の体を大きく揺さぶる。
妖怪達の中で真姫の存在が知れ回ってしまったらしく、渡辺綱を恨む
鬼たちは行動を起こした。狙いは分かっている。渡辺真姫を狙っているのだ。
彼女は鬼たちと因縁のある武士の子孫だ。

「もうすぐそこまで来てるわ!私でも分かるぐらい大きな妖気がある!!」
「…真姫さんは塵じゃの裏口から外へ出てください」
「え、その次はどうすればいいの!?」
「兎に角外へ。申し訳ありませんが、どうか逃げてください」

銀月に締め出されてしまった真姫は渋々外へと走る。中に残った銀月と雪華。
雪華はワナワナと震えている。

「アイツら、絶対に話を聞かないわよ?どうする気?」
「少しでも足止めをしましょう。それでも行ってしまったのなら…」

二人は揃って溜息を吐いた。鬼たちがここに辿り着いてしまった。

「やはり貴方が指揮を取っていましたか。茨木童子」

鬼の男、茨木童子は彼らを睨む。

「渡辺綱の子孫は何処にいる」
「既に逃げましたよ。彼女は綱とは違います。彼女を殺せば龍神様の
怒りを買いますよ?」
「脅しか?偉くなったな狐。お前を殺すことなど、簡単なんだぞ?娘の
居場所を吐け」

今にも飛びかかってきそうだが指揮を執っている茨木童子の指示が
出てないので我慢しているようだ。好戦的な者が多い鬼たちは強い者を慕う。
この鬼たちの中で最も強いのは茨木童子なのだろう。

「吐くわけが無いでしょう。居場所など知りませんね。彼女は土地勘が無い故、
何処に行くのか想像もできません、ね!」

放たれた鬼火に不意を突かれた。そのうちに彼らに逃げられてすぐに
茨木童子は周りに指示を出して特に人間の娘―真姫を優先して探し出し
捕らえるように命令した。彼らは嬉々として何処かへ行った。
神社に一人、残った茨木童子は青筋を浮かべていた。渡辺綱、今は元に戻って
いるが屈辱を与えられた人間だ。彼を恨まずにいられる日は無かった。

「殺してやるよ。充分に甚振って、恐怖させてからなァ…!」

茨木童子は一人、愉快に邪悪な笑みを浮かべていた。


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