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ーシャアアアッ
シャワーヘッドから出る湯で、バスルームが白く煙る。
滑らかな肌が湯を弾いて、腕を、肩を、背から足元へと流れ落ちる。
髪が邪魔になったのか、両手でバサリと髪をかき上げる。
顕になったのはー
「ーってお前かーい!」
バアアーン!!
「うお!びっくりした!」
振り返ったのは、もう一人のイケメン、リュウ。
いつもクールな彼にしては珍しく、大きく目を見開いている。
男らしく骨張った顎を伝っていく雫が落ちて、我に返った。
ーあれ?私、何してるの?
そう、頭に糞が落とされて…
レオに早く風呂に入った方がいいって…
こういうのって、ヒロインのお風呂シーンじゃないの?
「私、ヒロインよね?」
「お前は何を言っているんだ。」
リュウは、はあっと溜息を吐いて蛇口を捻りシャワーを止めた。
「で?何なんだよ?」
濡れた髪から水を滴らせながら振り返る。
そうね。
何なのかしら、私。
「お、お邪魔しました…」
バスルームをソロリソロリと退散しようとした。
ーダァンッ
目の前でリュウの腕に遮られ、阻まれてしまう。
壁ドンだ。
これも壁ドンって言うのかしら。
「まあ、待てよ。」
リュウが、口の端を上げて私の顔を覗き込む。
上気した頬を濡れた髪が張り付く。
熱で唇も赤い。
その唇が弧を描く。
「俺が風呂入ってんの分かってて入ってきたくせに、このまま帰るわけ?」
すごい色気だ。
リュウから滴る水が、私の制服を濡らす。
リュウの火照った身体の熱が伝わる程、距離が縮まる。
リュウの濡れた長い指が、私の顎を捕らえた。
「なあ、アオ…」
ーはっ
いけない!
デジャヴュ!
さっき、いい雰囲気、なんてどぎまぎしてたら、レオに鳥の糞が付いてるって…
「あ、頭は、だめぇぇー!」
「大きな声がしたが、どうした?!」
ーバアーンッ!!
「今度は、レオかよ。人が風呂に入ってんのに、どいつもこいつも…」
「…何をやったんだ、リュウ?」
「まだ、何もやってねえよ。アオが頭がどうとか叫び出しただけだ。」
「頭?ああ。アオ、頭にうんこ付いてるから。」
「どうやって頭にうんこが付くんだよ。」
私のトイレは、どんだけアクロバティックなんだ!?
「違う、違う。アオのうんこじゃなくて、鳥のうんこ。」
「鳥のうんこ?」
うんこって言いたいだけじゃないの?!
何か、うんこって言うのが楽しくなってきたんでしょ?!
小学男子か!?
イケメンが二人揃って何やってんの?!
しかも一人は、は、裸だし!
「どれどれ…」
リュウが近づいて来て、私の頭をマジマジ観察する。
さっきは慌ててたからよく分からなかったけど、落ち着いたら目のやり場に困る!
「本当だ。うんこ付いてる。」
「…」
「ほら、だからさ、バスルーム空けてやってくれよ。」
「しゃあねえな。」
ばたばたと片付け始めるリュウ。
途方に暮れてる私を置き去りにして。
「ゆっくりうんこ洗っていいからね、アオ。」
「じゃあな、ちゃんとうんこ洗って来いよ。ほら、シャンプー。」
シャンプーを投げて寄越される。
ーバタン
「うんこ、うんこ煩いわ!!」
受け取ったシャンプーをこれでもかと頭に振りかける。
「くそー!」
わしゃわしゃわしゃわしゃ
わしゃわしゃわしゃわしゃ
シャワーヘッドから出る湯で、バスルームが白く煙る。
滑らかな肌が湯を弾いて、腕を、肩を、背から足元へと流れ落ちる。
髪が邪魔になったのか、両手でバサリと髪をかき上げる。
顕になったのはー
「ーってお前かーい!」
バアアーン!!
「うお!びっくりした!」
振り返ったのは、もう一人のイケメン、リュウ。
いつもクールな彼にしては珍しく、大きく目を見開いている。
男らしく骨張った顎を伝っていく雫が落ちて、我に返った。
ーあれ?私、何してるの?
そう、頭に糞が落とされて…
レオに早く風呂に入った方がいいって…
こういうのって、ヒロインのお風呂シーンじゃないの?
「私、ヒロインよね?」
「お前は何を言っているんだ。」
リュウは、はあっと溜息を吐いて蛇口を捻りシャワーを止めた。
「で?何なんだよ?」
濡れた髪から水を滴らせながら振り返る。
そうね。
何なのかしら、私。
「お、お邪魔しました…」
バスルームをソロリソロリと退散しようとした。
ーダァンッ
目の前でリュウの腕に遮られ、阻まれてしまう。
壁ドンだ。
これも壁ドンって言うのかしら。
「まあ、待てよ。」
リュウが、口の端を上げて私の顔を覗き込む。
上気した頬を濡れた髪が張り付く。
熱で唇も赤い。
その唇が弧を描く。
「俺が風呂入ってんの分かってて入ってきたくせに、このまま帰るわけ?」
すごい色気だ。
リュウから滴る水が、私の制服を濡らす。
リュウの火照った身体の熱が伝わる程、距離が縮まる。
リュウの濡れた長い指が、私の顎を捕らえた。
「なあ、アオ…」
ーはっ
いけない!
デジャヴュ!
さっき、いい雰囲気、なんてどぎまぎしてたら、レオに鳥の糞が付いてるって…
「あ、頭は、だめぇぇー!」
「大きな声がしたが、どうした?!」
ーバアーンッ!!
「今度は、レオかよ。人が風呂に入ってんのに、どいつもこいつも…」
「…何をやったんだ、リュウ?」
「まだ、何もやってねえよ。アオが頭がどうとか叫び出しただけだ。」
「頭?ああ。アオ、頭にうんこ付いてるから。」
「どうやって頭にうんこが付くんだよ。」
私のトイレは、どんだけアクロバティックなんだ!?
「違う、違う。アオのうんこじゃなくて、鳥のうんこ。」
「鳥のうんこ?」
うんこって言いたいだけじゃないの?!
何か、うんこって言うのが楽しくなってきたんでしょ?!
小学男子か!?
イケメンが二人揃って何やってんの?!
しかも一人は、は、裸だし!
「どれどれ…」
リュウが近づいて来て、私の頭をマジマジ観察する。
さっきは慌ててたからよく分からなかったけど、落ち着いたら目のやり場に困る!
「本当だ。うんこ付いてる。」
「…」
「ほら、だからさ、バスルーム空けてやってくれよ。」
「しゃあねえな。」
ばたばたと片付け始めるリュウ。
途方に暮れてる私を置き去りにして。
「ゆっくりうんこ洗っていいからね、アオ。」
「じゃあな、ちゃんとうんこ洗って来いよ。ほら、シャンプー。」
シャンプーを投げて寄越される。
ーバタン
「うんこ、うんこ煩いわ!!」
受け取ったシャンプーをこれでもかと頭に振りかける。
「くそー!」
わしゃわしゃわしゃわしゃ
わしゃわしゃわしゃわしゃ
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