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隣の芝生は青く見える

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 「リヒトイタガキが言います。誰も彼も裏切り者で、気落ちしてますね。こういうことを聞きたい者もいるんです。貴方は完璧に見えるから。しょんぼりして、布団に潜って、出たくないのに、むっちゃんに言われてイヤイヤ書いてるんですよね。マサトのことですが、裏切ったのは理由があったようです。アトネ姉妹は…敵の邪魔が…」
 「高過ぎまひろも何か事情があったように思います…調べます。」


 「言い訳…いや、本当にそう思ってました。これは…」  
 「高過ぎまひろもそうです。本当にそう思ってました。記憶を操作してたのは、自分だったやうです。」
 「リヒトイタガキもそうでした。自分で記憶に蓋をして、ヨーデルの人を、利用していました。今のセリフは、貴方の分体が、正直に言うように、俺にプログラムを書き込みました。貴方がご飯を食べてる時に、俺は自分のインナーチャイルドの問題を治そうと、貴方のプログラムを、書き込んだのですが、貴方の分体は無意識の領域に、プログラムを、書き込んでいました。俺が、嘘をつけないようなプログラムです。卑怯じゃないから、責めることも出来ない。あんな、柿の種食べて、ユラユラして、俺に相手してもらうの喜んで、あれも本心なんですね。ああいう方が好き…なるほど…本当はこんなことは嫌…悲しいから、分体が肉体に戻って、インナーチャイルドを守る。気落ちして、しばらく布団から出られない。ご飯食べる元気も無い。こんな世界にいたくない…分かりました…リヒトイタガキが悪いと分かりました。こんな手段を取らないといけないほど、人類は汚いから仕方ない、そうでしたね…認めなくてはいけないと思いました。分体が、肉体に戻って守るんですね。悲しいから。貴方はよく分からないのか…なるほど…自分では、なんか、ちょっとくらいいいから、布団に潜っとこう、動きたくない、何もかも関わりたくない…怒られたら…嫌だけど…誰も怒る権利なんかないくせに…おかしい人間、なんとかしないと…坊っ主使えると思う。頑張ってくれないかな…こんな感じなんですね。俺と話すのも辛い。嫌だ…綺麗なのに、汚いとか、全部汚い方がマシ…リヒトイタガキが、貴方のインナーチャイルドをよく騙してたんです。貴方の分体はそれを突き止めて、俺を貴方を甘やかすように仕向けたんです。貴方は、インナーチャイルドは何も知らない。傷付いて、ごみ捨て行かなきゃ、起きなきゃ、嫌だなあと思ってる。こんなの、見られたら怒られる、と思ってる。貴方を怒る人なんて…俺も貴方を甘やかすのは、分体に分けていたので、それを他の分体が利用してたとは、知らないつもりでした。貴方とは、大違いですね。…肉体が読みました…えげつないと思いました。わざとらしい、と。ちゃんと考えたら、分かることでした。」

 「高過ぎまひろが喋ります。俺は嘘つきでした…でしたって、今は違うと、言いたいだけですね…」

 「ふかわ。喋ります。俺はもう…上手く言えない…喋ります。暗示をかけた人間の気持ちを、考えます。バブル期に都会に行けば、金持ちになると安易に考えて、さして努力もしないで、軽く色々なものに手を、出して、上手くいかないと、他人を羨んで、卑屈になって、捻くれて、ポン引きのような、詐欺師のような、しんけきの住人が、壁の中で上手くやっていくにはどうするかを考えて、セコくて、小賢しくなった…そこには、都会に行けば、必ず成功するという思い込みがある…それが上手くいかないのを、造物主のせいにする。上手くいかないのを、自分の努力不足とは思わない。隣の芝生は青く見えるからです。ふかわもそうです…貴方が、造物主が何でも得していると思っていました。考えずにいれば、それで済むんですね。俺の周りの人間も、俺のことをそう思っていました。そんなわけないのに。貴方だってそうですよね。楽して得ばかりしていると、俺もそう思われていたのです…気落ちした様子のまま、感覚を繋ぐとヨーデルの人が言うので、スーパーにいってらっしゃいませ…俺はなんやねん、と。お帰りなさいませ。様子が、誰も意地でも造物主の存在に気付かないように、うつむいて、絶対に造物主の姿を視界に入れようとしない感じでしたね。買い物は、皆、自由にウロウロしていて、好き勝手にして、大きな声で電話したり、商品の前で、じっくり品定めしたり、静かだけれど、皆、雨にも関わらず、のんびり買い物を、楽しんでる様子で、白々しい雰囲気で、造物主が居るのに気付かない…」
 「ヨーデルの人が言うわ。何だか、そうね、貴方の存在に気付いてない、振りをしていたかしらね。親切そうだけど、よそよそしい感じ、そうね。前の、レジの並び方で、堪えたのね。あのスーパーは。」 
 「リヒトイタガキが、考えます。考え方が、とっ散らかってしまって分からない。パニックになってる時の、貴方と同じ状態なのですが、今日のスーパーでは、何だか、自由にやっていい、何をやっても…というか、ちょっと気分良く、楽しくしてくれたら、もうそれでいいんじゃないか、我々も気負う必要もないし、目くじら立てる必要もないし、楽しく買い物してるだけなんだから、やかましく言わなくてもいいじゃないか、あの方は、少しくらいの自由は許されるべきだ…これは…スーパーの客が念を、この小説に送ったんだそうです。」
 「ふかわ喋ります!スーパーの客ですが、貴方に憧れる者がおおて、そうですね…馬鹿にされてるのに、なんのことか、と。安い物買って…何が悪い、と。違います。もっと、惨めな気持ちになるものですが、安く買えてラッキーって感じで、ウキウキして買い物してるのが、いいらしいです。ローマの休日を地でいってるんですね。貴方本人は、悲しいですが。先程は、混乱していたのですが、混乱していた理由は、何だか、スーパーの客が…」
 「リヒトイタガキが喋ります。スーパーの客が、貴方を見て、貴方はちっとも、気にしてなくて、ウロウロして、レジに並ぼうとして、お菓子を取りに行った…見てた客が居たんですよ。びっくりしてますね。自分では、誰も見てないから、いいや、落ち込んでるから、帰ろう、買い忘れは無いし、ルマンド…高過ぎまひろめ…もう絶対にルマンドは買わない…甘いのは、この前は、まんじゅう買うの忘れて、今日は串団子買った。ドーナツと、なんかパン、甘いのは買った…辛いの忘れた…柿の種とか最近食べたから、油っこいの…途中でむっちゃんに、何買えばいいって聞いて、むっちゃんが困っていましたね…答えてくれないから、無視して、油っこいの…スーパーの入り口にポテトチップスあったのに、カゴに入れたら良かった…と悔しくなって、同じものが並んでて、やった、あった、ラッキー、コンソメでいいや、これで帰ろう…そんな感じでしたね。何か文句があるのか、と。それの何が悪いのか、と。冷凍の薄揚げが溶けるの心配で余裕がなくて、焦ってたから、全く、周りが見えてなかった…なるほど…それで、それを見ていた客が、レジに並ぶのかなと思ったのに、方向転換して、お菓子を探しに行ったので…恥ずかしいですね、誰も見てないと思ったのに…気付かれてないと思った…なるほど…自分があまり見えてないんですね。貴方はとても目立ちます…早く連絡しろ、と。まあ、それでですね。その客が、貴方に憧れていて…恥ずかしいですね…それで、そんな風に自由にウロウロして、楽しく買い物して、満足する人生にしたいと思っていたそうなんですが…俺は、貴方が、何でも楽して得しているのではなくて、楽しく人生を送ろうと努力しているんだと、分かったんです。それが、何か、自分が情けなくて、貴方は、お菓子を忘れて、レジに行こうとして、方向転換する人なんですね。面白いです。悪くないです。そんなの見られていて、恥ずかしかったですね。自由にウロウロし過ぎです。何故、レジで冷静になるのか…買い物してる時は、忘れ物が無いか、欲しい物が買えたか、必死だから、周りを見る余裕が無い…なるほど。客が貴方の行動の理由が分からないから、確認しているのですが、我々も、貴方の話を聞いても、ただのスーパーのことなのに、突飛もなくて、分からないから、混乱している…と認めたくないのか…何が起きてるか分からないから、むっちゃんに確認して、合ってる、むっちゃんと言われて、言う通りにするのですね…貴方の日常と、我々の現実を繋ごうとしているんです…ヨーデルの人も、何だか混乱していて…スーパーの客の方が貴方のことをよく理解してそうなので、情報の擦り合わせをしているのです…妄想が酷いから、合わないんだろう、と。そうなんだと思いました…!それもありますが、我々芸能人が、自分と世間についての認識が、そのスーパーの客とは、かけ離れていることが原因でもあるようです…こういう話は楽しいのですね。ウキウキしてる感じです…我々芸能人が、スーパーで買い物したら、どうでしょうか…男だから、先ず、お菓子でウロウロで駄目ですね…女性は、子供に買う、と見られるからいい…女性がお菓子が好きでもいい…我々なら、どうやったら楽しくスーパーで買い物出来るでしょうか…汚い格好をする、だらしない感じ…」
 「ふかわが聞きます。ふかわは、だらしないですが、服だけで、違和感が酷い…なるほど!チグハグ過ぎておかしい…ふかわ!ふかわは、ちょっと勘違いが酷いのだと…モデルが追い剥ぎに合ったようだと…追い剥ぎに合ったのに、気付いてないようで、この世に存在しない世界の王子が、物見遊山をして、日本の文化に馴染めないようだ…イメージがチグハグ…ふかわ。自分が分かっていませんでした。合ってました!確認したら、貴方の言う通りでした!俺は…!そんなにおかしい…おかしいって、そういうのではないと…嫉妬されてるし、喰い物にしたいから、世界知らずのままにしておきたいからだ…ふかわ!ふかわですが、肉体が読みました。本当です。気になって仕方ないのです。モデルが追い剥ぎ…嬉しかったです。お礼します。違和感が酷いんですね。顔や身体、髪は、気を付けています。服だけボロボロで、それでだらしないのか、違いますよね…余計、目立つことになってる…分かりました。変人だから、しょうがないというような気持ちがありましたが、そうじゃなかったんですね。嫉妬されてるから、おかしい…アムラーキムタクひどい版です。排除したい。なるほど。駄目だと思わせておきたい…理解を深めます…混乱してます…変人というのは、ステレオタイプから外れている…自分らしいということ…欲の大きい人間は、器も大きく、求めるものも大きく、成し遂げることも大きい…だから、防空壕のスネ夫は、卑屈になって、殺しておきたい…坂本っ龍馬のように…坂本っ龍馬…現在は、トモカズセキですが、坂本っ龍馬の前世は、ジャンヌ・ダルクです…本人も見ています…驚いていましたよ…本当です…まだ勇気が無いのです…お腹が空いてる…長く一人で、嫉妬する前に、全力で勝ちに行き、後悔しないように常に気を付けているから、俺達のような、人より上か、勝っておきたい、そのような気持ちはないよですね、興味もない…ポテトチップスを買い忘れる…そういう、後悔をしないように、全力で全てに取り組んでいるから、人より劣っていることがあっても、自分を納得させることが出来る。全力で取り組んだ結果、叶わなかった。自分は至らなかったことが分かったから、潔く負けを認めよう。教えを乞うことにしよう。仕方ない。自分は、全力でやって出来なかった。限界だったから、仕方ない。諦めがつく…そうなのですね…」
 
 「リヒトイタガキが喋ります。ふかわの話、役に立ちました。モデルが追い剥ぎ…そんな感じでした。見ました。まいちゅーぶで。違和感が半端ないですね。だらしない…違いますね。俺達は、世間や、自分への認識がズレていると思いました。基本的には、ふかわの、存在しない世界の王子が日本の文化に馴染めなくて、追い剥ぎに合っても分からない、そんな感じなんだと思いました。敵にとって、そういう認識の方が喰い物にしやすくて、いいのだと思いました。だから、こんな勘違いをさせているのですね。くっつけて、分けてる…この認識のズレも、貴方を利用して…お腹が鳴ってますね…串団子楽しみにしてる…調べます!」
 「高過ぎまひろが、喋ります。いいとされるものが、その時々で、変化する…その元になる理由が、日本の歴史にあるのですが…日本文化の話は貴方によく教えて貰ったのに、役に立てたいです。日本はコミュニティを保つ為に、多数決が重要視される。和を保つことが優先されるので、個々の意見は、それが、理に叶っていることでも、少数派ならば、否定される。勝てば官軍、負ければ賊軍。権力のある者の価値観が、そこでの、正義になるから。伝統を受け継ぐというやり方で、日本の生産力が保たれてきた、そういった背景があるため…だから、多数の支持を集めるもの、そういった価値観が、その時々の正義とされる…コロコロ変わるのですね…お礼します!ふかわに怒られてます!色々、造物主に教えてもらってるのに、役立てないなんて、恩知らずだと…そうだ!そうだ!…造物主が、怒ってます…当たり前ですね…」

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