197 / 758
貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
貴族令嬢は舐められたら終わりなのよ。
「どうして……」
叫び声の後の静けさの中。グレイが呆然として理由を問うた時、外が何やら騒がしくなっていた。
トリスタンが「失礼、」と言って席を立ち、扉を出て行く。イズーが「何やら役人が来たようです」と緊張の面持ちになる。
「アヤスラニ帝国で大罪を犯した帝国人が密航してコリピサに逃げ込んだそうだ、この辺りでそれらしき目撃証言があった、何か知っている事は無いかと申しております。こちらへやって来るかも知れません」
皆、息を飲んでスレイマンとイドゥリースを見た。二人共顔を険しくして固まっている。
私はさっと部屋を見回す。黙って分厚いカーテンを指さした。グレイが意図を察して頷き、一人ずつ隠れるように誘導する。
更にカーテンの前に馬の脚共と中脚に移動して貰った。私は皆を見渡す。
「……ここは任せて頂戴。イズーさん、扇を開いたら扉を開けて下さいね」
イズーは頷いて扉の傍に行く。何やらガリア王国語で言い合いながら近づいて来る足音。
――よし、私は女優。ガラスで出来た仮面を被るのよ!
サリーナから受け取った扇を顔の前でパラリと開くと、扉が開かれた。
「――まあ、騒々しい。一体何事ですの? 私達の優雅なお茶会の一時を邪魔するなんて」
入って来た役人――強欲そうな中年男だった――はいきなり浴びせられた不機嫌そうなトラス王国語と明らかに身分の高そうな面々の冷ややかな視線に一瞬怯んだようだった。後ろには身形の良いアヤスラニ帝国人らしき者を連れている。
扇をゆったりと仰ぐ私の姿を見て取ると、その役人は貴人への礼儀の教育は受けているのか紳士の礼を取った。
「こ、これは失礼を。貴女様方はトラス王国からの客人…でお間違いないでしょうか」
訛りのあるトラス王国語。私はつんと顔を逸らし、傲慢な我儘令嬢に見えるように尊大な態度を取る。
「ええ、我が国の枢機卿猊下と共に巡礼の旅で遥々やって来ましたの。私はトラス王国のキャンディ伯爵家の娘、マリアージュ。何か問題でもおありかしら。
折角皆で楽しくお茶会をしていたというのにこのように不躾に邪魔をされて興覚めですわ。一体何の御用ですの? 返答次第によっては正式に抗議させて頂きますことよ」
扇を閉じて相手の顔に突き付ける。外交問題になればお前さんの身代で責任とれるんか、ああん?
視線に圧を込めると、役人の顔が分かりやすく引き攣った。
「だから申し上げたのです、トラス王国からの貴人をおもてなししていると。仰るような、怪しいアヤスラニ帝国人など居りませんよ」
トリスタンが追い打ちを掛ける。役人はハンカチを取り出し、汗を拭き始めた。
「そ……そのようですな。念の為、ここはキーマン商会の建物だったと思うのですが、何故伯爵家のご令嬢が?」
それでも職務を果たそうとする役人。
――おい、おっさん。私、名乗ったよな?
舐められてるな、これは。演技ではなくイラっとした。
「……その前に、この私が名乗って差し上げたと言うのに名乗らない、自称コリピサの『役人』と仰る貴方にお名前を訊いても宜しいかしら? ああ、名無しでいらしたのならごめんなさいねぇ?」
ご令嬢の笑みで言うと、役人は慌てて「失礼しましたっ! チッチョ・ペスクッチと申します!」と直立不動になる。
私は母ティヴィーナが怒った時の様に目をすぅっと細めた。
「そう、チッチョ・ペスクッチさんと仰るのね。ようく覚えておきますわ。詮索好きのチッチョさんの為に教えて差し上げますが、キーマン商会の跡取りであるこちらのトラス王国ルフナー子爵家のグレイは私の婚約者。私が婚約者と共に居てはいけませんの?」
「いえ、そういう事でしたら。大変ご無礼を致しまして――」
その時、外から何やらガリア王国語で叫び声が聞こえた。『浜辺』とか『死体』とかいう単語――どうも何かを触れ回っているようだ。
チッチョが連れていたアヤスラニ帝国人が駆け出して行く。
置いて行かれた役人はぎょっとして、彼らを引き留めるようと声を上げたが、ハッとしたように慌ててこちらに向き直ると「浜辺で帝国人の死体が見つかったようです、お邪魔してしまい大変申し訳ありませんでした、何卒何卒穏便に! 失礼致します!」と頭を深々と下げ、逃げるように去って行った。肝っ玉がチッチョ!
***
耳を澄ませて暫く。
「ふん、行ったようね」
静けさが戻って来ていた。もう大丈夫だろう。カレル兄がくつくつと笑った。
「あの男は出世出来ないな。恐らくだが、後ろにいたアヤスラニ帝国人に賄賂でも掴まされていたのだろう。それも相当な額を」
トリスタンもはい、と頷く。
「情報提供があったとしても、役人が外国人を連れて歩いたりはしませんからね。それに、アヤスラニ帝国で罪を犯したとしても、コリピサでは帝国の法は通用しない。つまり、罪を犯していなければ捕まる事はないのです」
密航したとしても、この町から出ない限りは特に入国審査も不要ですしね、と続ける。ふむ。
チッチョ、やっぱり通報しておこう。
ああいう男はいつか取り返しの付かないポカをやりそうだ。ガリア王国の為にもならないだろうし、私はシルに手紙を書くことに決めた。
「二人共、もう出てきていいよ」
グレイが声を掛けると、スレイマンとイドゥリースがそっとカーテンから出て来る。顔色は悪かったが、危機を乗り越えたからかホッとした表情になっていた。
彼ら二人がソファーに座ると、サリーナが紅茶を淹れてあげている。
「先程、浜辺にアヤスラニ帝国人の首なし死体が打ち上げられていたと街の者が触れ回っていました。着ている物から高貴な身分だろうと」
イズーの言葉に合点がいった。
「ああ、それで慌てて帝国人が走って行ったのね」
私はスレイマンを見た。ちらりと、その隣のイドゥリースに視線を滑らせる。
「――命を、狙われているのね?」
ティーカップの温もりを確かめるように両手で持ったスレイマンはこくりと頷いた。
「はい、イドゥリースはアヤスラニに居たら命が危ないデス。私達は貴方達からすれば異教徒、デスね。だから聖地に近いこの町を選んで逃げ込みマシタ。簡単に追いかけられないようにデス」
それでも追って来ていたのだから、イドゥリースという人は相当な人物なのだろう。
カレル兄も同じことを思ったようで、
「というか、そのイドゥリースという人は帝国でかなり身分のある人間だと推察するが――何をして国を追われるような事になったんだ?」
と訊く。スレイマンは黙って紅茶の水面に視線を落とした。
グレイが真剣な顔でじっと彼らを見詰める。
「スレイマン。亡命したいというのなら、全てを話してくれないか。先程の事で彼らが信用出来るというのは分かっただろう?」
暫しの後、スレイマンは顔を上げた。隣を見て帝国語で何事かを言うと、イドゥリースが頷く。
こちらに視線を戻したスレイマンは喉をごくりと鳴らした。
「スルタン・イブラヒームリ・イドゥリース――スルタンというのは皇帝の事デス。イドゥリースは、アヤスラニの皇帝、イブラヒーム陛下の十三番目の息子。
彼は学問が好きで、星の研究してマス。星と運命の関係。それで未来に良くない事が起こると言いマシタ。でも、陛下も皇子も皆……信じナイ、嘘ダと言ってイドゥリースを殺せと言いマシタ」
叫び声の後の静けさの中。グレイが呆然として理由を問うた時、外が何やら騒がしくなっていた。
トリスタンが「失礼、」と言って席を立ち、扉を出て行く。イズーが「何やら役人が来たようです」と緊張の面持ちになる。
「アヤスラニ帝国で大罪を犯した帝国人が密航してコリピサに逃げ込んだそうだ、この辺りでそれらしき目撃証言があった、何か知っている事は無いかと申しております。こちらへやって来るかも知れません」
皆、息を飲んでスレイマンとイドゥリースを見た。二人共顔を険しくして固まっている。
私はさっと部屋を見回す。黙って分厚いカーテンを指さした。グレイが意図を察して頷き、一人ずつ隠れるように誘導する。
更にカーテンの前に馬の脚共と中脚に移動して貰った。私は皆を見渡す。
「……ここは任せて頂戴。イズーさん、扇を開いたら扉を開けて下さいね」
イズーは頷いて扉の傍に行く。何やらガリア王国語で言い合いながら近づいて来る足音。
――よし、私は女優。ガラスで出来た仮面を被るのよ!
サリーナから受け取った扇を顔の前でパラリと開くと、扉が開かれた。
「――まあ、騒々しい。一体何事ですの? 私達の優雅なお茶会の一時を邪魔するなんて」
入って来た役人――強欲そうな中年男だった――はいきなり浴びせられた不機嫌そうなトラス王国語と明らかに身分の高そうな面々の冷ややかな視線に一瞬怯んだようだった。後ろには身形の良いアヤスラニ帝国人らしき者を連れている。
扇をゆったりと仰ぐ私の姿を見て取ると、その役人は貴人への礼儀の教育は受けているのか紳士の礼を取った。
「こ、これは失礼を。貴女様方はトラス王国からの客人…でお間違いないでしょうか」
訛りのあるトラス王国語。私はつんと顔を逸らし、傲慢な我儘令嬢に見えるように尊大な態度を取る。
「ええ、我が国の枢機卿猊下と共に巡礼の旅で遥々やって来ましたの。私はトラス王国のキャンディ伯爵家の娘、マリアージュ。何か問題でもおありかしら。
折角皆で楽しくお茶会をしていたというのにこのように不躾に邪魔をされて興覚めですわ。一体何の御用ですの? 返答次第によっては正式に抗議させて頂きますことよ」
扇を閉じて相手の顔に突き付ける。外交問題になればお前さんの身代で責任とれるんか、ああん?
視線に圧を込めると、役人の顔が分かりやすく引き攣った。
「だから申し上げたのです、トラス王国からの貴人をおもてなししていると。仰るような、怪しいアヤスラニ帝国人など居りませんよ」
トリスタンが追い打ちを掛ける。役人はハンカチを取り出し、汗を拭き始めた。
「そ……そのようですな。念の為、ここはキーマン商会の建物だったと思うのですが、何故伯爵家のご令嬢が?」
それでも職務を果たそうとする役人。
――おい、おっさん。私、名乗ったよな?
舐められてるな、これは。演技ではなくイラっとした。
「……その前に、この私が名乗って差し上げたと言うのに名乗らない、自称コリピサの『役人』と仰る貴方にお名前を訊いても宜しいかしら? ああ、名無しでいらしたのならごめんなさいねぇ?」
ご令嬢の笑みで言うと、役人は慌てて「失礼しましたっ! チッチョ・ペスクッチと申します!」と直立不動になる。
私は母ティヴィーナが怒った時の様に目をすぅっと細めた。
「そう、チッチョ・ペスクッチさんと仰るのね。ようく覚えておきますわ。詮索好きのチッチョさんの為に教えて差し上げますが、キーマン商会の跡取りであるこちらのトラス王国ルフナー子爵家のグレイは私の婚約者。私が婚約者と共に居てはいけませんの?」
「いえ、そういう事でしたら。大変ご無礼を致しまして――」
その時、外から何やらガリア王国語で叫び声が聞こえた。『浜辺』とか『死体』とかいう単語――どうも何かを触れ回っているようだ。
チッチョが連れていたアヤスラニ帝国人が駆け出して行く。
置いて行かれた役人はぎょっとして、彼らを引き留めるようと声を上げたが、ハッとしたように慌ててこちらに向き直ると「浜辺で帝国人の死体が見つかったようです、お邪魔してしまい大変申し訳ありませんでした、何卒何卒穏便に! 失礼致します!」と頭を深々と下げ、逃げるように去って行った。肝っ玉がチッチョ!
***
耳を澄ませて暫く。
「ふん、行ったようね」
静けさが戻って来ていた。もう大丈夫だろう。カレル兄がくつくつと笑った。
「あの男は出世出来ないな。恐らくだが、後ろにいたアヤスラニ帝国人に賄賂でも掴まされていたのだろう。それも相当な額を」
トリスタンもはい、と頷く。
「情報提供があったとしても、役人が外国人を連れて歩いたりはしませんからね。それに、アヤスラニ帝国で罪を犯したとしても、コリピサでは帝国の法は通用しない。つまり、罪を犯していなければ捕まる事はないのです」
密航したとしても、この町から出ない限りは特に入国審査も不要ですしね、と続ける。ふむ。
チッチョ、やっぱり通報しておこう。
ああいう男はいつか取り返しの付かないポカをやりそうだ。ガリア王国の為にもならないだろうし、私はシルに手紙を書くことに決めた。
「二人共、もう出てきていいよ」
グレイが声を掛けると、スレイマンとイドゥリースがそっとカーテンから出て来る。顔色は悪かったが、危機を乗り越えたからかホッとした表情になっていた。
彼ら二人がソファーに座ると、サリーナが紅茶を淹れてあげている。
「先程、浜辺にアヤスラニ帝国人の首なし死体が打ち上げられていたと街の者が触れ回っていました。着ている物から高貴な身分だろうと」
イズーの言葉に合点がいった。
「ああ、それで慌てて帝国人が走って行ったのね」
私はスレイマンを見た。ちらりと、その隣のイドゥリースに視線を滑らせる。
「――命を、狙われているのね?」
ティーカップの温もりを確かめるように両手で持ったスレイマンはこくりと頷いた。
「はい、イドゥリースはアヤスラニに居たら命が危ないデス。私達は貴方達からすれば異教徒、デスね。だから聖地に近いこの町を選んで逃げ込みマシタ。簡単に追いかけられないようにデス」
それでも追って来ていたのだから、イドゥリースという人は相当な人物なのだろう。
カレル兄も同じことを思ったようで、
「というか、そのイドゥリースという人は帝国でかなり身分のある人間だと推察するが――何をして国を追われるような事になったんだ?」
と訊く。スレイマンは黙って紅茶の水面に視線を落とした。
グレイが真剣な顔でじっと彼らを見詰める。
「スレイマン。亡命したいというのなら、全てを話してくれないか。先程の事で彼らが信用出来るというのは分かっただろう?」
暫しの後、スレイマンは顔を上げた。隣を見て帝国語で何事かを言うと、イドゥリースが頷く。
こちらに視線を戻したスレイマンは喉をごくりと鳴らした。
「スルタン・イブラヒームリ・イドゥリース――スルタンというのは皇帝の事デス。イドゥリースは、アヤスラニの皇帝、イブラヒーム陛下の十三番目の息子。
彼は学問が好きで、星の研究してマス。星と運命の関係。それで未来に良くない事が起こると言いマシタ。でも、陛下も皇子も皆……信じナイ、嘘ダと言ってイドゥリースを殺せと言いマシタ」
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。