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貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
グレイ・ルフナー(94)
「そういう事でしたら婚姻を祝福致しましょう。グレイ殿にも聖女様の夫君として『名誉枢機卿』の称号を差し上げれば箔も付く事かと」
僕はあまりの展開について行けず、また表情を取り繕う事も出来ずにポカンとしてしまっていた。
名誉とは言え、枢機卿という称号を頂く事自体、僕がサリューン枢機卿猊下に並ぶ地位になる事を意味している。
あれからマリーと合流した後。
中央大聖堂を通り、隣接する建物の一室――恐らく貴人の為の特別な応接室に通された僕達。
別行動中に訊かれたのか、マリーがスレイマン達の事を説明している。異教徒だからどうなる事かとハラハラしていたけれど、意外にもサングマ教皇猊下は彼らを受け入れ、聖地に居る間の身の安全を保証してくれた。
「ありがとうございマス」
「カンシャイタシマス」
二人がたどたどしく礼を述べた後。マリーが僕達の婚姻について切り出し――その結果、このような驚くべき提案を頂いてしまったのだ。
僕が――『名誉枢機卿』だって!?
まさかこんな大事になるなんて。
ああでも、と思う。
確かマリーは以前、災厄の事さえ解決すれば聖女を辞す、というような事を言っていた。そしてそれはサングマ教皇猊下にも伝わっている事だろう。
だから僕を取り込む事で、聖女であるマリーを繋ぎ止めようとしているんだ。
「折角ならば、聖女様のお披露目と共に執り行おうと思うのですが如何でございましょうか。丁度『聖女降臨節』もございますし、」とサングマ教皇猊下は続けて仰せになる。
僕が口を挟む暇も無く。衝撃から立ち直り、我に返って気が付いた時にはもう、マリーの「それでお願いします」との一言で全てが決まってしまっていた。
***
事件が起こったのはその後。
マリーが初代聖女様が残したという手記を見せて貰う事になり、マリーの指名で僕とカレル様、前脚と後ろ脚が共に行く事になった。
聖地でも限られた人間しか入れないという秘密の場所で、聖地が聖地たる所以はその場所にこそあるらしい。
建物の中を歩き続けると、やがて開けた場所に出た。
そこには途方もない歳月を思わせるような巨木があり、その傍には小さな石造りの門と四角い石室のようなものが鎮座している。
教皇猊下が仰るにはこれこそが教会の本体であり、初代聖女様とその夫の王の墓であるという事だった。
僕も聖女の夫となる。古代の王に感慨深い思いを抱き、また大変貴重な体験をさせて貰っている、と感慨深く思いながら祈りを捧げた。
『聖女の手記』そのものは別の場所に保管してあるそうで、僕達はそこを後にして進む。
修道騎士達によって厳重に警備されているその場所は、石を積んで造られた大きな建物だった。奇妙な事に、窓が無い。
教皇猊下が仰るには、初代聖女様やその夫である王の遺品や、貴重な資料等が収められているらしい。
その説明に、マリーが感心したように頷いた。
「劣化を防ぐ為に日光を遮っているのね」
「さようでございます」
成る程。
僕達は入り口の所で灯りを受け取ると、内部へと踏み込んだ。
薄暗い石室の中、炎の光が辺りを照らす。ガラス張りにされたその中には、古代のものと思われる装飾品等がずらりと並べられていた。
その中に、初代聖女の手記と思われるものがあった。一枚一枚、丁寧に広げられ陳列されている。
近付いて見てみるけれど、僕にはさっぱり分からない言葉で書かれていた。
しかしマリーは違ったらしい。意味の分からない言葉を呟くなり、雷に打たれたようにその前で動かなくなってしまった。
目を見開いて手記の文面を食い入るように見詰めるマリー。
――様子が明らかにおかしい。
恐ろしいものを見てしまったように恐怖で彩られた表情を浮かべている。
やがて、その体がカタカタと小刻みに震え出して。
「マリー!?」
僕が叫びその身体を抱き込むのと同時に、彼女の体がぐらりと傾ぐ。腕に掛かる力無きその重み――僕も支えきれず、なし崩しに崩れ落ちるように座り込んでしまったのである。
***
「グレイ様、ここは私が」
前脚がさっとマリーの体を抱き上げた。僕は彼女を委ね、礼を言って立ち上がる。
「聖女様!? どうなさったのですか!」
ぐったりしたマリーにサングマ教皇猊下は慌てふためいている。異変に気付いた修道騎士達が入って来るも、気絶したマリーを見て立ち尽くしてしまった。
カレル様が彼女の口元に指を近づける。
「呼吸はちゃんとしています。ただ、気絶しているだけかと」
その言葉にホッとする。教皇猊下も安堵の色を顔に浮かべた。
「それを聞いて安心しました」
「猊下、気になる事が。気を失う直前、手記を前にマリーの表情には恐怖の感情が浮かんでおりました」
「恐怖……」
僕の報告に、サングマ教皇猊下は思案気に呟く。ちらり、と僕達を見渡すと、修道騎士を下がらせた。
「……御身内ばかりなので構わないでしょう。手記に書かれてある内容を、聖女様は理解する事がお出来になります。もしかすると、手記に恐るべき内容が書かれてあったのでは、と」
恐るべき内容?
僕は眉を顰める。気絶する程なら、余程の内容に違いない。
「そうではないかと思っていました」
カレル様が顔を曇らせ、心配げにマリーを見詰める。「一体、何を知ってしまったのか……」
「生憎、解読は未だ……」と教皇猊下は申し訳なさそうに首を振った。
「ひとまずここは戻りましょう、聖女様をお目覚めになるまで休ませて差し上げなければなりません」
その場を後にした僕達は慌ただしく部屋に戻ってマリーをベッドに横たえる。サリューン枢機卿やエヴァン修道士と出くわしてそこでも大騒ぎになった。スレイマンとイドゥリースも騒ぎに気付いて顔を出す。
一度僕達は室外へ出て、事の次第を彼らに説明している間、サリーナが彼女の服を着替えさせて布団を掛けて整えてくれていた。
「まだ目覚めないのか……」
数刻もすれば意識を取り戻すだろう、との予想に反し、マリーは死体の様に昏々と眠り続けていた。
寝返りも、身じろぎすらしない。そんな彼女の姿を見ていると、僕は漠然と不安になった。
まるで、魂がどこかへ行ってしまって肉体だけが抜け殻としてそこにあるような――そんな感覚。
もしかして、このままずっと目覚めないんじゃ……。
不安の余り、彼女が目覚めるまで傍に居る事にした。カレル様や前脚達も同様だったのだろう。同じ部屋で彼女の目覚めを待つ事になった。
サリューン枢機卿猊下とエヴァン修道士は身内ではないと言う事で、扉の外に椅子を持って来させてそこで待ってくれている。スレイマン達は異教徒という事もあり、人目を憚って廊下ではなく部屋で待つそうだ。
サングマ教皇猊下も心配して暫くは部屋にいらっしゃったのだけれど、仕事もあるので、と席を外して行ってしまった。
僕達は食事も部屋の中で済ませ、ただただ待ち続ける。夕方が来て、夜になり。真夜中になった。まんじりともせず一夜明け――遠く、窓の外から鳥の囀り声。
もう朝か…。
「ん……」
聞こえてくるかすかな声と息遣い。
徹夜でぼんやりしていた意識が一気に叩き起こされた。カレル様も気付いたようで、僕達はマリーを覗き込んで声を掛ける。
やがて、窓の外から差し込んできた朝日が彼女の顔を照らしだした、
眩しかったのだろう、マリーは目を開きかけたものの、すぐに顔を顰めていた。
ヨハンとシュテファンも声を掛け、サリーナが気を利かせてカーテンで光を遮る。
マリーの瞼がゆっくりと静かに開かれた。そうして彼女は身じろぎと共に上半身を起き上がらせると、部屋にいる僕達を見渡していく。
「良かった、マリー。急に倒れたから心臓が止まるかと思ったよ」
そう言いながらも、僕は動揺していた。というのも、マリーと目が合った瞬間――彼女が別人になったような妙な幻を見てしまっていたのだ。彼女とは似ても似つかない――黒髪の、異国の女性の顔。
僕は目を擦った。徹夜して疲れているんだろうか?
「教皇猊下を始め、大騒ぎになったんだぞ! 全く、一体どうしたんだ。これまで倒れた事なんて無かっただろう?」
カレル様の言葉に、マリーは目を瞬かせる。
「グレイ、カレル兄……サリーナ、前脚に後ろ脚も。心配かけてごめんなさい」
そうして部屋の扉に目をやった。
「……サリーナ。もう少ししたらサングマ教皇猊下が来られるから――折角だし、今外で待ってくれているサリューン枢機卿とエヴァン修道士、そして中脚と一緒に入って頂きましょう」
その言葉に驚いた僕達は目を見合わせる。確かに外には三人が待っているけれど――何故分かったんだろうか。
数分後、果たして。
教皇猊下はマリーの言う通りにやってきたのである。
僕はあまりの展開について行けず、また表情を取り繕う事も出来ずにポカンとしてしまっていた。
名誉とは言え、枢機卿という称号を頂く事自体、僕がサリューン枢機卿猊下に並ぶ地位になる事を意味している。
あれからマリーと合流した後。
中央大聖堂を通り、隣接する建物の一室――恐らく貴人の為の特別な応接室に通された僕達。
別行動中に訊かれたのか、マリーがスレイマン達の事を説明している。異教徒だからどうなる事かとハラハラしていたけれど、意外にもサングマ教皇猊下は彼らを受け入れ、聖地に居る間の身の安全を保証してくれた。
「ありがとうございマス」
「カンシャイタシマス」
二人がたどたどしく礼を述べた後。マリーが僕達の婚姻について切り出し――その結果、このような驚くべき提案を頂いてしまったのだ。
僕が――『名誉枢機卿』だって!?
まさかこんな大事になるなんて。
ああでも、と思う。
確かマリーは以前、災厄の事さえ解決すれば聖女を辞す、というような事を言っていた。そしてそれはサングマ教皇猊下にも伝わっている事だろう。
だから僕を取り込む事で、聖女であるマリーを繋ぎ止めようとしているんだ。
「折角ならば、聖女様のお披露目と共に執り行おうと思うのですが如何でございましょうか。丁度『聖女降臨節』もございますし、」とサングマ教皇猊下は続けて仰せになる。
僕が口を挟む暇も無く。衝撃から立ち直り、我に返って気が付いた時にはもう、マリーの「それでお願いします」との一言で全てが決まってしまっていた。
***
事件が起こったのはその後。
マリーが初代聖女様が残したという手記を見せて貰う事になり、マリーの指名で僕とカレル様、前脚と後ろ脚が共に行く事になった。
聖地でも限られた人間しか入れないという秘密の場所で、聖地が聖地たる所以はその場所にこそあるらしい。
建物の中を歩き続けると、やがて開けた場所に出た。
そこには途方もない歳月を思わせるような巨木があり、その傍には小さな石造りの門と四角い石室のようなものが鎮座している。
教皇猊下が仰るにはこれこそが教会の本体であり、初代聖女様とその夫の王の墓であるという事だった。
僕も聖女の夫となる。古代の王に感慨深い思いを抱き、また大変貴重な体験をさせて貰っている、と感慨深く思いながら祈りを捧げた。
『聖女の手記』そのものは別の場所に保管してあるそうで、僕達はそこを後にして進む。
修道騎士達によって厳重に警備されているその場所は、石を積んで造られた大きな建物だった。奇妙な事に、窓が無い。
教皇猊下が仰るには、初代聖女様やその夫である王の遺品や、貴重な資料等が収められているらしい。
その説明に、マリーが感心したように頷いた。
「劣化を防ぐ為に日光を遮っているのね」
「さようでございます」
成る程。
僕達は入り口の所で灯りを受け取ると、内部へと踏み込んだ。
薄暗い石室の中、炎の光が辺りを照らす。ガラス張りにされたその中には、古代のものと思われる装飾品等がずらりと並べられていた。
その中に、初代聖女の手記と思われるものがあった。一枚一枚、丁寧に広げられ陳列されている。
近付いて見てみるけれど、僕にはさっぱり分からない言葉で書かれていた。
しかしマリーは違ったらしい。意味の分からない言葉を呟くなり、雷に打たれたようにその前で動かなくなってしまった。
目を見開いて手記の文面を食い入るように見詰めるマリー。
――様子が明らかにおかしい。
恐ろしいものを見てしまったように恐怖で彩られた表情を浮かべている。
やがて、その体がカタカタと小刻みに震え出して。
「マリー!?」
僕が叫びその身体を抱き込むのと同時に、彼女の体がぐらりと傾ぐ。腕に掛かる力無きその重み――僕も支えきれず、なし崩しに崩れ落ちるように座り込んでしまったのである。
***
「グレイ様、ここは私が」
前脚がさっとマリーの体を抱き上げた。僕は彼女を委ね、礼を言って立ち上がる。
「聖女様!? どうなさったのですか!」
ぐったりしたマリーにサングマ教皇猊下は慌てふためいている。異変に気付いた修道騎士達が入って来るも、気絶したマリーを見て立ち尽くしてしまった。
カレル様が彼女の口元に指を近づける。
「呼吸はちゃんとしています。ただ、気絶しているだけかと」
その言葉にホッとする。教皇猊下も安堵の色を顔に浮かべた。
「それを聞いて安心しました」
「猊下、気になる事が。気を失う直前、手記を前にマリーの表情には恐怖の感情が浮かんでおりました」
「恐怖……」
僕の報告に、サングマ教皇猊下は思案気に呟く。ちらり、と僕達を見渡すと、修道騎士を下がらせた。
「……御身内ばかりなので構わないでしょう。手記に書かれてある内容を、聖女様は理解する事がお出来になります。もしかすると、手記に恐るべき内容が書かれてあったのでは、と」
恐るべき内容?
僕は眉を顰める。気絶する程なら、余程の内容に違いない。
「そうではないかと思っていました」
カレル様が顔を曇らせ、心配げにマリーを見詰める。「一体、何を知ってしまったのか……」
「生憎、解読は未だ……」と教皇猊下は申し訳なさそうに首を振った。
「ひとまずここは戻りましょう、聖女様をお目覚めになるまで休ませて差し上げなければなりません」
その場を後にした僕達は慌ただしく部屋に戻ってマリーをベッドに横たえる。サリューン枢機卿やエヴァン修道士と出くわしてそこでも大騒ぎになった。スレイマンとイドゥリースも騒ぎに気付いて顔を出す。
一度僕達は室外へ出て、事の次第を彼らに説明している間、サリーナが彼女の服を着替えさせて布団を掛けて整えてくれていた。
「まだ目覚めないのか……」
数刻もすれば意識を取り戻すだろう、との予想に反し、マリーは死体の様に昏々と眠り続けていた。
寝返りも、身じろぎすらしない。そんな彼女の姿を見ていると、僕は漠然と不安になった。
まるで、魂がどこかへ行ってしまって肉体だけが抜け殻としてそこにあるような――そんな感覚。
もしかして、このままずっと目覚めないんじゃ……。
不安の余り、彼女が目覚めるまで傍に居る事にした。カレル様や前脚達も同様だったのだろう。同じ部屋で彼女の目覚めを待つ事になった。
サリューン枢機卿猊下とエヴァン修道士は身内ではないと言う事で、扉の外に椅子を持って来させてそこで待ってくれている。スレイマン達は異教徒という事もあり、人目を憚って廊下ではなく部屋で待つそうだ。
サングマ教皇猊下も心配して暫くは部屋にいらっしゃったのだけれど、仕事もあるので、と席を外して行ってしまった。
僕達は食事も部屋の中で済ませ、ただただ待ち続ける。夕方が来て、夜になり。真夜中になった。まんじりともせず一夜明け――遠く、窓の外から鳥の囀り声。
もう朝か…。
「ん……」
聞こえてくるかすかな声と息遣い。
徹夜でぼんやりしていた意識が一気に叩き起こされた。カレル様も気付いたようで、僕達はマリーを覗き込んで声を掛ける。
やがて、窓の外から差し込んできた朝日が彼女の顔を照らしだした、
眩しかったのだろう、マリーは目を開きかけたものの、すぐに顔を顰めていた。
ヨハンとシュテファンも声を掛け、サリーナが気を利かせてカーテンで光を遮る。
マリーの瞼がゆっくりと静かに開かれた。そうして彼女は身じろぎと共に上半身を起き上がらせると、部屋にいる僕達を見渡していく。
「良かった、マリー。急に倒れたから心臓が止まるかと思ったよ」
そう言いながらも、僕は動揺していた。というのも、マリーと目が合った瞬間――彼女が別人になったような妙な幻を見てしまっていたのだ。彼女とは似ても似つかない――黒髪の、異国の女性の顔。
僕は目を擦った。徹夜して疲れているんだろうか?
「教皇猊下を始め、大騒ぎになったんだぞ! 全く、一体どうしたんだ。これまで倒れた事なんて無かっただろう?」
カレル様の言葉に、マリーは目を瞬かせる。
「グレイ、カレル兄……サリーナ、前脚に後ろ脚も。心配かけてごめんなさい」
そうして部屋の扉に目をやった。
「……サリーナ。もう少ししたらサングマ教皇猊下が来られるから――折角だし、今外で待ってくれているサリューン枢機卿とエヴァン修道士、そして中脚と一緒に入って頂きましょう」
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