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貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
知ってはいけない~キャンディ伯爵家の最高機密~
ああああ、あああああああ――!!
内心大混乱に陥りながらも、私は降って湧いた状況に対応しきれず、ただただグレイと見つめ合う事しか出来ない。
――な、何とか。何か言わなきゃ。
心ばかりが焦っていく。
グレイの視線が、やがて上下に交互に動き始めた。
私の顔を見て、愛馬を見て。それを繰り返しているのだ。ああ、その気持ちは良く分かる。立場が逆だったら私もそうしていたかも知れない。
「お、おはようグレイ。早いのね」
辛うじて。ようやっと絞り出した言葉はありきたりの朝の挨拶でグレイの注意を引く事に成功した。
だが、声が変に裏返ってしまって――これではやましい事があるってバレバレじゃんか、私の馬鹿!
「ああ………………うん、おはよう、マリー」
グレイは一応返事はしてくれた。だが、「ああ」の後の間が物凄っごく空いている。
その目線は間違いなく、この愛馬に釘付けになっていた。
「マリー、それ……何と言うか、お祭りみたいで凄いね」
言葉を探して言ったのが丸分かりである。
「ライドオンしている君の脳内もお祭り状態なの?」という二重音声(幻聴)が聞こえた気がして勝手にダメージを受ける。いや、グレイはそんな人じゃないのは分かってるけれども。
しかし、彼の言葉尻に私はかすかに希望を見出した。
「へっ、ああっ……そ、そうなのよ! こここここれっ、聖女様ごっこをしたいってメリーがいうものだからこっそりと作らせて! こうして早朝くこっそり試験走行していたところよ」
すまぬ、メリー。お姉ちゃまの為に泥を被ってくれ。
内心必死でメリーに詫びを入れながらも私は笑顔を無理やり作った。
しかし返って来たのはジト目である。
「駄目だよ、マリー。嘘なんて吐いたら。翼の生えた天馬なんて、絵には描かれているけど、架空の生き物だもの。
聖女ごっこしたいのなら普通、マリーの聖女の錫杖や衣装に似たものを作らせる筈じゃないの?」
な、何だと……誤魔化されて、くれないだと!?
私、大ピンチ!
愕然としている間にもグレイの追い打ちは尚も容赦無く続く。
「……マリー。さっき雑談交じりに、サリーナが毎朝の習慣でここに立ってマリーを待ってるって話を聞いた。
という事は、たまたま今日は僕が居ただけで、本当はマリーは毎日それに乗っているんじゃないの?」
グレイの言葉に、サリーナが口元に手をやり、「あっ」と小さな声を上げる。私は唇を噛んだ。
くっ、もはやこれまでか……。
私が観念しかけた、その時。
「マリー様、そう案じられますな」
「その通り、この事がバレたとて、もうグレイ様は夫となられた以上――マリー様から逃げる事などあり得ませぬ」
そ、そうか。そうだな。
馬の脚共からの援護。私は心を持ち直す。その通りだ。聖地で結婚してるし、サングマ教皇が仲人みたいなものだから、グレイはもう私のもの――知られてしまったところでもう既に時遅しの状況、離婚する事は出来ない。
「えっ…何か、不穏な台詞が聞こえて来たんだけど……」
私はニヤリと笑って下馬し、戸惑うグレイに向き直った。馬の脚共が愛馬を脱ぎ捨てる。
サリーナが済まなさそうに近寄って来て、「申し訳ありません」と囁きながらバスケットの中の布と着替えを渡すと、前脚と後ろ脚は愛馬(本体)を残し、屋敷の方へ戻って行った。
本体は一度着替えてから取りに戻って来るのだ。そのままだと汗で湿った衣服で風邪を引くからな。
「前脚と、後ろ脚……そうか! そう言う事だったんだ!」
馬の脚共を見送っていたグレイが何となしに呟き、やがて合点がいったというようにポンと手を打った。私はうっそりと目を細める。
「そうよ、グレイ。貴方の推測した通りよ。この事はキャンディ伯爵家の最高機密だったのだけれど――こうして知られてしまったからには仕方が無いわ。この事も含めて私を受け入れてくれない限り、無事にルフナー家に逃げ帰れるとは思わないで!」
「最高機密!? ええっ?」
グレイはぎょっとしたように愛馬(本体)を見た。
そうだ。君は知ってはいけない事を知ってしまったのだよ。日本の真の支配者が那辺にあるのかという事と同じくね。
私は徐に手を伸ばす。グレイよ、これは序の口に過ぎない――これからもっと凄い事を見せるのだから。
「サリーナ!」
「はい」
サリーナから餌袋を受け取る。池の畔には、愚民共がさながら上棟式後の餅まきを今か今かと待ち受ける貧民集団の如くひしめき合い、そわそわとしていた。
ちなみに餅まきとは『散餅の儀』もしくは『散餅銭の儀』と呼ばれ、元は災いを払う為の神事である。
ふっ――良いだろう、今日は景気良くパーッと撒いてやる!
秘密を知られ、やけっぱちになった私はもはや開き直っていた。もう怖い物は何もない。
息をすぅ、と大きく吸い込む。
「おーっほっほっほっほっ! 愚民共ぉぉぉ――、聖女様からの施しですわぁぁぁ――! 泣いて私に平伏すがいいわぁ!」
盛大にばら撒かれた残飯が、歓喜乱舞する愚民共に一斉に降り注いだ。
***
「ぷっ…」
「何よ」
「くくっ……」
「笑いたければ笑えばいいでしょう?」
「ご、ごめんマリー。でももう駄目だ、耐え切れない!」
謝罪をしながらも、呼吸困難を引き起こしそうな勢いでお腹を抱えて笑い転げるグレイ。
怒涛の餌やりが終わった後、馬の脚共が戻って来て、グレイに我が家の最高機密を説明する事になった。話を聞くにつれ、このような事になったのである。
「い、いーひっひっひっ、本物の馬を買って貰えなかったから、人の動かす作り物の馬で屋敷中を駆け回ったのが切っ掛けだったなんて! それもリディクトに似たのから天馬まで色々代を重ねているとか!
キ、キャンディ伯爵家の最高、機、密、あは、あはは、しかもその習慣が続いているって、面白すぎる!!」
「これが案外良い鍛錬になるのでございます! マリー様もお喜び下さいますし、一石二鳥と言う奴です!」
「お蔭様で我ら兄弟、持久力と俊敏性は他の者よりも抜きんでております! グレイ様には申し訳ありませんが、リディクトにだって負けませぬ!」
新たに判明する事実。私……馬の脚共のウエイトトレーニングの重石だった。
得意気な馬の脚共のドヤ顔とポーズに、グレイがとうとう笑い過ぎてえづき始める。
「も、もうやめて、僕の腹筋が壊れる!」
「グレイのバカバカバカ! そんなに笑わなくてもいいじゃない!」
私はちょっとムカついて、背中を丸めるグレイをぽかぽかと叩いたのだった。
グレイの笑い発作がある程度収まった後――
「はぁ……それにしても鬱憤晴らしの為にあんな凄い餌やりの仕方を……ぷぷっ。まぁこれは僕も理解出来るけどさ」
腹が立つ相手と商売した時は特にね、というグレイ。
私はぷくっとむくれた。
「だって、前世ではこの世界みたいに堅苦しく無くて色々何でも自由に出来る環境だったんだもの。令嬢教育なんて鬱憤が溜まってしょうがなかったわ」
「成程ね」
頷くグレイ。私はおずおずと切り出した。
「あの、それでね。出来ればルフナー子爵家でもこの習慣は続けたいって思ってるんだけど……」
「あ」
グレイはその事に今気づいたと言わんばかりに、愕然とした顔で馬の脚共を振り返った。前脚と後ろ脚が良い笑顔でサムズアップしている。
「う、うーん……そうだね。屋敷の塀を高く増築して、大丈夫なようにしておくよ」
「まあ、グレイ! 大好きよ、ありがとう!」
その台詞を受け入れてくれたのだと受け取った私。喜んで彼に抱き着くと、嘆息しながらも抱き返してくれる。
「明日は我が身、それと惚れた弱みって奴かぁ」
どういう意味かしらね、うふふ。
内心大混乱に陥りながらも、私は降って湧いた状況に対応しきれず、ただただグレイと見つめ合う事しか出来ない。
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グレイの視線が、やがて上下に交互に動き始めた。
私の顔を見て、愛馬を見て。それを繰り返しているのだ。ああ、その気持ちは良く分かる。立場が逆だったら私もそうしていたかも知れない。
「お、おはようグレイ。早いのね」
辛うじて。ようやっと絞り出した言葉はありきたりの朝の挨拶でグレイの注意を引く事に成功した。
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「ああ………………うん、おはよう、マリー」
グレイは一応返事はしてくれた。だが、「ああ」の後の間が物凄っごく空いている。
その目線は間違いなく、この愛馬に釘付けになっていた。
「マリー、それ……何と言うか、お祭りみたいで凄いね」
言葉を探して言ったのが丸分かりである。
「ライドオンしている君の脳内もお祭り状態なの?」という二重音声(幻聴)が聞こえた気がして勝手にダメージを受ける。いや、グレイはそんな人じゃないのは分かってるけれども。
しかし、彼の言葉尻に私はかすかに希望を見出した。
「へっ、ああっ……そ、そうなのよ! こここここれっ、聖女様ごっこをしたいってメリーがいうものだからこっそりと作らせて! こうして早朝くこっそり試験走行していたところよ」
すまぬ、メリー。お姉ちゃまの為に泥を被ってくれ。
内心必死でメリーに詫びを入れながらも私は笑顔を無理やり作った。
しかし返って来たのはジト目である。
「駄目だよ、マリー。嘘なんて吐いたら。翼の生えた天馬なんて、絵には描かれているけど、架空の生き物だもの。
聖女ごっこしたいのなら普通、マリーの聖女の錫杖や衣装に似たものを作らせる筈じゃないの?」
な、何だと……誤魔化されて、くれないだと!?
私、大ピンチ!
愕然としている間にもグレイの追い打ちは尚も容赦無く続く。
「……マリー。さっき雑談交じりに、サリーナが毎朝の習慣でここに立ってマリーを待ってるって話を聞いた。
という事は、たまたま今日は僕が居ただけで、本当はマリーは毎日それに乗っているんじゃないの?」
グレイの言葉に、サリーナが口元に手をやり、「あっ」と小さな声を上げる。私は唇を噛んだ。
くっ、もはやこれまでか……。
私が観念しかけた、その時。
「マリー様、そう案じられますな」
「その通り、この事がバレたとて、もうグレイ様は夫となられた以上――マリー様から逃げる事などあり得ませぬ」
そ、そうか。そうだな。
馬の脚共からの援護。私は心を持ち直す。その通りだ。聖地で結婚してるし、サングマ教皇が仲人みたいなものだから、グレイはもう私のもの――知られてしまったところでもう既に時遅しの状況、離婚する事は出来ない。
「えっ…何か、不穏な台詞が聞こえて来たんだけど……」
私はニヤリと笑って下馬し、戸惑うグレイに向き直った。馬の脚共が愛馬を脱ぎ捨てる。
サリーナが済まなさそうに近寄って来て、「申し訳ありません」と囁きながらバスケットの中の布と着替えを渡すと、前脚と後ろ脚は愛馬(本体)を残し、屋敷の方へ戻って行った。
本体は一度着替えてから取りに戻って来るのだ。そのままだと汗で湿った衣服で風邪を引くからな。
「前脚と、後ろ脚……そうか! そう言う事だったんだ!」
馬の脚共を見送っていたグレイが何となしに呟き、やがて合点がいったというようにポンと手を打った。私はうっそりと目を細める。
「そうよ、グレイ。貴方の推測した通りよ。この事はキャンディ伯爵家の最高機密だったのだけれど――こうして知られてしまったからには仕方が無いわ。この事も含めて私を受け入れてくれない限り、無事にルフナー家に逃げ帰れるとは思わないで!」
「最高機密!? ええっ?」
グレイはぎょっとしたように愛馬(本体)を見た。
そうだ。君は知ってはいけない事を知ってしまったのだよ。日本の真の支配者が那辺にあるのかという事と同じくね。
私は徐に手を伸ばす。グレイよ、これは序の口に過ぎない――これからもっと凄い事を見せるのだから。
「サリーナ!」
「はい」
サリーナから餌袋を受け取る。池の畔には、愚民共がさながら上棟式後の餅まきを今か今かと待ち受ける貧民集団の如くひしめき合い、そわそわとしていた。
ちなみに餅まきとは『散餅の儀』もしくは『散餅銭の儀』と呼ばれ、元は災いを払う為の神事である。
ふっ――良いだろう、今日は景気良くパーッと撒いてやる!
秘密を知られ、やけっぱちになった私はもはや開き直っていた。もう怖い物は何もない。
息をすぅ、と大きく吸い込む。
「おーっほっほっほっほっ! 愚民共ぉぉぉ――、聖女様からの施しですわぁぁぁ――! 泣いて私に平伏すがいいわぁ!」
盛大にばら撒かれた残飯が、歓喜乱舞する愚民共に一斉に降り注いだ。
***
「ぷっ…」
「何よ」
「くくっ……」
「笑いたければ笑えばいいでしょう?」
「ご、ごめんマリー。でももう駄目だ、耐え切れない!」
謝罪をしながらも、呼吸困難を引き起こしそうな勢いでお腹を抱えて笑い転げるグレイ。
怒涛の餌やりが終わった後、馬の脚共が戻って来て、グレイに我が家の最高機密を説明する事になった。話を聞くにつれ、このような事になったのである。
「い、いーひっひっひっ、本物の馬を買って貰えなかったから、人の動かす作り物の馬で屋敷中を駆け回ったのが切っ掛けだったなんて! それもリディクトに似たのから天馬まで色々代を重ねているとか!
キ、キャンディ伯爵家の最高、機、密、あは、あはは、しかもその習慣が続いているって、面白すぎる!!」
「これが案外良い鍛錬になるのでございます! マリー様もお喜び下さいますし、一石二鳥と言う奴です!」
「お蔭様で我ら兄弟、持久力と俊敏性は他の者よりも抜きんでております! グレイ様には申し訳ありませんが、リディクトにだって負けませぬ!」
新たに判明する事実。私……馬の脚共のウエイトトレーニングの重石だった。
得意気な馬の脚共のドヤ顔とポーズに、グレイがとうとう笑い過ぎてえづき始める。
「も、もうやめて、僕の腹筋が壊れる!」
「グレイのバカバカバカ! そんなに笑わなくてもいいじゃない!」
私はちょっとムカついて、背中を丸めるグレイをぽかぽかと叩いたのだった。
グレイの笑い発作がある程度収まった後――
「はぁ……それにしても鬱憤晴らしの為にあんな凄い餌やりの仕方を……ぷぷっ。まぁこれは僕も理解出来るけどさ」
腹が立つ相手と商売した時は特にね、というグレイ。
私はぷくっとむくれた。
「だって、前世ではこの世界みたいに堅苦しく無くて色々何でも自由に出来る環境だったんだもの。令嬢教育なんて鬱憤が溜まってしょうがなかったわ」
「成程ね」
頷くグレイ。私はおずおずと切り出した。
「あの、それでね。出来ればルフナー子爵家でもこの習慣は続けたいって思ってるんだけど……」
「あ」
グレイはその事に今気づいたと言わんばかりに、愕然とした顔で馬の脚共を振り返った。前脚と後ろ脚が良い笑顔でサムズアップしている。
「う、うーん……そうだね。屋敷の塀を高く増築して、大丈夫なようにしておくよ」
「まあ、グレイ! 大好きよ、ありがとう!」
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