266 / 758
貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
日本人が長期海外滞在から帰国して一番に行きたい場所。
次の日、私は陞爵もしくは叙爵に関わる領地候補の地図十数枚と睨めっこしていた。真ん中に我が家の領地の地図を置き、大体の位置関係で地図を並べてみている。
小規模ながら、未発見の鉱物資源がある場所を幾つか見つけたのだけれど――いずれもキャンディ伯爵家程の規模はなく、実入りの面から言えばどの領地も五十歩百歩だった。
「うーん、何処がいいのかなぁ」
キャンディ伯爵領は、王都から見て南方、高地に差し掛かる地域一帯にあり、いわばトラス王国のど真ん中である。
地形をざっくり言うと、北は平地で南は高地。
勿論銀山や持参金にする金山、ダイヤモンド鉱山があるのも全て南の高地の中。その他高地では主に酪農が盛んであり、毎年美味しいチーズやバターが献上されて来ていた。
北の平地では葡萄・リンゴといった果樹や小麦の栽培がなされ、近年そこに養蜂業も加わる事になるだろう。
また領都はかなり栄えている。というのも、東西南北を繋ぐ交通の要衝となっており、銀山に関わる物や人の流れ、それを当て込んだ商売人等が集まっているからだ。非常に恵まれた土地であると言えよう。
ただ難点は――トラス王国の南方の港、ジュリヴァへ行くのが多少不便な事。
山越えしていくか東の方に流れるシャンブリル川まで迂回するしかない。
平地を馬車で行く方が楽だから、大抵の人は高地の端を迂回するように移動すると聞く。そりゃそうだ。山越えは私だって遠慮したい。
極端にキャンディ伯爵領やルフナー子爵領から離れた領地は除外する。どの道平地ばかりで鉱山資源は無かった土地だったし。
すると残ったのはいずれもキャンディ伯爵領に接する領地が三つ。
一つ目はうちの領地から見て西側に接する、西が海に面していて小さな港を持つ細長い領地。
二つ目は東南に接する南に小さな港も付いて来る領地。
三つめは北に接する王都と繋がる平地。
グレイが北の海に繰り出して商売をしたいというのであれば一つ目が良いし、このまま異国との商売中心でやるならば二つ目が良い。
三つめは現在王領だそうだけど、リプトン伯爵領とも接していて何かと便利そうではある。
ちなみに私個人の希望は二つ目だ。見つけた鉱物資源も多かったし、何よりキャンディ伯爵領とナヴィガポールの間にある領地。
ナヴィガポールは元々グレイの親戚パント伯爵領だったそうで、結婚に失敗して出戻ったグレイの母方の祖母が与えられてルフナー子爵家を興し独立したのだと聞いた。
出来ればナヴィガポールまで続く領地が欲しい。パント伯爵と交渉して貰えれば嬉しいのだけれど。
ふとガリア王国の温泉を思い出す。
トラス王国にも温泉があればなぁ、と少し魔が差して温泉が無いか透視した時。
――なん、だと!?
「あった……」
というか、キャンディ伯爵領の高地の中に休火山が存在していた。
そう言えば、日本で金銀が採れるのは火山国だからだったっけ。
しかも、うちだけじゃなく有力候補地にした二つ目の領地にも温泉があるんだけど!
今更ながらの事を思いながら、私は降って湧いた温泉にテンションが上がる。
嬉しさの余り部屋中を飛び跳ねてサバトの如く踊り狂った――サリーナがやってきて正気を疑われるまで。
***
「という事なの。私の希望は南の小さな港とナヴィガポールね。それと温泉! 持参金に欲しい!」
サリーナのチベスナのような目に言い訳を繰り返しながらやってきた父サイモンの執務室。
絞り込んだ領地とその資源等も全て伝えた上で、私は父とグレイを前にそう主張した。
日本人にとって、温泉は全てを凌駕するのである。
ちなみに温泉は持参金にして、温泉リゾート計画と洒落込む所存である。温泉に覚醒して成分も透視したところ、キャンディ伯爵領のは素晴らしきラドン温泉。ホルミシス効果万歳。そして候補領地のそれは炭酸水素塩泉、美肌の湯。冷え改善に効く事だろう。
「温泉……熱い湧き水か。何故そんなに喜ぶのか分からんが、お前が見つけたものだしまあよかろう」
そもそも、トラス王国では温泉……というか入浴の習慣は余りポピュラーでなかった。
我が家は私を筆頭に比較的入浴する方だが、それでも私程の長風呂はしない。
父サイモンは首を傾げながらもあっさりと私に温泉をくれた。やったね!
いずれ湯布院の如きリゾートにしてみせよう! 鉱夫だって温泉の良さを知るに違いない。
「だけどこの西の港も捨て難い……」
「この銀山も…惜しい」
父とグレイは惜しんでかなりの時間悩んでいたけれど、結局は私と同じ結論になった。
父が惜しんだ銀山も一代で掘り尽くすような極小規模なものだったし、北や西の諸国との貿易にしろ開拓されきっていてあまり旨味が無かったからだ。
パント伯爵を交えた協議の末――グレイは無事にナヴィガポール含む我がキャンディ伯爵領へ続く地を拝領する事となった。
挙式後に独立する形でダージリン伯爵と名を改めて立ち。そして義兄アールがダージリン伯爵家の寄子としてルフナー子爵位とナヴィガポールを継ぐ事に決まった。陞爵ではなく新たに叙爵という形になったのだった。
***
そうこうしている内に、気が付けば月が替わっていた。
命を狙われる危険性は大分減ったけれど、グレイ達はそのまま我が家に滞在している。グレイが伯爵になるにあたり、屋敷も新たに構えなければならなくなった。ルフナー子爵家の屋敷は義兄アールのものになる。
私やグレイの希望と父の考えで、私達の屋敷はキャンディ伯爵家に隣接する土地に建てる事になった。
実質、我が家を増築するようなものである。
それが決まってグレイは明らかにホッとしている様子だった。
少し気になって精神感応で探ると、一番は馬の脚共つまり私の朝の乗馬に関しての安堵。二番は警備面。
いや、そっちが最初に来るんかい! そりゃあ最高機密ではあるけれども。
思い出しながら内心ツッコミを入れていると。
「マリー、どうかしら?」
アナベラ姉がやってきて、面白い袖のドレスを披露してきた。
肘から下部分がスリットのある長い薄絹になっている。
「まあ、変わったドレスね」
トラス王国では見ない形である。そう言うと、「イドゥリース様のお国ではこのような作りをしているそうよ」とアナベラ姉。
「ええっ、アヤスラニ帝国風のドレスって事?」
「そう言う事になるわね、うふふ。最近、イドゥリース様とスレイマン様は兄様達や私達と社交界に出掛けたりしているでしょう?」
「そうね。異国的で趣深いと方々から招待されていたのよね」
私は同意して頷いた。
そう、彼らの容姿が物珍しかったらしく、あちこちからお呼びが掛かっていたのは知っている。
言葉の事や我が家が後見しているという理由から、グレイ、アナベラ姉、母、兄達二人のどちらかと一緒に出掛けているのを何度か見た記憶がある。
「そうよ。それでね、社交界ではアヤスラニ帝国風の服が流行し始めているの。洒落者の殿方はそれっぽく頭や腰に帯を巻いたりしているわ」
そこでアナベラ姉は女性の衣装について彼らに訊いてみたらしい。幾つか絵を描いて貰ってそれでこのドレスを作らせてみたとの事。
「そんな袖だったらダンスの時にひらひらと動いてきっと綺麗に見えるでしょうね」
「うふふ、マリーもそう思う?」
そこへ、義兄アールとグレイ、イドゥリースとスレイマンがやってきた。
「君は何を着ても良く似合う。今は異国に捕らわれの姫君のようだ。綺麗だよ、アナ」
「今度この衣装で夜会に出ようと考えているの。貴方もちゃんと対になる衣装を着てね」
「勿論さ。ところでマリー、ごきげんよう。マリーもグレイにドレスを作って貰うと良いですよ」
「アールお義兄様もごきげん宜しいみたいね。あまり着る事は無いかも知れないけれど、機会があれば作って貰おうかしら」
相変わらずアナベラ姉にベタ惚れの義兄だと内心苦笑いしながら私は頷いた。
早速新しいドレスでダンスの練習に、とアナベラ姉達が行ってしまうと、私はグレイ達に顔を向ける。
「仲良きことは美しきかな。だけど、すっかり当てられちゃったわ」
首を竦めて言うと、グレイもちろりと舌を出して同じ仕草をした。
「僕もだよ」
小規模ながら、未発見の鉱物資源がある場所を幾つか見つけたのだけれど――いずれもキャンディ伯爵家程の規模はなく、実入りの面から言えばどの領地も五十歩百歩だった。
「うーん、何処がいいのかなぁ」
キャンディ伯爵領は、王都から見て南方、高地に差し掛かる地域一帯にあり、いわばトラス王国のど真ん中である。
地形をざっくり言うと、北は平地で南は高地。
勿論銀山や持参金にする金山、ダイヤモンド鉱山があるのも全て南の高地の中。その他高地では主に酪農が盛んであり、毎年美味しいチーズやバターが献上されて来ていた。
北の平地では葡萄・リンゴといった果樹や小麦の栽培がなされ、近年そこに養蜂業も加わる事になるだろう。
また領都はかなり栄えている。というのも、東西南北を繋ぐ交通の要衝となっており、銀山に関わる物や人の流れ、それを当て込んだ商売人等が集まっているからだ。非常に恵まれた土地であると言えよう。
ただ難点は――トラス王国の南方の港、ジュリヴァへ行くのが多少不便な事。
山越えしていくか東の方に流れるシャンブリル川まで迂回するしかない。
平地を馬車で行く方が楽だから、大抵の人は高地の端を迂回するように移動すると聞く。そりゃそうだ。山越えは私だって遠慮したい。
極端にキャンディ伯爵領やルフナー子爵領から離れた領地は除外する。どの道平地ばかりで鉱山資源は無かった土地だったし。
すると残ったのはいずれもキャンディ伯爵領に接する領地が三つ。
一つ目はうちの領地から見て西側に接する、西が海に面していて小さな港を持つ細長い領地。
二つ目は東南に接する南に小さな港も付いて来る領地。
三つめは北に接する王都と繋がる平地。
グレイが北の海に繰り出して商売をしたいというのであれば一つ目が良いし、このまま異国との商売中心でやるならば二つ目が良い。
三つめは現在王領だそうだけど、リプトン伯爵領とも接していて何かと便利そうではある。
ちなみに私個人の希望は二つ目だ。見つけた鉱物資源も多かったし、何よりキャンディ伯爵領とナヴィガポールの間にある領地。
ナヴィガポールは元々グレイの親戚パント伯爵領だったそうで、結婚に失敗して出戻ったグレイの母方の祖母が与えられてルフナー子爵家を興し独立したのだと聞いた。
出来ればナヴィガポールまで続く領地が欲しい。パント伯爵と交渉して貰えれば嬉しいのだけれど。
ふとガリア王国の温泉を思い出す。
トラス王国にも温泉があればなぁ、と少し魔が差して温泉が無いか透視した時。
――なん、だと!?
「あった……」
というか、キャンディ伯爵領の高地の中に休火山が存在していた。
そう言えば、日本で金銀が採れるのは火山国だからだったっけ。
しかも、うちだけじゃなく有力候補地にした二つ目の領地にも温泉があるんだけど!
今更ながらの事を思いながら、私は降って湧いた温泉にテンションが上がる。
嬉しさの余り部屋中を飛び跳ねてサバトの如く踊り狂った――サリーナがやってきて正気を疑われるまで。
***
「という事なの。私の希望は南の小さな港とナヴィガポールね。それと温泉! 持参金に欲しい!」
サリーナのチベスナのような目に言い訳を繰り返しながらやってきた父サイモンの執務室。
絞り込んだ領地とその資源等も全て伝えた上で、私は父とグレイを前にそう主張した。
日本人にとって、温泉は全てを凌駕するのである。
ちなみに温泉は持参金にして、温泉リゾート計画と洒落込む所存である。温泉に覚醒して成分も透視したところ、キャンディ伯爵領のは素晴らしきラドン温泉。ホルミシス効果万歳。そして候補領地のそれは炭酸水素塩泉、美肌の湯。冷え改善に効く事だろう。
「温泉……熱い湧き水か。何故そんなに喜ぶのか分からんが、お前が見つけたものだしまあよかろう」
そもそも、トラス王国では温泉……というか入浴の習慣は余りポピュラーでなかった。
我が家は私を筆頭に比較的入浴する方だが、それでも私程の長風呂はしない。
父サイモンは首を傾げながらもあっさりと私に温泉をくれた。やったね!
いずれ湯布院の如きリゾートにしてみせよう! 鉱夫だって温泉の良さを知るに違いない。
「だけどこの西の港も捨て難い……」
「この銀山も…惜しい」
父とグレイは惜しんでかなりの時間悩んでいたけれど、結局は私と同じ結論になった。
父が惜しんだ銀山も一代で掘り尽くすような極小規模なものだったし、北や西の諸国との貿易にしろ開拓されきっていてあまり旨味が無かったからだ。
パント伯爵を交えた協議の末――グレイは無事にナヴィガポール含む我がキャンディ伯爵領へ続く地を拝領する事となった。
挙式後に独立する形でダージリン伯爵と名を改めて立ち。そして義兄アールがダージリン伯爵家の寄子としてルフナー子爵位とナヴィガポールを継ぐ事に決まった。陞爵ではなく新たに叙爵という形になったのだった。
***
そうこうしている内に、気が付けば月が替わっていた。
命を狙われる危険性は大分減ったけれど、グレイ達はそのまま我が家に滞在している。グレイが伯爵になるにあたり、屋敷も新たに構えなければならなくなった。ルフナー子爵家の屋敷は義兄アールのものになる。
私やグレイの希望と父の考えで、私達の屋敷はキャンディ伯爵家に隣接する土地に建てる事になった。
実質、我が家を増築するようなものである。
それが決まってグレイは明らかにホッとしている様子だった。
少し気になって精神感応で探ると、一番は馬の脚共つまり私の朝の乗馬に関しての安堵。二番は警備面。
いや、そっちが最初に来るんかい! そりゃあ最高機密ではあるけれども。
思い出しながら内心ツッコミを入れていると。
「マリー、どうかしら?」
アナベラ姉がやってきて、面白い袖のドレスを披露してきた。
肘から下部分がスリットのある長い薄絹になっている。
「まあ、変わったドレスね」
トラス王国では見ない形である。そう言うと、「イドゥリース様のお国ではこのような作りをしているそうよ」とアナベラ姉。
「ええっ、アヤスラニ帝国風のドレスって事?」
「そう言う事になるわね、うふふ。最近、イドゥリース様とスレイマン様は兄様達や私達と社交界に出掛けたりしているでしょう?」
「そうね。異国的で趣深いと方々から招待されていたのよね」
私は同意して頷いた。
そう、彼らの容姿が物珍しかったらしく、あちこちからお呼びが掛かっていたのは知っている。
言葉の事や我が家が後見しているという理由から、グレイ、アナベラ姉、母、兄達二人のどちらかと一緒に出掛けているのを何度か見た記憶がある。
「そうよ。それでね、社交界ではアヤスラニ帝国風の服が流行し始めているの。洒落者の殿方はそれっぽく頭や腰に帯を巻いたりしているわ」
そこでアナベラ姉は女性の衣装について彼らに訊いてみたらしい。幾つか絵を描いて貰ってそれでこのドレスを作らせてみたとの事。
「そんな袖だったらダンスの時にひらひらと動いてきっと綺麗に見えるでしょうね」
「うふふ、マリーもそう思う?」
そこへ、義兄アールとグレイ、イドゥリースとスレイマンがやってきた。
「君は何を着ても良く似合う。今は異国に捕らわれの姫君のようだ。綺麗だよ、アナ」
「今度この衣装で夜会に出ようと考えているの。貴方もちゃんと対になる衣装を着てね」
「勿論さ。ところでマリー、ごきげんよう。マリーもグレイにドレスを作って貰うと良いですよ」
「アールお義兄様もごきげん宜しいみたいね。あまり着る事は無いかも知れないけれど、機会があれば作って貰おうかしら」
相変わらずアナベラ姉にベタ惚れの義兄だと内心苦笑いしながら私は頷いた。
早速新しいドレスでダンスの練習に、とアナベラ姉達が行ってしまうと、私はグレイ達に顔を向ける。
「仲良きことは美しきかな。だけど、すっかり当てられちゃったわ」
首を竦めて言うと、グレイもちろりと舌を出して同じ仕草をした。
「僕もだよ」
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。