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うら若き有閑貴族夫人になったからには、安穏なだらだらニート生活をしたい。【1】
アンダー・ザ・シー!
グレイと話した後。
精神的疲労感が凄かったので、一時休んでからシルを探して精神感応を使った。
『シル、シル、聞こえる? マリーよ! お願い助けて欲しいの!』
『えっ、マリー!? 助けてって……尋常じゃない感じだけど、何があったんだ?』
『実は……』
ざっと状況を話す。驚いて絶句しているシルに、グレイの案を伝えた。
『……そこで、トラス王国の貴族令嬢が行方不明になっている、誘拐されたかも知れないからという理由で船を囲んで検問をして欲しいの!』
そう、これがグレイの考えだった。
最初から聖女を攫ったのだろう! と言えば相手も死に物狂いで抵抗するだろう。
だけど、フレールを理由とすれば?
『僕なら、マリーを隠してフレールを身代わりにすることで誤魔化そうとするだろうね』――そうグレイは言った。
実はフレールは家出同然に旅に出て行ったらしく、行方を尋ねる手紙が来ていたらしい。近隣諸国まで捜索協力を願う連絡が行っていてもおかしくはないとのこと。
私の話を聞いたシルは、
『事態は一刻を争うようだから、すぐさま軍艦を動かそう!』
と快諾してくれた。
私は船の特徴を伝える。
『この船には砲が積んであるわ。囲んだ時点で攻撃して逃げる可能性もあるから気を付けて』
『分かった。こちらも何時でも迎撃出来るようにしておこう』
――良かった。これで助かる。
こちらはコスタポリへ向かっている。あちらも出発してくれれば上手く時間短縮で鉢合わせ出来るだろう。
私は時が解決してくれるのを願って大人しく待つだけでいい。
時間稼ぎしている間に上手くグレイの船が追い付いてくれさえすれば。
「『ダンカン! お前気でも狂ったか!?』」
「『おかしいのは私では無く殿下ですぞ! 殿下はその魔女の邪悪な力に誑かされておいでなのです。この人形をご覧ください、中には殿下の髪の毛が入っておりました。その魔女が殿下を呪ったのです。殿下に正気に戻って頂く為にもその魔女は殺さねばなりませぬ!』」
しかし、そんな私の見通しは甘かったようだ。
***
安堵して大人しくしている所にダンカン達がいきなりやって来て、刃物をちらつかせて「命が惜しくば来い!」と私を無理やり船室から引きずり出すように連れだした。
大声を上げて必死に抵抗するも、男の力には敵わない。甲板に連れて来られると、そこには船乗り達、アーダム皇子の配下の男達、デブランツ大司教、フレールの姿。
ダンカンは私を乱暴に床に突き飛ばした。
「痛っ……」
痛みに耐える間も無く「立て!」と言われ、のろのろと身を起こす。
ダンカンはと仰ぎ見ると、何故かフレールの呪い人形を手に持っていて、それを私に向かって突き付けて来た。
「これに見覚えがあるだろう? 貴様は邪法を使ってアーダム皇子に呪いをかけた――そうだな?」
え、ちょっと待って。
混乱した私はフレールに視線を移す。
フレールはきゃあああっ、と悲鳴を上げて私の視線から逃れるように逃げた。
「恐ろしいですわ! この魔女は邪視で私を呪おうとしているのよ! デブランツ大司教様、助けて下さいまし!」
「魔女よ、己の罪を悔い改めよ!」
デブランツ大司教はフレールを庇い、聖句を唱えて私を睨み付ける。
私は咄嗟に精神感応を使い――自分がフレールに陥れられたのだと理解した。
瞬時に湧き上がる怒り。
コントロールが効かなかったのか、デブランツ大司教が燃え上がった。
「『ぎゃあああ!!』」
男達が慌てて転がりのたうつデブランツ大司教を叩いて消火する。
「魔女……本当に?」
船乗り達の私を見る目に畏怖の光が宿ったように感じた。
「――何だ、この騒ぎは!」
そこへ、アーダム皇子が現れた。
男達に囲まれて床に座り込んでいる私の姿を認めて瞠目し、慌てて近寄って来る。
「『お待ちください!』」
しかしすれ違いざまにダンカンに腕を掴まれて制止された。
「せ……姫が何故ここにいる! 『まさか、彼女に報復しようとしているのか、ダンカン! 個人的な恨みは忘れると約束したではないか!』」
「『いいえ、私個人の恨みではございません。この女は殿下に害となります。今ここで殺しておかねばなりませぬ』」
一歩も引かない様子のダンカン。アーダム皇子は「『殺すだと!?』」と驚愕の声を上げた。
気でも狂ったのか、と言うアーダム皇子に、ダンカンはおかしいのはアーダム皇子で魔女である私の邪悪な力に騙されているのだと言った。
人形を見せ、私が皇子を呪っていると。その邪悪な力と呪いの影響を消すために私を殺さねばならぬのだと。
アーダム皇子は人形を見、私に視線を移した。
「……呪い? そなた、私を呪ったのか?」
「んな訳ないでしょ!? フレール様が私を呪おうと拾い上げた髪の毛がたまたま貴方のものだっただけよ!」
しかしアーダム皇子が何かを言う前に、消火に成功したデブランツ大司教が後退りしながら叫ぶ。
「何ということだ! 罪を認めぬばかりか、か弱きフレール嬢に罪を擦り付けようとしているのか!」
「やかましいわ! 私は身一つで意識を失ったまま攫われて来ましたわ! その私がいつどこでそんなけったいな呪いの人形を手に入れられますの!?」
負けじと叫び返すと、船乗りの中で立派な服装をした――きっと船長だと思う――が、アーダム皇子をじろりと見た。
「攫われた……? どういうことですかい、旦那達はまさか、あっしらに誘拐の片棒を担がせたので?」
「それは……」
アーダムが答えに窮すると、フレールが前へ進み出た。
「皆様、魔女のでっち上げ話に騙されないで下さいまし! 先程火の気も無いのにデブランツ大司教が燃えたではありませんの! 魔女なら何もない所から呪いの人形を生み出すことぐらい可能ですわ、きっと!」
「フレール嬢の言う通り。皆、魔女の妖言に騙されてはならぬ」
デブランツ大司教もフレールに同意する。
「その娘が魔女なら……海神が怒りなさるかもしれねぇな」
ぽつり、と船乗りの一人が呟いたのを皮切りに、アーダム皇子以外の男達が怪しい光を帯びた眼差しを私に向け始めた。示し合わせたように武器を鞘から抜いていく。
「ちょっと……何をするつもりなの?」
「そなたらも、止めよ! 『ダンカン、私の命令に背くというのか!』」
「『これだけは殿下のご命令を訊けませぬ、ご容赦を』」
アーダム皇子は舌打ちをし、私を抱き上げて肩に担ぐと、船尾に向かって駆け出した。
***
「『殿下、ご理解頂けませぬか』」
「『ダンカン、お前こそ手を引け。さもなくば私はお前を殺すより他は無くなる』」
私達は船長室に追い詰められていた。
扉に鍵をかけたものの、多勢に無勢で扉はあっさり破壊されて乗り込まれてしまう。
アーダム皇子はじりじりと包囲され、私は船長室から出た小さなテラスに逃げるしかなかった。
もう逃げ場はない。頼みの鳥の姿も無い沖の海上。
『誰か、助けて!』
グレイの乗っている船の位置を把握する余裕も無く、私は外へ向けて精神感応を無差別に飛ばす。
『他の船でもいい。何でもいいから誰か助けてええええっ!』
ダンカンはアーダム皇子が剣を構えるのも構わずに近付いて来る。腹心の部下を手に掛けるのを躊躇った、その一瞬の隙――
「『このダンカン、殿下の手にかかるのならば死すとも本望――今だ!!』」
アーダム皇子の配下達が一斉に飛び掛かり、アーダム皇子を拘束する。その隙にダンカンが脇をすり抜けるように肉薄し。
「魔女よ、殿下を呪った罪、死んで償え!」
私に向かって剣を振り上げた。
「聖女おおお――っ!!!」
アーダム皇子が目を見開き、男達に自由を奪われながらもこちらに手を伸ばして叫んだ、その瞬間。
――ドオン!
突如として大きな音と共に船体が大きく揺らいだ。
私はバランスを崩してテラスから足を踏み外す。
一瞬の浮遊感の後、体全体が冷たい水に包まれた。
ゴボゴボと口から洩れる空気の泡。そう、私は海へと投げ出されてしまったのだ。
精神的疲労感が凄かったので、一時休んでからシルを探して精神感応を使った。
『シル、シル、聞こえる? マリーよ! お願い助けて欲しいの!』
『えっ、マリー!? 助けてって……尋常じゃない感じだけど、何があったんだ?』
『実は……』
ざっと状況を話す。驚いて絶句しているシルに、グレイの案を伝えた。
『……そこで、トラス王国の貴族令嬢が行方不明になっている、誘拐されたかも知れないからという理由で船を囲んで検問をして欲しいの!』
そう、これがグレイの考えだった。
最初から聖女を攫ったのだろう! と言えば相手も死に物狂いで抵抗するだろう。
だけど、フレールを理由とすれば?
『僕なら、マリーを隠してフレールを身代わりにすることで誤魔化そうとするだろうね』――そうグレイは言った。
実はフレールは家出同然に旅に出て行ったらしく、行方を尋ねる手紙が来ていたらしい。近隣諸国まで捜索協力を願う連絡が行っていてもおかしくはないとのこと。
私の話を聞いたシルは、
『事態は一刻を争うようだから、すぐさま軍艦を動かそう!』
と快諾してくれた。
私は船の特徴を伝える。
『この船には砲が積んであるわ。囲んだ時点で攻撃して逃げる可能性もあるから気を付けて』
『分かった。こちらも何時でも迎撃出来るようにしておこう』
――良かった。これで助かる。
こちらはコスタポリへ向かっている。あちらも出発してくれれば上手く時間短縮で鉢合わせ出来るだろう。
私は時が解決してくれるのを願って大人しく待つだけでいい。
時間稼ぎしている間に上手くグレイの船が追い付いてくれさえすれば。
「『ダンカン! お前気でも狂ったか!?』」
「『おかしいのは私では無く殿下ですぞ! 殿下はその魔女の邪悪な力に誑かされておいでなのです。この人形をご覧ください、中には殿下の髪の毛が入っておりました。その魔女が殿下を呪ったのです。殿下に正気に戻って頂く為にもその魔女は殺さねばなりませぬ!』」
しかし、そんな私の見通しは甘かったようだ。
***
安堵して大人しくしている所にダンカン達がいきなりやって来て、刃物をちらつかせて「命が惜しくば来い!」と私を無理やり船室から引きずり出すように連れだした。
大声を上げて必死に抵抗するも、男の力には敵わない。甲板に連れて来られると、そこには船乗り達、アーダム皇子の配下の男達、デブランツ大司教、フレールの姿。
ダンカンは私を乱暴に床に突き飛ばした。
「痛っ……」
痛みに耐える間も無く「立て!」と言われ、のろのろと身を起こす。
ダンカンはと仰ぎ見ると、何故かフレールの呪い人形を手に持っていて、それを私に向かって突き付けて来た。
「これに見覚えがあるだろう? 貴様は邪法を使ってアーダム皇子に呪いをかけた――そうだな?」
え、ちょっと待って。
混乱した私はフレールに視線を移す。
フレールはきゃあああっ、と悲鳴を上げて私の視線から逃れるように逃げた。
「恐ろしいですわ! この魔女は邪視で私を呪おうとしているのよ! デブランツ大司教様、助けて下さいまし!」
「魔女よ、己の罪を悔い改めよ!」
デブランツ大司教はフレールを庇い、聖句を唱えて私を睨み付ける。
私は咄嗟に精神感応を使い――自分がフレールに陥れられたのだと理解した。
瞬時に湧き上がる怒り。
コントロールが効かなかったのか、デブランツ大司教が燃え上がった。
「『ぎゃあああ!!』」
男達が慌てて転がりのたうつデブランツ大司教を叩いて消火する。
「魔女……本当に?」
船乗り達の私を見る目に畏怖の光が宿ったように感じた。
「――何だ、この騒ぎは!」
そこへ、アーダム皇子が現れた。
男達に囲まれて床に座り込んでいる私の姿を認めて瞠目し、慌てて近寄って来る。
「『お待ちください!』」
しかしすれ違いざまにダンカンに腕を掴まれて制止された。
「せ……姫が何故ここにいる! 『まさか、彼女に報復しようとしているのか、ダンカン! 個人的な恨みは忘れると約束したではないか!』」
「『いいえ、私個人の恨みではございません。この女は殿下に害となります。今ここで殺しておかねばなりませぬ』」
一歩も引かない様子のダンカン。アーダム皇子は「『殺すだと!?』」と驚愕の声を上げた。
気でも狂ったのか、と言うアーダム皇子に、ダンカンはおかしいのはアーダム皇子で魔女である私の邪悪な力に騙されているのだと言った。
人形を見せ、私が皇子を呪っていると。その邪悪な力と呪いの影響を消すために私を殺さねばならぬのだと。
アーダム皇子は人形を見、私に視線を移した。
「……呪い? そなた、私を呪ったのか?」
「んな訳ないでしょ!? フレール様が私を呪おうと拾い上げた髪の毛がたまたま貴方のものだっただけよ!」
しかしアーダム皇子が何かを言う前に、消火に成功したデブランツ大司教が後退りしながら叫ぶ。
「何ということだ! 罪を認めぬばかりか、か弱きフレール嬢に罪を擦り付けようとしているのか!」
「やかましいわ! 私は身一つで意識を失ったまま攫われて来ましたわ! その私がいつどこでそんなけったいな呪いの人形を手に入れられますの!?」
負けじと叫び返すと、船乗りの中で立派な服装をした――きっと船長だと思う――が、アーダム皇子をじろりと見た。
「攫われた……? どういうことですかい、旦那達はまさか、あっしらに誘拐の片棒を担がせたので?」
「それは……」
アーダムが答えに窮すると、フレールが前へ進み出た。
「皆様、魔女のでっち上げ話に騙されないで下さいまし! 先程火の気も無いのにデブランツ大司教が燃えたではありませんの! 魔女なら何もない所から呪いの人形を生み出すことぐらい可能ですわ、きっと!」
「フレール嬢の言う通り。皆、魔女の妖言に騙されてはならぬ」
デブランツ大司教もフレールに同意する。
「その娘が魔女なら……海神が怒りなさるかもしれねぇな」
ぽつり、と船乗りの一人が呟いたのを皮切りに、アーダム皇子以外の男達が怪しい光を帯びた眼差しを私に向け始めた。示し合わせたように武器を鞘から抜いていく。
「ちょっと……何をするつもりなの?」
「そなたらも、止めよ! 『ダンカン、私の命令に背くというのか!』」
「『これだけは殿下のご命令を訊けませぬ、ご容赦を』」
アーダム皇子は舌打ちをし、私を抱き上げて肩に担ぐと、船尾に向かって駆け出した。
***
「『殿下、ご理解頂けませぬか』」
「『ダンカン、お前こそ手を引け。さもなくば私はお前を殺すより他は無くなる』」
私達は船長室に追い詰められていた。
扉に鍵をかけたものの、多勢に無勢で扉はあっさり破壊されて乗り込まれてしまう。
アーダム皇子はじりじりと包囲され、私は船長室から出た小さなテラスに逃げるしかなかった。
もう逃げ場はない。頼みの鳥の姿も無い沖の海上。
『誰か、助けて!』
グレイの乗っている船の位置を把握する余裕も無く、私は外へ向けて精神感応を無差別に飛ばす。
『他の船でもいい。何でもいいから誰か助けてええええっ!』
ダンカンはアーダム皇子が剣を構えるのも構わずに近付いて来る。腹心の部下を手に掛けるのを躊躇った、その一瞬の隙――
「『このダンカン、殿下の手にかかるのならば死すとも本望――今だ!!』」
アーダム皇子の配下達が一斉に飛び掛かり、アーダム皇子を拘束する。その隙にダンカンが脇をすり抜けるように肉薄し。
「魔女よ、殿下を呪った罪、死んで償え!」
私に向かって剣を振り上げた。
「聖女おおお――っ!!!」
アーダム皇子が目を見開き、男達に自由を奪われながらもこちらに手を伸ばして叫んだ、その瞬間。
――ドオン!
突如として大きな音と共に船体が大きく揺らいだ。
私はバランスを崩してテラスから足を踏み外す。
一瞬の浮遊感の後、体全体が冷たい水に包まれた。
ゴボゴボと口から洩れる空気の泡。そう、私は海へと投げ出されてしまったのだ。
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