687 / 758
うら若き有閑貴族夫人になったからには、安穏なだらだらニート生活をしたい。【2】
グレイ・ダージリン(190)
「神のご加護厚き、神聖アレマニアを照らす太陽――ルードルフ・フォン・ズィルバーブルク皇帝陛下。我ら教皇以下……敬虔なる神の僕が新年の寿ぎを申し上げまする」
神聖アレマニア帝国皇宮、太陽宮にある大広間。
そこでは例年通り新年の儀が厳かに執り行われていた。
ただ、昨年と違うのは――儀式を執り行う聖職者がエトムント・サラトガル枢機卿ではなく新たに教皇を僭称したアブラーモと大司教デブランツであるということ。そして、広間に列席している貴族達の数が半減していることだ。
加えて、先程まで『トラス王国を冤罪で追われた悲劇の乙女』としてフレールと名乗った女が、魔女の非道と教皇アブラーモの正義を声高に訴えるという茶番劇が繰り広げられていた。
エトムント枢機卿は未だ皇都に戻っていない。
聖女からもたらされたという『神の刻印』の効果を実証するまではという条件で、事実上皇都追放状態にあり――何より、アブラーモが教皇を僭称していることが原因であるに違いない。
寛容派貴族達も枢機卿に倣った。新年の儀への招待状に返って来た返事は欠席ばかり。加えて『我らは教皇アブラーモを認めていない、皇帝陛下は一体何をなさっておられるのか』という抗議文が届くという事態に陥っている。
今や、神聖アレマニア帝国は真っ二つに割れていた。
「神のご加護厚き、か……」
――そんなもの、厚きどころか残されているのかも怪しい。
言葉にこそ出さなかったが、それが紛れも無い本音である。
皮肉気に唇を歪める神聖アレマニア皇帝ルードルフ。このような事態になるのであれば、あの時枢機卿を留め置くのだったと後悔していた。
賠償を要求して来た聖女に対する意趣返しだとばかりに切り捨てたのが仇となった。
ルードルフ自身がアブラーモを教皇と認めた訳ではない。不寛容派貴族達がこぞって追随しただけだ。
恭しく頭を垂れる教皇アブラーモの禿げ頭を、皇帝ルードルフは冷めた目で睥睨した。
「流行り病は今や皇都にまで達し猛威を振るい始めている。そなた達の用意した薬は真実効いているのか。文官からは死者が日に日に増えていると報告を受けている。新年の寿ぎどころではないように思うが」
発端は、アレマニア帝国の北方にある交易港だった。エスパーニャか、それともアルビオンか。何処の国から持ち込まれたかは定かではないが、気が付けば幾人かが疱瘡に倒れたのを皮切りに、瞬く間に広がって行った。
交易港に潜ませていた皇帝の影の者も、幾人か病に倒れたという。
そんな折、寛容派貴族の領地を探らせていた者達が戻って来て報告するには、神の刻印が広まっているあちらは病人も死人も出る事もなくほぼ無傷であると。
彼等もまた、神の刻印を受けて戻って来たそうだ。
『恐らく我らは病に倒れる事はありますまい』
ならばと皇都の現状を探らせると、疱瘡を恐れ家に引き籠る為の民達による食料の買い占め、それに伴う物資の不足と価格高騰が起こっているという。
また、王都から離れる者も少なからず、かつての賑わいが嘘のように閑散としていたと。
『病人を隔離させても、病の広がりは止められず……現在の交易港は死の街となっております。皇都も時間の問題にございましょう。
中央教会に病人が詰めかけておりますが、海路が断絶同然となった今、物資も薬も不足していると。それらの価格も跳ね上がり、死者も出てきておりまする』
神の刻印が功奏するのであれば、枢機卿を呼び戻し、神の刻印を皇都でも施せば良い――が、それをするには教皇を名乗ったアブラーモ一派を排除しなければならない。しかし今の皇都にはアブラーモに追随する不寛容派貴族達が居座り政を牛耳っている。
皇帝に仕える手駒は限られている。覆そうとするならば、流血は免れないだろう。
恃みに出来るのは中立を貫いている、もしくは寛容派の近衛兵や文官達――そして、武に優れた息子のアーダム皇子。国外では聖女の傍に居るエリーザベト皇女ぐらいか。
寛容派貴族達に密使を出して派兵させ、また皇都に残った皇帝の腹心貴族達をかき集めて指揮を取らせ、教皇アブラーモ一派を討つしかないだろう。
「陛下、死者が増えているのは病に倒れる者以上に薬と治療に当たる者が足りなくなってきているのでございます。
また、薬価の高騰の背景には利を求める商人共の買い占めや偽薬も出回っております。
馬を増やし、陸路にて薬の補充を急がせておりますが、それが間に合ったとしてもすぐに病人達に行き渡るかどうか。
もし慈悲深きルードルフ陛下がお許しくださいますならば、急ぎ薬の買い占めを禁じ、全て国でお買い上げの上で民に与えて下さるよう法整備を行って頂ければと存じまする」
民の為、と口では言うが、この危機に乗じて国庫の財をかすめ取ろうとしているに違いない。その後、責任を問われるのを恐れて誰かに罪を擦り付けて保身を図るのだろう。
皇帝は内心怒りを堪え、目を細めた。
「法整備は検討しよう……時に、神の刻印を受けた西には病が出ていないそうだが、そなたはこれを何と見る」
揺さぶりをかけると、アブラーモの顔色が変わった。
「ああ、陛下――それこそかの聖女を名乗る魔女の思うつぼにございましょう! 帝国の西の地、寛容派貴族達は枢機卿共々魔女の手に堕ちたのでございます。
我らは悪魔に魂を売り堕落した者達を討ち滅ぼし、太陽神の名の下に大地を清め、人々を救済せねばなりませぬ!」
――それで内戦を起こして共倒れにさせようと?
影からの報告でアブラーモがルーシ帝国の者と密談していると耳にしたのはつい最近の事。機に乗じて招き入れられたルーシ帝国軍が皇帝とアーダムの首を取り、エリーザベトを確保して統治を行う――そのような筋書きなのだろう。
「朕もそなたと同じ考えである。だが……兵も病に倒れ始め、明らかに足りておらぬ。如何にして?」
獲物は油断させてから屠るものだ――皇帝が賛同してみせると、強張っていたアブラーモの表情が安堵に緩んだ。
「足りない薬はもうじき届けられる筈でございます。先ずは目先の病の流行を食い止めるべきかと。兵を整えられるようになるまで、時間を稼がねばなりませぬ」
「時間稼ぎか……相分かった。アブラーモ、そなたは一度皇都を離れよ」
「……それはどういう意味にございましょう?」
「敵を欺くための策よ。朕は理由を付けて寛容派貴族共に皇宮に参じるよう勅使を出す。そなたが不在と知れば彼らは皇都へやってくるに違いない。
人手が足りておらぬのであろう? 仮にそなたの言う通り魔女との契約で彼らが病に罹らぬのが真実であるのならば、利用する事に越したことは無い。
そなたはその間、東で準備を整えているが良い」
「おお成程! 利用するだけ利用して……流石は陛下にございます。このアブラーモ、感服致しましたぞ!」
弟のデブランツは残して行きます故……とアブラーモは嬉しさを隠さずに下がって行く。それを見送った後、皇帝もまた自室へ戻った。
少し休んだ後、側近に命じて息子アーダム皇子を呼び出して人払いをする。
「父皇陛下、お呼びと伺いました」
「アーダム、近う寄れ」
皇帝ルードルフは先程までに考えた内容とその対策を息子に耳打ちする。
アーダムの目に覇気と喜色が宿った。
「……やっとご決断なさったか」
皇帝は頷く。病が蔓延して初めて神の刻印の効果を知り、やっと目が覚めたのだ。
「国家存亡の危機ではあるが、策成れば次代の神聖皇帝としてそなたの功績となるであろう。
エリーザベトもそろそろ戻って来る筈だが、消息一つ返って来ぬばかりか影の者の報告も皆無。新たに影を送るにもその余裕が無い。疱瘡の病が蔓延する皇都の噂を聞き、道中の何処かで二の足を踏んでいるやも知れぬ。
せめてエリーザベトが戻るまでに皇都の病人達は徹底的に隔離しておいた方が良い。そなたが陣頭指揮を執れば迅速に終わるであろう」
「承知致しました」
アーダムが頭を垂れたところで、扉の向こうから「陛下!」と呼ばわる声がした。
皇帝ルードルフが無言で促すと、アーダムは立ち上がって扉を開ける。
「ダンカンか、何事だ?」
「お、お話し中にお邪魔してしまい申し訳ありませぬ! 今しがた、トラス王国からの伝書鳩が参りまして……その、大変申し上げにくいのですが……エリーザベト殿下へ使いにやった筈の男爵が、酒場で泥酔の上暴れした挙句に牢に囚われたとのことにございます。
その場に居合わせたヴィルバッハ辺境伯が、男爵の釈放をトラス王国に嘆願をしているところだと……如何致しましょうや?」
「「はあぁ~!!?」」
神聖アレマニア皇帝とその息子は同時に声を上げた。
神聖アレマニア帝国皇宮、太陽宮にある大広間。
そこでは例年通り新年の儀が厳かに執り行われていた。
ただ、昨年と違うのは――儀式を執り行う聖職者がエトムント・サラトガル枢機卿ではなく新たに教皇を僭称したアブラーモと大司教デブランツであるということ。そして、広間に列席している貴族達の数が半減していることだ。
加えて、先程まで『トラス王国を冤罪で追われた悲劇の乙女』としてフレールと名乗った女が、魔女の非道と教皇アブラーモの正義を声高に訴えるという茶番劇が繰り広げられていた。
エトムント枢機卿は未だ皇都に戻っていない。
聖女からもたらされたという『神の刻印』の効果を実証するまではという条件で、事実上皇都追放状態にあり――何より、アブラーモが教皇を僭称していることが原因であるに違いない。
寛容派貴族達も枢機卿に倣った。新年の儀への招待状に返って来た返事は欠席ばかり。加えて『我らは教皇アブラーモを認めていない、皇帝陛下は一体何をなさっておられるのか』という抗議文が届くという事態に陥っている。
今や、神聖アレマニア帝国は真っ二つに割れていた。
「神のご加護厚き、か……」
――そんなもの、厚きどころか残されているのかも怪しい。
言葉にこそ出さなかったが、それが紛れも無い本音である。
皮肉気に唇を歪める神聖アレマニア皇帝ルードルフ。このような事態になるのであれば、あの時枢機卿を留め置くのだったと後悔していた。
賠償を要求して来た聖女に対する意趣返しだとばかりに切り捨てたのが仇となった。
ルードルフ自身がアブラーモを教皇と認めた訳ではない。不寛容派貴族達がこぞって追随しただけだ。
恭しく頭を垂れる教皇アブラーモの禿げ頭を、皇帝ルードルフは冷めた目で睥睨した。
「流行り病は今や皇都にまで達し猛威を振るい始めている。そなた達の用意した薬は真実効いているのか。文官からは死者が日に日に増えていると報告を受けている。新年の寿ぎどころではないように思うが」
発端は、アレマニア帝国の北方にある交易港だった。エスパーニャか、それともアルビオンか。何処の国から持ち込まれたかは定かではないが、気が付けば幾人かが疱瘡に倒れたのを皮切りに、瞬く間に広がって行った。
交易港に潜ませていた皇帝の影の者も、幾人か病に倒れたという。
そんな折、寛容派貴族の領地を探らせていた者達が戻って来て報告するには、神の刻印が広まっているあちらは病人も死人も出る事もなくほぼ無傷であると。
彼等もまた、神の刻印を受けて戻って来たそうだ。
『恐らく我らは病に倒れる事はありますまい』
ならばと皇都の現状を探らせると、疱瘡を恐れ家に引き籠る為の民達による食料の買い占め、それに伴う物資の不足と価格高騰が起こっているという。
また、王都から離れる者も少なからず、かつての賑わいが嘘のように閑散としていたと。
『病人を隔離させても、病の広がりは止められず……現在の交易港は死の街となっております。皇都も時間の問題にございましょう。
中央教会に病人が詰めかけておりますが、海路が断絶同然となった今、物資も薬も不足していると。それらの価格も跳ね上がり、死者も出てきておりまする』
神の刻印が功奏するのであれば、枢機卿を呼び戻し、神の刻印を皇都でも施せば良い――が、それをするには教皇を名乗ったアブラーモ一派を排除しなければならない。しかし今の皇都にはアブラーモに追随する不寛容派貴族達が居座り政を牛耳っている。
皇帝に仕える手駒は限られている。覆そうとするならば、流血は免れないだろう。
恃みに出来るのは中立を貫いている、もしくは寛容派の近衛兵や文官達――そして、武に優れた息子のアーダム皇子。国外では聖女の傍に居るエリーザベト皇女ぐらいか。
寛容派貴族達に密使を出して派兵させ、また皇都に残った皇帝の腹心貴族達をかき集めて指揮を取らせ、教皇アブラーモ一派を討つしかないだろう。
「陛下、死者が増えているのは病に倒れる者以上に薬と治療に当たる者が足りなくなってきているのでございます。
また、薬価の高騰の背景には利を求める商人共の買い占めや偽薬も出回っております。
馬を増やし、陸路にて薬の補充を急がせておりますが、それが間に合ったとしてもすぐに病人達に行き渡るかどうか。
もし慈悲深きルードルフ陛下がお許しくださいますならば、急ぎ薬の買い占めを禁じ、全て国でお買い上げの上で民に与えて下さるよう法整備を行って頂ければと存じまする」
民の為、と口では言うが、この危機に乗じて国庫の財をかすめ取ろうとしているに違いない。その後、責任を問われるのを恐れて誰かに罪を擦り付けて保身を図るのだろう。
皇帝は内心怒りを堪え、目を細めた。
「法整備は検討しよう……時に、神の刻印を受けた西には病が出ていないそうだが、そなたはこれを何と見る」
揺さぶりをかけると、アブラーモの顔色が変わった。
「ああ、陛下――それこそかの聖女を名乗る魔女の思うつぼにございましょう! 帝国の西の地、寛容派貴族達は枢機卿共々魔女の手に堕ちたのでございます。
我らは悪魔に魂を売り堕落した者達を討ち滅ぼし、太陽神の名の下に大地を清め、人々を救済せねばなりませぬ!」
――それで内戦を起こして共倒れにさせようと?
影からの報告でアブラーモがルーシ帝国の者と密談していると耳にしたのはつい最近の事。機に乗じて招き入れられたルーシ帝国軍が皇帝とアーダムの首を取り、エリーザベトを確保して統治を行う――そのような筋書きなのだろう。
「朕もそなたと同じ考えである。だが……兵も病に倒れ始め、明らかに足りておらぬ。如何にして?」
獲物は油断させてから屠るものだ――皇帝が賛同してみせると、強張っていたアブラーモの表情が安堵に緩んだ。
「足りない薬はもうじき届けられる筈でございます。先ずは目先の病の流行を食い止めるべきかと。兵を整えられるようになるまで、時間を稼がねばなりませぬ」
「時間稼ぎか……相分かった。アブラーモ、そなたは一度皇都を離れよ」
「……それはどういう意味にございましょう?」
「敵を欺くための策よ。朕は理由を付けて寛容派貴族共に皇宮に参じるよう勅使を出す。そなたが不在と知れば彼らは皇都へやってくるに違いない。
人手が足りておらぬのであろう? 仮にそなたの言う通り魔女との契約で彼らが病に罹らぬのが真実であるのならば、利用する事に越したことは無い。
そなたはその間、東で準備を整えているが良い」
「おお成程! 利用するだけ利用して……流石は陛下にございます。このアブラーモ、感服致しましたぞ!」
弟のデブランツは残して行きます故……とアブラーモは嬉しさを隠さずに下がって行く。それを見送った後、皇帝もまた自室へ戻った。
少し休んだ後、側近に命じて息子アーダム皇子を呼び出して人払いをする。
「父皇陛下、お呼びと伺いました」
「アーダム、近う寄れ」
皇帝ルードルフは先程までに考えた内容とその対策を息子に耳打ちする。
アーダムの目に覇気と喜色が宿った。
「……やっとご決断なさったか」
皇帝は頷く。病が蔓延して初めて神の刻印の効果を知り、やっと目が覚めたのだ。
「国家存亡の危機ではあるが、策成れば次代の神聖皇帝としてそなたの功績となるであろう。
エリーザベトもそろそろ戻って来る筈だが、消息一つ返って来ぬばかりか影の者の報告も皆無。新たに影を送るにもその余裕が無い。疱瘡の病が蔓延する皇都の噂を聞き、道中の何処かで二の足を踏んでいるやも知れぬ。
せめてエリーザベトが戻るまでに皇都の病人達は徹底的に隔離しておいた方が良い。そなたが陣頭指揮を執れば迅速に終わるであろう」
「承知致しました」
アーダムが頭を垂れたところで、扉の向こうから「陛下!」と呼ばわる声がした。
皇帝ルードルフが無言で促すと、アーダムは立ち上がって扉を開ける。
「ダンカンか、何事だ?」
「お、お話し中にお邪魔してしまい申し訳ありませぬ! 今しがた、トラス王国からの伝書鳩が参りまして……その、大変申し上げにくいのですが……エリーザベト殿下へ使いにやった筈の男爵が、酒場で泥酔の上暴れした挙句に牢に囚われたとのことにございます。
その場に居合わせたヴィルバッハ辺境伯が、男爵の釈放をトラス王国に嘆願をしているところだと……如何致しましょうや?」
「「はあぁ~!!?」」
神聖アレマニア皇帝とその息子は同時に声を上げた。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
転生皇女セラフィナ
秋月真鳥
恋愛
公爵家のメイド・クラリッサは、幼い主君アルベルトを庇って十五歳で命を落とした。
目覚めたとき、彼女は皇女セラフィナとして生まれ変わっていた——死の、わずか翌日に。
赤ん坊の身体に十五歳の記憶を持ったまま、セラフィナは新しい人生を歩み始める。
皇帝に溺愛され、優しい母に抱かれ、兄に慈しまれる日々。
前世で冷遇されていた彼女にとって、家族の愛は眩しすぎるほどだった。
しかし、セラフィナの心は前世の主・アルベルトへの想いに揺れ続ける。
一歳のお披露目で再会した彼は、痩せ細り、クラリッサの死を今も引きずっていた。
「わたしは生涯結婚もしなければ子どもを持つこともない。わたしにはそんな幸福は許されない」
そう語るアルベルトの姿に、セラフィナは決意する。
言葉も満足に話せない。自由に動くこともできない。前世の記憶を明かすこともできない。
それでも、彼を救いたい。彼に幸せになってほしい。
転生した皇女が、小さな身体で挑む、長い長い物語が始まる。
※ノベルアップ+、小説家になろうでも掲載しています。