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うら若き有閑貴族夫人になったからには、安穏なだらだらニート生活をしたい。【2】
馬の脚共「「良かれと思って!」」
やべー、寝過ごすところだった!
グレイが機転を利かせて朝ごはんを部屋に運ぶよう手配をしてくれなかったら、サリューン枢機卿達の来訪に到底間に合わなかっただろう。
うう、寝起きでまだ頭が働かない。グレえもーん!
という訳で。
食事がてら、夕べ作った資料をグレイに読んで貰うと、「【国際連合発足の稟議書】、か。またとんでもなく凄い事を考えたね。内容は、良く纏まっていると思うけど……」と少し歯切れが悪い。
何かあるのかと首を傾げると、
「これって、露骨に大国だけが有利にならない? 小国が納得するだろうか?」
まあ確かに庇護を求める国々は小国ばかりだった。だけど、大国であることが必ずしも有利になる訳じゃない。国の規模なりに義務や責任の大きさも違うのだよ。大国である程負担は増えるのだから。
「国家間の力の平衡を調整し、支配する為の機構って訳」
表向きは世界平和と秩序の為であり、宗教宗派の垣根も気にしませんよ~的な内容。しかしその内実は聖女を中心とした組織を構築しながら、宗教分離的な効果が得られるのである。
ありとあらゆる宗教宗派をゆるっと全て認めるならば、もうそれは無宗教と大差無いよね?
「で、他におかしなところは無かったかしら、誤字や脱字の有無は?」と問うと、問題無く誤字脱字も数か所だけだったので一安心。
うむ……しれっとシゴデキなグレイを使って読み直しと校正も完了したし、誤字は上から小さいサイズの紙をノリで貼り付ければ良いか。
「……文字修正は僕がしておくよ。マリーは着替えを急いだ方が良い」
何とも素晴らしく頼もしい旦那である。
食事が終わって大急ぎで洗顔歯磨き化粧着替えを一通り済ませたところで、部屋のノックと共にサリューン枢機卿達の来訪が告げられた。
***
――ちょっと待て。
いつもは広い喫茶室が狭く感じる。
想定外の大所帯に、私は固まっていた。
サリューン枢機卿と外務大臣ディブロマ伯爵……一家(私と親しいということで三婦人の一人エピテュミア夫人も来てくれていた、心強い)までは百歩譲って良しとしよう。
だが、聖女の庇護を求めた国々の使者達までぞろぞろぞろと引き連れてくるのは流石に想定外だったんだけど!?
父サイモンが戸惑い気味にサリューン枢機卿に問い質したところ、直前になって『自国の命運を左右する事なので見学をしたい』と押しかけられたのだそう。それで先触れが間に合わなかったと。
「機密の内容を話す訳でもなく、断る理由もありませんでしたので……」
申し訳なさそうに視線を逸らすサリューン枢機卿。まあ、来てしまったものは仕方がない。知るのが早いか遅いかだけの違いでしかないことだし、こちらの方針を知って帰国する方が彼等にとっても安心出来るだろうから。
グレイがこっそり人を呼びにやらせてくれたカレドニア王国の面々――リュシー様や騎士ドナルドが合流してきた 後、記録役として立候補した聖女専属書記エヴァンがスタンバイして話し合いがスタート。
良く声が通るサリューン枢機卿が適任だろうと、とりあえず稟議書渡して朗読してもらう。
国際組織という概念は前例が無かったのだろう。反応は戸惑いや驚きが多かったと思う。
途中、宗教問答や今朝グレイが指摘した疑問を呈された一幕もあったが、私の答えに皆納得して貰え、結果的に私の稟議書はほぼほぼ認められることとなった――ただ一つ、組織名を除いて。
正式名称はまだ良いんだ。私の考えた無難な名称に決まりかけたところで、馬の脚共が待ったをかけてごねやがり、皆も同意した結果、ちょっと仰々しいけど『聖女の祝福を受けし国家連合』ってやつになってしまって……。
問題はそこからである。前世の世界では、組織名はだいたい正式なそれじゃなく略称で呼ばれる事が多かったが――こちらの文字を相応するアルファベットに直して並べてみると……
後世の歴史の問題、暗記語呂合わせは絶対『ブス連合』!
カシ●ミニを賭けてもいい……持ってないけど。
この世界史上初の国際組織……好意的に考えれば強そうではあるけど、いまいち納得いかない。
さりとて皆が賛成してしまったから今更嫌とも言えず……。
視界の隅に見える、満足気にうんうん頷く馬の脚共のしたり顔が小憎たらしい~~!
グレイが機転を利かせて朝ごはんを部屋に運ぶよう手配をしてくれなかったら、サリューン枢機卿達の来訪に到底間に合わなかっただろう。
うう、寝起きでまだ頭が働かない。グレえもーん!
という訳で。
食事がてら、夕べ作った資料をグレイに読んで貰うと、「【国際連合発足の稟議書】、か。またとんでもなく凄い事を考えたね。内容は、良く纏まっていると思うけど……」と少し歯切れが悪い。
何かあるのかと首を傾げると、
「これって、露骨に大国だけが有利にならない? 小国が納得するだろうか?」
まあ確かに庇護を求める国々は小国ばかりだった。だけど、大国であることが必ずしも有利になる訳じゃない。国の規模なりに義務や責任の大きさも違うのだよ。大国である程負担は増えるのだから。
「国家間の力の平衡を調整し、支配する為の機構って訳」
表向きは世界平和と秩序の為であり、宗教宗派の垣根も気にしませんよ~的な内容。しかしその内実は聖女を中心とした組織を構築しながら、宗教分離的な効果が得られるのである。
ありとあらゆる宗教宗派をゆるっと全て認めるならば、もうそれは無宗教と大差無いよね?
「で、他におかしなところは無かったかしら、誤字や脱字の有無は?」と問うと、問題無く誤字脱字も数か所だけだったので一安心。
うむ……しれっとシゴデキなグレイを使って読み直しと校正も完了したし、誤字は上から小さいサイズの紙をノリで貼り付ければ良いか。
「……文字修正は僕がしておくよ。マリーは着替えを急いだ方が良い」
何とも素晴らしく頼もしい旦那である。
食事が終わって大急ぎで洗顔歯磨き化粧着替えを一通り済ませたところで、部屋のノックと共にサリューン枢機卿達の来訪が告げられた。
***
――ちょっと待て。
いつもは広い喫茶室が狭く感じる。
想定外の大所帯に、私は固まっていた。
サリューン枢機卿と外務大臣ディブロマ伯爵……一家(私と親しいということで三婦人の一人エピテュミア夫人も来てくれていた、心強い)までは百歩譲って良しとしよう。
だが、聖女の庇護を求めた国々の使者達までぞろぞろぞろと引き連れてくるのは流石に想定外だったんだけど!?
父サイモンが戸惑い気味にサリューン枢機卿に問い質したところ、直前になって『自国の命運を左右する事なので見学をしたい』と押しかけられたのだそう。それで先触れが間に合わなかったと。
「機密の内容を話す訳でもなく、断る理由もありませんでしたので……」
申し訳なさそうに視線を逸らすサリューン枢機卿。まあ、来てしまったものは仕方がない。知るのが早いか遅いかだけの違いでしかないことだし、こちらの方針を知って帰国する方が彼等にとっても安心出来るだろうから。
グレイがこっそり人を呼びにやらせてくれたカレドニア王国の面々――リュシー様や騎士ドナルドが合流してきた 後、記録役として立候補した聖女専属書記エヴァンがスタンバイして話し合いがスタート。
良く声が通るサリューン枢機卿が適任だろうと、とりあえず稟議書渡して朗読してもらう。
国際組織という概念は前例が無かったのだろう。反応は戸惑いや驚きが多かったと思う。
途中、宗教問答や今朝グレイが指摘した疑問を呈された一幕もあったが、私の答えに皆納得して貰え、結果的に私の稟議書はほぼほぼ認められることとなった――ただ一つ、組織名を除いて。
正式名称はまだ良いんだ。私の考えた無難な名称に決まりかけたところで、馬の脚共が待ったをかけてごねやがり、皆も同意した結果、ちょっと仰々しいけど『聖女の祝福を受けし国家連合』ってやつになってしまって……。
問題はそこからである。前世の世界では、組織名はだいたい正式なそれじゃなく略称で呼ばれる事が多かったが――こちらの文字を相応するアルファベットに直して並べてみると……
後世の歴史の問題、暗記語呂合わせは絶対『ブス連合』!
カシ●ミニを賭けてもいい……持ってないけど。
この世界史上初の国際組織……好意的に考えれば強そうではあるけど、いまいち納得いかない。
さりとて皆が賛成してしまったから今更嫌とも言えず……。
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