衣夢々談(きぬむむだん) ――これはガチで死んだなと思ったら、夢にまで見た異世界でチート級超能力者だった。なお、

テジリ

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毒杯

拒食

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 離宮の寝室は、深夜の静けさに包まれていた。
 霧彦は、長上の腕の中で顔を埋める。  
 優しく、包み込まれる感覚に、有頂天でへにゃる。

「へにゃ~😽 もう一回する?」

「いや…霧彦…」

 長上は、ただ単に霧彦をぎゅーっと抱きしめた。
 霧彦は、ふくれっ面で小首を傾げる。

「なに? もうバテたの?」

(なんか、友達扱いみたい……💔  
 もしあの自称・ダチ背に、ぎゅーしたら、
 サルヌリ朝ごと、滅ぼしてやる😾🔪🔥)

 霧彦は、うるわしの鬼・前戴冠の顔を思い浮かべ、  
 心のナイフ🔪でグサグサ💥刺した。  
 たは……💀と断末魔を上げる、霧彦の脳内レイヨ冠。

 長上は、霧彦の胸中を知ってか知らずか、無言で髪を優しく撫で続ける。  
 ただただ、抱きしめ続ける。

 霧彦は、長上の温もりに溶けながら、  
 甘えを燃料に、へにゃへにゃと蕩けていく。

 二人とも王朝から引退した身だ。  
 前摂政・霧彦は、
 あやぎり朝開祖・長上を巻き込んで、離宮に引き籠もらせた。  
 一人にすると、長上は必ず事件を引き起こす。  
 天然のトラブルメーカーなのだから、仕方がない。

 ヒマを持て余す二人の日常は、  
 配偶者に甘え倒すこと以外にない。

 もっと早く、こうしていればよかった。  
 どうしてこんなに遠回りしたのだろう。

 ✶

「起きろ霧彦🦅💠💥!」

「ぐあっ💀💫」

 まだ日も昇らぬうちに、霧彦の額に勾玉が命中した。

 この勾玉は、計里氏ゆかりのもの。  
 長上が、前王朝時代の、計里氏による大反乱の戦後処理中、  
 どさくさに紛れて禁足地の祠から回収した、  
 計里氏の家宝だった。

 今では長上が、神棚に保管している神籬(ひもろぎ)だ。  
 怨霊・計里勾人(けりのまがひと)の、
 ポルターガイスト霊障行使にも、お誂向き。

「うえぇん😿 長上ぃー、勾人が俺を殴った!  
 いたいよう、チュ~してくれたら治るかも♡」

 霧彦は、傍らに眠る配偶者に抱きつこうとして――固まった。

「は? 枕冷たい…いつから出て行った😾🔥?」

「そんなことより、いますぐ宮殿へ!  
 長上は煙管と古代鎮痛剤を持ち出した。  
 確実に肥遺移しの儀式だ…グズグズするな💢」

 長上が、孫・室稚君へ肥遺を移しても、即死はすまい。  
 まず肥遺由来の体力が落ち、気落ちして、  
 食事がさらに喉を通らなくなり、  
 しずかに終わりに向かってひた走る。

 ✶

 たとえば、現代世界にも存続する、  
 とある北米先住民話によると――  
 冬の間の餓死は、眠るように亡くなる、最高のしに方なのだという。

 ある意味では、そうかも知れない。  
 拒食の病とは、その人の数少ない安らぎなのだ。

 即身仏ミイラとなった高僧の悟りも、  
 あるいは同じ境地に至ったのかも知れない。

 だが、栄養失調による心臓発作は――  
 ほんとうに、やすらかな死と呼べるだろうか?

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