【全年齢版】媛彦談《ひめひこだん》〜足掻手《アガデ》〜

テジリ

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霧越京(きりごえきょう)

結婚してくれないか?俺以外のヤツと

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 旧・計里氏所領の最西端。
 沈む夕陽が、海を朱色に染め上げる。
 その陽光を背に——三つの影が、静かに砂浜に降り立った。

 中央には、白と淡桃を基調とした婚礼装束に身を包んだ、しせら。
 手には守刀。頭には猫耳風角隠し。
 凛とした立ち姿は、まるでわだつみの如く。

 左には黒×赤の礼装でキメた靉。
 満面のドヤ顔で、誰よりも嬉しそうに胸を張っている。

 右側には、姉お下がりの狩衣に袖をとおした、
 ひさご。既に涙で、顔はぐちゃんぐちゃん。

「しせら姉……綺麗すぎる……うえええぇん!!」

 ひさごが号泣すると、海風までもが強く吹いた。

「ひさご……泣くんやない」

 しせらが弟の頭を撫でると、隣で靉が護符を高々と掲げた。

「しせらはん。俺……むっちゃくちゃ幸せや。
 ひさごも一緒に幸せになるで!!
 兄貴めしも家族めしも、全部持ってくる」

 肩のオコジョ丸が「ピョコピョコ!!」と鳴き、勝手に祝福する。

 日没寸前——しせらは守刀を抜いた。
 刃に赤い光が宿り、海面に反射する。
 しせらは、大きく息をする。

「お父 お母!! 今日、靉と結婚した。
 弟のひさごは、あたしが最高の相手と縁組させる。
 もし、あたしや靉が先に逝っても、ひさごは絶対、長上の側に置く!!
 黄泉の国で……楽しみに待っててくれ!!😼」

 荒波が、どばぁぁぁ🌊!!と、返事をするように打ち寄せた。
 赤い光が波頭を染め、海全体が猛烈に祝福しているようだった。

「しせら姉……逝かんといてぇぇぇ🙀
 俺、長上は尊敬しとるけど……
 しせら姉がいなくなっちゃ……ヤダぁぁぁっ」

 ひさごがしがみつく。
 しせらは弟をぎゅっと抱き寄せた。

「あほんだら。結婚しても、姉貴は姉貴や。
 誰かがひさご泣かせたら……その場でたたっ斬って、海に沈める」

 靉はニコニコ笑顔で、激しく頷く。
 長上は、仲人を務めつつ浜辺を見守りながら、小さく震えた。

「……また…嫁が増殖……?
 ……しかも、ロリ婚……?」

 そのまま、静かに倒れた。

 宮殿の密葬地からは、怨霊勾人が涙ぐんでいる。

『……計里氏の絆💖……共同防衛……永遠に……』

 黄泉の天邪鬼ねえねも、歓声を上げる。

『最高やん😈!! 次は誰が長上に求婚するんや~♡』



 ほぼ実弟夫妻の祝言をなんとか終え、長上が宮殿に戻ると——
 門前に、ド派手な輿入れ行列が陣取っていた。

 真っ白な打掛。
 両腕にはねえね藁人形。
 誰よりも着飾った英賀手が立っていた。

「ヨヨヨ🥲…遅かったですね?
 あたくし、正妻として輿入れします✨️
 これは重臣たち満場一致の…決定事項です♪」

 英賀手の横で、海媛が大笑いしている。

「阿諛ちゃん♪ 結婚おめでとう🤭」

 そこへ、祝言帰りの靉としせらが乱入。

「兄貴!! 二次会は黄泉でしよ!!」
「義兄貴~♡」

 英賀手は藁人形を掲げた。

「ねえねも、祝福してくださってます♡」

『オモロすぎ!!! 正妻ちゃんおめでと~♡』

長上の脳内:
【午前】しせらと靉の仲人 → 感動💖
【午後】勝手に正妻が輿入れ💔
【現在】英賀手が「今日から夫婦✨️」
【さらに】しせら&靉が「二次会黄泉行こ💀」
【結論】

「英賀手……結婚してくれないか? 俺以外のヤツと」



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