137 / 150
月に向かって彼は吼えた今宵は母の命日だ
寵愛 ⚠️精神圧迫・虐待に関する描写が含まれます⚠️
しおりを挟む
傅役は毎日内臓を抉った。
泣いたら優しく抱きしめて、幽鏡の如く慰める。
牢や刑場を連れ回し、幽鏡の教えすべてを阿諛に注ぎ込む。
やがて骨まで変形し始める。
姿勢が悪くなり、傅役は蹴って指導する。
吐くのはつわり。出血は月のもの。
かと思えば殴る、首を絞める。
阿り諛うことこそが、阿諛の生きる術となる。
阿諛は母であり、幼妻であり、愛弟子であり、
傅役最高傑作の、奴隷少女となっていった。
与えた阿諛(あゆ)の名前すら、
響きだけならおなごの様だ。
✦
「傅役」
どちらまで行くのですか?
既に古代成人済みの阿諛の問いかけには答えず、
傅役は、小寿林氏の領主屋敷を歩き回る。
肉塊はどこに隠れている?
アレもいよいよ元服だというのに。
「どのツラ下げて参ったんじゃあ! であえであえ!」
傅役は、ようやく獲物を見つけて、ほくそ笑む。
✦
前領主亡きあとの小寿林氏は、老臣たちによる合議制。
傅役も分家代表として、一票有していたが……
今まで一度も、行使したことは無かった。
肉塊は、迷信まみれの老臣たちに取り囲まれて、日々魔除けの女装に身を包む。
そうしているとまるでーー役立たずのおなごのようだ。
何とも奴の息子に相応しい。
「領主もいよいよ元服。夜の手ほどきに参りました」
✦
儀式が始まる。
傅役はまず手本を見せると言ってかがみ、口を離す。
それから阿諛に阿り諛わせた。だが嘔吐など許されぬ。
肩を押して、互いに横になる。
徐々に息が上がる。
最期はすべて拭い去り、儀式は滞りなく終了した。
「あとはどうぞ、ご自由に」
泣いたら優しく抱きしめて、幽鏡の如く慰める。
牢や刑場を連れ回し、幽鏡の教えすべてを阿諛に注ぎ込む。
やがて骨まで変形し始める。
姿勢が悪くなり、傅役は蹴って指導する。
吐くのはつわり。出血は月のもの。
かと思えば殴る、首を絞める。
阿り諛うことこそが、阿諛の生きる術となる。
阿諛は母であり、幼妻であり、愛弟子であり、
傅役最高傑作の、奴隷少女となっていった。
与えた阿諛(あゆ)の名前すら、
響きだけならおなごの様だ。
✦
「傅役」
どちらまで行くのですか?
既に古代成人済みの阿諛の問いかけには答えず、
傅役は、小寿林氏の領主屋敷を歩き回る。
肉塊はどこに隠れている?
アレもいよいよ元服だというのに。
「どのツラ下げて参ったんじゃあ! であえであえ!」
傅役は、ようやく獲物を見つけて、ほくそ笑む。
✦
前領主亡きあとの小寿林氏は、老臣たちによる合議制。
傅役も分家代表として、一票有していたが……
今まで一度も、行使したことは無かった。
肉塊は、迷信まみれの老臣たちに取り囲まれて、日々魔除けの女装に身を包む。
そうしているとまるでーー役立たずのおなごのようだ。
何とも奴の息子に相応しい。
「領主もいよいよ元服。夜の手ほどきに参りました」
✦
儀式が始まる。
傅役はまず手本を見せると言ってかがみ、口を離す。
それから阿諛に阿り諛わせた。だが嘔吐など許されぬ。
肩を押して、互いに横になる。
徐々に息が上がる。
最期はすべて拭い去り、儀式は滞りなく終了した。
「あとはどうぞ、ご自由に」
0
あなたにおすすめの小説
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
いいえ、望んでいません
わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」
結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。
だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。
なぜなら彼女は―――
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた
今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。
レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。
不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。
レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。
それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し……
※短め
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる