【全年齢版】媛彦談《ひめひこだん》〜足掻手《アガデ》〜

テジリ

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サルヌリ朝

【自作】ダチ登山

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 戴冠は、山道を歩くハイタークの背負子に腰掛けていた。
 妹・タマル冠は、その姿を目で追いながら、必死に山道を登り続けていた。

「あゝ口惜しや。付け髪を足され、
 平素と変わらぬ装束へお戻しに。
 それにしてもにいさま……
 どんな格好でも、どこで何をされていようと、 
 なんてお美しいんでしょう🐒✨️」

 戴冠は、妹の熱い視線をスルー。
 ハイタークに肘を食らわせる💥。

「遅いぞハイターク。
 揺れで酔わぬ程度にさっさと歩かぬか」

「いえしかし、後ろのタマル冠が遅れて道迷いでもしてしまっては……」

「迷わなければ良いのだろう。
 タマル冠、木々に(※ハイタークが)
 道しるべを刻む故、見落とさずついて参れよ」

 すると、タマル冠の目の色が変わった。

「そんな、にいさまのお姿が🙊💦!」

(でも……内(うち)の為に目印を刻む、
 にいさまを想像すると……感極まる🙈🌧️。
 なんと慈悲深いお心遣いでありましょうや🙏)


 ✦


 戴冠+ハイタークから遅れることしばらく、
 タマル冠は道しるべを頼りに、戴冠を追い求めた。

 やがてタマル冠は、息も絶え絶えながら、
 道中拾った棒で杖をつき、どうにかこうにか頂上までたどり着いた。

「はてさて、にいさま👀。
 いずこへいらっしゃいます?
 おや、先のヒイナ😵がバテておるわ」

「きゅう………😵
 帰りは長上がおんぶして……
 匪躬は視界が高すぎて怖いの……
 また蜂の巣🐝💨があったら、
 やだやだやだ~😭」

 傍らで甲斐甲斐しく介抱する長上。

「下りは楽だぞ。どうしても無理なら仕方ないが」


 ✦


 長上が差し出した竹水筒を、すっと現れた戴冠が、さっと奪い飲み干した。
 タマル冠は、激しく頷く。

「じつに強か✨️
 まこと理にかなっております。
 確実な不利益を敵に与え、毒を盛られるおそれもない😤」

 長上は、戴冠を睨みつけた。

「意地汚い戴冠め。霧越京最年少の媛(ひめ)ですら、
 そんな振る舞いはしなかったぞ」

 戴冠は、えばりくさって胸を張る。

「当然だろう。吾(われ)は戴冠、
 そちの媛でも何でもないからな」

「よく言うわ、終始ハイタークに背負われていた癖に。
 そこまで飲み水が必要なのか?
 まあよいわ。
 世と共用になるが、ひいなも飲め」

 長上の、腹立たしい程の用意周到さに、
 タマル冠は憤慨した。

「まったくこのおのこは……🐵💢
 いや待てい、
 内(うち)も竹水筒を携えておけば……
 にいさまから、お褒めの言葉!?

 しかも一つだけなら、実質口移し……💋
 ううむ、後学のため覚えておかねば」


 ✦


 タマル冠が脳内一人相撲に熱中している間、
 長上は戴冠と語り合う。

「戴冠、やはり体力は重要だ。
 その点、縄跳びはすぐれている。
 世は、出来れば走りたいのだがーー

 不測の怪我と警備上の問題で、
 留守役から止められていてな。

 今回の件で、どうにか説得できればな~」

 戴冠は、ウッキウキで人生初のダチ公に同意する。

「くくくっ、それには同意する。
 もう少し駆けつけるのが遅ければ、

 そちごとハイタークが息の根を止めただろうに。
 まったく命拾いしたのう。

 ――ほれ見いや、これがお目当ての石くれだ」

 戴冠は長上にそう言いながら、
 この神鳴り山名物の磁石石(じしゃくせき)を、
 手ずから渡す。

「ああこれが。
 思ったより占領統治に手こずってしまったから、ようやく見れたな」

 戴冠は、腕を組みながら深く頷く。

「そうだろう、そうだろう。
 サルヌリ朝の民共は、とにかく臆病で怠け者だからな。
 何かあればすぐ山へ逃げる。

 吾に盛大に感謝せよ。
 吾が来て村に放火予告しなければ、
 そちは、いつまで経っても待ちぼうけだ」

 長上はーー
 ひいなの認識、
 戴冠なら山放火で村人追い立て! の甘さを痛感する。

 実際のコイツは山どころか、
 村民の生活基盤そのものをーー
 下山しなければ直ちに破壊する! と脅迫したのだ。


 だが触れるまい、これがサルヌリ流の統治方法なのだから。



 
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