タイマヲマイタ 【就活生時代】

テジリ

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パイは奪い合う菓子ではない

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 こうやって野々下 灯枇あけびのように、女の人も働くようになったから、雇われ人の給与は全体的に見て下がったという説がある。でも22世紀には誕生すると予言されている、子守用ネコ型ロボットMS-903、通称・ドラえもんの名台詞を引用するなら、「いや、そのりくつはおかしい。」 

 それは社会にいまだはびこる屁理屈だ。可愛い1人のお嫁さんを、愛さえあれば何でも出来るとだまくらかして、あらゆる面で都合良く馬車馬ばしゃうまの様にき使う為の秘策である。男女問わず結婚したって確実に幸せになれるとは限らないのに、男女問わずうっかり合わない相手と結婚してしまえば確実に不幸になれる。

 正直言って人間いつ死んでもおかしくない。結局離婚だってするかも知れない、だって大概の結婚相手は元々身内でも何でも無い。はっきり言って赤の他人でしかないのだから。


 でも、選んだのは自分でしょう? 何でもかんでも本人が一番悪い。そう言ってむやみやたらに乱用される「自己責任」は最低な日本語だ。だが最低な日本語は他にもある。


例えば「旦那さん居るから問題ないよね?」が唱えられたが最後、奴隷労働者となった紳士淑女は、心穏やかに保つため、疲れ切った体をゆっくり休めるためには絶対的に必要不可欠な期間のお休みや、身内の介護や育児、出産前後にも安心して復帰したり、より良い転職が可能な労働環境の構築を諦めさせられ、終わりなき忍耐だけが強いられる。

 責任者は誰か。それは奴隷労働者ではなく、高級官僚と政治屋だ。税金集めや天下り先確保に邁進する高級官僚と、無駄に頭の良い彼等の言いなりになって、半ば家業と化した政治活動を、世のため人のためにつくさず、ひたすら選挙に備えて安楽にサボり倒した政治屋の責任だ。そのせいで苦労を強いられている、身近で目について叩きやすい他者に八つ当たりするものではない。



 学校で間違った従順を脳深くまで刻み込まれ、人によっては部畜まで勤め上げた当然の結果として、哀れ奴隷労働者の身に突き落とされた紳士淑女は、娯楽恋愛脳に陥りがちだ。

 やがてガス抜きの恋愛脳に冒された紳士淑女は、いつしか実際には、自分にしか都合の良くない結婚相手をお互いに待ち望み、だいたいが結婚前までは猫をかぶる。


しかし結婚というものは、余程の金持ちか超絶美形の男女でもなければ、相手は無料ホストにも無料ホステスにもなってはくれない。

所詮は他人の共同生活に過ぎない。であればこそ、互いの尽力によってかろうじて得られるかも知れない、二人が試練を潜り抜けた先にあるかどうかも分からない、都会砂漠の虚ろな幻だ。本当の苦しみを世間から何も知らされないまま、安易に結婚してはいけないのだ。


 移民による給与低下問題も、これと同じだ。「よそから来た貧乏人だから、人件費を不当に安く買い叩いてやれ」という腐った根性に端を発するものだ。まともな感性を持つ移民は、ただの痩せ我慢を美徳と勘違いしている日本人と違って明快だから、そんなのバレたら命は無い。

 サボタージュで済んだらまだ良い方だ。先例のヨーロッパ社会同様に日本社会も憎まれれば、今まで日本人の無敵となった人がやっていたような宗教に基づかない自爆テロ行為を、絶望した移民の誰かが実行しても何らおかしくはない。

 もっともそれが勢い余って、皆が皆暴徒と化して、やっとこさ民衆蜂起に繋ればいい加減、奴隷労働者達の中にはびこる、はた迷惑な鎖自慢達の目も覚める事だろう。


 要するに、選挙はわざわざ投票所まで出向いてやって、好きでもなんでも無い政治屋と最高裁判官に紙切れ1枚恵んでやるものでは無いという事だ。選挙は行くものでは無く、出るものだ。世の中に不満が有り余る人間、心の痛みを知る人間は、くすぶり続けた果てに自殺者や自爆テロリストを目指すのではなく、政治屋として腐りきった世の中相手に論陣を張って、国会で正々堂々戦うべきなのだ。死ぬのはいつ何時でも可能であるが、生き延びる可能性は今しかない。





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