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第2章 調査
麒麟
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「”ソウルイーター”!」
〈闇を貫く王剣〉から放たれた霧はすぐさま麒麟を包み込んだ。しかし、その攻撃に麒麟は微動だにしなかった。
「ちっ! やっぱり効かないか」
アリスは舌打ちをする。
王級精霊魔法”ソウルイーター”は相手の魔力を吸収するといった規格外の能力だが、欠点も存在する。それは、消費魔力量が王級精霊魔法の中でも比較にならないほど多い。元から王級精霊魔法は莫大な魔力を使用するが、その中でも圧倒的に多いのだ。しかも、吸収した魔力量は消費した魔力量には到底及ばない。だから、”ソウルイーター”は多数の相手に対してこそ真価を発揮する。
しかし、相手が少数の場合は圧倒的に消費魔力量の方が上回ってしまうのだ。それに加え、最大の弱点は魔力量が自分より格段に多いと奪えないといった難点がある。アリスの魔力量は元から莫大的に多く、二体の王級精霊との契約もあるのでサウス内で一番の魔力量を誇る。だから、魔力を奪えないといったことはほとんどない。神獣精霊であるフェニックスからも奪うことができたのだから。
しかし、麒麟はそうはいかない。麒麟のような守り神は土地と一体化しているといっても過言ではない。麒麟はセントラルに存在する魔力を自由に使うことができるのだ。それぞれが守る場所でいる間は麒麟や四神は王級精霊たちをはるかに凌駕する。だから、お互いの国が他の国に攻めないのだが。
そういった特徴から、アリスは”ソウルイーター”を使わずに戦わなければならない。
「”水神”! 麒麟に”ソウルイーター”は効かないわ! だから、隙ができたら”グロリアス・レイ”を撃つ。それまでに、こいつの鱗を剥がして! ”女神”も麒麟の足止めをして!」
「わかったわ!」
「わかりました!」
アリスの言葉に返事をすると、アレクシアは精霊武装を展開する。
「”スイ!”」
アレクシアは右手で〈幻影を纏う槍斧〉を握りしめる。
アレクシアはリンの姉ということもあって姉妹が使う精霊武装も似ている。しかし、アレクシアの方が持ち手の部分が長く、刃の部分が少ない。しかし、リンの〈死を呼ぶ大鎌〉よりも様々な使い方がある。〈幻影を纏う槍斧〉は斬る、突く、叩きつけるといった攻撃方法がある。それに加え、アレクシアは水属性特有の特長を生かして、精霊武装の位置を相手に特定させないといった特技をもつ。それ故にアレクシアは水を自在に操る”水神”と呼ばれ、精霊武装の名は〈幻影を纏う槍斧〉と呼ばれるのだ。
アレクシアは身体に水を纏まとい戦闘態勢に入る。シェリルも自分の契約精霊を具現化した。
「来て! ドレディア!」
シェリルの隣に、クロノスたちと同じぐらいの年齢に見える少女が現れる。
「ドレディア! ”グランドウェーブ”!」
「はぁい!」
ドレディアは元気な声で返事をすると、麒麟の足下に土の壁を展開する。
”ぬうっ!?”
麒麟も突然足場が悪くなったことに戸惑ったようだ。アリスとアレクシアはこの隙を逃さず麒麟に向かっていった。
「行くわよ”水神”!」
「わかってるわよ!」
二人は麒麟に攻撃を仕掛ける。しかし、魔力を込めると弾かれてしまうので魔力は込めず、精霊武装の力のみで鱗を剥がしていく。三人のコンビネーションは絶妙でアリスかアレクシアに攻撃がいったら、シェリルとドレディアが”グランドウェーブ”で防いでいる。アレクシアが囮になって麒麟の注意を引くと、反対側からアリスが麒麟の鱗を剥がす。
次第にアリスたちが有利に思えていたが、麒麟も我慢の限界が来たのか、自身の纏う雷の出力を上げた。
”いい加減にしろ、若造!”
瞬間、麒麟の身体から雷が放たれた。
〈闇を貫く王剣〉から放たれた霧はすぐさま麒麟を包み込んだ。しかし、その攻撃に麒麟は微動だにしなかった。
「ちっ! やっぱり効かないか」
アリスは舌打ちをする。
王級精霊魔法”ソウルイーター”は相手の魔力を吸収するといった規格外の能力だが、欠点も存在する。それは、消費魔力量が王級精霊魔法の中でも比較にならないほど多い。元から王級精霊魔法は莫大な魔力を使用するが、その中でも圧倒的に多いのだ。しかも、吸収した魔力量は消費した魔力量には到底及ばない。だから、”ソウルイーター”は多数の相手に対してこそ真価を発揮する。
しかし、相手が少数の場合は圧倒的に消費魔力量の方が上回ってしまうのだ。それに加え、最大の弱点は魔力量が自分より格段に多いと奪えないといった難点がある。アリスの魔力量は元から莫大的に多く、二体の王級精霊との契約もあるのでサウス内で一番の魔力量を誇る。だから、魔力を奪えないといったことはほとんどない。神獣精霊であるフェニックスからも奪うことができたのだから。
しかし、麒麟はそうはいかない。麒麟のような守り神は土地と一体化しているといっても過言ではない。麒麟はセントラルに存在する魔力を自由に使うことができるのだ。それぞれが守る場所でいる間は麒麟や四神は王級精霊たちをはるかに凌駕する。だから、お互いの国が他の国に攻めないのだが。
そういった特徴から、アリスは”ソウルイーター”を使わずに戦わなければならない。
「”水神”! 麒麟に”ソウルイーター”は効かないわ! だから、隙ができたら”グロリアス・レイ”を撃つ。それまでに、こいつの鱗を剥がして! ”女神”も麒麟の足止めをして!」
「わかったわ!」
「わかりました!」
アリスの言葉に返事をすると、アレクシアは精霊武装を展開する。
「”スイ!”」
アレクシアは右手で〈幻影を纏う槍斧〉を握りしめる。
アレクシアはリンの姉ということもあって姉妹が使う精霊武装も似ている。しかし、アレクシアの方が持ち手の部分が長く、刃の部分が少ない。しかし、リンの〈死を呼ぶ大鎌〉よりも様々な使い方がある。〈幻影を纏う槍斧〉は斬る、突く、叩きつけるといった攻撃方法がある。それに加え、アレクシアは水属性特有の特長を生かして、精霊武装の位置を相手に特定させないといった特技をもつ。それ故にアレクシアは水を自在に操る”水神”と呼ばれ、精霊武装の名は〈幻影を纏う槍斧〉と呼ばれるのだ。
アレクシアは身体に水を纏まとい戦闘態勢に入る。シェリルも自分の契約精霊を具現化した。
「来て! ドレディア!」
シェリルの隣に、クロノスたちと同じぐらいの年齢に見える少女が現れる。
「ドレディア! ”グランドウェーブ”!」
「はぁい!」
ドレディアは元気な声で返事をすると、麒麟の足下に土の壁を展開する。
”ぬうっ!?”
麒麟も突然足場が悪くなったことに戸惑ったようだ。アリスとアレクシアはこの隙を逃さず麒麟に向かっていった。
「行くわよ”水神”!」
「わかってるわよ!」
二人は麒麟に攻撃を仕掛ける。しかし、魔力を込めると弾かれてしまうので魔力は込めず、精霊武装の力のみで鱗を剥がしていく。三人のコンビネーションは絶妙でアリスかアレクシアに攻撃がいったら、シェリルとドレディアが”グランドウェーブ”で防いでいる。アレクシアが囮になって麒麟の注意を引くと、反対側からアリスが麒麟の鱗を剥がす。
次第にアリスたちが有利に思えていたが、麒麟も我慢の限界が来たのか、自身の纏う雷の出力を上げた。
”いい加減にしろ、若造!”
瞬間、麒麟の身体から雷が放たれた。
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