精霊殺しの学園生活

はる

文字の大きさ
17 / 74
第1章 始まり

代表戦

しおりを挟む
 魔法大会最終日、リーゼロッテは代表戦最後の対戦相手――リンと握手を交わしていた。

 魔法大会2日目は、リーゼロッテは特に苦戦をする様子もなく対戦相手に勝利していた。上級生にも引けをとらない実力を見る限り、さすがランク3位といったところであった。

 一方、初日のレンたちの結果は――

 「なんで姉さんと当たるんだよ!」

 「こっちが言いたいわよ! あたしなんてミュアさんよ! 信じられる!?」

 見事に敗北していた。レンは自分の姉であるランが、ティリカは今回の通常戦の優勝者であるミュアが相手となっていた。

 魔法大会通常戦の結果は、優勝ミュア、準優勝アシュリー、そして3位がランと生徒会の三人が上位を独占した。三人とも他の生徒よりも実力が飛び抜けており、通常戦を勝ち抜くのは、この三人が必然であったと思うほどであった。特にアシュリーは本気を出さずに決勝戦を辞退したため、アシュリーの実力はおろか、ミュアの実力さえもわからずに終わってしまった。何故、決勝を辞退したかは不明だが、相手に怯えて逃げ出していないことだけは確かである。

 そんな成績上位者に早々当たったことにレンたちは不満を漏らしていた。

 「はぁ……もういいわ。それよりもリーゼロッテを応援しましょ」

 「ああ、そうだな」

 レンたちは不満を言うのをやめ、リーゼロッテに視線を向けた――





 「よろしくね、リーゼロッテ様」

 「はい、先輩。お手柔らかにお願いしますね?」

 リーゼロッテは握手をしながら、リンに微笑む。しかし、油断だけは決してしなかった。

 「ふふ、あれだけの実力を見せておきながら、よく言いますね」

 同じようにリンも微笑むが、リーゼロッテ同様、油断をしている様子はなかった。恐らく、この時から戦いは始まっているのだろう。

 「それでは、決闘を行うので両者、準備をしてください」

 すでに決闘場に来ていた審判から声がかけられる。

 「それでは、お互いに頑張りましょ」

 「はい」

 そう発すると、二人は互いに背を向け、離れていく。そして、ある程度歩くと再び振り返った。

 「それでは、決闘を開始します……」

 審判が確認の言葉をかけた瞬間、リーゼロッテたちは少し身構える。いつでも攻撃ができるようにと。

 「……決闘開始ッ!」

 「「”身体強化フィジカルアビリティ”!」」

 決闘開始と同時にリーゼロッテたちは魔法を唱える。そしてそのまま、精霊武装展開の魔法も唱える。

 「「”顕現せよ、我が契約精霊――”」」

 通常、精霊武装を展開するのは相手の隙を突いてするものであって、堂々とするものではないが、互いに精霊武装を展開するだろうと考えていたからこそ、できた行動である。

 「”アテナ”!」 「”アクア”!」

 精霊武装展開を終えた二人の手にはそれぞれ剣、大鎌が握られていた。リーゼロッテが持つ剣はまばゆい光を放っており、対するリンが持つ大鎌は水を纏っていた。

 瞬間、リーゼロッテたちは互いの距離を一瞬で詰め、精霊武装で牽制し合う。キンッ! と会場には金属がぶつかり合うような音が響いた。
 
 「やるねえ、この〈死を呼ぶ大鎌デスサイス〉で受け止めるのが精一杯だなんて」

 「よく言う……軽々と私の〈聖なる騎士の剣ホーリーナイト〉を受け止めているじゃないですかっ!」

 リーゼロッテが〈聖なる騎士の剣ホーリーナイト〉を振るうと、リンは跳躍してリーゼロッテから距離を取る。

 (キツいなぁ……さすが生徒会長ね。どうしようかな……)

 今の攻防でリーゼロッテはリンがかなりの実力だと改めて認識した。仮にもリーゼロッテの一撃を軽々と受け止めたのだ。リーゼロッテがそう思うのも無理はなかった。

 (魔法で一気に攻めるか?)

 しかし、魔法で隙をつこうも、リンには隙らしい隙を見せてくれそうにはなかった。リーゼロッテも生徒会の人間の結果はすでに知っていた。生徒会に所属している人間とそうでない人間とでは実力は一目瞭然だった。目の前の少女が生徒会長に恥じない実力を持っているのは理解したが、今までの相手とは比較にならない。次の一手が思いつかず、リーゼロッテは焦りを感じていた。

 (とりあえず、何か行動をしないと……)

 意を決し、リーゼロッテはリンに手をかざし、魔法を唱える。

 「”セイント――」

 しかし、リーゼロッテは魔法を唱えきることができなかった。何故なら――

 ドカァァーーーーン!

 会場に爆音が響いたからであった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

ボンクラ王子の側近を任されました

里見知美
ファンタジー
「任されてくれるな?」  王宮にある宰相の執務室で、俺は頭を下げたまま脂汗を流していた。  人の良い弟である現国王を煽てあげ国の頂点へと導き出し、王国騎士団も魔術師団も視線一つで操ると噂の恐ろしい影の実力者。  そんな人に呼び出され開口一番、シンファエル殿下の側近になれと言われた。  義妹が婚約破棄を叩きつけた相手である。  王子16歳、俺26歳。側近てのは、年の近い家格のしっかりしたヤツがなるんじゃねえの?

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura
ファンタジー
出奔した息子から手紙が届いた…… 今更……助けてくれと……言われても……

異世界で至った男は帰還したがファンタジーに巻き込まれていく

竹桜
ファンタジー
 神社のお参り帰りに異世界召喚に巻き込まれた主人公。  巻き込まれただけなのに、狂った姿を見たい為に何も無い真っ白な空間で閉じ込められる。  千年間も。  それなのに主人公は鍛錬をする。  1つのことだけを。  やがて、真っ白な空間から異世界に戻るが、その時に至っていたのだ。  これは異世界で至った男が帰還した現実世界でファンタジーに巻き込まれていく物語だ。  そして、主人公は至った力を存分に振るう。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

処理中です...