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第1章 始まり
代表戦
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魔法大会最終日、リーゼロッテは代表戦最後の対戦相手――リンと握手を交わしていた。
魔法大会2日目は、リーゼロッテは特に苦戦をする様子もなく対戦相手に勝利していた。上級生にも引けをとらない実力を見る限り、さすがランク3位といったところであった。
一方、初日のレンたちの結果は――
「なんで姉さんと当たるんだよ!」
「こっちが言いたいわよ! あたしなんてミュアさんよ! 信じられる!?」
見事に敗北していた。レンは自分の姉であるランが、ティリカは今回の通常戦の優勝者であるミュアが相手となっていた。
魔法大会通常戦の結果は、優勝ミュア、準優勝アシュリー、そして3位がランと生徒会の三人が上位を独占した。三人とも他の生徒よりも実力が飛び抜けており、通常戦を勝ち抜くのは、この三人が必然であったと思うほどであった。特にアシュリーは本気を出さずに決勝戦を辞退したため、アシュリーの実力はおろか、ミュアの実力さえもわからずに終わってしまった。何故、決勝を辞退したかは不明だが、相手に怯えて逃げ出していないことだけは確かである。
そんな成績上位者に早々当たったことにレンたちは不満を漏らしていた。
「はぁ……もういいわ。それよりもリーゼロッテを応援しましょ」
「ああ、そうだな」
レンたちは不満を言うのをやめ、リーゼロッテに視線を向けた――
「よろしくね、リーゼロッテ様」
「はい、先輩。お手柔らかにお願いしますね?」
リーゼロッテは握手をしながら、リンに微笑む。しかし、油断だけは決してしなかった。
「ふふ、あれだけの実力を見せておきながら、よく言いますね」
同じようにリンも微笑むが、リーゼロッテ同様、油断をしている様子はなかった。恐らく、この時から戦いは始まっているのだろう。
「それでは、決闘を行うので両者、準備をしてください」
すでに決闘場に来ていた審判から声がかけられる。
「それでは、お互いに頑張りましょ」
「はい」
そう発すると、二人は互いに背を向け、離れていく。そして、ある程度歩くと再び振り返った。
「それでは、決闘を開始します……」
審判が確認の言葉をかけた瞬間、リーゼロッテたちは少し身構える。いつでも攻撃ができるようにと。
「……決闘開始ッ!」
「「”身体強化”!」」
決闘開始と同時にリーゼロッテたちは魔法を唱える。そしてそのまま、精霊武装展開の魔法も唱える。
「「”顕現せよ、我が契約精霊――”」」
通常、精霊武装を展開するのは相手の隙を突いてするものであって、堂々とするものではないが、互いに精霊武装を展開するだろうと考えていたからこそ、できた行動である。
「”アテナ”!」 「”アクア”!」
精霊武装展開を終えた二人の手にはそれぞれ剣、大鎌が握られていた。リーゼロッテが持つ剣はまばゆい光を放っており、対するリンが持つ大鎌は水を纏っていた。
瞬間、リーゼロッテたちは互いの距離を一瞬で詰め、精霊武装で牽制し合う。キンッ! と会場には金属がぶつかり合うような音が響いた。
「やるねえ、この〈死を呼ぶ大鎌〉で受け止めるのが精一杯だなんて」
「よく言う……軽々と私の〈聖なる騎士の剣〉を受け止めているじゃないですかっ!」
リーゼロッテが〈聖なる騎士の剣〉を振るうと、リンは跳躍してリーゼロッテから距離を取る。
(キツいなぁ……さすが生徒会長ね。どうしようかな……)
今の攻防でリーゼロッテはリンがかなりの実力だと改めて認識した。仮にもリーゼロッテの一撃を軽々と受け止めたのだ。リーゼロッテがそう思うのも無理はなかった。
(魔法で一気に攻めるか?)
しかし、魔法で隙をつこうも、リンには隙らしい隙を見せてくれそうにはなかった。リーゼロッテも生徒会の人間の結果はすでに知っていた。生徒会に所属している人間とそうでない人間とでは実力は一目瞭然だった。目の前の少女が生徒会長に恥じない実力を持っているのは理解したが、今までの相手とは比較にならない。次の一手が思いつかず、リーゼロッテは焦りを感じていた。
(とりあえず、何か行動をしないと……)
意を決し、リーゼロッテはリンに手をかざし、魔法を唱える。
「”セイント――」
しかし、リーゼロッテは魔法を唱えきることができなかった。何故なら――
ドカァァーーーーン!
会場に爆音が響いたからであった。
魔法大会2日目は、リーゼロッテは特に苦戦をする様子もなく対戦相手に勝利していた。上級生にも引けをとらない実力を見る限り、さすがランク3位といったところであった。
一方、初日のレンたちの結果は――
「なんで姉さんと当たるんだよ!」
「こっちが言いたいわよ! あたしなんてミュアさんよ! 信じられる!?」
見事に敗北していた。レンは自分の姉であるランが、ティリカは今回の通常戦の優勝者であるミュアが相手となっていた。
魔法大会通常戦の結果は、優勝ミュア、準優勝アシュリー、そして3位がランと生徒会の三人が上位を独占した。三人とも他の生徒よりも実力が飛び抜けており、通常戦を勝ち抜くのは、この三人が必然であったと思うほどであった。特にアシュリーは本気を出さずに決勝戦を辞退したため、アシュリーの実力はおろか、ミュアの実力さえもわからずに終わってしまった。何故、決勝を辞退したかは不明だが、相手に怯えて逃げ出していないことだけは確かである。
そんな成績上位者に早々当たったことにレンたちは不満を漏らしていた。
「はぁ……もういいわ。それよりもリーゼロッテを応援しましょ」
「ああ、そうだな」
レンたちは不満を言うのをやめ、リーゼロッテに視線を向けた――
「よろしくね、リーゼロッテ様」
「はい、先輩。お手柔らかにお願いしますね?」
リーゼロッテは握手をしながら、リンに微笑む。しかし、油断だけは決してしなかった。
「ふふ、あれだけの実力を見せておきながら、よく言いますね」
同じようにリンも微笑むが、リーゼロッテ同様、油断をしている様子はなかった。恐らく、この時から戦いは始まっているのだろう。
「それでは、決闘を行うので両者、準備をしてください」
すでに決闘場に来ていた審判から声がかけられる。
「それでは、お互いに頑張りましょ」
「はい」
そう発すると、二人は互いに背を向け、離れていく。そして、ある程度歩くと再び振り返った。
「それでは、決闘を開始します……」
審判が確認の言葉をかけた瞬間、リーゼロッテたちは少し身構える。いつでも攻撃ができるようにと。
「……決闘開始ッ!」
「「”身体強化”!」」
決闘開始と同時にリーゼロッテたちは魔法を唱える。そしてそのまま、精霊武装展開の魔法も唱える。
「「”顕現せよ、我が契約精霊――”」」
通常、精霊武装を展開するのは相手の隙を突いてするものであって、堂々とするものではないが、互いに精霊武装を展開するだろうと考えていたからこそ、できた行動である。
「”アテナ”!」 「”アクア”!」
精霊武装展開を終えた二人の手にはそれぞれ剣、大鎌が握られていた。リーゼロッテが持つ剣はまばゆい光を放っており、対するリンが持つ大鎌は水を纏っていた。
瞬間、リーゼロッテたちは互いの距離を一瞬で詰め、精霊武装で牽制し合う。キンッ! と会場には金属がぶつかり合うような音が響いた。
「やるねえ、この〈死を呼ぶ大鎌〉で受け止めるのが精一杯だなんて」
「よく言う……軽々と私の〈聖なる騎士の剣〉を受け止めているじゃないですかっ!」
リーゼロッテが〈聖なる騎士の剣〉を振るうと、リンは跳躍してリーゼロッテから距離を取る。
(キツいなぁ……さすが生徒会長ね。どうしようかな……)
今の攻防でリーゼロッテはリンがかなりの実力だと改めて認識した。仮にもリーゼロッテの一撃を軽々と受け止めたのだ。リーゼロッテがそう思うのも無理はなかった。
(魔法で一気に攻めるか?)
しかし、魔法で隙をつこうも、リンには隙らしい隙を見せてくれそうにはなかった。リーゼロッテも生徒会の人間の結果はすでに知っていた。生徒会に所属している人間とそうでない人間とでは実力は一目瞭然だった。目の前の少女が生徒会長に恥じない実力を持っているのは理解したが、今までの相手とは比較にならない。次の一手が思いつかず、リーゼロッテは焦りを感じていた。
(とりあえず、何か行動をしないと……)
意を決し、リーゼロッテはリンに手をかざし、魔法を唱える。
「”セイント――」
しかし、リーゼロッテは魔法を唱えきることができなかった。何故なら――
ドカァァーーーーン!
会場に爆音が響いたからであった。
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