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隆二の苦難
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ワインガラス・大量のメンズ雑誌・つまみを食べたゴミの殻・脱ぎっぱなしの服・壊れた壺の破片が床に散乱し、テーブルの上には数本のワインボトルが置かれキッチンの水道には皿洗いがされていないお皿たち…壁に飾られている物々は若干ずれていた。
そして、その中心に泣きながら片手に箒を持ち座り込む星那の姿があった。
「せな、まず何故この家にいるのか教えてくれるか?」
「実は…」
星那は今までの経緯を嗚咽混じりに話した。
「なるほどな…色々驚きですぐには頭はついていかないが、今の状況を言うと朝起きてダイニングに入ると散乱していたってわけか…」
「はい…まさかこんな風になるなんて一体誰が…」
「はぁ…ため息しか出てこないが簡潔に言うと、これをやったのは蓮だ」
「えっ!?蓮さんがやったんですか!?」
「あいつは店で飲み足りないと家で飲むんだが、その代わり部屋が散乱してしまうんだ」
「まともな大人じゃないですね…常識人だと思って損したかも」
呆れた言葉を漏らす星那に苦笑いをする。
「とにかく、せなは学校あるんだろ?朝食もまだみたいだし、俺があらかた片付けて何か作るからその間に顔洗って歯磨きしてこい」
「助かりました、隆二さん…」
星那はしみじみに言うと疲れ果てたように洗面台へと向かった。
「よし、やるか!」
まず散乱するガラスを軍手をはめてゴミ袋に入れていき雑誌類を元の位置に戻し、脱ぎっぱなしの服を脱衣場に持っていく。
「あれ?何だこれ?」
籠が二つありその上に蓋が被せられ蓋の上にはメモ紙で一つは蓮さん、もう一つは星那・豹と書かれていた。
「これやったの豹だな…」
字は豹の字で書かれているのに気づいた。
「おっさんの蓮と同じは嫌って事か…豹らしいな」
苦笑いをしつつ豹のために脱ぎっぱなしの蓮の衣服を蓮の箱に入れる。
「よし、次は掃除機だな」
押し入れから掃除機を取り出しダイニングの床を掃除機にかけ終わると使い終わった掃除機を元に戻し、テーブル上にあるワインボトルを片ずける。
「蓮のやつ、飲みすぎるなってあれほどいったのに…片ずける身にもなれよ」
今頃、どこかで寝ているであろう蓮の愚痴をグチグチ言いつつもキッチンの水道に放置されている皿を洗い冷蔵庫の中身からとうもろこしの缶詰と牛乳を取り出しコーンスープを作り保管されていた食パン一つをトースターに入れる。
チンッ
トースターの音がなり焼けた食パンを皿に置きコップにコーンスープをよそう。
「後はサラダだが、冷蔵庫に入れていた残り物のサラダを代用するか」
冷蔵庫からサラダの残りを取り出しテーブルに並べているとダイニングのドアが開く音がし振り向くと星那の姿があった。
「うわぁ!美味しそう!」
「簡単なものしか作れなかったが、味は保証する。座って食べろ」
「ありがとうございます…!」
満面の笑みで座って食べる星那の顔を見ていると星那が疑問に思っていた事を口にする。
「あの…何で隆二さんは蓮さんの家に?それに、この状況にも慣れているみたいだし…」
「ああ、それは蓮のやつが店で酔いつぶれない日の次の日に朝こうして散乱している部屋の片付けをしてたんだ」
「隆二さん…まるでハウスキーパーみたいじゃないですか。そこまでする必要って…」
「んー、ほっとけないってやつだな」
するとその言葉を聞いた星那から涙が溢れ出す。
「うぅ…隆二さん心広すぎますっ!」
「はははっ 泣くほどの事じゃないだろ」
「蓮さんとは大違いすぎて隆二さんが天使に見えますっ!」
「大袈裟だなぁ…ま、そこまで言うんならせなにはもっと優しくしなきゃな?」
涙を流す星那の髪を優しく撫でる。
「これ以上の優しさは俺よりお店に来るお客様の特権ですので遠慮します」
「ははっ せなはお客様思いだな」
「1に命!2にお金!3に信頼ですから!」
ドヤ顔して言う星那にせならしいとつくづく思うのだった。
*
星那と朝食をとっていた最中に起きてきた豹の分の朝食を作り食べさせると食べ終わった星那が着替えるといって自室に戻っていった。
「そろそろ蓮のやつたたき起こしに行くかな…」
「蓮さん何処で寝てるんですか?」
「さぁな、毎回廊下で寝たりトイレで寝たり様々だからな」
「苦労しますね、隆二さん…」
豹の哀れみに満ちた言葉に乾いた笑いを浮かべつつ蓮を探すため部屋を出ようとすると星那の声が裏口からかかった。
「いってきま~す!」
「ん?せなの声?何であいつ真正面から出なかったんだ?」
「…めんどくさかったとかそんな理由っすよ」
「豹…」
まぁ、そう言う理由とかなら別に気にはしないが…
少しばかりの疑問をそのままにダイニングを出て部屋を回っていると2階の隅の部屋にて床に這いつくばって下着一枚で寝ている蓮の姿があった。
「おい!蓮起きろ!朝だぞ」
ドスッ
「ん~…」
「はぁ…せなも豹もいるのに何やってんだ!蓮!」
「イテテテテッ!?は、離せ隆二!起きる!起きるから!」
片耳をつまみあげ耳元で怒鳴ると蓮は痛みにより目を覚ました。
「たくっ…もっと大人になれ。見損なわれるぞ」
「はぁ…もう多分手遅れだ」
「だろーな」
その場で胡座をかいて座る蓮に呆れた視線をそそぐ。
「…いつもありがとな?隆二」
片目を瞑ってそう言う蓮にこれから先も敵わないと思った。
「…馬鹿言え」
そして、その中心に泣きながら片手に箒を持ち座り込む星那の姿があった。
「せな、まず何故この家にいるのか教えてくれるか?」
「実は…」
星那は今までの経緯を嗚咽混じりに話した。
「なるほどな…色々驚きですぐには頭はついていかないが、今の状況を言うと朝起きてダイニングに入ると散乱していたってわけか…」
「はい…まさかこんな風になるなんて一体誰が…」
「はぁ…ため息しか出てこないが簡潔に言うと、これをやったのは蓮だ」
「えっ!?蓮さんがやったんですか!?」
「あいつは店で飲み足りないと家で飲むんだが、その代わり部屋が散乱してしまうんだ」
「まともな大人じゃないですね…常識人だと思って損したかも」
呆れた言葉を漏らす星那に苦笑いをする。
「とにかく、せなは学校あるんだろ?朝食もまだみたいだし、俺があらかた片付けて何か作るからその間に顔洗って歯磨きしてこい」
「助かりました、隆二さん…」
星那はしみじみに言うと疲れ果てたように洗面台へと向かった。
「よし、やるか!」
まず散乱するガラスを軍手をはめてゴミ袋に入れていき雑誌類を元の位置に戻し、脱ぎっぱなしの服を脱衣場に持っていく。
「あれ?何だこれ?」
籠が二つありその上に蓋が被せられ蓋の上にはメモ紙で一つは蓮さん、もう一つは星那・豹と書かれていた。
「これやったの豹だな…」
字は豹の字で書かれているのに気づいた。
「おっさんの蓮と同じは嫌って事か…豹らしいな」
苦笑いをしつつ豹のために脱ぎっぱなしの蓮の衣服を蓮の箱に入れる。
「よし、次は掃除機だな」
押し入れから掃除機を取り出しダイニングの床を掃除機にかけ終わると使い終わった掃除機を元に戻し、テーブル上にあるワインボトルを片ずける。
「蓮のやつ、飲みすぎるなってあれほどいったのに…片ずける身にもなれよ」
今頃、どこかで寝ているであろう蓮の愚痴をグチグチ言いつつもキッチンの水道に放置されている皿を洗い冷蔵庫の中身からとうもろこしの缶詰と牛乳を取り出しコーンスープを作り保管されていた食パン一つをトースターに入れる。
チンッ
トースターの音がなり焼けた食パンを皿に置きコップにコーンスープをよそう。
「後はサラダだが、冷蔵庫に入れていた残り物のサラダを代用するか」
冷蔵庫からサラダの残りを取り出しテーブルに並べているとダイニングのドアが開く音がし振り向くと星那の姿があった。
「うわぁ!美味しそう!」
「簡単なものしか作れなかったが、味は保証する。座って食べろ」
「ありがとうございます…!」
満面の笑みで座って食べる星那の顔を見ていると星那が疑問に思っていた事を口にする。
「あの…何で隆二さんは蓮さんの家に?それに、この状況にも慣れているみたいだし…」
「ああ、それは蓮のやつが店で酔いつぶれない日の次の日に朝こうして散乱している部屋の片付けをしてたんだ」
「隆二さん…まるでハウスキーパーみたいじゃないですか。そこまでする必要って…」
「んー、ほっとけないってやつだな」
するとその言葉を聞いた星那から涙が溢れ出す。
「うぅ…隆二さん心広すぎますっ!」
「はははっ 泣くほどの事じゃないだろ」
「蓮さんとは大違いすぎて隆二さんが天使に見えますっ!」
「大袈裟だなぁ…ま、そこまで言うんならせなにはもっと優しくしなきゃな?」
涙を流す星那の髪を優しく撫でる。
「これ以上の優しさは俺よりお店に来るお客様の特権ですので遠慮します」
「ははっ せなはお客様思いだな」
「1に命!2にお金!3に信頼ですから!」
ドヤ顔して言う星那にせならしいとつくづく思うのだった。
*
星那と朝食をとっていた最中に起きてきた豹の分の朝食を作り食べさせると食べ終わった星那が着替えるといって自室に戻っていった。
「そろそろ蓮のやつたたき起こしに行くかな…」
「蓮さん何処で寝てるんですか?」
「さぁな、毎回廊下で寝たりトイレで寝たり様々だからな」
「苦労しますね、隆二さん…」
豹の哀れみに満ちた言葉に乾いた笑いを浮かべつつ蓮を探すため部屋を出ようとすると星那の声が裏口からかかった。
「いってきま~す!」
「ん?せなの声?何であいつ真正面から出なかったんだ?」
「…めんどくさかったとかそんな理由っすよ」
「豹…」
まぁ、そう言う理由とかなら別に気にはしないが…
少しばかりの疑問をそのままにダイニングを出て部屋を回っていると2階の隅の部屋にて床に這いつくばって下着一枚で寝ている蓮の姿があった。
「おい!蓮起きろ!朝だぞ」
ドスッ
「ん~…」
「はぁ…せなも豹もいるのに何やってんだ!蓮!」
「イテテテテッ!?は、離せ隆二!起きる!起きるから!」
片耳をつまみあげ耳元で怒鳴ると蓮は痛みにより目を覚ました。
「たくっ…もっと大人になれ。見損なわれるぞ」
「はぁ…もう多分手遅れだ」
「だろーな」
その場で胡座をかいて座る蓮に呆れた視線をそそぐ。
「…いつもありがとな?隆二」
片目を瞑ってそう言う蓮にこれから先も敵わないと思った。
「…馬鹿言え」
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