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気がかりなこと
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深夜十一時頃、ホストの仕事が終わり帰宅した豹は玄関の鍵を開けドアを開くとそこにはメイド服のままの星那の姿があり靴だけは器用に脱ぎ捨てられた状態で玄関先で倒れていた。
「おいっ!」
すかさず近寄ると規則正しい寝息が聞こえ安堵する。
「なんだ寝てるだけか…」
爆睡してピクリとも動かない星那を見つめふいに髪の毛を耳にかける。
「んっ…」
「働きすぎだ…馬鹿」
星那の体を抱き抱えると星那の部屋へと運ぶ。
ガチャ
部屋のドアを開けベッドの上に下ろす。
「たくっ…先に帰って来たのが俺だからよかったもののバレたらどうするんだよ」
寝ている星那の鼻を摘み言うと小さく唸る声が返ってきた。
「うっ…んんっ…」
「少しは俺の忠告を聞けよな…?」
「んっ……豹」
「っ…」
急に名前を呼ばれ手を離すと赤くなる顔を手で覆う。
「…調子狂う」
小さく漏れた言葉は爆睡中の星那には聞こえずただ静かな部屋の中で消えていった。
*
翌日、いつものように週明けの学校に行くとさっそくグラウンド場にて寧々ちゃんが比留間くんに先日買ったラッピングに入った手作りクッキーを渡している所が見えた。
ちゃんと渡せたみたいでよかった…
教室に入ると既に着いていた豹の姿を見つけ早足で自分の席に荷物を置きうつ伏せで眠る豹の肩をそっと叩く。
トントン
「んっ…?」
あからさまに眠そうに顔を上げ視線が交差する。
「なんだ…?」
「昨日その…運んでくれてありがとう」
小さく豹にしか聞こえない声でそうお礼を言うといつものように変わらず皮肉じみた返答が返ってきた。
「あんな所に放置してたら蓮さん達にバレるかもしれないからな…」
「なっ…人がせっかくお礼を言って…うわっ!?」
ドンッ!
「星那~!おっはよ~!」
教室に入って来た理沙に後ろから抱きつかれ話が途切れる。
「おはよう、理沙」
「ま~た宮端くんとバトってるの~?仲いいね~!」
「こんな奴仲良くなんかないって!」
指さし豹を見ると再度うつ伏せで寝ている姿が見え呆れて落胆した。
結局また反論出来ずじまいか…
*
移動教室のため理沙と別れ別々の教室である三階に向かう途中での廊下を歩いていると相変わらず女子や男子生徒ファンからの声掛けを度々笑顔で答えながら歩いていると目の前を歩く豹の姿が見えた。
「豹!」
その声に足を止め振り向くと慌てて豹の元に近寄った。
「また運んだ話ならもう…」
「ううん、ちょっと聞きたい事があって…」
「なんだ…?」
「その…昨日のバイト終わりにお店の入口付近に誰が不審な影とか見なかった?」
「いや、特にそういうのはなかったが…何かあるのか?」
「ううん、何も無かったんならいいの…答えてくれてありがとう」
お礼を残し教室に向かおうとした瞬間、豹の手が腕を掴んだ。
パシッ
「待て!お前…何か隠してる事あるだろ?」
ギクッ
「…話せ」
ゆっくりと振り向き豹に向き直るとものを言わせる目で見つめられ降参とばかりに肩を落とす。
「分かった話す…でも隆二さんや皆には内緒にして?」
「分かった」
それからショッピングセンターでの出来事と縁側で隆二さんから聞いた話とくこの前バイト終わりに見た不審な影について包み隠さず話した。
「…で、またその不審な影とか見たか気になって」
「…これは俺の推測でしかないがその隆二さんの元カノという人とそのお前が見た不審な影は何か関係があるかもな」
「それ私も心のどこかで思ってた…もしそうなら直接元カノさんに話を聞かなきゃ!」
「お前また無茶するつもりか?次どんな目に会うか分からないのに一人で行動するな!」
「私は大丈夫だから!…心配してくれてありがとう」
「だから心配じゃなくて単に一人で行動したら危な…」
豹の口元に人差し指を押し当て反論する口を止める。
「分かってるよ…ちゃんと分かってるから」
私には未来を見る力がある…危険な時しか起きないとしてもこれからその危険な時がないとも言えない。
だからこそ自分の身は自分で守れるし隆二さんや元カノさんが危険に会うことはなくなる。
だが、豹と一緒に行動するとなるともし推測でしかないが未来が見えなかったら為す術もなくなってしまう…そうならないためにも一人で行動しなくては…
押し黙る豹をそのままに笑顔で別れを告げその場を後にした。
「おいっ!」
すかさず近寄ると規則正しい寝息が聞こえ安堵する。
「なんだ寝てるだけか…」
爆睡してピクリとも動かない星那を見つめふいに髪の毛を耳にかける。
「んっ…」
「働きすぎだ…馬鹿」
星那の体を抱き抱えると星那の部屋へと運ぶ。
ガチャ
部屋のドアを開けベッドの上に下ろす。
「たくっ…先に帰って来たのが俺だからよかったもののバレたらどうするんだよ」
寝ている星那の鼻を摘み言うと小さく唸る声が返ってきた。
「うっ…んんっ…」
「少しは俺の忠告を聞けよな…?」
「んっ……豹」
「っ…」
急に名前を呼ばれ手を離すと赤くなる顔を手で覆う。
「…調子狂う」
小さく漏れた言葉は爆睡中の星那には聞こえずただ静かな部屋の中で消えていった。
*
翌日、いつものように週明けの学校に行くとさっそくグラウンド場にて寧々ちゃんが比留間くんに先日買ったラッピングに入った手作りクッキーを渡している所が見えた。
ちゃんと渡せたみたいでよかった…
教室に入ると既に着いていた豹の姿を見つけ早足で自分の席に荷物を置きうつ伏せで眠る豹の肩をそっと叩く。
トントン
「んっ…?」
あからさまに眠そうに顔を上げ視線が交差する。
「なんだ…?」
「昨日その…運んでくれてありがとう」
小さく豹にしか聞こえない声でそうお礼を言うといつものように変わらず皮肉じみた返答が返ってきた。
「あんな所に放置してたら蓮さん達にバレるかもしれないからな…」
「なっ…人がせっかくお礼を言って…うわっ!?」
ドンッ!
「星那~!おっはよ~!」
教室に入って来た理沙に後ろから抱きつかれ話が途切れる。
「おはよう、理沙」
「ま~た宮端くんとバトってるの~?仲いいね~!」
「こんな奴仲良くなんかないって!」
指さし豹を見ると再度うつ伏せで寝ている姿が見え呆れて落胆した。
結局また反論出来ずじまいか…
*
移動教室のため理沙と別れ別々の教室である三階に向かう途中での廊下を歩いていると相変わらず女子や男子生徒ファンからの声掛けを度々笑顔で答えながら歩いていると目の前を歩く豹の姿が見えた。
「豹!」
その声に足を止め振り向くと慌てて豹の元に近寄った。
「また運んだ話ならもう…」
「ううん、ちょっと聞きたい事があって…」
「なんだ…?」
「その…昨日のバイト終わりにお店の入口付近に誰が不審な影とか見なかった?」
「いや、特にそういうのはなかったが…何かあるのか?」
「ううん、何も無かったんならいいの…答えてくれてありがとう」
お礼を残し教室に向かおうとした瞬間、豹の手が腕を掴んだ。
パシッ
「待て!お前…何か隠してる事あるだろ?」
ギクッ
「…話せ」
ゆっくりと振り向き豹に向き直るとものを言わせる目で見つめられ降参とばかりに肩を落とす。
「分かった話す…でも隆二さんや皆には内緒にして?」
「分かった」
それからショッピングセンターでの出来事と縁側で隆二さんから聞いた話とくこの前バイト終わりに見た不審な影について包み隠さず話した。
「…で、またその不審な影とか見たか気になって」
「…これは俺の推測でしかないがその隆二さんの元カノという人とそのお前が見た不審な影は何か関係があるかもな」
「それ私も心のどこかで思ってた…もしそうなら直接元カノさんに話を聞かなきゃ!」
「お前また無茶するつもりか?次どんな目に会うか分からないのに一人で行動するな!」
「私は大丈夫だから!…心配してくれてありがとう」
「だから心配じゃなくて単に一人で行動したら危な…」
豹の口元に人差し指を押し当て反論する口を止める。
「分かってるよ…ちゃんと分かってるから」
私には未来を見る力がある…危険な時しか起きないとしてもこれからその危険な時がないとも言えない。
だからこそ自分の身は自分で守れるし隆二さんや元カノさんが危険に会うことはなくなる。
だが、豹と一緒に行動するとなるともし推測でしかないが未来が見えなかったら為す術もなくなってしまう…そうならないためにも一人で行動しなくては…
押し黙る豹をそのままに笑顔で別れを告げその場を後にした。
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