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ツンデレメイドとご主人様
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「ん~…?」
ガッツリ顔をのぞき込まれ冷や汗が頬を伝わる。
こういう時ってどうするんだけっけ?えっと…えっと…
悩んだ末に日本人は困った時は笑顔!という言葉が脳裏を過り咄嗟に笑顔を作る。
「ん~…やっぱり気のせいかしら?」
笑顔効果か分からないが思い違いと思ったのか見つめていた視線が離されたのを見て心の中では安堵しかなかった。
よかったぁ……
「見た事あるとしたら仕方ないんじゃないかしら…せなちゃんはまりりんと年齢的にも変わらないからね♪」
「そうですね…もしかしたら街中で見かけただけかもしれません」
ベリーさんのナイスな一言に命拾いをし、珍しくベリーさんに感謝した。
ありがとう…!ベリーさん!
「それより私は少し外でせなちゃんの宣伝してくるけど、まりりん後は頼んだわよん♪」
「はい!」
そう言うと外に出ていったベリーを見送り既に複数のお客様がいる店内にて接客をしながらも、まりりんさんに習う事になった。
「まずは挨拶ね…男性客のお客様にはご主人様で女性客のお客様にはお嬢様と言って、基本ご主人様が多いからご主人様を基準に言うとご主人様が店内に入って来たら”おかえりなさいませご主人様”と必ず言う事!」
「はい!」
小さなメモ用紙に言われた事を一つ一つ書きながら頷く。
「そして次に荷物があるのなら”お荷物お預かりします”で、初めてのご来店の方とかいるから”ご主人様は初めてでしょうか?”とか聞くのもいいわ。初めてなら席に通してメニュー表を見せつつ紹介するとご主人様が困る事がないし、常連さんや前に来たことあるご主人様なら”今日はどんなサービスをご指名ですか?”と聞くこと!」
「はい!」
「サービスには二段階あって、ご主人様とゲームをして記念撮影やお食事のサービス券があるのとお食事の際にラブ呪文を唱えたりオムライスなどに文字を書いてもらうサービスがあるの。それと1日に1回はイベントと称してビンゴゲームやメイドによるショーなどがあるからそれも覚えておく事!」
「はい!」
「メイドにはそれぞれ属性みたいなのがあってほら!例えばあの子は清純妹系だったり…」
示されたメイドさんを見るとご主人様ことお客様にご主人様ではなくお兄ちゃんと呼びまるで本当の妹らしく振舞っていた。
「〇〇系ならそれぞれご主人様ではなくお兄ちゃんや幼なじみぽく〇〇くんや〇〇にゃんなど呼び名が変わることもあるの。属性と言っても妹系だけで様々な種類の妹属性がいるしその他にもツンデレ系だけでドS系や照れが可愛いツンデレ系など真面目系でもメガネっ娘や委員長系などがいるのよ」
「なるほど…ちなみにまりりんさんはどんな属性なんですか?」
「私は真面目系の委員長系よ」
やっぱり…
予想通りの言葉に心内で苦笑いを浮かべた。
「まぁ、まだ初日だからすぐに属性を決める事はないわ。働きながら決めていくのが吉ね」
「はい!」
「そして何より大事なのが…どんな時でもご主人様に対して優しさで接しご主人様が喜ぶ笑顔や対応をする事!これは絶対よ!」
「はい!」
「じゃあ、説明はこれくらいにして私が隣で見てるからさっそく接客初めましょうか…」
その言葉に頷き店の入口にてお客様を待っていると如何にもオタクらしいメガネをかけた男性が入って来た。
えっと、いらっしゃいませじゃなくて…
「おかえりなさいませご主人様!」
にっこり笑顔でそう言うと男性は頬を赤く染め嬉しそうに話を切り出した。
「君、新人さん?」
「はい!今日からご主人様をお出迎えする事になりました、せなと申します!」
「そ、そう…か、可愛いね!」
額の汗をタオルで拭いつつそう言われ内心ホストの時と違い可愛らしさも何もない客に嫌悪感を抱きつつも給料のためと必死に笑顔を作った。
「今日どのようなサービスになさいますか?」
「お食事サービスをやってもらおうかな?」
「かしこまりました!お席は此方になりま~す♪」
何とかお出迎えを終えチラリとまりりんさんの方を見るとナイスとばかりに小さく親指を立てていた。
ふぅ…お出迎えはこんな感じか
ご主人様を席に案内しメニュー表を渡す。
「えっと…萌え萌えライムクリームソーダとらぶきゅんチョコケーキを貰おうかな?」
「かしこまりました!萌え萌えライムクリームソーダを一つとらぶきゅんチョコケーキを一つですね?」
「うん!」
「少々お待ちくださいませ!」
見終わったメニュー表を受け取りカウンターへと向かう。
「まりりんさん!萌え萌えライムクリームソーダが一つとらぶきゅんチョコケーキが一つ入りました!」
「は~い!萌え萌えライムクリームソーダはクリームだけご主人様の前で乗せる事になってるからよろしくね!後は厨房に頼んでおくわ」
「はい!」
数分後、厨房からハートのお盆に乗せられた萌え萌えライムクリームソーダとそれ用のクリームとらぶきゅんチョコケーキを受け取ると持って行く際にまりりんさんから引き止められた。
「萌え萌えライムクリームソーダはご主人様の前でクリームを乗せる前に”萌え萌えタイム初めま~す!”って言って”萌え萌えきゅんきゅん!萌え萌えきゅんきゅん!”を繰り返しながらクリームを乗せ終わると”せなの萌えパワーを召し上がれ!”って言ってね!らぶきゅんチョコケーキはご主人様に”今からラブビームを注入しますのでご一緒に両手でハートの形を作ってせなが言った言葉を後から繰り返してください”ってお願いをして両手でハートを作り”らぶらぶ~注入!”と言ってね!」
「はい!」
まりりんさんの説明を受けご主人様の元へ行く。
「ただいま戻りました!ご主人様!萌え萌えライムクリームソーダとらぶきゅんチョコケーキでございます。」
「ありがとう!」
「召し上がる前に魔法をかけてもよろしいでしょうか?」
「是非是非!」
「まずは~萌え萌えライムクリームソーダに萌えパワーを注入します!萌え萌えきゅんきゅん!萌え萌えきゅんきゅん!…」
クリームをソーダの上に乗せながら呪文を唱える。
「…ふぅ…せなの萌パワーを召し上がれ!」
「ありがとう!頂きます!…美味しいよ!」
「よかった~!じゃあ次のらぶきゅんチョコケーキに今からラブビームを注入しますのでご主人様も一緒に両手をハート形にしてせなが言った言葉を繰り返しお願い出来ますか?」
「は~い!」
「らぶらぶ~注入!」
「らぶらぶ~注入!」
「さすがご主人様!お上手ですね!」
「そ、そうかなぁ~?えへへっ…じゃあ頂こうかな?…ん~!美味しいよ!」
「よかった~!初めてのご主人様がご主人様でよかったです!」
「っ…そんな嬉しい事を言ってもらえるなんて嬉しすぎるよ!」
「ご主人様に喜んで頂いて嬉しいです!よかったらこれどうぞ…」
ご主人様が持つフォークをそっと取るとチョコケーキを切り取り口元に差し出した。
「えっ!?いいの!?」
「もちろんです!あ~ん…」
「あ~…んっ!」
「美味しいですか?」
「もう特別美味しいよ!!」
「ふふっ…よかったです!」
その様子を見ていたまりりんと帰宅していたベリーはこっそりと呟いた。
「…せなちゃんは清純✕真面目系ね」
「…ですね」
*
それからというもの接客に拍車がかかりホストの時見たくお客様を給料に変え次々と攻略していくようにこなしていくと段々メイドに慣れていった。
カランッ…
「おかえりなさいませご主人様…え?」
見上げるとそこには豹と明の姿が見え体が固まる。
「よう!どうだ?メイドの接客は」
明の飄々とした言葉に睨みを効かせた目で見つめ返す。
「そりゃあもう絶好調だ!というかなんでお前ら来たんだよ?」
「それは豹が…」
「ちょっとせなちゃん!ご主人様に対してそれは…!」
明が言葉を返そうとした瞬間、タイミング悪くまりりんさんの注意が入った。
「うぐっ…す、すみません!」
再度豹達に向き直り改めて問いかける。
「ご主人様方はどのようにしておかえりになられたのですか?」
「ぷふっ!」
その瞬間、明の笑い声が聞こえ内心堪えきれないほどの怒りを覚えた。
後で絶対ぶん殴る…!
「あのご主人様…?」
「あはははっ!すまんすまん!実は豹から誘われてよ…」
豹が…?
その言葉に豹の方を見ると無反応のまま言葉を返した。
「蓮さんからお前がメイドとしてしっかり働いてるか見て来いって言われたから暇そうな奴を誘っただけだ」
「おい!誰が暇そうな奴だよ!」
「ぷふっ…なるほど偵察ってわけでございますね」
「まぁな…」
「では、席へとご案内致します」
豹と明を席へと案内しメニュー表を渡す。
「当店ではサービスが二段階ありまして、私達メイドとご主人様がゲームを行うサービスとお食事の際にらぶ呪文をおかけするサービスがございますがどちらになさいますか?」
「ん~…じゃあ、両方で!」
「かしこまりました!ではメニューにて食べ物とゲームをお選びくださいませ」
「んと…モジモジオムライスを二つとこのあっちむいてほいゲームをお願いしまっす!」
「かしこまりました!モジモジオムライスを二つとあっちむいてホイゲームですね?少々お待ちくださいませ!」
明の注文を受け取りカウンターへと向かう。
「モジモジオムライスを二つ入りま~す!」
「は~い!」
「まりりんさん!あの…先程はすみませんでした!」
「いいの!いいの!それよりあのイケメンさん方とお知り合いなの?片方は知り合いに似てる気がするけど…」
知り合いっていうかガッツリその知り合い本人ですよきっと…
天然か鈍感か分からないまりりんこと井川 万理さんの鈍さに呆れつつもここは正直に言うより誤魔化した方が吉だと悟った。
「ちょっとした知り合いです…」
「そうなんだ~!イケメンさんと知り合いなんていいわね~!王子様みたいだわ!」
「あははは…」
どちらも私からしたらイケメンには思えないんですが…
よく見たら周りのメイド店員さん全員が豹達に釘付けになっており若干呆れた目でその様子を見る。
まぁ、主にみんな豹の方に釘付けなんだが…
数分後、モジモジオムライスが出来上がり豹達の元へ運んでいきテーブルにモジモジオムライスを乗せる。
「今からケチャップでらぶ文字を書きま~す♪」
モジモジオムライスに伝えたい気持ちを書き終えにっこり笑顔で豹達を見上げる。
「完成です♪どうぞ召し上がれ!」
「えっと…らぶ文字だよな?これ」
明は唖然とした顔でオムライスを凝視するとそこには明の方には『邪魔』の文字と豹の方には『帰れ』の文字があった。
「これ完全に続けて読んだら『邪魔帰れ』だな…」
豹の一言に明は顔を引き攣らせながら星那の顔を見上げる。
「いかがなさいました?早くお召し上がりませんと冷めてしまいますよ?」
目は笑っていない笑顔に恐怖さえ感じそれ以上言うこと無くそのまま悪意のこもったモジモジオムライスを食べるのだった。
*
「せ~の!最初はグー!じゃんけんぽん!」
「くっそー!3回とも惨敗かよ!」
「ご主人様、これはジャンケンではなく一応あっちむいてホイなのですが…?」
「くっ…分かってるっつーの!」
「ぷふっ…分かってらっしゃってその有様なんですね…」
…と皮肉たっぷりに嘲笑いつつ明に言うと悔しそうな顔に優越感を覚えた。
ざまぁ…
「じゃ、次は俺だな…?」
次の相手である豹に向き直ると強気の姿勢で挑む。
「はい!…最初はグー!ジャンケンぽんっ!」
あ…負けた!?
チョキを出しグーで負け慌てて見上げ構える。
「あっちむいて…ほい!」
う…そ……
視線が動かない豹の無反応な顔にどっちをむいていいか分からず堪らずに右にさされた方を流されるがまま向いてしまい負けてしまった。
「まず一勝だな…」
「くっ…」
次は絶対負けない…!
そういきこんだのもつかの間にあっさりと3回とも負けてしまい惨敗の結果に終わった。
「じゃあご褒美…」
うっ…確かこのご褒美は…”次回の無料招待券と耳元で好きな言葉を言わせられる券”だっけ?無理!絶対無理!
「そのなしには…」
「は?」
無理ですよね…
腹を括り再度豹に向き直りご褒美について説明する。
「…以上がご褒美となります、ご主人様」
「へ~…じゃあお前の好きな言葉でいいや」
「へ?いいんですか?それで…」
「ご主人様の言う事は絶対だろ?」
「そ、そうですが…」
「ならご主人様の命令に従って応えてくれ…」
「そういう事なら失礼します…」
豹の肩に手を置き耳元に口を近づけ言葉を発する。
「…”大っ嫌い”」
「ふっ…あはははははははっ!」
「ひょ、豹!?どうしたんだ!?急に笑い出して…」
滅多に笑わない豹の笑い声に明は驚いた声を漏らすとすぐ至近距離にいた星那さえも驚きの表情を露わにしていた。
え…?大っ嫌いって言っただけなんだけど…なんで??
その様子にポカンと唖然としていると豹は笑いながら至近距離の星那に向き直る。
「ふふっ…また来る」
「え、はい…!」
あまりの事に流されるがまま返事をしてしまい体を離すと笑い声を漏らす豹と不思議に思っている明は帰っていった。
カランッ
「いってらっしゃっいませご主人様…!」
結局なんで笑われたのかは分からず最後まで疑問でいっぱいだった。
一方、その様子を見ていたまりりんとベリーはというと…
「清純 ✕ 真面目系かと思えばツンデレ✕ 天然系とはねぇ…」
「ある意味小悪魔系ともいえますよ?ベリーさん…」
「そうね…ふふっ」
一方、その様子を見ていた周りのお客様はというと…
「せなちゃん萌え…!」
「まさかのツンデレ系もそなえつつ天然小悪魔系とは…最強のメイドの誕生ギザスっ!」
「これはメイド界にて広めねば…」
後日、その場にいたメイドオタクにて新人メイドせなの評判があがりネット上の口コミでは『ツンデレ系天然小悪魔メイド』として人気を博したのだった。
ガッツリ顔をのぞき込まれ冷や汗が頬を伝わる。
こういう時ってどうするんだけっけ?えっと…えっと…
悩んだ末に日本人は困った時は笑顔!という言葉が脳裏を過り咄嗟に笑顔を作る。
「ん~…やっぱり気のせいかしら?」
笑顔効果か分からないが思い違いと思ったのか見つめていた視線が離されたのを見て心の中では安堵しかなかった。
よかったぁ……
「見た事あるとしたら仕方ないんじゃないかしら…せなちゃんはまりりんと年齢的にも変わらないからね♪」
「そうですね…もしかしたら街中で見かけただけかもしれません」
ベリーさんのナイスな一言に命拾いをし、珍しくベリーさんに感謝した。
ありがとう…!ベリーさん!
「それより私は少し外でせなちゃんの宣伝してくるけど、まりりん後は頼んだわよん♪」
「はい!」
そう言うと外に出ていったベリーを見送り既に複数のお客様がいる店内にて接客をしながらも、まりりんさんに習う事になった。
「まずは挨拶ね…男性客のお客様にはご主人様で女性客のお客様にはお嬢様と言って、基本ご主人様が多いからご主人様を基準に言うとご主人様が店内に入って来たら”おかえりなさいませご主人様”と必ず言う事!」
「はい!」
小さなメモ用紙に言われた事を一つ一つ書きながら頷く。
「そして次に荷物があるのなら”お荷物お預かりします”で、初めてのご来店の方とかいるから”ご主人様は初めてでしょうか?”とか聞くのもいいわ。初めてなら席に通してメニュー表を見せつつ紹介するとご主人様が困る事がないし、常連さんや前に来たことあるご主人様なら”今日はどんなサービスをご指名ですか?”と聞くこと!」
「はい!」
「サービスには二段階あって、ご主人様とゲームをして記念撮影やお食事のサービス券があるのとお食事の際にラブ呪文を唱えたりオムライスなどに文字を書いてもらうサービスがあるの。それと1日に1回はイベントと称してビンゴゲームやメイドによるショーなどがあるからそれも覚えておく事!」
「はい!」
「メイドにはそれぞれ属性みたいなのがあってほら!例えばあの子は清純妹系だったり…」
示されたメイドさんを見るとご主人様ことお客様にご主人様ではなくお兄ちゃんと呼びまるで本当の妹らしく振舞っていた。
「〇〇系ならそれぞれご主人様ではなくお兄ちゃんや幼なじみぽく〇〇くんや〇〇にゃんなど呼び名が変わることもあるの。属性と言っても妹系だけで様々な種類の妹属性がいるしその他にもツンデレ系だけでドS系や照れが可愛いツンデレ系など真面目系でもメガネっ娘や委員長系などがいるのよ」
「なるほど…ちなみにまりりんさんはどんな属性なんですか?」
「私は真面目系の委員長系よ」
やっぱり…
予想通りの言葉に心内で苦笑いを浮かべた。
「まぁ、まだ初日だからすぐに属性を決める事はないわ。働きながら決めていくのが吉ね」
「はい!」
「そして何より大事なのが…どんな時でもご主人様に対して優しさで接しご主人様が喜ぶ笑顔や対応をする事!これは絶対よ!」
「はい!」
「じゃあ、説明はこれくらいにして私が隣で見てるからさっそく接客初めましょうか…」
その言葉に頷き店の入口にてお客様を待っていると如何にもオタクらしいメガネをかけた男性が入って来た。
えっと、いらっしゃいませじゃなくて…
「おかえりなさいませご主人様!」
にっこり笑顔でそう言うと男性は頬を赤く染め嬉しそうに話を切り出した。
「君、新人さん?」
「はい!今日からご主人様をお出迎えする事になりました、せなと申します!」
「そ、そう…か、可愛いね!」
額の汗をタオルで拭いつつそう言われ内心ホストの時と違い可愛らしさも何もない客に嫌悪感を抱きつつも給料のためと必死に笑顔を作った。
「今日どのようなサービスになさいますか?」
「お食事サービスをやってもらおうかな?」
「かしこまりました!お席は此方になりま~す♪」
何とかお出迎えを終えチラリとまりりんさんの方を見るとナイスとばかりに小さく親指を立てていた。
ふぅ…お出迎えはこんな感じか
ご主人様を席に案内しメニュー表を渡す。
「えっと…萌え萌えライムクリームソーダとらぶきゅんチョコケーキを貰おうかな?」
「かしこまりました!萌え萌えライムクリームソーダを一つとらぶきゅんチョコケーキを一つですね?」
「うん!」
「少々お待ちくださいませ!」
見終わったメニュー表を受け取りカウンターへと向かう。
「まりりんさん!萌え萌えライムクリームソーダが一つとらぶきゅんチョコケーキが一つ入りました!」
「は~い!萌え萌えライムクリームソーダはクリームだけご主人様の前で乗せる事になってるからよろしくね!後は厨房に頼んでおくわ」
「はい!」
数分後、厨房からハートのお盆に乗せられた萌え萌えライムクリームソーダとそれ用のクリームとらぶきゅんチョコケーキを受け取ると持って行く際にまりりんさんから引き止められた。
「萌え萌えライムクリームソーダはご主人様の前でクリームを乗せる前に”萌え萌えタイム初めま~す!”って言って”萌え萌えきゅんきゅん!萌え萌えきゅんきゅん!”を繰り返しながらクリームを乗せ終わると”せなの萌えパワーを召し上がれ!”って言ってね!らぶきゅんチョコケーキはご主人様に”今からラブビームを注入しますのでご一緒に両手でハートの形を作ってせなが言った言葉を後から繰り返してください”ってお願いをして両手でハートを作り”らぶらぶ~注入!”と言ってね!」
「はい!」
まりりんさんの説明を受けご主人様の元へ行く。
「ただいま戻りました!ご主人様!萌え萌えライムクリームソーダとらぶきゅんチョコケーキでございます。」
「ありがとう!」
「召し上がる前に魔法をかけてもよろしいでしょうか?」
「是非是非!」
「まずは~萌え萌えライムクリームソーダに萌えパワーを注入します!萌え萌えきゅんきゅん!萌え萌えきゅんきゅん!…」
クリームをソーダの上に乗せながら呪文を唱える。
「…ふぅ…せなの萌パワーを召し上がれ!」
「ありがとう!頂きます!…美味しいよ!」
「よかった~!じゃあ次のらぶきゅんチョコケーキに今からラブビームを注入しますのでご主人様も一緒に両手をハート形にしてせなが言った言葉を繰り返しお願い出来ますか?」
「は~い!」
「らぶらぶ~注入!」
「らぶらぶ~注入!」
「さすがご主人様!お上手ですね!」
「そ、そうかなぁ~?えへへっ…じゃあ頂こうかな?…ん~!美味しいよ!」
「よかった~!初めてのご主人様がご主人様でよかったです!」
「っ…そんな嬉しい事を言ってもらえるなんて嬉しすぎるよ!」
「ご主人様に喜んで頂いて嬉しいです!よかったらこれどうぞ…」
ご主人様が持つフォークをそっと取るとチョコケーキを切り取り口元に差し出した。
「えっ!?いいの!?」
「もちろんです!あ~ん…」
「あ~…んっ!」
「美味しいですか?」
「もう特別美味しいよ!!」
「ふふっ…よかったです!」
その様子を見ていたまりりんと帰宅していたベリーはこっそりと呟いた。
「…せなちゃんは清純✕真面目系ね」
「…ですね」
*
それからというもの接客に拍車がかかりホストの時見たくお客様を給料に変え次々と攻略していくようにこなしていくと段々メイドに慣れていった。
カランッ…
「おかえりなさいませご主人様…え?」
見上げるとそこには豹と明の姿が見え体が固まる。
「よう!どうだ?メイドの接客は」
明の飄々とした言葉に睨みを効かせた目で見つめ返す。
「そりゃあもう絶好調だ!というかなんでお前ら来たんだよ?」
「それは豹が…」
「ちょっとせなちゃん!ご主人様に対してそれは…!」
明が言葉を返そうとした瞬間、タイミング悪くまりりんさんの注意が入った。
「うぐっ…す、すみません!」
再度豹達に向き直り改めて問いかける。
「ご主人様方はどのようにしておかえりになられたのですか?」
「ぷふっ!」
その瞬間、明の笑い声が聞こえ内心堪えきれないほどの怒りを覚えた。
後で絶対ぶん殴る…!
「あのご主人様…?」
「あはははっ!すまんすまん!実は豹から誘われてよ…」
豹が…?
その言葉に豹の方を見ると無反応のまま言葉を返した。
「蓮さんからお前がメイドとしてしっかり働いてるか見て来いって言われたから暇そうな奴を誘っただけだ」
「おい!誰が暇そうな奴だよ!」
「ぷふっ…なるほど偵察ってわけでございますね」
「まぁな…」
「では、席へとご案内致します」
豹と明を席へと案内しメニュー表を渡す。
「当店ではサービスが二段階ありまして、私達メイドとご主人様がゲームを行うサービスとお食事の際にらぶ呪文をおかけするサービスがございますがどちらになさいますか?」
「ん~…じゃあ、両方で!」
「かしこまりました!ではメニューにて食べ物とゲームをお選びくださいませ」
「んと…モジモジオムライスを二つとこのあっちむいてほいゲームをお願いしまっす!」
「かしこまりました!モジモジオムライスを二つとあっちむいてホイゲームですね?少々お待ちくださいませ!」
明の注文を受け取りカウンターへと向かう。
「モジモジオムライスを二つ入りま~す!」
「は~い!」
「まりりんさん!あの…先程はすみませんでした!」
「いいの!いいの!それよりあのイケメンさん方とお知り合いなの?片方は知り合いに似てる気がするけど…」
知り合いっていうかガッツリその知り合い本人ですよきっと…
天然か鈍感か分からないまりりんこと井川 万理さんの鈍さに呆れつつもここは正直に言うより誤魔化した方が吉だと悟った。
「ちょっとした知り合いです…」
「そうなんだ~!イケメンさんと知り合いなんていいわね~!王子様みたいだわ!」
「あははは…」
どちらも私からしたらイケメンには思えないんですが…
よく見たら周りのメイド店員さん全員が豹達に釘付けになっており若干呆れた目でその様子を見る。
まぁ、主にみんな豹の方に釘付けなんだが…
数分後、モジモジオムライスが出来上がり豹達の元へ運んでいきテーブルにモジモジオムライスを乗せる。
「今からケチャップでらぶ文字を書きま~す♪」
モジモジオムライスに伝えたい気持ちを書き終えにっこり笑顔で豹達を見上げる。
「完成です♪どうぞ召し上がれ!」
「えっと…らぶ文字だよな?これ」
明は唖然とした顔でオムライスを凝視するとそこには明の方には『邪魔』の文字と豹の方には『帰れ』の文字があった。
「これ完全に続けて読んだら『邪魔帰れ』だな…」
豹の一言に明は顔を引き攣らせながら星那の顔を見上げる。
「いかがなさいました?早くお召し上がりませんと冷めてしまいますよ?」
目は笑っていない笑顔に恐怖さえ感じそれ以上言うこと無くそのまま悪意のこもったモジモジオムライスを食べるのだった。
*
「せ~の!最初はグー!じゃんけんぽん!」
「くっそー!3回とも惨敗かよ!」
「ご主人様、これはジャンケンではなく一応あっちむいてホイなのですが…?」
「くっ…分かってるっつーの!」
「ぷふっ…分かってらっしゃってその有様なんですね…」
…と皮肉たっぷりに嘲笑いつつ明に言うと悔しそうな顔に優越感を覚えた。
ざまぁ…
「じゃ、次は俺だな…?」
次の相手である豹に向き直ると強気の姿勢で挑む。
「はい!…最初はグー!ジャンケンぽんっ!」
あ…負けた!?
チョキを出しグーで負け慌てて見上げ構える。
「あっちむいて…ほい!」
う…そ……
視線が動かない豹の無反応な顔にどっちをむいていいか分からず堪らずに右にさされた方を流されるがまま向いてしまい負けてしまった。
「まず一勝だな…」
「くっ…」
次は絶対負けない…!
そういきこんだのもつかの間にあっさりと3回とも負けてしまい惨敗の結果に終わった。
「じゃあご褒美…」
うっ…確かこのご褒美は…”次回の無料招待券と耳元で好きな言葉を言わせられる券”だっけ?無理!絶対無理!
「そのなしには…」
「は?」
無理ですよね…
腹を括り再度豹に向き直りご褒美について説明する。
「…以上がご褒美となります、ご主人様」
「へ~…じゃあお前の好きな言葉でいいや」
「へ?いいんですか?それで…」
「ご主人様の言う事は絶対だろ?」
「そ、そうですが…」
「ならご主人様の命令に従って応えてくれ…」
「そういう事なら失礼します…」
豹の肩に手を置き耳元に口を近づけ言葉を発する。
「…”大っ嫌い”」
「ふっ…あはははははははっ!」
「ひょ、豹!?どうしたんだ!?急に笑い出して…」
滅多に笑わない豹の笑い声に明は驚いた声を漏らすとすぐ至近距離にいた星那さえも驚きの表情を露わにしていた。
え…?大っ嫌いって言っただけなんだけど…なんで??
その様子にポカンと唖然としていると豹は笑いながら至近距離の星那に向き直る。
「ふふっ…また来る」
「え、はい…!」
あまりの事に流されるがまま返事をしてしまい体を離すと笑い声を漏らす豹と不思議に思っている明は帰っていった。
カランッ
「いってらっしゃっいませご主人様…!」
結局なんで笑われたのかは分からず最後まで疑問でいっぱいだった。
一方、その様子を見ていたまりりんとベリーはというと…
「清純 ✕ 真面目系かと思えばツンデレ✕ 天然系とはねぇ…」
「ある意味小悪魔系ともいえますよ?ベリーさん…」
「そうね…ふふっ」
一方、その様子を見ていた周りのお客様はというと…
「せなちゃん萌え…!」
「まさかのツンデレ系もそなえつつ天然小悪魔系とは…最強のメイドの誕生ギザスっ!」
「これはメイド界にて広めねば…」
後日、その場にいたメイドオタクにて新人メイドせなの評判があがりネット上の口コミでは『ツンデレ系天然小悪魔メイド』として人気を博したのだった。
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