男装ホストは未来を見る

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正夢

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ガチャ…ドタバタドンドンドンッ!…バタンッ!

「はぁ…はぁ…隆二さんいますか!?」

「そんな血相書いてどうした?せな」

慌ててたせいか息が上がりながらダイニング部屋のドアを開けるとそこには蓮さんと豹の姿しかなく肝心の隆二さんの姿はなかった。

「ど、どこにいるんですか!?」

「色々やりたい事があるからとかなんとかで今日は一日店で寝泊まりするっていってたが…」

「そ、そんなぁ…」

バタンッ

まさかの入れ違いに落胆しその場に座り込む。

「なんかあったのか?」

豹の問いかけに無言で頷くと読んでいた本を閉じ目配せさせながら部屋を後にした。

これってついて来いって事だよね…?

慌てて立ち上がり豹後を追って部屋を出ると廊下の壁によっかかりながら腕を組む豹の姿があった。

「何があったか話せ」

「うん…実はさっき店の前で隆二さんの元カノさんに会って路地裏で入口付近にいた事や姿を消したのに会って話したいっていう理由とか色々聞いたの。そしたら、明日の午後には結婚した旦那さんがいるアメリカに渡米するらしくて最後にどうしても隆二さん姿を消した事を謝りたいって…それと本当に愛していた事も。それを言うために店の前にいたらしいんだけど中々言い出せなくて会えずじまいだって聞いて明日十三時三十分前に必ず隆二さんを空港に連れてくるって約束したの」

「だからって今そんな慌てなくてもいいんじゃないか?」

「…事故に遭うかもしれないから」

「事故?どういう事だ?」

「ううん、単に早く説得しないと間に合わない気がしただけ…隆二さん頑なに会わないって言ったから」

未来が見えるなんて豹には言えない…この力は秘密にしなければならない

「…事情は分かった。だが、十三時三十分までまだ時間はある…行動するなら明日の朝隆二さんがいる店に行き説得する方がいい」

「そうだね…少し先走ってたのかもしれない、豹の言う通り明日の朝一番に店に行く事にする」

「ああ…俺も一緒に行く」

「うん…ありがとう」

そう言うと暗い表情のまま豹と別れ自室に向かう。

違うんだよ…!私が本当に心配しているのはもしかしたら…明日真希さんが死んでしまうかもしれない事

未来のビジョンに映った海の上に浮かぶ無残な飛行機の破片が不安を加速させる。

 *

飛行機の片方の翼が停止し機内にいる乗客全員に恐怖の色が浮かぶ…

駄目…!駄目…!

次の瞬間には海の上に飛び散る飛行機の破片と赤色の液体が海に染まった…

「うわぁぁぁぁぁっ!!」

ベッドから飛び起きると全身から汗が伝う感覚がありすかさず時計を見る。

「今何時!?」

時計は朝の七時を指しておりそれにほっと安堵する。

「昔もこんな事があった…」

それは残酷な死に関する未来を見てしまうとその日に正夢として悪夢のような未来が見える事…

「早くどうにかして隆二さんを真希さんに会わせないと…それに飛行機を止めなきゃ…!」
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