74 / 108
潜入
しおりを挟む
ガタッ…
「ん?何か物音しなかったか?」
「気のせいだろ…それより早く持って行かねぇと空さんに怒られちまう」
「だな…」
二人のホスト足音が遠ざかって行きホッと安堵するとロッカーのドアをゆっくりと開ける。
キー…
「ぷはぁ!ロッカー内臭すぎっ!」
香水と男特有の汗臭い匂いに息をとめていた星那はようやくかげた外の空気を吸い込む。
「更衣室は少し手入れした方がいいな」
星那の言葉を隣で聞いていた隆二が付け足す。
「はぁ…それよりまさか花吹雪に潜入する事になるとはな」
蓮は数分前の出来事を思い出しながら呟いた。
*
数分前…
バタバタバタバタンッ!!
「豹に…せな?どうした慌てて…」
勢いよく休憩所のドアを開け鬼の形相の星那と背後で重々しい顔をする豹の姿に部屋にいた蓮と隆二と明の三人は呆然となりながらも質問する。
「大変なんですっ!俺の友達が花吹雪に攫われて…!今すぐ行かないと…!それには色々計画しなきゃだしっ…!」
途端に畳み掛けるように話し出す星那に慌てて隆二が制する。
「せな、落ちつけ!ゆっくり事情を話してくれ…何があったんだ?」
「はい…実は、俺の友達が花吹雪の店の前で半ば強引に連れ込まれて…その友達はカナトってホストに入れ込んでて、前に店近くで花吹雪のホスト二人にカナトに払うお金が用意出来たのに会わせてもらえない事に言い合いになってる所を目撃してその日から心配してたんですが…うわっ!?」
悔しさで顔を歪ませながら俯いていると首根っこの襟を背後から豹に捕まれ振り返る。
「連れ込まれていった後にこいつがすぐに乗り込もうとしてたんで止めて一先ず蓮さん達に助けを願おうと思ったんすけど…」
「事情は分かった…とりあえず花吹雪に潜入してみるか」
蓮は重々しく呟くとその言葉に隆二が付け足す。
「潜入するのはいいが二手に別れて片方はそのせなの友達を探してもう片方はその間に注意を引き付けた方が懸命だな…」
「そうだな…いきなりライバル店のホストとして前に出るよりも花吹雪のバーターとして潜入した方が上手く立ち回れるだろうな…」
「じゃあ、とりあえず連れ込まれたせなの友達はせなと豹で探し出し店内状況把握と注意を引くのは俺と蓮で行くとするか?」
「その方が妥当だな…んじゃ行くとす…」
「あの!俺は…?」
話がついた所で一同動こうとするとそれまで黙って聞いていた明が間を割る。
「お前は留守番だ」
「なっ!?何ですか!?俺だって役に立ちますよ!」
「ん~…じゃあ、明は俺達が店を開けている間に他ホスト達を仕切ってくれ!頼む!」
「そ、そんな頼むなんて言われたらやるしかないじゃないっすかぁ~…」
あからさまに嬉しそうな明の様子に星那は内心”…単純”と毒づいていた。
「じゃ、後は宜しくな?」
「おっす!」
*
…現在
裏口付近でボーイを捕まえ衣服を剥ぎ取りボーイに変装し店内に潜入した星那を含む四人は見つからないように歩きながら現在は更衣室にて身を隠していた。
「…んじゃ、せなは豹と一緒に店内を周り連れ込まれた友達を探しに行け!」
「でもあの…さっきから豹の姿がないんですけど」
「”はぁ!?”」
その場にいた蓮と隆二は驚きの声をあげすぐ様口を塞ぎ辺りを見渡す。
「はぁ…豹の奴何処に消えたんだ?」
「ん?何か物音しなかったか?」
「気のせいだろ…それより早く持って行かねぇと空さんに怒られちまう」
「だな…」
二人のホスト足音が遠ざかって行きホッと安堵するとロッカーのドアをゆっくりと開ける。
キー…
「ぷはぁ!ロッカー内臭すぎっ!」
香水と男特有の汗臭い匂いに息をとめていた星那はようやくかげた外の空気を吸い込む。
「更衣室は少し手入れした方がいいな」
星那の言葉を隣で聞いていた隆二が付け足す。
「はぁ…それよりまさか花吹雪に潜入する事になるとはな」
蓮は数分前の出来事を思い出しながら呟いた。
*
数分前…
バタバタバタバタンッ!!
「豹に…せな?どうした慌てて…」
勢いよく休憩所のドアを開け鬼の形相の星那と背後で重々しい顔をする豹の姿に部屋にいた蓮と隆二と明の三人は呆然となりながらも質問する。
「大変なんですっ!俺の友達が花吹雪に攫われて…!今すぐ行かないと…!それには色々計画しなきゃだしっ…!」
途端に畳み掛けるように話し出す星那に慌てて隆二が制する。
「せな、落ちつけ!ゆっくり事情を話してくれ…何があったんだ?」
「はい…実は、俺の友達が花吹雪の店の前で半ば強引に連れ込まれて…その友達はカナトってホストに入れ込んでて、前に店近くで花吹雪のホスト二人にカナトに払うお金が用意出来たのに会わせてもらえない事に言い合いになってる所を目撃してその日から心配してたんですが…うわっ!?」
悔しさで顔を歪ませながら俯いていると首根っこの襟を背後から豹に捕まれ振り返る。
「連れ込まれていった後にこいつがすぐに乗り込もうとしてたんで止めて一先ず蓮さん達に助けを願おうと思ったんすけど…」
「事情は分かった…とりあえず花吹雪に潜入してみるか」
蓮は重々しく呟くとその言葉に隆二が付け足す。
「潜入するのはいいが二手に別れて片方はそのせなの友達を探してもう片方はその間に注意を引き付けた方が懸命だな…」
「そうだな…いきなりライバル店のホストとして前に出るよりも花吹雪のバーターとして潜入した方が上手く立ち回れるだろうな…」
「じゃあ、とりあえず連れ込まれたせなの友達はせなと豹で探し出し店内状況把握と注意を引くのは俺と蓮で行くとするか?」
「その方が妥当だな…んじゃ行くとす…」
「あの!俺は…?」
話がついた所で一同動こうとするとそれまで黙って聞いていた明が間を割る。
「お前は留守番だ」
「なっ!?何ですか!?俺だって役に立ちますよ!」
「ん~…じゃあ、明は俺達が店を開けている間に他ホスト達を仕切ってくれ!頼む!」
「そ、そんな頼むなんて言われたらやるしかないじゃないっすかぁ~…」
あからさまに嬉しそうな明の様子に星那は内心”…単純”と毒づいていた。
「じゃ、後は宜しくな?」
「おっす!」
*
…現在
裏口付近でボーイを捕まえ衣服を剥ぎ取りボーイに変装し店内に潜入した星那を含む四人は見つからないように歩きながら現在は更衣室にて身を隠していた。
「…んじゃ、せなは豹と一緒に店内を周り連れ込まれた友達を探しに行け!」
「でもあの…さっきから豹の姿がないんですけど」
「”はぁ!?”」
その場にいた蓮と隆二は驚きの声をあげすぐ様口を塞ぎ辺りを見渡す。
「はぁ…豹の奴何処に消えたんだ?」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる