男装ホストは未来を見る

Shell

文字の大きさ
88 / 108

鍵を開ける者

しおりを挟む
菫さんから美術館の招待状を貰ってから一週間後、星那は展覧会が開催される美術館へと来ていた。

「うわぁ…大きいなぁ…」

透明なガラス張りを基調とした巨大な四角い建物に足を踏み入れると入口でチラシを配っている菫の姿が目に入った。

「菫さん!」

「あら、星那ちゃん!いらっしゃい!」

星那の顔を見るなり嬉しそうに飛びつく菫さんにまたもや巨乳に押し潰されながらも今回は人目があるのですぐに離してくれた。

はぁ…ベリーさんは男だからまだいいけど、菫さんは巨乳だからいつ窒息なるか分からないわ…

「今日は女性の姿なのね?」

「はい、美術館だからきちんとしなきゃと思いまして…」

「ふふっ…女性の服の星那ちゃんも可愛いくて似合ってるわよ?」

「あはは…ありがとうございます」

これって男としてだと喜んでいいのか複雑だなぁ…

菫の言葉に苦笑いを浮かべていると入口にいたお婆さんが話しかけてきた。

「あの…お手伝いはどこかの?」

「あ、お手伝いですね?中にもありますがここから近いお手伝いだと入口から入って右側の通路を真っ直ぐ行くとありますよ」

「ありがとう」

そう言うとお婆さんは菫の言う通りにお手伝いに向かっていった。

「菫さん、忙しそうですね…」

「まぁね…でも見に来てくれるお客様がいるのは嬉しい事だわ」

「ふふっ…じゃあ、俺も中を見てきます」

「楽しんでね!」

ヒラヒラ手を振る菫さんを後に中に入ると様々な花々をモチーフとした絵が壁一面に飾られていた。

「凄い…」

それは絵だけではなく絵を見て歩く人の数も多く行き交う人皆、感嘆の溜息を漏らし絵に夢中になっていた。

あ、この絵何だか懐かしいような…

巫女姿の黒髪の長い女性と一緒に描かれた鈴蘭の一枚の絵の前に立ち止まるとどこか懐かしいような気持ちになった。

「この絵、美しいですよね…」

すると隣で見ていた栗毛のショートヘアの伊達眼鏡を掛けた女性が声をかけた。

「はい…凄く綺麗です。どこか寂しげな表情さえ見えるけど幸せだという気持ちが見えるようなそんな絵みたいです」

「私もそう思います…この絵は私の先生とゆかりのある女性がモデルだと聞いたので一目でも拝見出来て嬉しいです」

「先生…?」

「あ…私、紅河大学にて柴咲研究所で研究生をしている大河おおかわ 春奈はるなと申します…」

丁寧に自己紹介をし名刺を差し出され受け取るとそこには”紅河大学 柴咲研究所研究生 大河 春奈”と書かれていた。

「あ、えっと…美嶋 星那と言います」

小さく会釈をし自己紹介をすると再度先程の事について質問する。

「先生って…柴咲研究所の先生の事ですか?」

「はい、先生はノーベル物理賞も取った事のある偉大な方で大学の院長もしている憧れの人なんです!」

「へ~…そんなに凄い人なんですね」

柴崎しばさき 銀一ぎんいちと言えば分かると思うのですが…」

「柴咲 銀一…?すみません、分かりません…」

申し訳なさそうに謝ると大河さんは苦笑いを浮かべながら少し残念そうな顔をした。

「若い人には知らない人もいても仕方ありません…少し残念ですが」

「いえ、ただ私はこういう事には興味はあるのですが少し疎いので…」

「そうでしたか、なら是非明日にでも研究所に見学に来てみるのはどうですか?」

「体験ですか?それは嬉しいですが…高校生の私が見学なんていいんですか?」

「ふふっ…オープンキャンパスだと思えば問題ないですよ!興味がおわりなら是非来て欲しい限りです!」

「なら、お言葉に甘えて行ってみます…!」

「良かったぁ~!心よりお待ちしております!」

嬉しそうに喜ぶ大河に行ったことも無い大学や研究所に期待を膨らませるのだった。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

処理中です...