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蛍の光に包まれて…
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チャポンッ…
「冷たっ!」
鼻緒が切れた下駄を片手で持ちながら湖の傍にある岩に腰掛け片足を湖につける。
「豹、遅いなぁ…」
バサバサッ…
すると樹々の方から音が鳴り振り向くと傷一つない豹の姿が現れた。
「豹…!」
「悪い、少し遅れた…怪我はないか?」
「私は大丈夫、ただちょっと鼻緒が切れただけ…」
そう言うと豹は星那の足元の前でしゃがむと手に持っていた下駄を奪い鼻緒を直し始めた。
「怖い思いさせて悪かった…」
「別に大丈夫だよ?だって豹が守ってくれたし…」
「…俺はお前を守れない」
「え…?」
苦しそうな顔で呟く豹は星那の左足を掬いあげ直した下駄をそっと履かせる。
「俺を信じるな…」
これってどっかで聞いた言葉と同じ…あ!あの銀髪の青年の人が確か豹を信じるなって…でもどうしてそんな…
「…豹は何者なの?」
豹の藍色の瞳を真っ直ぐに見つめながら言うと豹は無表情のまま首元に右手を伸ばしそっと触れた。
「俺を知りたいか…?」
「っ…う、うん」
「なら、少し目を閉じてろ…」
「え…うん」
言われるがままに瞼を閉じると首元に手の感触とは違う冷たい何かが触れ思わず声を漏らす。
「ひゃっ…!」
な、何!?
すると鼻先に何かが光りゆっくりと瞼を開けると小さな蛍が鼻先に乗って淡く光っていた。
「蛍?…綺麗」
すると鼻先に乗っていた蛍が飛び胸元へと降りると光によって照らされた桜のネックレスが露になった。
「これって…」
桜のネックレスに触れ視線を正面に移すといつの間にか目と鼻の先にいた豹の顔が目に入り息が止まる。
「っ…」
「雑貨屋で目についたからな…なりゆきだ」
「…嘘つき」
藍色の瞳を見つめながら小さく漏らすと更に豹の顔が近づきスローモーションのように柔らかな唇が触れた。
「ん…」
ゆっくりと唇が離れ瞼を開けると藍色の瞳が月の光に照らされ真っ直ぐに交差する。
「…戻るか」
「え…う、うん」
戸惑いながらも頷くと豹は後ろを向いたまま背中を向け声をかける。
「乗れ…怖い思いさせた詫びだ」
「え!?い、いいよ!全然そんな…」
「お前の足じゃ別荘まで時間がかかる…」
「なっ…」
「…早く乗れ」
豹の憎まれ口にイラッとしながらも諦めて豹の肩に手を伸ばし乗ると下から豹の手が伸ばされ支えられそのまま立ち上がる。
「やっぱり重いよね…?」
「別に…少し重いけど」
「うっ…やっぱり降りるっ!」
足をばたつかせ降りようとするが支えられた腕が離す事なく体を固定する。
「馬鹿!落として怪我しても知らないからな?」
「うっ…」
その言葉にばたつかせるのを止め頬を豹の広い背中に寄せる。
もう本当に意味分かんないっ…!いつも憎まれ口ばっかりで信じるなって言って突き放したりでもその後キスしたり…今だってこうやって詫びだって言っておんぶしてくれたり…どれが本当の豹なの…?でも…それでも私は…
「…豹を信じるよ」
「……」
背中で小さく呟く星那の言葉は豹の心を締め付けた。
蛍の光が輝く湖を歩きながら背中越しに感じる暖かさにこのまま時が止まればいいと思った…
「冷たっ!」
鼻緒が切れた下駄を片手で持ちながら湖の傍にある岩に腰掛け片足を湖につける。
「豹、遅いなぁ…」
バサバサッ…
すると樹々の方から音が鳴り振り向くと傷一つない豹の姿が現れた。
「豹…!」
「悪い、少し遅れた…怪我はないか?」
「私は大丈夫、ただちょっと鼻緒が切れただけ…」
そう言うと豹は星那の足元の前でしゃがむと手に持っていた下駄を奪い鼻緒を直し始めた。
「怖い思いさせて悪かった…」
「別に大丈夫だよ?だって豹が守ってくれたし…」
「…俺はお前を守れない」
「え…?」
苦しそうな顔で呟く豹は星那の左足を掬いあげ直した下駄をそっと履かせる。
「俺を信じるな…」
これってどっかで聞いた言葉と同じ…あ!あの銀髪の青年の人が確か豹を信じるなって…でもどうしてそんな…
「…豹は何者なの?」
豹の藍色の瞳を真っ直ぐに見つめながら言うと豹は無表情のまま首元に右手を伸ばしそっと触れた。
「俺を知りたいか…?」
「っ…う、うん」
「なら、少し目を閉じてろ…」
「え…うん」
言われるがままに瞼を閉じると首元に手の感触とは違う冷たい何かが触れ思わず声を漏らす。
「ひゃっ…!」
な、何!?
すると鼻先に何かが光りゆっくりと瞼を開けると小さな蛍が鼻先に乗って淡く光っていた。
「蛍?…綺麗」
すると鼻先に乗っていた蛍が飛び胸元へと降りると光によって照らされた桜のネックレスが露になった。
「これって…」
桜のネックレスに触れ視線を正面に移すといつの間にか目と鼻の先にいた豹の顔が目に入り息が止まる。
「っ…」
「雑貨屋で目についたからな…なりゆきだ」
「…嘘つき」
藍色の瞳を見つめながら小さく漏らすと更に豹の顔が近づきスローモーションのように柔らかな唇が触れた。
「ん…」
ゆっくりと唇が離れ瞼を開けると藍色の瞳が月の光に照らされ真っ直ぐに交差する。
「…戻るか」
「え…う、うん」
戸惑いながらも頷くと豹は後ろを向いたまま背中を向け声をかける。
「乗れ…怖い思いさせた詫びだ」
「え!?い、いいよ!全然そんな…」
「お前の足じゃ別荘まで時間がかかる…」
「なっ…」
「…早く乗れ」
豹の憎まれ口にイラッとしながらも諦めて豹の肩に手を伸ばし乗ると下から豹の手が伸ばされ支えられそのまま立ち上がる。
「やっぱり重いよね…?」
「別に…少し重いけど」
「うっ…やっぱり降りるっ!」
足をばたつかせ降りようとするが支えられた腕が離す事なく体を固定する。
「馬鹿!落として怪我しても知らないからな?」
「うっ…」
その言葉にばたつかせるのを止め頬を豹の広い背中に寄せる。
もう本当に意味分かんないっ…!いつも憎まれ口ばっかりで信じるなって言って突き放したりでもその後キスしたり…今だってこうやって詫びだって言っておんぶしてくれたり…どれが本当の豹なの…?でも…それでも私は…
「…豹を信じるよ」
「……」
背中で小さく呟く星那の言葉は豹の心を締め付けた。
蛍の光が輝く湖を歩きながら背中越しに感じる暖かさにこのまま時が止まればいいと思った…
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