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向日葵畑

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ミンミンミンミンミンッ…

蝉の声が真夏の炎天下の中で鳴り響いている中で、星那達四人は別荘近くの向日葵畑に来ていた。

「うわぁ…!綺麗~!!」

麦わら帽子に白の無地のワンピースを着た星那は両手を広げ満開に咲く無数の向日葵に感嘆の声をあげる。

「せな、あんまりはしゃぐなよ?怪我したら大変だ」

「うんっ!少し走り回るだけだから大丈夫!」

隆二の忠告を聞きながらも好奇心は止められず無数の向日葵畑の中を走り回る。

「蓮、そのカメラどうしたんだ?」

「絵はもう描く気はないが、これで思い出ぐらいは残そうと思ってな…」

「お前、せなの写真しか取らなかったら許さないからな?」

「うっ…分かってるっつーの!」

図星だったのかムキになって反論する蓮に笑いながらも向日葵畑の中に消えていった星那を探し向日葵に負けないぐらいの満面の笑みではしゃぐ姿に内心、蓮の気持ちに共感していた。

まぁ、あの笑顔を撮りたい気持ちは分からなくもないがな…

フッと小さく笑みを零しつつ星那が迷子にならないよう見つめながら向日葵畑へと足を踏み入れた。

 *

「ほんとに綺麗…!こんな向日葵畑初めて!」

暑い中を満面の笑みで走り回れるのはきっと太陽に向かって綺麗に咲く向日葵のおかげだろうと思った。

カシャッ…

ん…?

背後でカメラのシャッター音が鳴り振り向くとカメラのレンズを覗く蓮の姿があり悪戯心でしゃがみながら近づきレンズ前に飛び出す。

「…わぁっ!」

「うわぁ!?」

驚いた声を上げカメラを顔から離す蓮に笑いながら声をかける。

「蓮さん、何撮ってたんですか?」

「あ、えっと…ちょっ!?せな待てっ…!」

言い淀む蓮からすかさずカメラを奪うと先程撮っていた写真を表示する。

「これって…」

そこには向日葵の中で満面の笑みではしゃぐ自分の姿があり驚きつつも自然と笑みが零れた。

「えっとな…これはそのつい…」

「すっごく嬉しいです…!撮ってくれてありがとうございます!」

「え…」

意外にも喜びの声をあげる星那に唖然としながらも安堵しているとその様子を星那がカメラのシャッターを押す。

カシャッ!

「なっ…」

「へへ…思い出一つ!」

悪戯っ子のような笑みを浮かべながら舌を出す星那に内心可愛いと思いながらもその気持ちを誤魔化すように星那の麦わら帽子に手を伸ばしポンポンと優しく叩く。

「ばーか!」

「へへへっ…」

互いに笑いながらも二人で向日葵畑を歩いているとふと蓮の脳内から昔の幼い頃の記憶がチラついた。

『…お母様!』

向日葵畑の中で麦わら帽子を被り白い無地のワンピースを着る長い赤髪姿の母に駆け寄り抱きつくと白く長い手が頬に触れ暖かな声が途上から響く。

『蓮、あまり走り回ったら怪我するわよ?』

『大丈夫!僕、男の子だから強いもん!』

『そうね…蓮は強くて優しい素敵な子ね』

『へへっ!椿も菫もそしてお母様も僕が守るんだ!』

『ふふ…じゃあ、いつか現れる蓮の愛する人も守ってあげてね?』

『うん…っ!』

この向日葵畑で幼い頃に母と約束した思い出を思い出し笑みを浮かべながら隣で歩く星那に口を開く。

「昔ここで母と約束した事がある…」

「約束?」

「大切な人を守るって言う約束…」

「それって、蓮さんはちゃんと守れてますね!」

「え…」

「だってほら!椿さんも菫さんも蓮がずっと守ってくれてるから今があるし、それに私達だって蓮さんに守ってもらってるから…幸せです!」

「っ…せなはいつもいつも予想外の言葉ばかり言いやがって…」

笑顔で言う星那に手を伸ばし正面から抱き締めると白い腕が背中に回り抱き締め返す星那に愛しさが募り幼い頃約束した母の愛する人と言う言葉が脳内にチラついた。

俺はせなが愛しい…

か弱い腕が優しく抱き締める感触を感じながら向日葵の中に輝く一輪の花を愛おしむのだった。














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