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星那の過去
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「んっ…」
徹矢は泣き疲れてソファの上で眠る星那の涙の雫を拭いながら目の前にいる隆二達に向き直る。
「先程は色々と悪かったな…星那がお世話になってるみたいで勘違いしてあんな事を」
星那から今までの三年間での出来事を色々聞き隆二達が星那にとって恩人だと分かり先程の自分の発言が申し訳なくなった。
「いや、普通の親なら心配して当然ですよ。だから頭をあげてください?」
「本当にすまない…それと、星那を助けてくれてありがとう」
蓮の言葉に頭を上げお礼を口にする。
「いえ…」
「君達を信じて今から言う事は星那には黙ってて欲しいんだが…」
「星那に…?」
急に真剣な顔で言う徹矢に戸惑いながらも三人は頷くとソファで眠る星那の頭を撫でながら重々しい口振りで話し出す。
「…実は星那に言った話は嘘なんだ」
「へ?嘘…?」
「本当は借金なんか一切ない…ただの口実だ」
「は?えっと、借金がない…?じゃあ、どうして姿を消すような真似を…」
隆二の動揺する言葉に真剣な顔で話の続きを話す。
「星那と私は実の親子ではないんだ…星那がまだ八歳の時に俺はある神社のお屋敷で庭師として働いてたんだがある日クビになって給料として貰った一銭もならない十円玉を空に飛ばした時に誤って通りかかった厚い鉄板で閉められた倉に入って行って十円玉を取り出そうと開けたらそこには三日ぐらい何も口にしてないような痩せこけた八歳の星那の姿があった…慌てて生存確認し息をしていた星那の体を見たら手足には暴力を受けたような複数の酷い傷と両手には必死で鉄壁を叩いたような血だらけの状態だった。俺は周りに誰もいないことを確認し見つからないようにそこから星那を攫い病院に運んで手当てをしたんだが、目を覚ました星那には記憶がなく何故あそこで倒れていたのかもそこに住む神社とどういう関わりがありどんな風にして生きてきたのかも自分の事すら分からず、ただ分かるのは自分の下の名前だけだった…」
「もしかして、せなのトラウマって…」
隆二は先日倒れた星那の事を思い出し言いかけるとそれを聞いた徹矢は一瞬驚いた顔をしたがすぐに真剣な顔で頷く。
「トラウマは多分俺が星那を育てる前の出来事だろう…その当時の医者も何かトラウマになるような体験をしたため自ら無意識に記憶を消し記憶喪失になったんじゃないかと言っていた…それから俺は星那を自分の娘として育てる事にし何も分からない星那に色々教えながら貧乏なりに充実した生活を送っていた。それと同時に星那がいた神社の事を調べたが分かったのはその神社は代々続く由緒ある有名な神社で星那を攫った日にそこの拝められていた巫女が亡くなった事とその巫女の旦那が跡を継いだが巫女が亡くなってからその神社は閉鎖される事になった事だった…その際に娘の存在の話は一切なく星那と関係を付ける話はなかった」
「そんな…話を聞くかぎりせなはもしかしたらその神社で亡くなった巫女の娘って事ですよね?その巫女の旦那であり跡を継いだ人はどうなったんですか?」
「分からない…その旦那の名前を世間で明かされる事はなく、そのまま神社は閉鎖されたからな」
「じゃあ、もうせなの過去について知る事は…」
「恐らく難しいだろう…星那の記憶が戻らない限りは」
「でも、そしたらせなは…!」
「ああ…どうなるか分からない…星那が幼い頃は何度かトラウマによる発作があったが発作の次の日には星那自身何故発作になったのか?倒れたのか?分からず発作中の記憶が消えていたんだ。だからもし発作になっても星那が思い出す事は…」
「覚えてますよ」
「え…?」
すると徹矢の言葉を遮るようにそれまで黙って聞いていた豹が口を開いた。
「あいつ…先日発作で倒れた時に幼い頃に暗い何処の部屋で必死に助けを呼びながら壁を叩く自分の姿の記憶が記憶か夢か本人は判別出来てないみたいですけど、あいつは確かに覚えてます」
「そうか…まずい事になったな」
「まずい事…?」
隆二は再度意味不審な言葉を口にする徹矢に問いかける。
「実は、俺が口実をつけて姿を消したのには理由があって…ある日住所不明の手紙が送られてそこには『星那を返してもらいたい。それが無理ならば此方としては最終手段を選ばずには負えないだろう』と書かれていて、もし星那を宛先不明のもしかしたら父親かもしれない奴に渡したとして星那本人が幸せになるのか?と考えたらそれは否だと思った。トラウマになるほどの苦痛をまた星那にさせるかもしれない…そう思うと星那を渡すわけには行かず星那を隠す為に足取りがつかないよう俺自身は姿を消しその際に星那だけは見つからないようにとボロアパートへと暮らすよう仕向けたんだが…恐らく既に事は動いているだろうな」
「その徹矢さんの判断は俺達も賛成です…せなを危険に晒したくはありません」
「星那を思ってくれてありがとう…!こんなに思ってくれる人が傍にいるなら安心して任せられそうだな」
「任せる…?」
「俺は星那とまだ一緒に暮らす気はないよ…星那の為にもね」
「じゃあ、また姿を消すんですか?」
「ああ…そのつもりだ。だが今回は君達だけには俺の連絡先を教えておくよ…もしもの時のためにね」
「そう言うことなら助かります…せなの為にも」
また黙って姿を消す父に何処にいるか心配をし涙を流すせなを見たくない…
隆二を含め三人はすやすやと寝息をつきながら眠る星那を見つめながらそう思った。
「あ!でもだからといって星那にやましい気持ちで手を出すのは止めてくれよ?それと星那に悪い虫が付かないよう見張ってくれ!ああ、それとだな…」
「わ、分かりましたから!徹矢さんが心配するような事はしませんから!」
断固としてはっきり言う隆二にその場にいた二人は呆れた視線を注ぎつつも自身でも何だか後ろめたい気持ちがあるのか戸惑いながらも重々しく頷く。
「そうか…星那は幼少期からそれはもう可愛いくてな…成長する度に可愛さの中に美しさも生まれて悪い虫が度々つく度に俺が追い払ったり殺して来たんだが…今は自分がいないから心配でな」
「こ、殺し…!?」
さらりと言い放った徹矢の言葉に三人は唾を飲み込むと背筋に寒気が走った。
「まぁ、君達がそこまで言うなら心配はしない…”もしもがあれば分かっているだろうし…ね?”」
鋭く突き刺すような目がもしもがあれば殺しに来るとさえ言っているかのように物語っており恐怖で何度も首を縦に頷いた。
「は、はい…っ!!!」
「ふふっ…じゃあ、星那の事を頼んだよ?」
そう言うと側でソファの上で眠る星那の頭を優しく撫で愛おしむように見つめたのだった…
徹矢は泣き疲れてソファの上で眠る星那の涙の雫を拭いながら目の前にいる隆二達に向き直る。
「先程は色々と悪かったな…星那がお世話になってるみたいで勘違いしてあんな事を」
星那から今までの三年間での出来事を色々聞き隆二達が星那にとって恩人だと分かり先程の自分の発言が申し訳なくなった。
「いや、普通の親なら心配して当然ですよ。だから頭をあげてください?」
「本当にすまない…それと、星那を助けてくれてありがとう」
蓮の言葉に頭を上げお礼を口にする。
「いえ…」
「君達を信じて今から言う事は星那には黙ってて欲しいんだが…」
「星那に…?」
急に真剣な顔で言う徹矢に戸惑いながらも三人は頷くとソファで眠る星那の頭を撫でながら重々しい口振りで話し出す。
「…実は星那に言った話は嘘なんだ」
「へ?嘘…?」
「本当は借金なんか一切ない…ただの口実だ」
「は?えっと、借金がない…?じゃあ、どうして姿を消すような真似を…」
隆二の動揺する言葉に真剣な顔で話の続きを話す。
「星那と私は実の親子ではないんだ…星那がまだ八歳の時に俺はある神社のお屋敷で庭師として働いてたんだがある日クビになって給料として貰った一銭もならない十円玉を空に飛ばした時に誤って通りかかった厚い鉄板で閉められた倉に入って行って十円玉を取り出そうと開けたらそこには三日ぐらい何も口にしてないような痩せこけた八歳の星那の姿があった…慌てて生存確認し息をしていた星那の体を見たら手足には暴力を受けたような複数の酷い傷と両手には必死で鉄壁を叩いたような血だらけの状態だった。俺は周りに誰もいないことを確認し見つからないようにそこから星那を攫い病院に運んで手当てをしたんだが、目を覚ました星那には記憶がなく何故あそこで倒れていたのかもそこに住む神社とどういう関わりがありどんな風にして生きてきたのかも自分の事すら分からず、ただ分かるのは自分の下の名前だけだった…」
「もしかして、せなのトラウマって…」
隆二は先日倒れた星那の事を思い出し言いかけるとそれを聞いた徹矢は一瞬驚いた顔をしたがすぐに真剣な顔で頷く。
「トラウマは多分俺が星那を育てる前の出来事だろう…その当時の医者も何かトラウマになるような体験をしたため自ら無意識に記憶を消し記憶喪失になったんじゃないかと言っていた…それから俺は星那を自分の娘として育てる事にし何も分からない星那に色々教えながら貧乏なりに充実した生活を送っていた。それと同時に星那がいた神社の事を調べたが分かったのはその神社は代々続く由緒ある有名な神社で星那を攫った日にそこの拝められていた巫女が亡くなった事とその巫女の旦那が跡を継いだが巫女が亡くなってからその神社は閉鎖される事になった事だった…その際に娘の存在の話は一切なく星那と関係を付ける話はなかった」
「そんな…話を聞くかぎりせなはもしかしたらその神社で亡くなった巫女の娘って事ですよね?その巫女の旦那であり跡を継いだ人はどうなったんですか?」
「分からない…その旦那の名前を世間で明かされる事はなく、そのまま神社は閉鎖されたからな」
「じゃあ、もうせなの過去について知る事は…」
「恐らく難しいだろう…星那の記憶が戻らない限りは」
「でも、そしたらせなは…!」
「ああ…どうなるか分からない…星那が幼い頃は何度かトラウマによる発作があったが発作の次の日には星那自身何故発作になったのか?倒れたのか?分からず発作中の記憶が消えていたんだ。だからもし発作になっても星那が思い出す事は…」
「覚えてますよ」
「え…?」
すると徹矢の言葉を遮るようにそれまで黙って聞いていた豹が口を開いた。
「あいつ…先日発作で倒れた時に幼い頃に暗い何処の部屋で必死に助けを呼びながら壁を叩く自分の姿の記憶が記憶か夢か本人は判別出来てないみたいですけど、あいつは確かに覚えてます」
「そうか…まずい事になったな」
「まずい事…?」
隆二は再度意味不審な言葉を口にする徹矢に問いかける。
「実は、俺が口実をつけて姿を消したのには理由があって…ある日住所不明の手紙が送られてそこには『星那を返してもらいたい。それが無理ならば此方としては最終手段を選ばずには負えないだろう』と書かれていて、もし星那を宛先不明のもしかしたら父親かもしれない奴に渡したとして星那本人が幸せになるのか?と考えたらそれは否だと思った。トラウマになるほどの苦痛をまた星那にさせるかもしれない…そう思うと星那を渡すわけには行かず星那を隠す為に足取りがつかないよう俺自身は姿を消しその際に星那だけは見つからないようにとボロアパートへと暮らすよう仕向けたんだが…恐らく既に事は動いているだろうな」
「その徹矢さんの判断は俺達も賛成です…せなを危険に晒したくはありません」
「星那を思ってくれてありがとう…!こんなに思ってくれる人が傍にいるなら安心して任せられそうだな」
「任せる…?」
「俺は星那とまだ一緒に暮らす気はないよ…星那の為にもね」
「じゃあ、また姿を消すんですか?」
「ああ…そのつもりだ。だが今回は君達だけには俺の連絡先を教えておくよ…もしもの時のためにね」
「そう言うことなら助かります…せなの為にも」
また黙って姿を消す父に何処にいるか心配をし涙を流すせなを見たくない…
隆二を含め三人はすやすやと寝息をつきながら眠る星那を見つめながらそう思った。
「あ!でもだからといって星那にやましい気持ちで手を出すのは止めてくれよ?それと星那に悪い虫が付かないよう見張ってくれ!ああ、それとだな…」
「わ、分かりましたから!徹矢さんが心配するような事はしませんから!」
断固としてはっきり言う隆二にその場にいた二人は呆れた視線を注ぎつつも自身でも何だか後ろめたい気持ちがあるのか戸惑いながらも重々しく頷く。
「そうか…星那は幼少期からそれはもう可愛いくてな…成長する度に可愛さの中に美しさも生まれて悪い虫が度々つく度に俺が追い払ったり殺して来たんだが…今は自分がいないから心配でな」
「こ、殺し…!?」
さらりと言い放った徹矢の言葉に三人は唾を飲み込むと背筋に寒気が走った。
「まぁ、君達がそこまで言うなら心配はしない…”もしもがあれば分かっているだろうし…ね?”」
鋭く突き刺すような目がもしもがあれば殺しに来るとさえ言っているかのように物語っており恐怖で何度も首を縦に頷いた。
「は、はい…っ!!!」
「ふふっ…じゃあ、星那の事を頼んだよ?」
そう言うと側でソファの上で眠る星那の頭を優しく撫で愛おしむように見つめたのだった…
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