モブキャラCの私は乙女ゲーム世界で助言役を勝ち取りました

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一章 幼少期編

引越しはお早めに

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「桃ちゃんママ、またお茶しましょうね!」

「ええ、是非是非!」

「では、また…」

そう言うと苺親子とグアバ少年と蜜柑少年は行ってしまった。

見事に私の存在スルーされたな

苺親子とグアバ少年と蜜柑少年達のお茶会は桃である私の存在をスルーされつつ和気あいあいと会話を楽しむ結果となった。まぁ、私はようやくありつけたハンバーグを一人黙々と食べていたのだけど…

「桃ちゃん、そろそろ新しいお家に行きましょうか?」

「うん」

母の手を握り目的だった新居へと向かうとそこは結果ガタがきている築何年かのマンションで母が言うにはそこの二階だそうだ。

…今日からここが私の家か

前に住んでいた父の高級な家と比べたら天と地の差だが、前世で普通の賃貸に住んでいた私としてはやっと普通の家に住めてむしろ安心した。

「えっと…201号室…あった!」

「…あら?もしかして、新しい入居者の方ですか?」

部屋の前に着くと同時に隣の家のドアが開き顔を出した三十代前半ぐらいの女性は母の顔を見るなり嬉しそうに問いかけた。

「はい!今日からお隣で暮らす事になりました、星野です。あと、娘の桃です」

「あら、まぁ!可愛らしい娘さんね!」

「よ、よろしくお願いします!」

顔を見るなり頭を撫でられ恐縮しつつも挨拶をすると、驚いたような表情をされた。

「あら!?挨拶まで出来るなんてしっかりしてるのね!うちの子なんて十三歳にもなって忘れ物やドジばかりでしっかりなんて当てはまらないわ」

「お子さんがいらっしゃるんですか?」

「ええ。十三歳になる息子が一人」

「お互い大変ですね」

「ふふっ、でも子供がいていい事の方が多いわ」

「確かに、私も桃ちゃんがいていい事ばかりです」

ね?と顔を向けられ嬉しそうに頷くと、忘れていたのか母が慌てて口を開く。

「あ!そうそう、大家さんに早く挨拶しなきゃ!」

「あー、それなら大丈夫ですよ」

「へ?」

「私がこのマンションの大家のなつめと申します。これからよろしくね?星野さん!」

「よ、よろしくお願いしますっ!」

棗?どっかで聞いたような…?

まさかの大家さんに慌てて母共々頭を下げ改めて挨拶をした。

「いいのよ~そんなに畏まらないで?」

「は、はい」

「んじゃ、急で悪いんだけど桃ちゃん?」

「はい?」

「もうすぐ息子が帰ってくるから、息子と一緒に商店街にでも行かない?」

「え!?一緒にですか?」

「ええ!嫌…かしら?」

「い、いえっ!行きたいです」

嘘です!絶対に行きたくないです!だって、嫌な予感しかしないんだもん!

「良かったわね、桃ちゃん。新しいお兄ちゃんが出来たみたいで嬉しいわ。ついでに、商店街でおつかい頼める?」

まったく、母まで何を言い出すんだ

「分かった」

「良かった!なら、さっそくおつかいに行く準備しなくちゃね!」

「じゃあ、私は息子が帰って来たら呼びに来るわね!」

「はい!」

私のほんとの気持ちなんかお構い無しに勝手に話が進み、挙句の果てには母から今日の夕飯になる肉じゃがの材料が書かれたメモ用紙とお金と水筒が入ったリュックサックを背負わされ行くはめになった。

「桃ちゃん、ちゃんとお兄ちゃんの言う事を聞くんだよ?」

「うん」

内心嫌で嫌で仕方ない気持ちを押し隠しながら返事をすると、いってらっしゃいのキスが額に落とされた。

「チュ…いってらっしゃい!」

「いってきまーす」

母と別れ玄関のドアを開けると目の前に寝癖のようにはねている緑色の髪に杏色の瞳を持つ少年が立っていた。

「こんにちわ、桃ちゃん!」
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