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二章 ゲーム開始
微かな変化はバグのせい?
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レモン色の髪を毛先だけ結びアメジストの瞳が心配そうに覗き込まれて息を呑む。
「お~い、聞いてる~?」
「…はっ!?失礼します!」
慌ててその場から離れ駆け出した。
な、何であの人が!?
名前と同じ特徴的なレモン色の髪はよく傍から目にしていた事もありまさか声をかけられるなど思ってもなかった。
レモン色の髪を持つ人物…攻略対象者の一人であり生徒会会計の木通檸檬は、母親が有名な女優で父親が一流のモデルと言う事もあって容姿端麗の遊び人と呼ばれている。幼い頃からデザインの才能がありヒロインと同じでデザイン科を選択している彼は毎年行われる校内のファッションショーでは彼のデザインが主に採用されその服を欲しがるファンは多数である。
噂によるとヒロインである苺と最も親しい関係って言われてるんだよね
同じ学科という事もありヒロインとは一番仲が良く、後ろの席という事もあり何度か目の前でヒロインとイチャついている様子を目の当たりにした事があった。だが、彼から絡まれる事もましては声をかけられることも無く空気として扱われていた。それは他の攻略対象者達も一緒なのだが…
なのに、どうして今になって声をかけてきたの?
乙女ゲーの設定の通りに星野 桃は脇キャラでもなくただの名前無しのモブキャラだ。だからこそヒロインや攻略対象者達の近くにいてもほんの少し関わってしまっても彼等達の記憶には残らないし空気として扱われても当然なのに、声をかけられるなんてアクションはバグらない限り不可能である。
天気みたいに異常気象じゃあるまいし、いったいどうなってんのよ?
疑問しか湧かない脳内を隅にやりながら筆記用具を抱き直すと次の授業へと意識を向けた。
とにかく今は授業…授業…
桃が気持ちを切り替えた頃、渡しそびれたボールペンを手に呆然と立ち尽くす檸檬がいた。
「あの子、ボールペン忘れて行っちゃったよ…ま、いっか。また会えると思うし」
檸檬は、手にあるボールペンを胸ポケットに挿すと口角をあげ笑みを浮かべた。
*
「はい、次~!」
「は~い!いちにっさんっ!」
目の前で繰り広げられる体育のバレーのサーブ練習に私は一人忘れられた状態のまま隅の方で眺めていた。
「ナイス!苺」
「小豆もサーブ綺麗だったよ!」
「ふふっ、ありがとう」
ネット際でハイタッチをする苺と小豆を目に周りは尊敬の眼差しで見ていた。
「やっぱり凄いね!あの二人」
「うんうん!二人とも容姿端麗で運動神経抜群だし、小豆ちゃんは頭脳明晰で機械工学科の天才で苺ちゃんは学校で一番の美少女だもん!」
「ほんとに最強の二人だよね!」
「うんうん!私も二人みたいになりたいなぁ」
そんな風に女子達が騒いでいるのもつゆ知らず当の本人の二人は黙々とサーブ練習に打ち込んでいた。
確かに、皆が尊敬したくなる気持ちも分かる気がする
クラスでも目立つヒロインとその親友である脇キャラに感嘆の声を心の中であげた。
「よ~し!サーブ練習はこれくらいにして、そろそろ練習試合をするからチームに分かれなさい!」
「”は~い”」
皆がチームごとに分かれて集まる中、私は案の定その場に待機だ。
それに、入れるチームもないからね
「試合前に、一つ忠告をするけど試合途中に男子達が来て隣のコートを使うけど騒ぎ立てない事。分かった?」
「”は~い”」
体育の授業は基本的に一般クラスと特進クラスに分け更に女子と男子で分けられている。故に、いつもは女子だけなのだが今日は特進クラスが他の体育館を使っているのでコートが足りないから仕方なく途中から男子が隣のコートを使うようだ。
「始め~~!」
先生の笛を合図に試合が始まると苺と小豆の白熱した打ち合いが始まった。
んー、これ見てたらだんだん眠くなってきた
…数分後、眠気に負けかけて既に俯いていると男子達の声が聞こえたのと同時に女子生徒の叫び声が飛んできた。
「あ、ミスった!」
「へ?」
「あぶねっ!!」
顔を上げたのと同時に、女子生徒の一人によってレシーブされたボールは勢いよく顔面に一直線に向かい思わず瞼を閉じると男子の声と共にボールが止められた。
…ん?あれ?痛くない
恐る恐る瞼を開けるとボールを持ってこちらを見下ろす赤髪の桜桃 凌牙がいた。
「お前またサボってんのかよ?」
「え?…私?」
何故か声をかけられた事に驚き周りを見渡した末に問いかけると邪険そうに眉間のシワを強められた。
「お前以外にサボってる奴なんているかよ」
き、気のせいじゃなかった…間違いなく私に声をかけてる!?
「先生~!サボってるこいつ、このままでいいんですか?」
今の隙に…っ
凌牙が後ろを向いたのと同時に背後にある中庭へと続く扉から脱出した。
「こいつって一体誰の事~?」
「は?こいつはこいつって…あれ?」
振り返るとそこには居たはずの銀髪の少女はおらず唖然とする。
「凌牙くん~?急に、どうしたの?」
「いや、何でもない」
あいつ何処に行ったんだ…?
凌牙は忽然と消えた銀髪の少女に怒りを沸き立たせながらも不可思議な行動に疑問を持った。
「お~い、聞いてる~?」
「…はっ!?失礼します!」
慌ててその場から離れ駆け出した。
な、何であの人が!?
名前と同じ特徴的なレモン色の髪はよく傍から目にしていた事もありまさか声をかけられるなど思ってもなかった。
レモン色の髪を持つ人物…攻略対象者の一人であり生徒会会計の木通檸檬は、母親が有名な女優で父親が一流のモデルと言う事もあって容姿端麗の遊び人と呼ばれている。幼い頃からデザインの才能がありヒロインと同じでデザイン科を選択している彼は毎年行われる校内のファッションショーでは彼のデザインが主に採用されその服を欲しがるファンは多数である。
噂によるとヒロインである苺と最も親しい関係って言われてるんだよね
同じ学科という事もありヒロインとは一番仲が良く、後ろの席という事もあり何度か目の前でヒロインとイチャついている様子を目の当たりにした事があった。だが、彼から絡まれる事もましては声をかけられることも無く空気として扱われていた。それは他の攻略対象者達も一緒なのだが…
なのに、どうして今になって声をかけてきたの?
乙女ゲーの設定の通りに星野 桃は脇キャラでもなくただの名前無しのモブキャラだ。だからこそヒロインや攻略対象者達の近くにいてもほんの少し関わってしまっても彼等達の記憶には残らないし空気として扱われても当然なのに、声をかけられるなんてアクションはバグらない限り不可能である。
天気みたいに異常気象じゃあるまいし、いったいどうなってんのよ?
疑問しか湧かない脳内を隅にやりながら筆記用具を抱き直すと次の授業へと意識を向けた。
とにかく今は授業…授業…
桃が気持ちを切り替えた頃、渡しそびれたボールペンを手に呆然と立ち尽くす檸檬がいた。
「あの子、ボールペン忘れて行っちゃったよ…ま、いっか。また会えると思うし」
檸檬は、手にあるボールペンを胸ポケットに挿すと口角をあげ笑みを浮かべた。
*
「はい、次~!」
「は~い!いちにっさんっ!」
目の前で繰り広げられる体育のバレーのサーブ練習に私は一人忘れられた状態のまま隅の方で眺めていた。
「ナイス!苺」
「小豆もサーブ綺麗だったよ!」
「ふふっ、ありがとう」
ネット際でハイタッチをする苺と小豆を目に周りは尊敬の眼差しで見ていた。
「やっぱり凄いね!あの二人」
「うんうん!二人とも容姿端麗で運動神経抜群だし、小豆ちゃんは頭脳明晰で機械工学科の天才で苺ちゃんは学校で一番の美少女だもん!」
「ほんとに最強の二人だよね!」
「うんうん!私も二人みたいになりたいなぁ」
そんな風に女子達が騒いでいるのもつゆ知らず当の本人の二人は黙々とサーブ練習に打ち込んでいた。
確かに、皆が尊敬したくなる気持ちも分かる気がする
クラスでも目立つヒロインとその親友である脇キャラに感嘆の声を心の中であげた。
「よ~し!サーブ練習はこれくらいにして、そろそろ練習試合をするからチームに分かれなさい!」
「”は~い”」
皆がチームごとに分かれて集まる中、私は案の定その場に待機だ。
それに、入れるチームもないからね
「試合前に、一つ忠告をするけど試合途中に男子達が来て隣のコートを使うけど騒ぎ立てない事。分かった?」
「”は~い”」
体育の授業は基本的に一般クラスと特進クラスに分け更に女子と男子で分けられている。故に、いつもは女子だけなのだが今日は特進クラスが他の体育館を使っているのでコートが足りないから仕方なく途中から男子が隣のコートを使うようだ。
「始め~~!」
先生の笛を合図に試合が始まると苺と小豆の白熱した打ち合いが始まった。
んー、これ見てたらだんだん眠くなってきた
…数分後、眠気に負けかけて既に俯いていると男子達の声が聞こえたのと同時に女子生徒の叫び声が飛んできた。
「あ、ミスった!」
「へ?」
「あぶねっ!!」
顔を上げたのと同時に、女子生徒の一人によってレシーブされたボールは勢いよく顔面に一直線に向かい思わず瞼を閉じると男子の声と共にボールが止められた。
…ん?あれ?痛くない
恐る恐る瞼を開けるとボールを持ってこちらを見下ろす赤髪の桜桃 凌牙がいた。
「お前またサボってんのかよ?」
「え?…私?」
何故か声をかけられた事に驚き周りを見渡した末に問いかけると邪険そうに眉間のシワを強められた。
「お前以外にサボってる奴なんているかよ」
き、気のせいじゃなかった…間違いなく私に声をかけてる!?
「先生~!サボってるこいつ、このままでいいんですか?」
今の隙に…っ
凌牙が後ろを向いたのと同時に背後にある中庭へと続く扉から脱出した。
「こいつって一体誰の事~?」
「は?こいつはこいつって…あれ?」
振り返るとそこには居たはずの銀髪の少女はおらず唖然とする。
「凌牙くん~?急に、どうしたの?」
「いや、何でもない」
あいつ何処に行ったんだ…?
凌牙は忽然と消えた銀髪の少女に怒りを沸き立たせながらも不可思議な行動に疑問を持った。
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