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金がねえ

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 施設から逃げ出しては、ある場所へと集まる

 そこが住み慣れた場所かといえばそうでもない

 お金がなければ 働くしかない

 ここはそういう街だ・・・・・・

 なるたけ警察に見えない場所に立つ

 それでも引きはがすように自由は遠のいた

 ただ自由に生きたいだけなのに・・・・・・

 どこでも一緒だが 金がないと生きていけない

 抱かれることが悪いことだとは思えない

 それでも惨めに思えるのは 金がないからだろう

 しかし、金とはいくら稼いでも、未練しか残さない

 さんざん男に騙されて、貢いだり、みつがされたりを繰り返す

 騙し取られた金の方が多く、ただ働きはしょっちゅうだ

 それでも希望が持てたのは 馬鹿だからだと思う

 人のいうこと真に受けて 幸せになれると確信した日々

 けいれんしながら倒れては 歩行者の邪魔をした

 救急車は呼ばないでほしい お金がありません

 行って帰宅するにも 殺されるほど怒られるの

 悲しいが現実だ・・・・・・・

 そんな生活にも、飽きてきた頃、姉さんと呼べる人が出来た

 確かに、あの頃は楽しかったと思えるときが流れる

 ジェットコースターみたいな人生・・・・・・

 姉さんの人生をそう呼んだ

 わたしには耐えられないわー、とか、どうでもよいことで笑えた

 そして、姉さんは突然に消えた この街からもわたしを置き去りにして

 人に捨てられるのには慣れっ子だ・・・・・・

 悲しくないと思えば、思うほどに、涙があふれて止まらない

 友達と呼べたのだろうか・・・・・・わたしたちの関係は・・・・・・

 時間だけは、きっちりと流れる・・・・・・神様も平等なところはある

 急にお腹が痛くなっても、救急車だけはかんべんしてください

 そう告げると、不思議そうに、温厚そうなおまわりさんは尋ねた

 「君はこの街は長いの?」

 わたしは、静にうなずいた

 言葉を失った鳥のようだった・・・・・・

 長寿の薬だと聞かされて、打った薬が、ヤバイ代物だと気付く

 ああ、わたしの人生とは、何のためにあるのだろうか

 不自然に疑問が思い浮かんでは消えてゆく

 後ずさりするように、変な笑みを浮かべたりとかして

 その場をやりすごそうとした 優しさに見えたおまわりさんは、

 醜悪な詐欺師だった ゲームオーバーといわれたみたいだ

 人生詰み組みは こちらへー

 それでもあがけたのは、少しは若かったからであろう

 のたれじぬならば、もっと早くがいいなー

 そう思えたのもこの頃からだろう・・・・・・

 第二の人生と言われたときへとさかのぼることとなる

 何回戻っても、同じような人生しか待ち受けてはいなかった

 ラノベに登場するような転生だったり、すごい生き方とはありえなかった

 そして、また、金が尽きて、困窮するのだ

 わたしばかなのかなー・・・・・・

 学ばない、知らない、学もない・・・・・・

 ニュースを聞いても、どこにその国があるのかすらわからない

 愚かな知性に感謝をした

 
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