鳥籠の中の執行者

蒼森丘ひもたか

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第一話

胎動する闇⑧

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鳥飛光駅前 中町 商店街


俺は太もも大好き犬(以下、太もも犬)と共に、駅ビルから程近くにある中町商店街入口の前にやってきた。
ここの飲み屋や飲食店が立ち並ぶエリアは、昼と夕方、会社帰りのサラリーマンやOLで賑わっている場所だ。
この時間に、ここに来ると、いつもは焼き鳥や焼き魚の食欲をそそる匂いに、思わず足を引き込まれそうになるのだが、その匂いも気にならなくなるような、肌がヒリ付くような感覚に、俺は不快感を覚えていた。

「きゅうん……わん!」

先ほどまで、俺の前を勢いよく走っていた太もも犬は、商店街の入口で急に足を止め、怯えるような鳴き声を上げ、体を震わせている。
こいつも俺と同じ感覚、もしかしたら、それ以上のものを嗅ぎ取っているのでは無いだろうか?

「お前はここまでにしろ。後は俺が確かめてくる。」

「くぅーん」

俺は、心配そうにこちらを見上げる太もも犬の頭をワシワシと撫でると、意を決して、商店街の中に入る。
禍々しい気配の主がどこにいるか、細かいところまでは分からないが、とにかくこの嫌な感覚が強まる方へ、あえて足を運ぶ。
すると、飲み屋で賑わっているエリアの中心辺りに、俺が感じた禍々しい妖気の主が、堂々と突っ立っていた。

身長は軽く2mは超えているだろうか?
多分、朱王の爺さんよりもデカいであろう、リーゼント頭の大男だった。
盛り上がった全身の筋肉で、身に着けていた緑色のジャージはパンパンに張っており、上腕と太ももから下の脚の部分が、破けて無くなっている。
そいつは、ニンマリと笑みを浮かべながら、何かを探すように辺りを見回していた。

……ん、気のせいか?
こいつ、今朝、俺を襲ってきた北山高の奴にそっくりだな。

俺は、大男の動きを注視しつつ、奴に向かって歩いていくと、そいつの後ろに、黒いローブの小柄な姿が、スーッと浮かび上がるように姿をあらわした。
フードを深くかぶっており顔は分からないが、そこから覗く艶のある黒髪が印象的だった。

「あれ……もう来ちゃったの?
うーん……どうしようかなぁ。」

声色からして、少年だろうか?
そいつの長い前髪から一瞬、赤い瞳が覗き、怪しく光り輝いた。
俺を見ながら、何か喋っているようだった。
まずは、こっそり近づいて、何者か探ってやろうと思ったのに、こちらに気付いちまった。
しかし、あいつ、俺の事を知っているのか?
あんな奴、俺の記憶には無いのだが……
とにかく、あの大男の仲間で間違いはないだろう。

そこに、飲み屋が用意したテラス席で、酒を飲んでいたサラリーマン風のオッサン二人組が、大男に絡み始めた。

「おい!木偶の坊!
おめえがそこにぼーっと突っ立っているせいでよぉ、向かいの店にいるキレイな姉ちゃんが見えねえんだよぉ!」

「そうだ!一日頑張って働いた、俺らの唯一の楽しみなんだぞぉ!とっとと失せろ!」

二人組の一人で、髪の薄い太ったオッサンが、大男のすねを蹴り上げた。

残業の無いサラリーマンが、帰宅を始める時間に入っているのは確かだが、この真っ赤な顔をしたオッサン達は、明らかに数時間前から飲んでいるように見えた。

「んあ?
お前、美味そうな女を知っているのか?」

大男は、二人のオッサンの顔を掴んで持ち上げた。

「ぐああああ!痛い!痛い!」

「顔が!潰れるぅ!」

「どこだ?さっさと言え!
俺は腹が減って仕方が無いんだ。
教えないと、このまま頭を握り潰すぞ?」

ボキボキという骨の砕ける音が俺の耳にまで届く。

「ぐぎゃああああああああああ!」

苦痛に絶叫する酔っ払い達の様子を、大男はニヤニヤしながら見つめている。

「おい!やめろ!」

俺は、大男に向かって走り出す。
こんな奴、人間じゃないに決まっているだろう!
ならば……!
走りながら、要から護身用に預かっていた呪符付きのグローブを両手にはめ、大男に向かって飛び跳ねる。

「くらえ!」

そして大男の顔面を、腰の動きも加えて、渾身の力で殴りつけた。

「ぐう!?」

大男は呻き声を上げながら倒れ込む。
それと同時に、大男の両手の力が緩み、酔っ払い二人の顔を離した。

「ひぃ…た、助けて!」

酔っ払い二人は顔を腫らし、血を流しながら逃げていった。

『なんだ?』とか『喧嘩か?』といった声が聞こえ始めた。
周りを歩いていた人々は、様子がおかしいことに気が付き、俺達を遠巻きにし始めた。
これはヤバイ……

「おい!見世物じゃねぇんだ。
早く逃げろ!」

俺が警告したところで、誰も逃げやしない。
それどころか、どんどん人が集まってくる。

「おまえ、修一の記憶の中にあるぞ……
名は、鷹空 凱と言ったか。
いかにも不味そうな小僧だな。」

大男は上半身を起こし、ニヤリと笑った。

大男と一緒にいた、黒髪の黒いローブのガキが、泣きそうな声で周りに訴え始めた。

「そこにいる頭の青いお兄さんが、いきなり僕のおじさんを殴りつけたんだよぉ!
誰か捕まえてよぉ」

このクソガキ!
やはり、この黒いローブのガキは、この大男の仲間であることが確定した。

「ちょっと待ってくれ!
俺は、あの大男に乱暴されていた酔っ払いを助けただけだ!」

しかし、俺の言葉を聞いてくれる人はおらず、物々しい雰囲気を纏った男達が、俺を囲み始めた。

「嘘を言うんじゃねぇ!俺は見たぜ?
あのデッカイ奴に、いきなり殴りかかったのは、お前の方からじゃねぇか!」

赤いシャツを着たチンピラ風の男が、俺の右腕をがっちり掴んだ。
……なんだ、こいつは?
細腕の割に、力がかなり強かった。

「この時間は、お前みたいなガキの来る時間じゃねぇんだ。
お菓子が欲しいんだったら、明日の昼間に来な。」

更に、金髪でチャラチャラした格好の男が俺の左肩と腕を掴んできた。
こいつもだ。
こいつら、力がかなり強い!

不思議に思い、男達をよく見ると、こいつらの体から、黒いオーラが立ち昇っている。
一芝居打った黒髪のガキは、いつの間にか近くの店の屋根の上に立ち、ニヤニヤしながら、俺を取り囲んでいる男達に手をかざしていた。
あの野郎……男達に筋力強化の魔法をかけているようだ。
大男に気を取られていたが、あのガキ、かなりの使い手の魔道士なのかもしれない。

「おい!怪我したく無かったら放せ!」

俺は周りの男に凄むが、更に二人ほどスキンヘッドとモヒカンの男が、俺の前に立ちふさがる。
……俺よりもデカい。
それに、喧嘩に自信のありそうな男達だった。

「口の利き方がなっていねぇ小僧だな。
コイツは、お仕置きが必要だな!」

目の前にいたスキンヘッドの男が、俺の顔を殴ろうとしてきた。
俺は咄嗟に頭を動かし、男の拳をおでこで受けてやった。
強化されているせいか、結構痛い。

「ぐあっ……なんだ、こいつ!
クソ石頭が!」

しかし、俺を殴った男の方も拳を痛めたのか、自分の拳を押さえている。
毎日鍛えていて良かったと言うべきか?

「もう一度言う。
手荒な真似はしたくねぇんだ。
怪我をしたくなかったら、俺から離れろ。」

俺はもう一度、周りの男達に警告するが、

「この野郎!
本当に生意気なガキだな。」

「おいおい、ガキになめられてんじゃねぇよ。
情けねぇ。」

「青い髪、おまえ、もしかして鷹見家の野郎か?
だったら余計気に入らねぇ!」

更に5、6人の男が俺の周りに集まりだした。
俺は、黒髪の黒いローブのガキに、怒りの声を上げた。

「畜生!
おい!そこの黒いローブの奴!卑怯だぞ!降りて来い!」

しかし、店の屋根に腰かけた黒髪のガキは、フードから覗く赤い瞳で俺を見下ろしながら、口元を笑みで歪め、バカにするように舌を出してきた。

俺が頭に血を昇らせていると、今度は女達の笑い声が聞こえてきた。

「きゃははは!こいつ、すごいブサイクぅ!」

「自分より小さい、しかも中学生かな?
そんなのに殴られて倒れるとか、なっさけねー!」

俺は、状況を確認しようと首を動かし、男達の間から、大男とその周囲を、なんとか視界に捉えることが出来た。
そこには、腕、脚、腹を大きく露出した、金髪の若い女二人組がおり、倒れ込んだ大男を見降ろして笑っている最中だった。

「おい!その大男に近づくな!離れろ!」

俺は、大男の妖気が膨れ上がるのを肌で感じ、女達に離れるよう大声を上げるが、それとは対照的に、俺や大男を馬鹿にする声や笑い声に、辺りは支配されていた。

もう、これから起こる惨劇を止めるには遅かった。
人々の喜、怒、楽の感情により熱を帯びていた商店街が、あっという間に凍てつくような光景を、これからこの場にいる全員が目にすることとなった。

「不味そうな女だが、とりあえず、お前達でいいか。」

「ちょっ!なにすん……」

大男はギャルの一人の腕を掴んで引き寄せると、顔を倍以上に大きく変化させ、裂けた口で、ギャルの上半身にかぶりつく。

「ぎゃっ!」

一瞬だけ、悲鳴が聞こえたが、それは長くは続かなかった。
大男は、そのまま立ち上がりつつ、ギャルの腰とジタバタしている脚を両手で掴み、あっという間に口の中に押し込んでしまった。
奴の口元から、ギャルの履いていた白いハイヒールがぽとりと落ちる。
ギャルの全身を口に収めた大男が顎を上下に動かす度に、バキボキと大きな音が辺りに鳴り響き、奴の口元から真っ赤な血がバッと噴き出した。
大男は血を顎からダラダラと滴らせながら、自分の顔と胸元、地面を真っ赤に染めた。
そして奴は、そのまま咀嚼を5回繰り返すと、口の中にいた女をゴクリと飲み込んだ。

「あ…え…」

更に大男は続けて、呆然と立ち尽くしていた、もう一人のギャルの腰のあたりを掴むと、大口を開けて、そのまま口に放り込んだ。
一人目と同じようにバキボキと咀嚼し、あっという間に飲み込んでしまった。

ほんの1~2分足らずに起こった異常な事態に、俺を含めた観衆はあっけに取られ、喧騒が一瞬だけ静まり返った。

「見た目通り……不味い。
京の若い女子の方が、何倍も美味かったぞ。」

二人の女を食ったのがきっかけだったのだろうか、血で真っ赤に染まっていた大男の肌は、それと見分けのつかないぐらい真っ赤に変色し始め、同時に増大した筋肉によって身に着けていたジャージは殆どが弾け飛び、腰回りを覆うだけとなった。
顔を見てみると、いつの間にか口は大きく裂け、伸びた犬歯は牙となって口からはみ出し、リーゼントだった髪型が、ざんばら髪に変わり、頭からは二本の角らしきものが生えていた。

赤い鬼だった。
これが大男の正体か。
肌を刺すような禍々しい妖気が、更に膨れ上がった。

大男の変貌が合図だったのか、一瞬訪れた静寂が一気に破られ、

「う、うああああああああああ!」

鬼と化した大男を遠巻きにしていた奴らが、我先にと逃げ始める。
俺は周囲の男達に怒声を上げた。

「放せ!どけぇ!」

俺の大声に怖気づいたのか?
急に俺を拘束する男達の力が弱まった。
その隙に、周りを取り囲んでいた男達を振り払った。

「あ、あれ!?魔法が解除された!?」

理由は分からないが、黒髪のガキが少し動揺している。
とりあえず、こいつは後だ。

「さぁて、小僧……
今度は、俺の方から行くぞ!」

鬼はニヤニヤしながら、そう口にすると、俺に向かって走ってくる。
俺は、もの凄い圧迫感に押され、奴の攻撃を避けるため飛び退こうとするが、何者かが俺の脚を掴んだ。

「!?」

「た、助けてぇ!」

俺を殴ったスキンヘッドの男が腰を抜かして、俺の脚にしがみついてきたのだ。

「おい!死にたいのか!俺から離れて逃げろ!」

しかし、男は混乱して俺の言っていることが聞こえていないようだった。
腕を振り払って避ければ、この男が死ぬかもしれない。

「受け止めるしかない!」

俺は防御姿勢を取る準備をした。

「ぬん!」

赤鬼は俺に向かって、ボディブローを放ってくる。
俺は体を守るように両腕をクロスさせ、それを受けとめたが……

「ぐはっ!」

赤鬼の一撃を受けた瞬間、強烈な衝撃が俺の全身を襲った。
何メートル吹っ飛ばされたのか分からないが、俺は商店街の道の真ん中に設置されている外灯の一つに、背中から叩きつけられ、床に転がった。

「効いたぁ……クソ痛え……」

俺が痛みにもがいていると、

「アアアアアアッ!化物!た、たすけっ!!」

俺の脚にしがみついていたスキンヘッドの男は、混乱して正常な判断が出来なくなっているのだろう、よりにもよって赤鬼の脚にすがりつき、哀願していた。

「邪魔だ!」

赤鬼は容赦なく、スキンヘッドの男の頭を足で踏みつぶした。

「アビィッ!」

男の頭は粉々になり、血と肉片、その中にあったものが辺りに散らばり、赤鬼の脚を血で濡らした。
近くで腰を抜かして、動けなくなっていたモヒカンの男が、それを見て嘔吐する。

赤鬼が女二人を食ってから、どのくらいの時間が経っただろうか?
この赤鬼は、あっという間に3人殺したのだ。
俺自身、死体を見たことはあるが、人が殺される瞬間を見たのは、これが初めてだった。
体の激痛と殺しを間近で見た動揺のせいで、胃液が逆流してくるが、吐かないように、なんとか堪える。

「ほお、まだ生きているのか。
壊すつもりで殴ったのだが、なかなかタフな小僧だ。
俺もまだ、本調子では無いようだ。

……あ~、それよりも喉が渇いたなぁ」

そう言いながら、赤鬼はキョロキョロと辺りを見回し始める。
俺にトドメを刺すよりも、先に喉の渇きを潤したいようだ。

「クソが、なめやがって……」

「まぁ、そう死に急ぐな。
俺が渇きを癒すまで、そこで待っておれ。
……おお!近くに、いい匂いがすると思えば、酒があったでは無いか。」

赤鬼は、先ほどの酔っ払い達が残していったビール瓶2本を片手で掴み、それを口の中に流し始めた。

「なんだ、これは?
口の中がパチパチして、不思議な酒だな。
しかし、悪くはない……」

奴がビールを飲んでいる隙に、これから奴とどう戦うか考える。
今まで、たまに出没する低級の鬼の類であれば戦ったことはあるが、こいつは桁違いの強さだった。

「ハハハッ!身の程知らずだね。
あの『シュテンドウジ』様に、君が敵うわけないじゃん。」

いつの間にか空をフワフワと浮いて、俺を見下ろしていた黒髪のガキが笑った。

「シュテンドウジだと?
どこかで聞いたことが……」

大昔、西の方で、盗賊稼業や、お姫様を攫って食いまくった日本で最強の鬼だったか?
……だとするとヤバイ。
もしかして、こいつは降魔の神器を使って召喚したのか?

「お前……一体何者だ?」

俺はなんとか立ち上がり、黒髪のガキに問う。

「僕は『ダスク魔道教団』の者さ。
今の弱い君に、僕の名を明かす気は無いけどね。」

「何故、こんな事を?」

「僕らを排斥しようとする鶯黒や、鳥飛光魔術4公家の連中が気に食わないから……
他にも色々あるけど、それが理由の一つかな。」

黒髪のガキはそう言うと、俺を指差しウィンクして見せた。
こいつが、こんなガキがダスク教の一人なのか?

黒髪のガキは、ビールを飲み干して満足そうなシュテンドウジの隣に降りると、祈るようなポーズを取った。

「シュテンドウジ様、そろそろ鷹空 凱を楽にしてあげてください。
ですが、彼の亡骸は回収したいので、原型はなるべく留めた形にしてください。」

「難しい注文をする……まぁ、善処しよう。
それよりも、俺の復活を祝う宴の準備をしておけ。
もちろん、美味い酒と、いい女を忘れずにな。」

「はい。分かりました。
では、失礼します。」

黒髪の黒いローブのガキは、シュテンドウジに一礼すると、スッと姿を消した。
シュテンドウジは、それを見届けた後、俺の方を向き直り、その大きな体躯に見合わないほどの跳躍力で、隣にあった5階建てのビルの高さくらいまで飛び上がった。
踏み込んだコンクリートが砕け散る。

「聞いたか小僧!
せいぜい粉々にならんようになぁ!」

落下しながら両手を組んで、ハンマーのように俺に振り下ろしてきた。
プロレスで言うところの、ダブルスレッジハンマーという技だ。

「クソ、化物め。
まだ攻撃を避けられる程、回復してねぇのに……」

一か八か、俺は衝撃に備え、目を閉じて防御姿勢を取ったが、それはやってこない。

かわりに空気の流れを感じる。
これはシュテンドウジの発するものじゃない、穏やかで優しい流れだ。
目を開けると、今朝と先ほど、俺の様子を見ていた黒いローブ……とはいっても栗色の髪の方が、両手を広げ大の字で立っていた。

「な、なんだぁ!?この硬ぇ光る壁は!」

俺達の周りを光の壁が覆い、シュテンドウジの攻撃を防いでいた。
しかし、シュテンドウジの拳の放つ風圧が周囲に巻き起こり、目の前の黒いローブの奴が被っていたフードがバッと捲られ、栗色の美しい髪がなびく。

「ま、間に合いましたね。」

可愛らしい少女の声。
それに、その横顔は、ガキの頃からよく見覚えのあるものだった。

「お前、百合子か……
小夜啼 百合子さよなき ゆりこ!」

俺が幼い頃、再び鳥飛光に戻ってきたときに最初に出会った少女であり、友人となった少女だった。

「クックック……こいつは、砕けねぇか。」

シュテンドウジは、ゴツイ顔をニンマリと笑みに歪めると、距離を取るため飛び退いた。

「俺の一撃を防ぐとはなぁ。
しかし、いいぞ!
こいつは美味そうな娘がやってきてくれた!」

シュテンドウジは百合子を見て、舌なめずりをする。
気持ちの悪い野郎だ。
怒りがこみ上げてくるが、まだダメージの回復していない俺は、再び外灯の柱に体を預けた。

「凱君。大丈夫ですか。」

百合子は俺に両手をかざすと、俺の体が光に包まれる。
小夜啼家の人間が得意とする治癒の魔法だ。
特に、小夜啼家現当主・小夜啼 愛唯華の娘である百合子の治癒魔法は、昔から小夜啼の中でもトップクラスと言われていた。
体にあった痛みと疲労感が、あっという間に消え去った。

更に、

「わん!わん!」

怯えてここまで来ることが出来なかった太もも大好き犬が、尻尾を振りながら俺達に向かって吠えた。

「お前、逃げていなかったのか?」

「商店街の方から沢山の人が駅の方に逃げてきて、その原因の場所へ向かおうとしていた私を、この子が連れてきてくれたのです。」

「そうか。
お前らに、借りができたな。」

さて、あいつはどうやったら倒せるのか……
奴がどう出るか警戒しつつ、考えを巡らし始めた矢先。

「ぐうっ?ぐっ、ぐええええええええええええ!」

突然、シュテンドウジが喉を押さえて苦しみだした。

「ぐううううう……こいつ……杉野修一の体は……下戸では無いはずなのに、酒に対する嫌悪が体の奥底にまで染みついているようだな。
既に魂は肉体から消え失せていても、酒乱だった継父に対する怒りが、これほどまでに深いとは……これが人間か。」

シュテンドウジは、忌々しげに何か言いながら膝をついた。

「あの野郎、いきなり苦しみ始めたぞ?」

「あ、あれは!
……凱君、あの鬼の頭を見てください!」

百合子が、シュテンドウジの頭を指差す。

そこには青い剣の柄らしきものが、いつの間にか脳天から突き出ていた。

「あ、あれはなんだ?」

「あれは……降魔の剣。
祭事で何度か見たことがありますから間違いありません。
引き抜けば、武器として使えるはずです。」

「それがなんで、奴の頭に刺さっているんだ?」

神器を手にすれば、望むことで化物になれるとは聞いていたが、イメージしていたのとは違いすぎるぞ。

「降魔の神器を使った『換魂の法』です。
この世のならざる者が人間の肉体を完全に手に入れる為には、憑代の資格を手に入れた人の命を、降魔の神器を使って絶ち、更に体の中に埋め込む必要があるからです。」

「ええっと、要は、悪魔に体をやることを受け入れた後に、神器を使って死んで、そのまま体に入れたままにすれば、ああなるのか。
……正気の沙汰じゃねぇな。」

俺の言葉に百合子が頷いた。
どちらにしろ『本人が望むこと』それが前提だということに、底知れぬ闇を感じる。
人間を辞め、化物に自分の体を渡そうと考えるようになった人間は、どれほど世の中を憎んでいるのだろうか?

……いや、今はそんなことを考えている場合じゃない。
奴を倒すのが先決だ。

蒼源のジジイも、降魔の神器は魔を滅ぼす力があると言っていた。
要から借りた退魔呪符付きのグローブでは、奴にあまりダメージを与えられなかったが、あの剣なら、大きなダメージを与えられるに違いない。
シュテンドウジは、図体の割に動きが早いが、体力が回復し、野次馬も居ない今なら、周りに気も遣う必要はない。
それに今の俺なら、なんとか奴の攻撃をかわせるはずだ。

問題はシュテンドウジの頭から、どうやって剣を引き抜くか。
俺だけでは無理だ。
ならば、百合子はどこまで戦える?

「百合子、耳を貸せ。」

俺は百合子の腕を掴んで引き寄せた。

「は、はい。」

百合子は何故か顔を真っ赤にし、俺の口に耳を寄せた。

シュテンドウジに聞かれないように、俺はこれから彼女にやって貰いたいことを耳打ちした。

「え、ええ。
そういう魔法なら出来ますけど。」

「俺が合図をしたら、奴に使ってくれ。
その隙に俺が奴の頭から、降魔の剣を引き抜く。」

「でも、危険ですよ。」

「大丈夫だ。
俺はもうガキじゃねぇ。
それに今も毎日、蒼源のジジイの魔法から逃げ回っているから、逃げ足には自信がある。」

俺の言葉に、百合子は辛そうな表情を一瞬見せたが、首を縦に振った。

「……分かりました。
無茶はしないで。」

「分かってる。」

俺は百合子を背に一歩前に出た。

すると、シュテンドウジも頭を押さえながら立ち上がった。

「お前の体、元々、人間のものなんだろ?
誰のものなんだ?」

俺はシュテンドウジに問いかける。

「名前は杉野修一。
今朝、お前を襲撃した小僧共のリーダーだよ。
お前にやられて、かなり悔しがっていたぞ。」

そういうと、シュテンドウジの顔が、大男のときのリーゼント頭の顔に戻った。
確かに、よく見ると、あのワル共のリーダーだ。

「一応聞いておくけど、そいつから出ていくことは出来ないのか?」

「ガハハハハハ!
なぁに寝ぼけた事言ってんだぁ?
折角貰った体を返す訳ねぇだろ。
それになぁ、この体の持ち主は、もうどこにもいねぇよ。」

「どこにもいないだと?」

「望んで俺と同化したときに消え去った。
つまり死んだんだよ!
グハハハハハ!」

シュテンドウジは、俺の言葉を笑い飛ばすと、顔を赤鬼に戻した。
……予想通りの答えだ。
俺は奴とやり合うため、構えの姿勢を取った。

「じゃあ、完全に化物って訳だ。
それなら、遠慮はいらねぇな。」

「いいねぇ。
お前みたいな、真っ向勝負を挑んでくる奴は、嫌いじゃないぞ。」

奴が、もがき苦しんでいた原因は分からないが、あの余裕……
ダメージは既に回復しているようだ。

「真っ向勝負ね……百合子!」

俺は百合子の名を呼ぶと、シュテンドウジに向かって低姿勢で走り始める。

「任せてください!」

百合子の返事と共に、シュテンドウジの顔の前に光の玉が生まれ、その顔に強い光を浴びせた。

「ぐああああああ!目があ!」

シュテンドウジの苦痛の声が、商店街に響き渡る。

強い光で相手の視界を奪う『強光きょうこう』の魔法だ。
それなりの使い手なら、光の影響を調整できるから、わざわざ周りにいる味方が目を瞑る必要も無い。

「人間どもが!貴様らは小癪な真似ばかりしおって!卑怯だぞ!」

「けっ!てめぇみたいな化物と真っ向からやりあって勝つのは、骨が折れそうだからな。」

俺は、シュテンドウジの懐に入り込むと、踏み込みの勢いと共に腹に拳を叩き込んだ。

「ぐほおっ」

シュテンドウジが腹を押さえて膝をついた隙に、奴の頭にある剣の柄を掴む。
それを支点に奴の両肩に飛び乗ると、全身の力を使って思いっきり引っ張った。

「掴んじまえば!こっちのもんだ!オラアアアアアア!」

「ほっほんげえええええええええええ!や!やめれぇえええええええ!」

シュテンドウジの叫び声に構わず、剣を引き抜くと、奴の頭から血がブシャアアアアアアアと音を立てて噴き出した。

「きったねぇな。」

俺はシュテンドウジから素早く飛び退き、脳天から噴き出す血をかわした。

さて、空見流には剣術も含まれており、俺も多少は仕込まれているが、徒手空拳ほど鍛錬を積んでいる訳では無い。
しかし、不思議なことに、この降魔の剣は、まるで体の一部のように俺の手に馴染んでいた。

「や、やりやがったなぁ小僧!ぶっ殺してやる!」

視力が回復したシュテンドウジは、まさに鬼の形相で俺を睨みつけている。

「それはこっちの台詞だぜ。
人を躊躇なく喰い殺す化物なんざ、この世からとっとと消してやる。」

「うるさい!砕け散れぃ!」

シュテンドウジは、怒りの咆哮を上げながら、俺に向かって拳を振り下ろしてきた。

剣を引き抜いた影響もあるのだろうか、先ほどよりも動きが悪いようだ。
拳をかわし、その腕に剣を振り下ろす。

「ぎゃあああああああああああああ!おっ俺の腕が!」

シュテンドウジの右の前腕が地面に転がった。

剣に関して、大した技量の無い俺が振るったにもかかわらず、凄い切れ味だ。
これが降魔の神器の力か。

「ガアアアアアアアアア!」

シュテンドウジは、右腕を切り落とされた怒りに任せて、俺に向かって咆哮を上げる。

「耳が!な、なんて声だ!」

至近距離にいた俺は、思わず両手で両耳を塞いだ。

「隙が出来たな!死にやがれぇ!」

シュテンドウジは残った左腕を振り上げると、ハンマーのように俺に振り下ろしてきた。
まずい!防御も回避も間に合わない!

「させません!」

百合子の凛とした声が辺りに響き渡る。
するとシュテンドウジの影から黒い触手がわらわらと伸び、腕、脚、首、体に巻き付いた。

「な、なんだ?!体が動かん!」

闇の魔法『影縛りかげしばり』だ。
百合子のやつ、闇の魔法も使えるのか!?

更にシュテンドウジの影から、1本の触手が俺の前に伸びてくると、粘土のようにグニャグニャと形を変え、まな板ぐらいの大きさの台を作り上げた。
これは?

「凱君。
それを踏み台に使って下さい!」

「分かった!サンキュー!」

俺は、影で作られた踏み台に飛び乗り、そこから更にシュテンドウジの目の前に飛び上がった。

「なに!?」

驚きの表情で俺を見上げるシュテンドウジ。

「くたばりやがれ!」

俺はありったけの力を込めて、降魔の剣を奴の脳天に振り下ろした。

「ぐぎゃああああああああああああああ!」

シュテンドウジは、大気をも振動させるような断末魔を上げた。
今度は俺に向けたものでは無いので、耳を塞ぐほどでは無いが、化物らしい、とんでもない声量に腰を抜かしそうになった。

やがて、断末魔が終わると共に、奴の体は血を噴き出しながら真っ二つに分かれ、倒れた。

「はぁ~。なんとか……なったぁ。」

奴が動かなくなったのを見届けると、俺は安堵して座り込んだ。
そこに、百合子と太もも犬が駆け寄ってくる。

「凱君!大丈夫ですか?」

「わん!」

百合子と太もも犬が、俺の顔を心配そうに覗き込む。
久しぶりに命の危険に晒され緊張していたせいか、それが終わった後に体に押し寄せて来る疲労感が半端ない。

「いや、なんともない。
お前たちのおかげで、なんとかなったぜ。
サンキュー。」

それを悟られまいと、俺が百合子と太もも犬に笑いかけたときだった。

「フフフ……またぁ、酒で失敗するとはなぁ、皮肉なものだ。」

シュテンドウジの声が聞こえてきた。

「!?」

俺達は思わず身構えた。
こいつまだ生きていやがるのか!?
いや、よく見ると、真っ二つに分かれた死体の上に、黒いモヤが浮かんでいる。
こいつはシュテンドウジか?

「今回は俺の負けだ。
復活して力を完全に取り戻せないうちに、貴様らと出会ってしまったのが運の尽きだった。」

それが、本当なのか負け惜しみかは、今になっては分からないが、コイツが恐ろしく強かったのは確かだ。
俺達はツイていたのかもしれない。
とりあえず、いくつか疑問があるので、今のうちに問い質しておくか。

「お前は、なんでこんなところにいた?」

「食事のためさ、そこにお前達が現れて邪魔をした。」

「俺に襲い掛かった理由は?」

「あの小僧が俺に、お前を殺せと願ったからだ。
この杉野の体をいただく代わりに、言う事をひとつ聞いてやると約束したからな。」

小僧……さっきのダスク魔道教団の、サラサラ黒髪のガキか。

「お前が乗っ取った杉野は、お前に体をやることを望んでいたのか?」

俺と、さほど歳が離れていないと思われる奴が、命と引き換えに化物に体を差し出す理由とは一体何なのだろう?
杉野とは、今朝会ったのが最初で最後だった訳だが、そこまで人生に絶望しているようには見えなかった。

「こいつは周りに比べて、悲惨な人生を歩んできたからな。
世知辛い世の中や、自分に冷たい人間に対する怒りを煽り、そんな理不尽な世を変える力が自分にあると思い込ませたら……
フフフ……あっけなく堕ちた。」

笑いに黒いモヤが震えていた。

「人の弱さに付け込む、女をスナック菓子のように喰い殺す、目障りだから踏み殺す、正真正銘の悪鬼だなぁ、てめぇは!」

頭に血が昇った俺は、降魔の剣を黒いモヤに突きつけた。

「クックック、何を言う。
お前たち人間も、家畜の意などお構いなしに、毎日のように殺して貪り食っているでは無いか。
なにより自分にとって不快で邪魔な存在をいたぶって殺す。
お前達は俺達を鬼と呼ぶが、お前達は我ら以上に鬼……鬼畜ではないか!」

この野郎……
反論を制止するように、俺の口の前に、小さな手が出てくる。
百合子の手だった。

「凱君。
邪悪な鬼と善悪について話をしても、話は平行線に終わるだけです。」

「言ってくれるなぁ娘よ。
お前のような生娘の肉を、久しぶりに味わいたかった。
……ああ、そろそろ時間だ」

シュテンドウジの霊体は、残念そうに百合子に語りかけると、徐々に霧散していく。

「小僧、最後に一つ忠告してやる。
貴様は俺を殺したことを、いつか後悔することになるだろう。
あのダスク教とやらは、この国以外の悪魔共とも通じておる。
彼奴らにこの国を乗っ取られぬ為に、俺はいち早く、この地に現れたというのに……残念だ」

その言葉を最後に、シュテンドウジは消え去った。
すると、体を乗っ取られていた杉野の体がどんどん縮んでいき、やがて元の大きさに戻った。

こうするしかなかった。
頭では分かっているが、杉野の亡骸を見ていると何とも言えない気持ちになる。
そんな俺の背中に、百合子が優しく触れてきた。

「こうしなければ、誰かがやらなければ、もっと多くの人達が殺されていたでしょう。
それに、私たちは魔に支配されていた彼の魂を解放したのです。」

「ああ、分かっている。」

そんな会話をしていると、商店街の入り口に一台の車が止まった。
運転席から要が姿をあらわし、こちらに駆け寄ってくる。

「やはり、お前達だったか。
ここに来る途中、駅前の商店街に化物が出て、それと学ランを着た少年が戦っていると聞いてな。
怪我は無いか?」

言葉こそ気遣ったものだが、淡々としていて気持ちが入っていない。
それが俺の癪に障った。

「怪我は無いか?じゃねぇよ。
てめぇ……来るのが遅いんだよ!」

俺はポケットに手を突っ込み、睨みを利かせながら要に詰め寄った。

「が、凱君。
し、所長に失礼ですよ!めっ!です。」

百合子が俺と要のおっさんの間に入り、眉を吊り上げて俺を注意してきた。
怒っているのに優しい言い方のせいか、全く迫力が無い。
そういえば、こいつが怒るとこんな感じだったな。
可愛……じゃなくて、懐かしい。

ところで百合子は、要のおっさんの事を所長と呼んだ?
あだ名だろうか?
要はチンピラモードの俺を無視し、杉野の遺体を確認している。

「やはり、杉野修一だな。
少し前に、こいつが脱走したと警察から連絡があった。」

何故、警察が要に報告を入れたんだ?
まぁ、これも公安委員会の一人である、蒼源のジジイの指示なのだろう。

「こいつが、この降魔の剣を使って、シュテンドウジとかいう鬼になっていたんだ。
そうだ!喜べ!驚け!降魔の剣を取り返してやったぞ。」

俺は要に、降魔の剣を掲げて見せる。

「そうか、良くやったな。
蒼源様もお喜びになるだろう。」

要は、俺の肩を優しく叩いて、労いの言葉をかけてきた。
……なんか調子が狂うな。

「後の処理は、間もなく到着する警察と私で行う。
報告は明日の朝で良い。
小夜啼君も、それでいいね。
小夜啼当主と学校には、こちらから連絡しておく。」

「はい。わかりました。」

百合子は穏やかに返事をした。

「それとな……魔具探知犬のことだが……」

要は、急に歯切れの悪くなる。
しかし、俺の隣でお座りしている太もも大好き犬に目を留めると、珍しく驚きの声を上げた。

「垂れ耳に丸っこい体型、いかにもスケベそうで下品な顔立ち……
おお!正にこの犬が探していた犬だ。」

「は?」

俺は思わず、間抜けな声を上げてしまった。

「どうやら手違いで、別の犬の写真を受け取ってしまったらしくてな。
先ほど担当者から連絡があった。」

俺は呆れて言葉が出なくなり、夕焼けに赤く染まり始めた空を見上げた。
やけに魔力に対して敏感だし、聞いていた通りスケベだし、何かおかしいなと思ったら、そういうことかよ……
大人って奴は、いい加減だなぁ。

「まずは、二人を家に送ろう。
特に凱、今日はお前を早く返さないと、俺が怜姫さんや蒼姫ちゃんに叱られるからな。」

その言葉に咄嗟に腕時計を確認すると、5時55分。
お誕生日会開始5分前だった。

「やべぇ……」

これは、蒼姫に頭でグリグリされるぞ。
そうだ。要のせいにすればいいや。
そうしよう、そうしよう。

「あ、あの、私はすぐ近くにある学校の寮に戻るだけですから、大丈夫です。」

百合子は要の申し出を断る。
学校の寮に住んでいるのか。
どこの学校だろう?

俺達は、百合子が中学受験で忙しくなるという理由から、俺が小学4年生、百合子が小学6年生、その年の夏休みを最後に疎遠となっていた。
それから一度も顔を合わせていなかったので、今、どうしているのか、全く知らないのだ。

「そうか。では明日。
……おいスケベ犬、お前も行くぞ。」

要は、いつの間にか回収していた俺のグラビア雑誌の一冊を、太もも犬の前で左右に振った。

「うぉん!わん!わん!」

太もも犬は尻尾を激しく振りながら、要についていく。

「お、おい、その本は俺のだぞ!」

俺も要の後に続く。
いや、その前に大事な事を忘れていた。
少し照れるが、これは言わなくてはならない。

俺は百合子の方を振り返り、

「百合子、また明日な。」

俺は、いまさら込み上げてきた再開の嬉しさに、顔がにやけるのを押さえながら、百合子に向かって手を上げた。

「うん。
凱君、また明日ね。」

百合子も俺に向かって、優しい笑みを浮かべながら手を上げる。

月並みな表現だが、止まっていた俺達の時間が動き出した……
……なんてな。
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