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第1話「分かれ道」前(2019/12/10修正)
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生まれたばかりで、私がまだ揺り籠で揺られていた頃。
私の隣には、もう一人、女の子がいた。
昼間は揺り籠で寝かされていることが多く、夜寝る時に私と彼女は大きなベビーベッドへ一緒に寝かされていた。
私たちの世話をしていたのは、メイドの格好をした女性たち。
世話をする時の女性は三人一組で、三組見かけたので、合計九人で面倒を見てくれているのだろう。
彼女たちは、私たちをゆらゆらと揺らしながら、よく「可哀想に」と口にしていた。
何がかわいそうなのかと彼女らの話に耳をそばだてていれば、私と隣の揺り籠にいる女の子が、双子だと知った。
つまり、私も彼女のような容姿をしている可能性があった。
髪はまだ少なかったが色は美しい金糸で、空を映したような綺麗な青い瞳。
前世日本人の私には、外人さん感覚だったが、自分もその容姿だとなったら、鏡を見るたびにびっくりしそうだ。
金髪に青い目、慣れることができるだろうかと震えた。
震えていれば、世話をしてくれる九人のメイドさんの中で一番若そうな女性ー名前は確かアンナだったーがオロオロし始めた。
お腹が痛いのかとか、寒いのかとかとても心配された。
大丈夫だという意味を込めて、にぱっと笑ってみるが、感覚がイマイチなのでわからない。
私の顔を見て、彼女がほっとしていたのでちゃんと笑えたのだろう。
しかし、双子だと知って、私はみんなが「可哀想に」と言ってくる意味を何となく理解した。
双子と聞いて、昔というか、前世の頃に聞いた話を思い出したのだ。
迷信だったか、双子は不吉だと忌み嫌われていたとか。
新しく生まれ直したこの世界もまた、そうなのだろう。
メイドたちは、双子だからどちらかが可哀想なことになるだろうと、「可哀想に」と口にしていたのだ。
私は勝手なイメージで下の子がそうなるんじゃないかと思ったが、さすがに生まれた瞬間の記憶まではないので、私とあの子のどちらが姉で、どちらが妹なのかはわからなかった。
姉だろうか、妹だろうかと不安になっていようと、メイドたちは可哀想にと言いながら、愉しそうに話すのが少し憎らしかった。
どこだろうと、他人の不幸は蜜の味なのは変わらないのだろう。
まぁ、全てのメイドがそうではなく、アンナはお世話の時「大丈夫です」、「守ってあげます」なんてよく言ってくれる。
私の可愛い天使様、なんて恥ずかしい言葉もついてくるけれど。
アンナの優しい手のぬくもりや笑った顔を思い出して、ほっこりしたので、愉しげなメイドたちを憎むのをやめる。
かわりに、彼女らの話から情報を手に入れていくこととした。
つなぎ合わせていけば、ここは男爵という爵位を持った家で、貴族だとか。
生憎、私の中に爵位の知識がないので、男爵がすごいのかがわからない。
一番偉いのは、公爵だったかな?子爵というのもあったような?程度だ。
そして、どちらかを貴族にして、もう片方を平民にして育てるつもりだとか。
捨てられるわけではないらしいと聞いて、とても安心した。
前世で平凡に生きてきた身としては、平民でいいと思っていた。
しかし、この世界のことを私は全く知らないので、平民がいいとも言い切れなかった。
どちらがいいのだろう、と不安にかられるも、ゆらんゆらんと揺らされれば、まぶたが落ちてくる。
考えなければと思いながら、アンナの好意の滲んだ優しい声音でおやすみと言われ、夢の中に旅立っていた。
私の隣には、もう一人、女の子がいた。
昼間は揺り籠で寝かされていることが多く、夜寝る時に私と彼女は大きなベビーベッドへ一緒に寝かされていた。
私たちの世話をしていたのは、メイドの格好をした女性たち。
世話をする時の女性は三人一組で、三組見かけたので、合計九人で面倒を見てくれているのだろう。
彼女たちは、私たちをゆらゆらと揺らしながら、よく「可哀想に」と口にしていた。
何がかわいそうなのかと彼女らの話に耳をそばだてていれば、私と隣の揺り籠にいる女の子が、双子だと知った。
つまり、私も彼女のような容姿をしている可能性があった。
髪はまだ少なかったが色は美しい金糸で、空を映したような綺麗な青い瞳。
前世日本人の私には、外人さん感覚だったが、自分もその容姿だとなったら、鏡を見るたびにびっくりしそうだ。
金髪に青い目、慣れることができるだろうかと震えた。
震えていれば、世話をしてくれる九人のメイドさんの中で一番若そうな女性ー名前は確かアンナだったーがオロオロし始めた。
お腹が痛いのかとか、寒いのかとかとても心配された。
大丈夫だという意味を込めて、にぱっと笑ってみるが、感覚がイマイチなのでわからない。
私の顔を見て、彼女がほっとしていたのでちゃんと笑えたのだろう。
しかし、双子だと知って、私はみんなが「可哀想に」と言ってくる意味を何となく理解した。
双子と聞いて、昔というか、前世の頃に聞いた話を思い出したのだ。
迷信だったか、双子は不吉だと忌み嫌われていたとか。
新しく生まれ直したこの世界もまた、そうなのだろう。
メイドたちは、双子だからどちらかが可哀想なことになるだろうと、「可哀想に」と口にしていたのだ。
私は勝手なイメージで下の子がそうなるんじゃないかと思ったが、さすがに生まれた瞬間の記憶まではないので、私とあの子のどちらが姉で、どちらが妹なのかはわからなかった。
姉だろうか、妹だろうかと不安になっていようと、メイドたちは可哀想にと言いながら、愉しそうに話すのが少し憎らしかった。
どこだろうと、他人の不幸は蜜の味なのは変わらないのだろう。
まぁ、全てのメイドがそうではなく、アンナはお世話の時「大丈夫です」、「守ってあげます」なんてよく言ってくれる。
私の可愛い天使様、なんて恥ずかしい言葉もついてくるけれど。
アンナの優しい手のぬくもりや笑った顔を思い出して、ほっこりしたので、愉しげなメイドたちを憎むのをやめる。
かわりに、彼女らの話から情報を手に入れていくこととした。
つなぎ合わせていけば、ここは男爵という爵位を持った家で、貴族だとか。
生憎、私の中に爵位の知識がないので、男爵がすごいのかがわからない。
一番偉いのは、公爵だったかな?子爵というのもあったような?程度だ。
そして、どちらかを貴族にして、もう片方を平民にして育てるつもりだとか。
捨てられるわけではないらしいと聞いて、とても安心した。
前世で平凡に生きてきた身としては、平民でいいと思っていた。
しかし、この世界のことを私は全く知らないので、平民がいいとも言い切れなかった。
どちらがいいのだろう、と不安にかられるも、ゆらんゆらんと揺らされれば、まぶたが落ちてくる。
考えなければと思いながら、アンナの好意の滲んだ優しい声音でおやすみと言われ、夢の中に旅立っていた。
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