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第7話「貴族とは」①
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お嬢様の振る舞いが貴族としてかなりまずいレベルだということを、お茶会にてまざまざと見せつけられてしまった。
アンナに聞けば、お嬢様のお茶会に同じ人が来てくれたことはないらしい。
一度目はどんな人か知らないから来てもらえるけれど、二度目はないということ。
挨拶ひとつできていないお嬢様に、こいつと関わるのはよしておいた方がいいと判断されているのかもしれない。
このまま何もしなければ、男爵家の評判は下がっていく一方だ。
元から評判がどんなものなのか知らないけれど、手を打つのなら早い方がいいに決まっている。
ここは、自分の職場でもあり、家である。
ここがなくなって仕舞えば、私はどこに行けばいいのか。
いや、なくなったらなくなったで、外の世界に出て仕事を探すことになるだけだ。
けれど、使用人としての就職は、なかなか難しいと聞く。
自分の家で働かせるのだから、身元のしっかりした人の方がいいというのは分かりきったこと。
だから、使用人を募集していると大っぴらに触れ回ることはせず、こそこそといい人はいないかと人伝に探し回るのが常だとか。
知り合いの少ない私が誰かから、どこどこで募集をしているけれどどうだ、なんて紹介してもらえることなど皆無だろう。
つまり、就職がしづらそうなのだ。
出来る限り、この屋敷を安泰にして、就活をしなければいけなくなる事態を避けたい。
突如湧いてきてしまった問題に、自分のためにも何か手を打たねばと、ぎゅっと拳を握る。
しかし、何か手を打つと言っても何をすればいいのか。
解決策として、お嬢様に授業を受けてもらうのが一番手っ取り早いと思う。
でも男爵から、命令は絶対に聞けと言われている。
お嬢様から授業の身代わりをしろと命令されてしまえば断ることができない。
必然的にお嬢様が授業を受けることもなくなる、という悪循環だ。
授業を受けさせるには、お嬢様自身に授業を受けたいと思わせる。
あるいは、お嬢様が授業を受けてないと気づかせるか、だろう。
そこで、そうか、と閃く。
男爵本人にお嬢様が授業を受けていないことを気づいてもらえばいいのか。
名案だと手を叩きそうになるも、ギリギリのところで堪える。
もう夜更けすぎ、大きな音を出すような時間ではない。
落ち着こうと深呼吸をしたところで、ふつっと湧き出た疑問によって喜びが霧散する。
どうやって男爵に気付いてもらえばいいのだろう。
授業を受けていないと気づいてもらうためには、授業中に男爵が訪ねてくる、とか?
いや、授業中に男爵がお嬢様を訪ねてくるということはないだろう。
そもそも、男爵本人がわざわざお嬢様の部屋を訪ねるなんてことはないだろう。
使用人を使って、自分の書斎に呼び出すのが普通だ。
問題解決できるかと思えば、一筋縄ではいかないらしい。
肩を落とし、ソファーに体を沈ませる。
先日叔父さまが優雅に座っていたソファーは、新しい上等なソファーに変わった。
叔父さまからソファーが届いたためである。
私が座るわけだから、などと言い訳をして、叔父さまは私に一級品のソファーをプレゼントしてくれた。
ふかふかで手触りの良いソファーはベッドよりも心地よい。
うっかり寝てしまいそうになる程だ。
うとっとなりそうになったところで、ふわふわと何かが頭に浮かんでくる。
浮かんできたことに、溶けたようにソファーへ預けていた身を勢いよく起こす。
授業を受けていないと気づかせるのに、男爵を授業中にこさせる必要なんてない。
方法なら、他にもある。
かなり身を削るような方法になりそうだが……。
お嬢様のありのままを見てもらえばいいのだ。
あの礼儀作法がまったくなっていないお嬢様を。
そうすれば、お嬢様に甘々な男爵たちもさすがに気づくはずだろう。
ならば、今日みたいに、お茶会での目に余る行動を目撃させれば一発だ。
むしろ、男爵たちはなぜ今まで気づかなかったんだろうか。
疑問に思いつつも、とりあえず明日男爵、はなかなか会わないので、夫人あたりにそれとなくお茶会でも勧めてみよう。
問題解決の糸口を見つけて満足したので、やっとベッドへ入った。
アンナに聞けば、お嬢様のお茶会に同じ人が来てくれたことはないらしい。
一度目はどんな人か知らないから来てもらえるけれど、二度目はないということ。
挨拶ひとつできていないお嬢様に、こいつと関わるのはよしておいた方がいいと判断されているのかもしれない。
このまま何もしなければ、男爵家の評判は下がっていく一方だ。
元から評判がどんなものなのか知らないけれど、手を打つのなら早い方がいいに決まっている。
ここは、自分の職場でもあり、家である。
ここがなくなって仕舞えば、私はどこに行けばいいのか。
いや、なくなったらなくなったで、外の世界に出て仕事を探すことになるだけだ。
けれど、使用人としての就職は、なかなか難しいと聞く。
自分の家で働かせるのだから、身元のしっかりした人の方がいいというのは分かりきったこと。
だから、使用人を募集していると大っぴらに触れ回ることはせず、こそこそといい人はいないかと人伝に探し回るのが常だとか。
知り合いの少ない私が誰かから、どこどこで募集をしているけれどどうだ、なんて紹介してもらえることなど皆無だろう。
つまり、就職がしづらそうなのだ。
出来る限り、この屋敷を安泰にして、就活をしなければいけなくなる事態を避けたい。
突如湧いてきてしまった問題に、自分のためにも何か手を打たねばと、ぎゅっと拳を握る。
しかし、何か手を打つと言っても何をすればいいのか。
解決策として、お嬢様に授業を受けてもらうのが一番手っ取り早いと思う。
でも男爵から、命令は絶対に聞けと言われている。
お嬢様から授業の身代わりをしろと命令されてしまえば断ることができない。
必然的にお嬢様が授業を受けることもなくなる、という悪循環だ。
授業を受けさせるには、お嬢様自身に授業を受けたいと思わせる。
あるいは、お嬢様が授業を受けてないと気づかせるか、だろう。
そこで、そうか、と閃く。
男爵本人にお嬢様が授業を受けていないことを気づいてもらえばいいのか。
名案だと手を叩きそうになるも、ギリギリのところで堪える。
もう夜更けすぎ、大きな音を出すような時間ではない。
落ち着こうと深呼吸をしたところで、ふつっと湧き出た疑問によって喜びが霧散する。
どうやって男爵に気付いてもらえばいいのだろう。
授業を受けていないと気づいてもらうためには、授業中に男爵が訪ねてくる、とか?
いや、授業中に男爵がお嬢様を訪ねてくるということはないだろう。
そもそも、男爵本人がわざわざお嬢様の部屋を訪ねるなんてことはないだろう。
使用人を使って、自分の書斎に呼び出すのが普通だ。
問題解決できるかと思えば、一筋縄ではいかないらしい。
肩を落とし、ソファーに体を沈ませる。
先日叔父さまが優雅に座っていたソファーは、新しい上等なソファーに変わった。
叔父さまからソファーが届いたためである。
私が座るわけだから、などと言い訳をして、叔父さまは私に一級品のソファーをプレゼントしてくれた。
ふかふかで手触りの良いソファーはベッドよりも心地よい。
うっかり寝てしまいそうになる程だ。
うとっとなりそうになったところで、ふわふわと何かが頭に浮かんでくる。
浮かんできたことに、溶けたようにソファーへ預けていた身を勢いよく起こす。
授業を受けていないと気づかせるのに、男爵を授業中にこさせる必要なんてない。
方法なら、他にもある。
かなり身を削るような方法になりそうだが……。
お嬢様のありのままを見てもらえばいいのだ。
あの礼儀作法がまったくなっていないお嬢様を。
そうすれば、お嬢様に甘々な男爵たちもさすがに気づくはずだろう。
ならば、今日みたいに、お茶会での目に余る行動を目撃させれば一発だ。
むしろ、男爵たちはなぜ今まで気づかなかったんだろうか。
疑問に思いつつも、とりあえず明日男爵、はなかなか会わないので、夫人あたりにそれとなくお茶会でも勧めてみよう。
問題解決の糸口を見つけて満足したので、やっとベッドへ入った。
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