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第7話「貴族とは」②
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次の日、お嬢様のことに気を取られすぎて忘れていたが、夫人のお茶会だった。
夜更かししてしまったために眠いけれど、ヘマをしないようにとキビキビ動きまわる。
当の夫人は、何故だか娘自慢をしている。
うちの子はすごいんですのよー、という売り込みをしているのを見て、婚約先でも探しているのかな、と首を傾げる。
婚約は家格が高いともっと幼い時からすることもあるらしいが、生憎お嬢様に婚約者はいない。
家格が高くないのもあるが、お嬢様本人がいらないと嫌がったためもある。
夫人たちは、そろそろ年頃の娘に婚約者を、と思ったのだろうか。
しかし、16歳くらいから婚約をする場合は、婚約から一年以内に結婚することが多いと聞いたような。
目に入れても痛くないというほど可愛がっているお嬢様を結婚させようなんてことは、ないだろう。
疑問は残るが、なんにせよ、これは絶好のチャンスだ。
お茶会が空振りに終わったことで苛立っている夫人を、呼び止める。
時々役に立つことを言うおかげか、夫人が嫌がらずに話を聞くために立ち止まってくれた。
「どれだけ言葉を尽くそうと、お嬢様のことを知ってもらうことは難しいのではないでしょうか?」
「……私の説明が下手だと?」
言葉選びが悪かったらしく、夫人の機嫌が一気に悪くなってしまった。
慌ててそんなことはないと否定を入れる。
「百聞は一見にしかずと言いますし、」
不思議なもので、この世界にも故事成語やことわざがあったりする。
中国や日本の昔の逸話から生まれた言葉が、中国や日本の存在しないこの世界で使われている。
実に奇妙だと思うが、今はそれはどうでもいい。
私の言葉に関心を持った様子の夫人に、説得のために言葉を重ねる。
「話で聞いてもらうよりも、実際に会ったり話してもらうことこそ、お嬢様を一番わかってもらえると思うのですが?」
この世界は結婚が意外と遅い。
中世を思わせる世界観なので、16歳くらいで結婚するのかと思っていたら、20代半ばがざららしい。
婚約は幼い時からするのに、結婚自体は本人たちがある程度地盤を作ってからという感じだ。
結婚が20代半ばがざらであるためか、社交界デビューも20歳前後、早くても18歳に行われる。
そのため、社交界デビューはすることができない。
そもそも他の年頃の子が社交界に出てない今、社交界デビューをしても、社交界にいるのは年上となってしまう。
「少し早いですが、お披露目の“お茶会”でもどうでしょうか?早くて悪いということはないと思いますが?」
なので、お茶会を勧めておく。
社交界デビューは18歳からが通例になっているための打開策なのか、お茶会と称してのお披露目パーティーはよく使われる手だ。
そして、初めてのお披露目会での失敗は、黒歴史になれどまだ若かったと目を瞑ってもらえることが多い、らしい。
お嬢様の醜聞が広まっても、まだ若いで許してもらえるかもしれない、というかなり身を削った方法。
……そして、この1回が最初で最後のチャンスということでもあるが。
「……そう、……そうね!そうしましょ!!」
じわじわと理解したのか、少し遅れて夫人が納得した。
いいアイディアだと満足そうにしてくれる夫人に、もう一言を付け加える。
「どうせですから、旦那様もご一緒していただいた方が良いのでは?」
「そうね、私やあの人も参加しましょう!」
夫人をうまく言いくるめられたことに安心するも、一抹の不安は残る。
これがお披露目での失敗として受け取られなかった場合だってありえる。
ましてや、当日、お嬢様がすっぽかしたりしないかどうかという問題もある。
どうかうまく行きますようにと祈った。
夜更かししてしまったために眠いけれど、ヘマをしないようにとキビキビ動きまわる。
当の夫人は、何故だか娘自慢をしている。
うちの子はすごいんですのよー、という売り込みをしているのを見て、婚約先でも探しているのかな、と首を傾げる。
婚約は家格が高いともっと幼い時からすることもあるらしいが、生憎お嬢様に婚約者はいない。
家格が高くないのもあるが、お嬢様本人がいらないと嫌がったためもある。
夫人たちは、そろそろ年頃の娘に婚約者を、と思ったのだろうか。
しかし、16歳くらいから婚約をする場合は、婚約から一年以内に結婚することが多いと聞いたような。
目に入れても痛くないというほど可愛がっているお嬢様を結婚させようなんてことは、ないだろう。
疑問は残るが、なんにせよ、これは絶好のチャンスだ。
お茶会が空振りに終わったことで苛立っている夫人を、呼び止める。
時々役に立つことを言うおかげか、夫人が嫌がらずに話を聞くために立ち止まってくれた。
「どれだけ言葉を尽くそうと、お嬢様のことを知ってもらうことは難しいのではないでしょうか?」
「……私の説明が下手だと?」
言葉選びが悪かったらしく、夫人の機嫌が一気に悪くなってしまった。
慌ててそんなことはないと否定を入れる。
「百聞は一見にしかずと言いますし、」
不思議なもので、この世界にも故事成語やことわざがあったりする。
中国や日本の昔の逸話から生まれた言葉が、中国や日本の存在しないこの世界で使われている。
実に奇妙だと思うが、今はそれはどうでもいい。
私の言葉に関心を持った様子の夫人に、説得のために言葉を重ねる。
「話で聞いてもらうよりも、実際に会ったり話してもらうことこそ、お嬢様を一番わかってもらえると思うのですが?」
この世界は結婚が意外と遅い。
中世を思わせる世界観なので、16歳くらいで結婚するのかと思っていたら、20代半ばがざららしい。
婚約は幼い時からするのに、結婚自体は本人たちがある程度地盤を作ってからという感じだ。
結婚が20代半ばがざらであるためか、社交界デビューも20歳前後、早くても18歳に行われる。
そのため、社交界デビューはすることができない。
そもそも他の年頃の子が社交界に出てない今、社交界デビューをしても、社交界にいるのは年上となってしまう。
「少し早いですが、お披露目の“お茶会”でもどうでしょうか?早くて悪いということはないと思いますが?」
なので、お茶会を勧めておく。
社交界デビューは18歳からが通例になっているための打開策なのか、お茶会と称してのお披露目パーティーはよく使われる手だ。
そして、初めてのお披露目会での失敗は、黒歴史になれどまだ若かったと目を瞑ってもらえることが多い、らしい。
お嬢様の醜聞が広まっても、まだ若いで許してもらえるかもしれない、というかなり身を削った方法。
……そして、この1回が最初で最後のチャンスということでもあるが。
「……そう、……そうね!そうしましょ!!」
じわじわと理解したのか、少し遅れて夫人が納得した。
いいアイディアだと満足そうにしてくれる夫人に、もう一言を付け加える。
「どうせですから、旦那様もご一緒していただいた方が良いのでは?」
「そうね、私やあの人も参加しましょう!」
夫人をうまく言いくるめられたことに安心するも、一抹の不安は残る。
これがお披露目での失敗として受け取られなかった場合だってありえる。
ましてや、当日、お嬢様がすっぽかしたりしないかどうかという問題もある。
どうかうまく行きますようにと祈った。
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