追放される悪役令嬢だと思ったら産んだ娘が『稀代の悪女』だった

emi

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築き上げたものは他人にあっさりと壊されるもの

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 お城に到着した私はジェレミー様にエスコートされる予定だったので控え室に通された。


「ようやくジェレミー王太子にお会いできますね。」


 そう言って微笑む侍女に笑い返したが緊張していたせいか頬がひきっているのを感じた。
 私の表情に違和感を感じた侍女が恐る恐るといった感じで話しかけてきた。


「あの……、ご不安かと思いますが私はお嬢様がこの婚約がより良く進む様にと行動なさっていた事は存じております。きっと、上手くいきます。」


侍女の言葉に私は自分が思っている以上に不安だったんだと気がついた。私を励ましてくれる侍女のエマに大丈夫と笑って見せたけど彼女の表情は心配そうな顔から戻る事はなかった。



---------------------

違和感はあった。


最初は些細な事だった。しかしそれが一つ二つと増えていくたびに大きくなる違和感に目を逸らし続けた末路なのだろう。



 部屋の外から聞こえてくる音楽にソワソワと落ち着かず、心はざわついたままだった。

(待てと言われてからかなり時間が経ってる……。どうしてジェレミー様は来ないの? )


もうデビュタントは始まっていても可笑しくない時間になり、様子を見てくると出て行ったエマを待ってはいるが、正直に言うと確認に行くよりも一緒に居てほしかった。


「来ない理由なんて恋愛小説じゃ分かり切ったものじゃない……。」


元から契約上の結婚だ。ジェレミー様に他に好きな人が居たって可笑しくない。でも、手紙でもやり取りで感じた彼ならばこんな場所に婚約者を置いて愛する人の元には行かず、問題を解決してから愛する人の元へと向かうはず。


しかし、不安感の理由はこれだけじゃない。

「此処に一番来たいと言いそうなマリアベルが居ない。」


 そう、今日のデビュタントにマリアベルはついて来なかった。何でも私の準備の手伝いの途中に気分が優れないといって自分の部屋で休んでいる。
 その時は自分が参加できない事への悲しみで私が着飾っているのを見ていられないのだと思って休む様に命じたのだ。


「馬鹿ね……、不安からマリアベルを疑うなんて……。病人を疑うなんてどうかしてるわ。」


いくら私を見る目に敵意が宿っていると感じたとは言え、マリアベルは今私の屋敷で寝込んでいる筈。そんな事人に鞭を打つような考えは流石にあんまりだわ。


そんな事を考えていると、バタバタと慌てた様子でエマが部屋に入ってきた。


「お嬢様、 大変です!! ジェレミー様がマリアベルと一緒に居て……彼女を王妃にすると宣言されました!!」


「何ですって? 」


エマと一緒に急いで広間に向かうが心のどこかで行っても無駄だと分かっていた。

(それでも、家族にだけは迷惑がかからないようにしないと……っ! )


この時の私は、婚約破棄された後の事ばかり考えていた。自分が考えているよりも事態は大きくなっている事も分からずに。


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