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世間が思ったよりも狭すぎた
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あれから更に2年の月日が流れリリアナは6歳になった。
今日は仕事がお休みだったのでいつもより少し凝った朝ご飯を作ろうと思って早く起きた時にリリアナの寝顔を見て月日の流れを感じずにはいられなかった。
この年になると顔の造りもはっきりとしてきて髪と瞳の色以外は私に似ていて少しきつい印象が強くなってしまっていた。
(リリアナは少し言い方が強いから余計に気の強い女の子って思われちゃうのよね……)
リリアナが優しい子だと私が一番良く知っているので、第一印象だけで嫌煙される事に気を病んでしまっていたけど、当の本人は思った以上にあっさりとしていた。
本人曰く、『顔で判断するような人と友達にはなりたくない』とのこと。
(我が娘ながらメンタルが鋼並みに強すぎる……)
フライパンに油をひいて昨日から準備していた卵液に浸したパンを焼いている時に一体誰に似たんだかと考えて、止めた。どうしたってジャックの事を思い出してしまうから。
「未練がましいというよりは、リリアナがロクデナシと似てるって思いたくない。」
ジャックで思い出したけど、原作のリリアナは伯爵令嬢として登場するが、侯爵令嬢時代では社交界でジャックの顔を見た事がなかった。
「そういう噂は出回るの早かったからなぁ……あれくらいの年齢になればどんなに隠していても隠し子と存在って分かるものなんだけど。」
この時代はゴシップが最大の娯楽になるんだからこの手の噂が出回っていないなら本当に貴族じゃないのかも。
「考えられるとしたら功績を称えて伯爵位を貰ったって考えるのが妥当よね。それくらい彼に実力が……女好きの凄腕魔法使い? 」
何だか引っ掛かりを覚えるワードだ。まるで初めて聞く単語では無い様なそんな違和感を覚えて記憶を探っていくと引っ掛かりの謎は解けてしまった。
「あの時の凄腕魔法使いってジャックの事だったのね……っ! 」
私のデビュタントが遅れた理由である魔獣討伐の功績者は恐らく、いや、十中八九ジャックの事だと思う。貴族であればどんな無礼者でも私に挨拶くらいはさせた筈。
社交界は揚げ足を取ることが趣味の人たちが多いから付け入る隙を見せないが一般国民となれば気に入らないからという個人的な理由で簡単に断れる。
「あの男……お母様以外の屋敷の女性に手を出していたわよね? 」
だったらなおの事、両親には言わずこの秘密は墓場まで持っていこう。私に会わせたくない様な素行をしていた彼の子を身ごもってしまったなんて言えば二人は卒倒してしまうかも知れない。
「そう言う点に関してはマリアベルは男を見る目があるって事かしら。」
私の予想が当たっていればマリアベルとも関係があったって事になる。それを火遊びと割り切って他の男(私の婚約者だけど)にいけたのは、遊び相手以上のメリットを感じなかったからかもしれない。
「いや、マナーも守らずに肉体関係に臨もうとするんだから長く関係を持とうなんて思わないか。」
関係が長引けば長引くほどリスクが大きくなる男とか普通に嫌だ。しかも性格もロクデナシなのだから責任なんて取ってくれるとは女性は思えないだろう。これに伯爵位が付けば話は変わってくるとは思うけど。
弱火で焼いていたパンをひっくり返してまた弱火でじっくり焼いていく。焼ける音と匂いに気が付いたのかバタバタと階段から降りてくる音が聞こえた。
「おはよう、お母様!! まだ、お茶の準備はしてないよね!? 」
最近は朝の紅茶は自分で選びたいらしく、ポットの準備だけして待つようになった。
「おはよう、リリアナ。お茶を選ぶついでに蜂蜜とヨーグルトも取ってくれる? 」
蜂蜜とヨーグルトと聞いて今何を作っているのか分かったリリアナは目を輝かせていた。
「フレンチトースト! 待ってて、今取ってくるから!! 」
急いで蜂蜜とヨーグルトを取ってきてテーブルに置くと早足で紅茶を置いている場所に向かって行った。
「今日の紅茶はどんな味になるのかしら。」
最初は色んな種類の紅茶缶から一つを選んでいたのに、気が付くとオリジナルブレンドを作るようになっていた。本人曰く魔法薬を調合しているようで楽しいらしい。
今の段階では魔法薬をヨハンから作る許可を貰っていないのでその欲求が紅茶のブレンドに行ってしまったんだと思う。
「これが一回も失敗しないんだから一種の才能よね。」
私が淹れるとはいえ、令嬢時代に飲んでいた紅茶と遜色ない味を再現するのだから何時だって驚かされる。
……この子がもう少し大きくなったらこれで生計を立てれるようにギルドに言ってみるのも悪くないかもなと思いながら今日の娘特製のブレンドティーに思いを馳せるのだった。
今日は仕事がお休みだったのでいつもより少し凝った朝ご飯を作ろうと思って早く起きた時にリリアナの寝顔を見て月日の流れを感じずにはいられなかった。
この年になると顔の造りもはっきりとしてきて髪と瞳の色以外は私に似ていて少しきつい印象が強くなってしまっていた。
(リリアナは少し言い方が強いから余計に気の強い女の子って思われちゃうのよね……)
リリアナが優しい子だと私が一番良く知っているので、第一印象だけで嫌煙される事に気を病んでしまっていたけど、当の本人は思った以上にあっさりとしていた。
本人曰く、『顔で判断するような人と友達にはなりたくない』とのこと。
(我が娘ながらメンタルが鋼並みに強すぎる……)
フライパンに油をひいて昨日から準備していた卵液に浸したパンを焼いている時に一体誰に似たんだかと考えて、止めた。どうしたってジャックの事を思い出してしまうから。
「未練がましいというよりは、リリアナがロクデナシと似てるって思いたくない。」
ジャックで思い出したけど、原作のリリアナは伯爵令嬢として登場するが、侯爵令嬢時代では社交界でジャックの顔を見た事がなかった。
「そういう噂は出回るの早かったからなぁ……あれくらいの年齢になればどんなに隠していても隠し子と存在って分かるものなんだけど。」
この時代はゴシップが最大の娯楽になるんだからこの手の噂が出回っていないなら本当に貴族じゃないのかも。
「考えられるとしたら功績を称えて伯爵位を貰ったって考えるのが妥当よね。それくらい彼に実力が……女好きの凄腕魔法使い? 」
何だか引っ掛かりを覚えるワードだ。まるで初めて聞く単語では無い様なそんな違和感を覚えて記憶を探っていくと引っ掛かりの謎は解けてしまった。
「あの時の凄腕魔法使いってジャックの事だったのね……っ! 」
私のデビュタントが遅れた理由である魔獣討伐の功績者は恐らく、いや、十中八九ジャックの事だと思う。貴族であればどんな無礼者でも私に挨拶くらいはさせた筈。
社交界は揚げ足を取ることが趣味の人たちが多いから付け入る隙を見せないが一般国民となれば気に入らないからという個人的な理由で簡単に断れる。
「あの男……お母様以外の屋敷の女性に手を出していたわよね? 」
だったらなおの事、両親には言わずこの秘密は墓場まで持っていこう。私に会わせたくない様な素行をしていた彼の子を身ごもってしまったなんて言えば二人は卒倒してしまうかも知れない。
「そう言う点に関してはマリアベルは男を見る目があるって事かしら。」
私の予想が当たっていればマリアベルとも関係があったって事になる。それを火遊びと割り切って他の男(私の婚約者だけど)にいけたのは、遊び相手以上のメリットを感じなかったからかもしれない。
「いや、マナーも守らずに肉体関係に臨もうとするんだから長く関係を持とうなんて思わないか。」
関係が長引けば長引くほどリスクが大きくなる男とか普通に嫌だ。しかも性格もロクデナシなのだから責任なんて取ってくれるとは女性は思えないだろう。これに伯爵位が付けば話は変わってくるとは思うけど。
弱火で焼いていたパンをひっくり返してまた弱火でじっくり焼いていく。焼ける音と匂いに気が付いたのかバタバタと階段から降りてくる音が聞こえた。
「おはよう、お母様!! まだ、お茶の準備はしてないよね!? 」
最近は朝の紅茶は自分で選びたいらしく、ポットの準備だけして待つようになった。
「おはよう、リリアナ。お茶を選ぶついでに蜂蜜とヨーグルトも取ってくれる? 」
蜂蜜とヨーグルトと聞いて今何を作っているのか分かったリリアナは目を輝かせていた。
「フレンチトースト! 待ってて、今取ってくるから!! 」
急いで蜂蜜とヨーグルトを取ってきてテーブルに置くと早足で紅茶を置いている場所に向かって行った。
「今日の紅茶はどんな味になるのかしら。」
最初は色んな種類の紅茶缶から一つを選んでいたのに、気が付くとオリジナルブレンドを作るようになっていた。本人曰く魔法薬を調合しているようで楽しいらしい。
今の段階では魔法薬をヨハンから作る許可を貰っていないのでその欲求が紅茶のブレンドに行ってしまったんだと思う。
「これが一回も失敗しないんだから一種の才能よね。」
私が淹れるとはいえ、令嬢時代に飲んでいた紅茶と遜色ない味を再現するのだから何時だって驚かされる。
……この子がもう少し大きくなったらこれで生計を立てれるようにギルドに言ってみるのも悪くないかもなと思いながら今日の娘特製のブレンドティーに思いを馳せるのだった。
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