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悪女の片鱗~sideリリアナ~
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別室に案内されて扉が閉まると父親を名乗る人を見ることもなく、ソファに座った。エマが準備してくれた紅茶を飲むと目の前の人はへぇと感心した様な声を上げた。
「飲み方が綺麗だな、そこら辺のご令嬢よりも。」
「お母様の教えです。」
そう告げてからまた紅茶を飲む。正直、この男の顔すら見たくない。……お母様を不当に扱うこの男の顔なんて。
(それでも、これから先は私はこの人をお父様と慕わなければならないわ)
死を覚悟してまで私を心配してくれたお母様の為にも---私の目的の為にも。
そんな事を考えていると父親は話しかけてきた。
「君だろう? 自分の家とギルドに強力な結界を張ったの。ご丁寧に間違った手順を踏んだら1からやり直しの魔法結界。解析に4年掛かったんだけど何通りの術式を組んだの? 」
途中から数えるの止めちゃったよと言っているが解析出来てないなら此処にはいない。
「4279通りの術式ですわ。……後2年は大丈夫だと思っていたので正直驚いています。」
驚いていたのは本当だけどこの人にはそうは聞こえなかった筈。実際に目の前の男は微笑んではいるが目は笑っていなかった。
(私の発言は侮辱と取ったわ……やっぱり私とこの人は似ているのね)
私が同じ立場なら『自分の娘とは言え、こんな子供に負けるなんて私はこの子以上の価値はない』と考える。私の魔法に対する心構えがこの人と一緒なのは認めざるを得ないけどそれ以外を一緒にしないで欲しい。
「お母様を守る為の結界だったのに貴方が破ってしまったから今こんな事になっているんです。父親と名乗るのでしたら責任を取って下さらないと……。」
「あんな結界を作っておいて良く言うよ。あれは俺に長い時間をかけて解析させるのが目的だろう? 今の状況こそが君の欲したものだったんだじゃないか? 」
今度は私が目の前の男と同じ表情をする番だった。全部分かった上であの表情を作っていたのだ。---自分と同類であると知らしめるために。
(腹立たしい……。私の意図を全て知って掌の上で遊ばせていたって事じゃない)
この男の腹を探ろうなんて元から思っていなかった。ちょっと癇に障ったから嫌な気分にさせてやろうと思っていただけ。これ以上は私がしっぺ返しを食らってしまう。
「……お母様の隠している事は全部知っているわ。」
「へぇー、お母さんのこと勝手に調べたんだ~。」
「4年前に間違って師匠……ギルドマスターに強力な自白剤を飲ませてしまったのよ。」
お母様と親し気に話していたからお母様の事が好きなんじゃないかと思ってお茶に自白剤を入れて確認しようとした。無味無臭のあの薬さえ作らなければきっとこんな状況にはなっていなかっただろうと今でも思う。
「飲んでしばらくしてから私をお母様と間違えて酷い錯乱状態になってしまったの。何度もアシュリーお嬢様と言いながら話してくれたわ。」
とは言え、元から耐性が強いのか数分もしない内に正気に戻って自白剤の事は直ぐにバレてしまい、魔法薬の材料の場所には入れて貰えなくなった。
「ヨハンが自白剤飲んでしゃべるなんて凄いじゃん! 俺以外の薬が効いているのなんて初めて聞いた。」
(同じことを師匠も言っていたわ)
基礎魔法の次に教えてくれたのは魔法薬の精製だった。師匠は魔法薬に詳しく、耐性も強かったから問題ないと判断したのだと言っていた。
でも、魔法薬に込めた私の魔力は耐性があった師匠でも防ぐことが出来なくて悔しそうに私を見てこう呟いた。
「父親に似て本当に憎らしいと言ってました。」
父親の事は言わないつもりだったと思う。そのつもりなら初めて魔法を教えてくれた時に教えていた筈だから。
「師匠からきちんと聞いて思ったんです。何故お母様がこのような仕打ちを受けないといけないのって……。」
お母様は皇后への復讐を考えていると思うけど、私はそれだけでは全然足りない。
「私は王家を壊したい。お母様を傷つけた人全員に地獄を見てもらわないと気が済まないの。」
そう告げると今度はとても楽しそうに笑った。
「やっぱり君は俺の娘だね。」
見なくても分かる。この男とおんなじ顔をして笑っている事くらい。
「飲み方が綺麗だな、そこら辺のご令嬢よりも。」
「お母様の教えです。」
そう告げてからまた紅茶を飲む。正直、この男の顔すら見たくない。……お母様を不当に扱うこの男の顔なんて。
(それでも、これから先は私はこの人をお父様と慕わなければならないわ)
死を覚悟してまで私を心配してくれたお母様の為にも---私の目的の為にも。
そんな事を考えていると父親は話しかけてきた。
「君だろう? 自分の家とギルドに強力な結界を張ったの。ご丁寧に間違った手順を踏んだら1からやり直しの魔法結界。解析に4年掛かったんだけど何通りの術式を組んだの? 」
途中から数えるの止めちゃったよと言っているが解析出来てないなら此処にはいない。
「4279通りの術式ですわ。……後2年は大丈夫だと思っていたので正直驚いています。」
驚いていたのは本当だけどこの人にはそうは聞こえなかった筈。実際に目の前の男は微笑んではいるが目は笑っていなかった。
(私の発言は侮辱と取ったわ……やっぱり私とこの人は似ているのね)
私が同じ立場なら『自分の娘とは言え、こんな子供に負けるなんて私はこの子以上の価値はない』と考える。私の魔法に対する心構えがこの人と一緒なのは認めざるを得ないけどそれ以外を一緒にしないで欲しい。
「お母様を守る為の結界だったのに貴方が破ってしまったから今こんな事になっているんです。父親と名乗るのでしたら責任を取って下さらないと……。」
「あんな結界を作っておいて良く言うよ。あれは俺に長い時間をかけて解析させるのが目的だろう? 今の状況こそが君の欲したものだったんだじゃないか? 」
今度は私が目の前の男と同じ表情をする番だった。全部分かった上であの表情を作っていたのだ。---自分と同類であると知らしめるために。
(腹立たしい……。私の意図を全て知って掌の上で遊ばせていたって事じゃない)
この男の腹を探ろうなんて元から思っていなかった。ちょっと癇に障ったから嫌な気分にさせてやろうと思っていただけ。これ以上は私がしっぺ返しを食らってしまう。
「……お母様の隠している事は全部知っているわ。」
「へぇー、お母さんのこと勝手に調べたんだ~。」
「4年前に間違って師匠……ギルドマスターに強力な自白剤を飲ませてしまったのよ。」
お母様と親し気に話していたからお母様の事が好きなんじゃないかと思ってお茶に自白剤を入れて確認しようとした。無味無臭のあの薬さえ作らなければきっとこんな状況にはなっていなかっただろうと今でも思う。
「飲んでしばらくしてから私をお母様と間違えて酷い錯乱状態になってしまったの。何度もアシュリーお嬢様と言いながら話してくれたわ。」
とは言え、元から耐性が強いのか数分もしない内に正気に戻って自白剤の事は直ぐにバレてしまい、魔法薬の材料の場所には入れて貰えなくなった。
「ヨハンが自白剤飲んでしゃべるなんて凄いじゃん! 俺以外の薬が効いているのなんて初めて聞いた。」
(同じことを師匠も言っていたわ)
基礎魔法の次に教えてくれたのは魔法薬の精製だった。師匠は魔法薬に詳しく、耐性も強かったから問題ないと判断したのだと言っていた。
でも、魔法薬に込めた私の魔力は耐性があった師匠でも防ぐことが出来なくて悔しそうに私を見てこう呟いた。
「父親に似て本当に憎らしいと言ってました。」
父親の事は言わないつもりだったと思う。そのつもりなら初めて魔法を教えてくれた時に教えていた筈だから。
「師匠からきちんと聞いて思ったんです。何故お母様がこのような仕打ちを受けないといけないのって……。」
お母様は皇后への復讐を考えていると思うけど、私はそれだけでは全然足りない。
「私は王家を壊したい。お母様を傷つけた人全員に地獄を見てもらわないと気が済まないの。」
そう告げると今度はとても楽しそうに笑った。
「やっぱり君は俺の娘だね。」
見なくても分かる。この男とおんなじ顔をして笑っている事くらい。
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